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■
「…………き、やす…く、触らないでよ、グズ…っ」
憎まれ口を叩きながらも、ぬいぐるみは涙を流すことなく泣いていた。
私は、頭を撫でる手を止めることなく、ぬいぐるみが落ちつくまでそうしていた。
……ところが、不意に、ぬいぐるみがピタリと動きを止めたかと思うと、
意思を持って動いていたソレは、
魂が抜けたかのようにくたりとモノへと成っていた。
■
彼女は動かなくなってしまった。
私が何度も何度も何度も呼びかけても反応を返すことはなかった。
…つい数十秒前まで彼女は私とお話していたのに。
彼女の素の部分を見ることができた気がしたのに。
…
…
でも彼女は動かなくなってしまった。
あぁ…あの時感じた不安が現実になってしまったんだ。
私はしばらくその場に立ち尽くしたあと、
左手にぬいぐるみを右手にペンライトを装備して、
彼女が言っていた突き当たりの扉まで再び歩いてみることにした。
■
「…ぬいぐるみ、さん…?なんで…」
『くすくす…知らなかったぁ、ひとらしい人の心ってうさぎにも残るんだね、ふふ…そうと知ってたらもっともっと遊んであげたのに…』
笑い混じりの囁きが聞こえ、瞬時にライトを部屋の奥に向けると、光に照らされ、俯いて笑いを噛み殺す少年の姿が見えた気がした。
そして目があった瞬間、口が裂けたかのように歪に笑うと、私がなにか言う前に少年の姿はかき消えた。
私の腕の中で、物と化したぬいぐるみの耳がだらりと垂れた。私は部屋にひとりだった。
●
私は何を…
慌てて口を拭うと、手にはべっとりと赤い液体がついていて。
先ほどまでは感じなかった鉄の味が口の中に広がって。
子供達の嫌な笑い声が耳の中に広がって。
恐怖と混乱が頭の中に広がって。
私はその場から一目散に逃げ出した。
笑い声が小さくなって遠くなって消えた時、私は近くの壁に寄りかかって座り込んだ。
汗か血か分からないがベトベトの顔を袖で拭って、息を整えながら。私は少しずつ冷静さを取り戻していた。
私は何をしていたのか。何をしたらいいのか。どうすればいいのか。
今までも様々な危険な目にあってきた。それでも私はそれを潜り抜けて、今ここに座っている。
どうにか出来ない事は…無い筈だ。
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