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[必要な過程を得た結果、「永逝の条理」に対しても正しい道を示すことができた。
「永逝の条理」の変化は宇宙の運命を変える。
それは新たなる時代の始まり、か。]
[そんな時だったか。ハーディは、のりものの外へと思考を向けた。気づくのはタマールの方が早かったかもしれない。]
星の大気、が……?
暖かい雨とは、異なる現象なの。
[不可解に感じ、観測を試みた。
暖かい雨の時と同じく原因が解明できないようなら、諦めて出発のことに思考を向けただろうが。**]
浜辺の少女 フランは、擬人 リュミエール を投票先に選びました。
[「永逝の条理」は新たな局面を得て新たな呼ばれ方をするだろう。]
昏い歪み、昏い河の雨だれ。
[思考野を《のりもの》の直ぐ外へ向けた。
それは傍で起こるにしては興味を惹くものだったが、異種知性体にとっては、まだ分かり易い現象だった。**]
[再び見た羽は、ひび割れそうに細やかだった。
今更友好的な別れの言葉もわざとらしくて、]
……産廃物が増えますね。
[見上げて苦笑した。
拾ったドッグタグが、風に煽られる。首が重たい。]
―数日後・診療所―
立つ鳥何とかと申しますが……
あの手袋、結構気に入っていたんですけどね。
かっぱらわれましたね。
火事場泥棒とはああいうものなんですか。
[「後始末」を表面上終えて、大きくため息をついた。]
[患者達の処置。
喫茶店に戻って、店主に謝罪。
荒れた浜辺の清掃。
――今朝、流れ着いたという擬人のパーツ。
なにがどうなったか、把握するために奔走することは選ばなかった。
集積体は海上に存在し、海を波立たせる。
それは今までと変わらないように見えた。]
――さて、と。
まだ患者は来ないでしょうね。
[もう二度と顔を見せない患者が出ても、
恐らくは落ち込むまい。
立ち上がると軽く伸びをした。
久し振りに着た白衣が心地良かった。]
……一服しましょう。
[珈琲での休憩は終えた。
白衣に両手を突っ込んで、診療所の外へ向かう。]
[胸一杯に煙を吸い込んで、細く吐き出す。
一日一本までと決めた煙草が、減っていく。
煙草がなくなるのと、世界が滅亡するのと、
どちらが早いのか楽しむ余裕すらあった。]
……はぁ。美味しくはないですね。
別の種類なら味も違うんでしょうか。
[煙をくゆらせながら、思い出す。
遠い、今はもうない故郷の冬。
医者になりたいと言った自分を応援してくれた家族。
幼くも明るかった友人達。
感謝しきれないほどにお世話になった恩師に先輩。
歩くのでさえ大変だった広い広い病院。
最後の研修、擬人が収容された精神科。
にわかに異常を来した擬人から別の擬人を庇い、
その病院で左足に手術を施されたこと。
この街に配属された当初の落ち込み。
荒っぽくも優しく、気っぷの良い住民達。
その人達が減って、いなくなって、失ってから気付いたこと。]
[皆が好きだ、などとは恥ずかしくて言えないけれど。
良い街で、良い最後で、
間違いもしたけれど。]
――うまく、走れたかな。
[静かな空間に、独りごちた。*]
[淋しいのも痛いのも辛いのも苦しいのも、嫌だから。全て消えてしまったらきっと楽になれるのに。そう感じていた子供にとって、集積体はきっと、……神様のように映ったに違いない。
待つ誰かが居るということ。
奪われたくないと言える事が羨ましかった。
何も持たない…には言う事は出来なかったから。
結局、…が神に望んだ事と言えば、子供が駄々を捏ね、泣きわめくのと何ら変わりはなかったのだろう。]
[海を眺めていた。その身体は透けている。
自分がどうなってしまったのか、初めのうちは気が付かなかった。けれども、やがて気がついて、眉を寄せた。]
…死後の世界なんて本当にあったんですか。
/*
バトルとかSFとか読む分にはすごく好きだけど自分で書ける気が欠片もしない。うぅん。
・とりあえず夜のロールに反応して、フランのダメージどんなもんか考えとく
・傷心→放心→受容→滅亡な心情変化?
[気付け代わりの衝撃>>16に、蜃気楼みたいにゆらゆら揺れる意識をせめて留めるだけでもと、呼吸を繰り返す。
風に揺れる黒髪がリュミエールだとさえまだ気づけなくて、また何か起きるのだろうか、巻き込んでしまうのだろうかと心が騒ぐ]
ん……。
なにか、あったら。置いていって…。
[無力さに、対抗するでもなく誤魔化して過ごしてきたこれまでのことが走馬灯のように思い出される。
――いつだって、私は手を伸ばすのが遅くて。
気づいた時には、何も出来ないほどに手遅れで。
慣れきった諦めに沈みそうになって、暗い思いを振り払う。出来ることをやろうと、決めたばかりなのだから。
弱った身体を奮い立たせ、ろくろく見えない目をこすりながら聞こえてきた声に耳を澄ませて、ほっと息をついた]
ぁ……リュミエール、さん。
帰って、これたん…ですね。
[動けずにへたりこんで、そちらへ向かうフラットの姿を見送る]
[息を整えてから、少し二人の方へ近づく。
右腕はほとんど動かなくて、左手で上体を支えて身を起こし、途切れ途切れに聞こえる二人の会話を聞いた]
心が砕けた、人。
集積体に心を奪われてしまった、人。
――……!
[ジムゾンさん、と小さな声で呟く。
集積体を否定した途端、変わり果てた姿。
彼に最後に残された信仰は、あの虹色の狂気だったのかと。そして、自分がそれを引き出す切っ掛けになってしまったという事実に目の前が真っ暗になった]
どうして、アレは――。
人を、海を、なにもかもを。
壊してしまう、の。
[答えられる者は、地球上にはない。
あまりの衝撃に俯いてしまって、フラットとリュミエールの会話への反応が鈍る]
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