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[波の音に、首をそちらに向ければ。
可愛らしくも見える球体が、羽を収めるところだった。]
……天使ってこんな形だったんですか。
見たことなかった。
[胸元で小さな声が聞こえる。]
――フラン。
ええ、と――
[治療を。生きています。一体なにが。
どの台詞を言ったものか分からず、声を掛けたまま固まった。]
無事で――いや無事じゃない、
助かって……るのでしょうか、
……ともかく。
――良かった、です。
[もう、戦闘音がしないことは意識の外に置いた。
他の音はしない。それはつまり、戦闘が終わったということ。
そしてつまり、友人になるかもしれなかった人がいなくなったということ。]
……良いことだけじゃ、なかった、ですね。
[本当に小さな声で、思わずそう付け足した。]
[男は致命的なタイムラグを自ら引き起こしていた。
叫びながら跳べばよかったのに、止まって叫ぶという失策を。
触手に弾き飛ばされ、鞄の中身をぶちまけながら吹っ飛んでいく。
助けようとした少女や、少女を助けに行った青年とは反対方向に]
[ 赫眼には、ノイズのようなオレンジ色の光が明滅していた。視界の中では、浜辺に倒れている男女の姿が捉えられ、矩形ウィンドウに情報が流れている。]
[ 浜辺に倒れた男性を、背中を凭れさせる事の出来る所まで抱きかかえて連れて行き、壁に凭れかけさせると、フランとフラットの元へと歩いて来た。
恐らく、二人の元へ来るのは、彼らが一頻り話し終え、為す事を為した後だろう。
それまでは、二人の間で囁かれる言葉に割りいらず、行いにも立ち入らない。*]
[そのまま路上を盛大に転がり、ようやく止まった後、
しばらくはぴくりともしなかったが、
何かが近付く気配に身を起こす。
視線を下に落とせばぼろぼろの白衣が、常ならぬ方向に曲がった足が視界に入る。
触手の攻撃をもろに受けた白衣は焼け落ちたかのよう。
足だけでなく他の部分の骨も砕けたに違いない。
誰の趣味かは知らないがさらば白衣、今まで世話になった。
そんな暢気なこと考えている猶予はないはずなのに、
思考は遅々として進まない]
[異様な七色の光を放つ肉塊の塊。それは集積体が現れて、死に絶えた生物の代わりに新しく生まれた生き物達と良く似ていた。海の彼方にある集積体の姿にも似ている。全長は3〜4m程あり、白い砂浜に大きな影を落とす。]
ーーーーー、
ーーーーーーッ!
ーーーーー。
[鼓膜を突き割くような、聞くにも耐えない、おぞましい声が静かな浜辺に響き渡る。不思議にな事に、聞く者によっては、泣いているようにも聞こえる、肉塊の叫喚。
触手は一度少女を拘束していたが、男の射撃に寄って手放してしまった。少女は落下し青年の腕の中に落ちる。
射撃を受け、肉塊はほえた。それからずっと咆哮をあげつづけている。]
[肉塊は吠えながら再度少女へと触手を伸ばした。自然と触手の脅威は少女を受け止めた青年にも。
しかし、少女と青年を思う人物の叫び声が、触手の動きを変えた。まるで声に呼ばれた様に触手の矛先を男へと変えた。
男は自分の起こした些細なミスで触手の攻撃を受ける。男が助けようとした少女や青年とは反対方向へと男の身体が吹き飛ぶ。
肉の塊は動いた。少女達と男の間に立ちはだかる。満身創痍の男の身体に巨躯の影を落とす。]
[その間も...は静かに涙を流していた。...の身体はすっかり肉の塊に覆い隠されいる。肉の壁に阻まれ、何も見はしないし、何も聞こえはしない。勿論、傷を負った男の姿姿にも気付く事は無かった。視界は黒く塗りつぶされている。
異様な七色に輝く肉塊の塊と同じ様に、触手もまた虹色に怪しく光り。幾本もの触手はゆらゆらと宙を泳いでいる。
いつ、男を襲うかも予測出来ない動きで――]
[かくして再度肉塊の接近を許す。
呆けたような表情でそれを見上げるだけだった男の口からやがて、]
逃げろって言ったん聞こえてなかったんか………。
[声。生きているという意思を示すような。
その声はとても小さく、男にとっても無意識的に零れたものだった]
何が悲しゅうて仕事でもあらへんのにガキのお守なんざせなあかんねん………。
しかもこんなエキセントリックな姿形の………。
[瞬間、男の目に消えかけていた光が灯る。
銃器を無事な方の左手に持ち替え、通常弾を装填して、
宙を泳ぐ触手に向かって撃ち放した]
帰れ! 迷子のガキは親元に帰れ!
