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「まだ脱出ルートが見つけてない…だと」
嘘だ、一人で脱出する気だ、がきんちょ君は乙女を放置して自分だけ助かれば良いとか最低な人間だったのか。
しかし…嘘を言っている目では無いな…何かに怯えている感じはするが…相手はあの双子だから仕方がないか。
今の所は信じてやろう。ただし、嘘だとわかったら、生きている事を後悔したくなるような目に合わせてやろう。
「鍵なら私も拾った。どうやら巨大生物(故)が食べていたようだ。何処の鍵かはわからないが…良ければ預かっていてくれないか」
私は鍵をがきんちょ君に預けることにした。
大事な鍵なら双子が取り返しにくるかもしれない。
もしそうなら、「鍵を持っているのはあいつです」作戦が使えるしな、私はキレ者だ、脳筋とかではない(きりっ)
■
鍵を渡されたので、ありがたく受け取った。
いいのかな、と思いつつも、まあこの人なら開かない扉があっても鍵に頼ることはしないのかもしれないと納得した。
きっと自分と私の力量差を鑑みて、この鍵を預けてくれたのだろう。優しい人だ。
「とりあえず『職員室』、一緒に行ってみませんか?向こうに扉があるんです。なにかあるような気もするし」
扉があった方を指し示して、とりあえず誘ってみた。
●
何故か私が変態扱いされている気がするが、どうみても「かっこいい」だろう。
失礼だよね、幽ちゃん人形(早く直して)
何やら職員室に行こうと誘われた。
まぁいいか、行きたい所は無いし。
「わかった、その職員室とやらに行ってみることにしよう。ただし、私は見ての通り、か弱い乙女なので、男のがきんちょ君は私を守るように。あと、この幽ちゃん人形を直してやってくれ。きちんと直さないと、幽ちゃん人形と同じ状態にしちゃうぞ(てへっ)」
決まった、がきんちょ君、これで私に惚れたな。
ますます私を守ろうと思うだろう、頑張って私を守れよ、がきんちょ君。
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独り言も尽きて、共鳴も尽きかけてる人に言いたい放題とか酷いよね、幽ちゃん人形(修理中だよ)
あと、私はかっこいい幽さんだよ。
CNだけど、もう幽さんでいいよ。
誰に言ってるかわからない独り言を連発する私だった。
■
CN幽さんは職員室へ向かうことを快諾してくれたので、
行動を共にすることにした。
どうやら、手にしている人形を修理したいそうだ。
脱出経路や双子退治のついでに、修理道具も探しておこう。
再び通路の奥の扉へ向かい、「職員室」とプレートの付いた鍵を鍵穴へ差し込むと、カチャリ、と軽い音がしてノブが回った。
そこに居たのは…
■
そこに居たのは五体の樵。男の外見をしたのが四体と女の外見をしたのが一体。口にはテープが×印で貼られてあり、それぞれ顔は無表情であるのにもかかわらずどこか苦痛を訴えているように思えた。樵には紐で通してある板が首にかけられており、左から「文学」「数学」「化学」「歴史」「一般教養」と書かれている。その後ろにあるのは小型のモーターといったものだろうか。
バタンと扉が閉まる。駆け寄ってみるが扉は内側から開かなかった。
隣から幽さんがダルそうに言う。
「がきんちょは馬鹿だなあ。なんで同じミスを何度もするんだ。自分で入りたいといったんだから責任を持ってか弱い乙女を守るようにね(にっこり)」
・・・しかしこの樵たちもやはり元は人間だったのだろうか。
急にあの悪魔の子供達の声が頭上から聞こえてきた。
「くすくす・・・テストの時間だよ?」
「五つ問題を出すから」
「当ててね?」
「外すごとに樵は粉々」
「君たちは人殺しになる」
「ふふ・・・愉快でしょ?」
「あはははは」
「まずは『文学』から行くね」
■
すると、樵の背後の小型モニターに、ぱっと問題が映し出された。
『銀河鉄道の夜、伊豆の踊子、砂の女、八つ墓村
それぞれの文学作品の著者を答えよ。』
私は、ぐ、と言葉に詰まってしまった。
有名な作品ならば名前くらいは聞いたことがあるが、
そこまで文学に精通しているわけでもなく。
『外すごとに樵は粉々』『人殺しになる』
子供たちの声を反芻すれば、つまり、
この人形のような樵は生きた人間なのだろうか…。
ぎりっ、と奥歯を噛み締めた。
傍らのCN幽さんはどうだろうか、とちらりと様子を窺ってみたり。
おやすみおやすみー♪
>寝たら死ぬ!
まあ…処刑ですもんね…
幽のこと、おねえちゃんはずっと忘れないよ…っ!!
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