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[覚えある言葉に、薄く瞳をあけた。
霞がかる琥珀に、大きくなり、細まり。
痛みの軽くなった身体が抱き起こされ、小さく笑った。
血の瞳は、色を失いつつある。]
『俺は先に行く。』
[項に頬を寄せるのは、まだ血を吸う為ではないが]
『…………ルアは、』
[――ひどく、甘い香が心を擽った]
『もう、終わりにしたいのか。』
[そと踏み出した足は、やはり足音を鳴らさない。
転がる小石にも触れることはない。
同じように、地面に散った赤い体液も、伸ばした指は掬い取れない。
空をかくように動いた指を、何にも濡れぬまま、口元へ運んだ。]
[どうにもならない事へ、ほんの少し眉を寄せたが
その場の空気の変容に、微かな表情はすぐに打ち消された。
不快感。
反射的に手はホルダの、フリントロックへ伸びる。
抜き取って、 向ける先に困惑した。
[ どこだ]]
[同じ場所で起こっている「儀式」のためだと気付いた時には
不快感は焦燥にくつがえされる。
銃を構えたまま、た っと駆ける足取りは重い。
肩越しに振り替える 一瞬。
眉は不快に歪められる。]
なんな んだ あれ
[儀式の事など知らないまま終わった生。
知っていれば、あるいは変わった結末もあったのか。
儀式を最後まで見届ければ、聞かぬまでも
気付いたことはあったのかもしれない。
けれど それも 意味の無い想像だ*]
― 地下4階 ―
君の力は、このあと借り受けるかもしれん。
そこの彼をかばって死ぬとかやめてくれよ。
[もしシェリーとリアンが蘇生できるとすれば、自分が吸血鬼になるか、彼女らを人間に戻すかどちらかを選ぶことになる。
自分はどちらでもいいのだが、家族会議(?)の結果、人間を選ぶのならアルベルトの力が必要だ。
彼によって自分は封印され、人間に戻ったことでリアンを倒すことになったが、それを恨むのは美しくない]
……今、失われてはならない存在は君だけだ。
隣の彼が大事なのはわかるが、足手まといになるなら切るのを勧める。
[その傍らにいるのはシェリーの仇なのだが、今さらそれを持ち出すつもりはない。
だが、自分から見れば彼の戦闘力は評価するが、主と戦うには足りないものを感じた――これに引っ張られてアルベルトが倒れてはたまったものではない。]
私がいれば、私の美しさを求めてあの城の門は開く。
主を裏切るつもりはないゆえ、とりあえず私の舞台はそこに限っておく。
[そう言って、城へと歩き出した。**]
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