それが無理なら今ここで彼岸に送ったろうか?
生憎あんたをもういっぺん嬢ちゃん達のところに行かせるわけにもいかんしなぁ。
[背後の壁を支えにそろそろと立ち上がる。
撃ち損ねた触手がなおも揺れるのを見て、近付いて一発ぶっ放すにはこいつを使うしかないか、と、
先程よりは素早く思考を巡らせていた**]
[男は肉塊の接近を許す様な事になったが、結果的に少女達を助ける事になっただろう。肉塊の意識は男の方へと向いた。しかしそれは肉塊の脅威が男に襲う事も意味する。
いつ、男を襲うかも予測出来ない動きで、幾本もの触手はゆらゆらと宙を泳いでいる。
男の銃撃が触手に向かって撃たれる。銃弾は触手を通過していき、穴が空いた触手は肉塊から離されて地面へと落下する。断面から黄色い膿のような腐汁が噴き出し辺りに腐臭を撒き散らした。
けれど肉塊そのものはダメージ受けたようには見えず、攻撃を免れた他の触手は変わらぬ様子で蠢いていた。]
[肉塊は尚も吠えている。男にはさぞ喧しく鬱陶しい事だろう。
男は何か思考を巡らせているようだった。
その時、宙では幾本もの触手がゆらゆらと泳いでいたが、その内の一本が目にも止まらぬ早さで変化した。まるで先端が鋭い刃物になったような触手が突然男に襲いかかる。傷を負った男の右腕を目掛けて。肩から腕を奪いさるつもりだった**]
[天使とは反対側――街の方へ顔を向ける。
銃撃の痕跡と、荒れた地面、放り捨てた鞄。
化け物と、男の姿はなかった。
街へと続く方へも、なにも残っていない。]
……まだ、煙草の感想、言ってないのに。
どうして。
[ゆっくりと視線を少女へ戻す。
まだ双方共にぼんやりしていたが、火傷の箇所をあらためる。
のろのろと自分の鞄を拾い、応急手当のシートを貼り付けて。]
…………フラン。
一体ここで、なにが――
いえ、ここで話を聞くのも危険ですね。
診療所で一度しっかりした手当を。
……立てますか?
[手を差し伸べた。
いざとなったら少女ひとりくらい、運べるはずだと思いながら。*]
[ぐったりした身体を支えてくれる腕と、その声を捉えようと、目をしばたかせる]
ん……。
フラット、さ…。
[きゅっと袖に触れてそこにいるのを確かめれば、ほっとしてまた涙が滲む。
しかし安心も束の間。静けさが不穏に思われて、すっと背筋が凍った]
わ、たし。巻き込んで……。
声、聞こえて。トレイスさん……。
[ぐるぐると混乱に掻き乱されて、ただ呆然と放心するばかりだった]
[何が、いけなかったのだろう。取り返しのつかないことを引き起こしてしまった――。
流して楽になることを許さないかのように、涙は留まって視界を霞ませる]
ぁ……。
ごめ、なさ…。
[応急手当を施して貰えば、1つ1つ、焼け爛れた痛みがまざまざと現実を味わわせてくる]
海を――。
ジムゾンさ……。
[思考は散り散りで、身体の熱さと怯えた心の冷たさにぼんやりと宙を見上げた]
[差し伸べられた手を取って、なんとか立ち上がる。
力が入らなくて、フラットに寄り掛かってしまう]
っごめんなさい……。
[あわあわと視線をさ迷わせ、朦朧としていた時に目にした不思議な翼の機体が消え、人影があることに気付いた]
フラットさん、むこぅ……。
……っ――。
[触手に掴まれた胴や腕がヒリヒリ痛む。ぼやけた視界を晴らしたくて瞬けば、睫毛さえ重い気がした**]
/*
ナカノヒトは豆腐メンタルです ダメンタルともいう
でもその代わり エピ第一発言に
「ナカノヒトのこと嫌いになってもいいんですよ」
は入れない 絶対に
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