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あなた“も”? ………って、ああ。
[話に聞いた擬人のことか、と勝手に納得した後、頷いて]
………ちょっとした様子見っちゅー奴や。
[それだけを答える。
眠りの中で盗み見た視界の持ち主が、どうやら海辺にいるみたいだから、
風邪引かないうちにどっか屋内に連れ込むと正直には言えず]
………なんかまるで、出かけて欲しくないみたいな物言いやな。
ひとりが駄目なら一緒に行くか? その方が心強いし。
ええ、いいですよ。
[さらりと了承した。]
こんな天気では、患者もやってこないでしょうし。
なにかあれば、端末に知らせるようにしておきます。
緊急のヘルプも来ないようですしね。
[そんなに深刻な事態なのだ、とは説明しない。
目の前の人物はそれくらい分かっているだろうから。]
荷物は置いておいても構いませんから。
[言い切るなりコートを取りに立ち去ろうとする。
が、思い出して振り返った。]
……そうだ、防寒具。クローゼットに入っています。
他にあれば、言って下さいね。
外で待っています。
[すたすたと大股で歩いていった。]
/*
つーかあれや
フラットの前でフラン嬢ちゃん殺しにかかればええねんジムゾン
こいつの前でもええけど
理由? フェミニストだからにきまってるじゃないかおおげs(ピチューン
[少し迷ってから、立ち上げた端末で基地にコンタクトをとった。
どれほど組織立っているのか分からないが、友達や馴染みの場所にいないなら、ごく普通の若者である兄が取りうる選択肢は限られている。
……知りたくてようやく動き出したくせに、返事がこなければいいと思う自分が可笑しくて、泣きそうになる]
すごく、遅くなっちゃったけど。
まだ間に合うなら。
手を伸ばしても、いいかなぁ…?
[いつからか、形見を分けるよいに1つ1つ物を減らすようになったことに、自分では気付いていない。独り住まう家も、何もかも、空っぽだ。
右腕は、海に惹かれるようにザワザワ騒ぐ。
感覚は日々ずれていき、まるで自分のものではないみたいだ]
いこう……。
[用意と気持ちを整えて、街へ向かう。
螺旋を描くようにループする老人たちの長話を聞けば、普段のように振る舞える気がする]
[さみしいという返事に腕はざわざわと波立つ。自分でも気が付かない内に腕は人ならざるものへと変化していたが、フランが浜辺を立ち去ると正常な腕に戻った。]
良い子ですね……。
[余り人を好ましく思ったりしない質だったが、少女についてそう感想を漏らす。少女が浜辺から離れるのを視線で追い、青い髪が風に靡くのを見つめた。]
…………端末。
あぁ、その手があったな。
[残り電力の消費を抑えるべくあまり端末に触れていない男にとっては、
端末の存在は盲点だったようだ。
急を要する患者。
いないのが一番とは一概に言えない状況だと男は分かっていた。
ただ、了承の声に穏やかに笑んで頷いた後、
相手から出される指示にもこくこくと頷きを返す]
そやな、防寒対策ちゃんとして出かけた方がええやろな。
………………海辺やし。
[ぽつりと放った言葉は、去り際の相手に聞こえていただろうか]
僕は今から発ちます。
[ 見たところ、海上の集積体へ近づく術があるようには見えない。]
貴方はどうします。
移動基地へ向かうのなら、一緒に行きますか?
[ それでも、何らかの術は持っているのだろう。]
集積体の元へ向かいたいのはやまやまですが……、生憎海は渡っていけませんからね。
[一緒に向かうかと訊かれると戸惑う。再度、海の彼方を見る。この向こうに神が居ると確信めいたものがあるのに、ひとりの力で海を渡ってゆける筈も無かった。
少しの間考え込んだ後に首を軽く振る。]
いえ……、此処で待ってます。
あ、そういえば手袋はあるか?
[今度は大声で問うた。
答えがなければ勝手にあちこち漁って探すだろう。見つからなければそれはそれで、と思いつつ]
[ややあって、個室に姿を見せた。
その手には茶色の手袋。]
僕のスペアでよければ、どうぞ。
それと、電子懐炉も。これです。
……寒がりですか。腹巻きは後ろの棚ですよ。
[なんやかやと説明しては、取り出して見せるなどした。
久し振りに「患者」が個室を使うことに、
不謹慎ながらもどこか浮き足立っていたのだ。]
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