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― 例大祭の近付いたある日 ―
[朝、学校へ行く準備をする。外は雨。
嫌いな天気ではないが、祭りも近いのにと思えば憂鬱だった]
……はぁ。
[無造作に教科書を鞄に詰め込んでいると、ノートに挟んでいた何かがヒラリと床に落ちた。
ため息をつきながら、拾い上げ。
昼の山桜の写るそれに視線を落として]
[階段を駆け下りる。
朝食を胃に入れる気分になれず、叔父の後ろを通り抜けた]
行ってきます。
[何事かを確認され。
朝食を食べないことへの苦言を聞き流し]
分かってる。
お祭りの手伝いはちゃんとするよ。もちろん。
……どうせ暇だし。
[それだけ返すと、店を出た。
濃紺の傘を広げると強くも弱くもない雨を音で感じられる]
[例大祭はこの地域では大きなイベントで。
もちろん商店街は盛り上げようと頑張るし、張り切る。
今回はくじ引きなどもするらしい]
面倒だな。
[その助っ人として名無し喫茶に白羽の矢が立ったのだ。
だが店長が抜けては喫茶店が開けられない。
こうして自分がまた、駆り出されることとなった]
ちょうどいいと言うべきか。
[何をとは、心の中に。
いつもより早く教室に着けば、机に突っ伏していた*]
― 天体観測の日 ―
[教室でメモが回ってきたのは知っていた。
実はものすごく眠い中で読んだせいで、内容は頭に入っておらず。
偶然買い物帰りに学校前を通りかかれば]
あれ、芳澤。
学校に忘れ物でも……?
[そのわりにはバスケットが不思議で、首を傾げる]
―お祭り数日前>>1021―
残念ながら、ね。
お祭りの日は、浴衣の着付けと髪の毛のセットの予約が多いの。
それが終わったら、お祭り見に行こうと思ってるから。
もし神社であったら、その時一緒に回りましょ♪
[忙しいの?と透に聞かれて、まあね、肩をすくめた]
でも、透ちゃん。
例大祭にデート誘うって意味わかってる?
伝説の木のコトとか知らないでしょ。
[透が「伝説の木って?」と聞いても、...はこの時は答えず。
はしゃいでいる透をほほえましく見ていた]
―天体観測の日―
おはようございます。
じゃなかった、こんばんわかな。
リョウくん?どうしたの、こんな遅くに。
これ?
あ、今日、天体観測なの。メモ回ってこなかった?
―お祭り当日―
ようこそ、透ちゃん。ワタシのおうちへ。
[ヘアーサロン・*10雪兎*に透が足を運ぶと、
浴衣の女性客が目についただろう。透の声が聞こえて、
...が近づいた]
じゃあ、早速実験台になってもらうわヨ。
浴衣の着付けの練習の。
大丈夫、大丈夫。
浴衣とか小物はウチのを貸すし、もちろん、着付けだけじゃなくて、ソレに合うように全身コーディネートするから。ね
[透の反応はどんなものだったろうか。
問答無用で美容院の椅子に座らせると、髪の毛を弄り始めた]
[つけ毛を駆使して、ショートの透にお団子を制作、即席ロングヘアーの女の子が出来上がる。更に薄付きのメイクを施した]
じゃあ、今度は浴衣ね。
こっち着て。
[美容院から家の中に透を連れていくと、浴衣が何枚も出してある]
どの浴衣が着たい?
ワタシのおススメは、ピンクかな。
[くすくすと笑いながら、透にどの浴衣を着るか尋ねた]
[透は恥ずかしがっていただろうけれど、...は気にせず浴衣を着せた。3(3)時間後、完成。最後に浴衣と同じ色の花の簪と、花モチーフのつけ爪をつけてあげた]
どう、可愛いでしょ?
[全身鏡を透に見せながら、ふふんと自信ありげにドヤ顔してみせた**]
浴衣の帯を結んでいると、アレやりたくなるわネ。
お代官様ごっこ♪
[透の浴衣を着つけながら、不穏な事を思う。
まあ。実際やるわけはないのだけど**]
そういえばね、この前の連休に初めてサーフィンやったの。
[ジャンと一緒にサーフィンをやったことを伝える]
寝っ転がって、ぱしゃぱしゃしてるだけでも、おもしろいね。
[手で漕ぐまねをして]
リョウくんは、サーフィンやったことある?
双子の妹 結華は、火ノ見 零斗 をあいしちゃうことにしたよ。
バイト生 芳澤環は、神楼学園教師 ナタリア をあいしちゃうことにしたよ。
[腕時計をちらりと見る。
天体観測にしろあまり長居はできそうにないが、そもそもここで環をひとりにする選択肢はない。
もう外は暗いのだから]
サーフィンは何度か。
あの店長、見かけによらず意外と上手いんだ。
[そしてセンス*10末小吉*と言われた]
強引に連れ出されて溺れかけたけど。
[漕ぐ真似をする環はどこか幼く見えた。
いつもは大人っぽいイメージだからかもしれない]
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