遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「ひっ！　な、なんですか、いきなり。」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「大丈夫なわけないでしょ！　人ひとり死んでるし！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「えっ、誰かが誰かを……？　こんなのが人間の殺しかたなの？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「人狼？　またアニメか何かですか？　私そういうの見ないんで分かりません」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「面白い設定かも知れませんが、私そういうの、興味ありませんから！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「……協力ね。まあ、正直ここにいる誰も信用できそうもないから、考えてあげてもいいわ」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「この世界のヒトじゃないとか、イマイチ『ぴん』と来ません。あと、私からすればアナタも十分ヘンです！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「他の人もアナタも、私からすれば変わってるんです！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「……別に、必要だったら協力はします。私だって、あんな風に死ぬのは嫌だし、他の人がああなるのも……」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「私、弓道部ですから、エヘン。狩りなんかできちゃうかもしれませんよ？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「協力、って言っても、アナタのことを完全に信用したわけじゃないからね」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「取りあえず、お互いに足を引っ張り合わない。くらいしかお約束できそうにありませんよ」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「でもコレ、BL本っぽいですよ？　読みます？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「興味アリですね！　では、読めば分かります！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「こ、これも一つの可能性です！　たまたまそのパターンが美しかっただけ！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「アナタは何も分かってない（怒）」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「私はナマモノはパスです、基本的に。BLはファンタジーですから」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「どうも何か勘違いをしてませんか？　あまり言いたくないけど、気が収まらないので長文を送ります」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「返信欄では短い文言しか書けないのがこの世界での「掟」のようなので、ブツ切りなのは許してください」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「まず私は「お互いに足を引っ張り合わない」程度の協力関係なら、と言いました」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「むしろ私が勘違いしていないか不安なんですが、まさか「求婚を受ける＝協力」ではないでしょ？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「どう見ても私が受け取ってるのは便せんの色合やデザインからして「恋文」だし、

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシじゃあ何かラブな要素があるかと期待してみれば「協力して欲しい」ですと！？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「ここで求婚を受け入れたら、私、アナタが死んだ時には後を追わなきゃですよね？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「それって「お互いに足を引っ張り合わない」程度の協力関係を越えてると思うんですけど！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「私の勘違いだったら謝ります、ごめんなさい」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「でも、「合言葉は考えるだけ無意味」と言ってるってことは、そういうことですよね？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「悪いんだけど、私、アナタのために死ぬ覚悟なんてさらっさらないんです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「最初「恋文」なんてあったから、どんな素敵な文章があるのかな、なんて期待してたんです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「BLが好きだからって私自身が同性愛者ってことはないです。それなりに心を動かされる準備はあったんです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「でも、何ですかコレ。私、悲しくなっちゃいました」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「やろうと思えば、アナタのこと指さして「こいつが求婚者だーー！」って出来るんですからね」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「そうしたらアナタは処刑されちゃうんです。もう完全に吊られ損です」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「これも、蔵書「愛こそすべて」で語られている、この世界における一つの悲劇です」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「アナタに対して思い入れはないんだけど、それでもこう言う形で知り合えたのにそれは無いなって思います」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「挽回のチャンスを与える、なんて言うと偉そうですけど、こう言う形で相まみえた以上、そうしませんか？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「アナタ自身の、これからの言葉と行動で、私が本当に命を預けるのにふさわしいかどうか示してください」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「愛に生きることが「婚約者」の役割であり、その筋道を示すのが「求婚者」の役割じゃないでしょうか」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「蔵書「愛こそすべて」には、そう書かれているような気がしてなりません」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「生意気言ってごめんなさい！　でもそれだけが、今の私に言える全部です。長文、失礼しました」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「（追伸）合言葉は、敢えてナシにしましょう。アナタの愛で見破ってください！　か・し・こ♪」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「アナタが正直な気持ちを伝えてくれたので、私もそれに応えたいと思います」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「私がアナタからの申し出に受諾をするということは、つまりアナタにこの命を預けるということです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「つまりそうなった時には、アナタが死ねば私も死ぬのです。死の連鎖です」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「もしそんなことを私が他の人に許すとしたら、やはりそこには愛がなきゃ駄目でしょう！」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「誰が相手でもいいというものではないのです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「私を安心させてくれる人、私のことを一番に考えてくれる人、私のわがままを聞いてくれそうな人……」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「アナタがそうだったら、私は迷わずにアナタと共に愛に生きる決意を固めたかも知れません」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「ごめんなさい、ホントはそんな自信満々で言えることじゃありません」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「でも、そんな私の躊躇さえ踏み越えてくる人がいたらなぁ、って思うことはしばしばなんです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「別に、今日決断しなくちゃ、って話じゃないんじゃないですか？」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「せっかくのお話、断るのは簡単だけれども、それでは私の誠意はどうなの？ってカンジです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「できれば、もう少しアナタのことを聞かせてください。その位の時間は、きっとあるはずです」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「そういうわけで、今日のところはどちらともお返事できません。ごめんなさい」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「>>@46 それは、この手紙のやりとり以外の私を見てもらえれば、って思います」

遅刻少女 ナナは、漂流者 ナナシ「逆に私も、手紙のやりとり以外のアナタのことを、もう少し頑張って見ていこうと思います！」