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― 10月半ば ―
……いつかは別れ巣立つことがあるのは生まれてきた時からわかっていたこと。
それが少しだけ早かった……それだけでござるよ。
正月にはまた会えるゆえ、達者で、と零斗殿にもよろしくとしか言うつもりないでござる。
[結華に事情を説明されれば、平静を装って何度か頭を撫でてやって。
最後の夜は、しょうがない子でござると一晩中話に付き合って――]
高校卒業時に結婚を選ばなければ叶う話でござるよ。
けれど、できるだけ早く戻ってくるといいでござる。
[朝靄のなか、いつもの口調で結華を見送った。
昨夜話に付き合ってあげるつもりが、実は泣きじゃくって一晩中慰められていたのは高塚家だけの秘密。]
― 文化祭 ―
[演劇を見終わり、後は軽音かな?と話したりして]
そうだ。
うちのクラスのカレー、後で食べよう。
[結華が作ったものだというのを思い出す。
食べると宣言したのだから、食べる心算だった]
……
ロールケーキばかりでも飽きるし。
今度は何に挑戦しよう……。
[ふと考える。
あれ以来、何度か叔父の喫茶店に足を運んでくれた結華と流華。
次は何を食べてもらおうかと、
そう考えるのも楽しみのひとつになっていた。
双子の片方が、結華が来れなくなるなんて、まだ知る由もない**]
― 10月半ば ―
零斗殿……結華をよろしく頼むでござるよ。
妹を寂しくさせたことについてはもう水に流すつもりでござる……結華はそれでも零斗殿を選んだゆえ。
零斗殿ならひとりの女の子ぐらいいくらでも幸せにできると知っているし信じているでござるよ。
あちらでも達者で。
結華の扱いに困ったら相談に乗るでござる。
[転校直前の零斗にこっそり会ってそんな話をしていたのは誰も知らない話。**]
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