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第三、第四陣営の村は、いずれはやってみたいけど十分知識と経験を積んでからね。
初めて見た第三陣営は悪夢の血人村で初めて見た第四陣営が今回の村。狼が血涙を流してる図しか見ていない気がするわ。
皆が各陣営への理解を十分にしないと簡単にバランスが崩れちゃうことは分かったわ。今回はある意味趣旨通りだったかもしれないけどね。
情熱の赤い瞳 鈴仙・優曇華院・イナバは、春なんて来ない リリー・ブラックに、しまった!被った! えーとそれじゃレンジャー一本で野山を駆け巡るわ
よーし、フランちゃんに触発されて書いた、小悪魔なお話を投下しますよー!!
8時25分から投下しますね!
御期待下さい。あ、喉飴は必要ないですよ。余ってますから。
古来、というほどの古来でもないが、髪の毛には魔力が宿ると信じられていた。この場合、恐らく髪の毛というよりも『人体の一部』には魔力が内包されている事が重要なのであり、人体の体積が増えれば貯蔵出来る魔力も増える。そう言う事なのだろう。
……研究熱心な魔法使いは、髪を切るのも面倒くさがる、訳ではない。多分。
実際、魔力を貯め込んだ髪の毛は意外と便利なのだ。性質を変化させてやれば、糸や導線のように使える。手軽な魔法触媒にもなる。手入れだって難しくは無い。
「まあ、だからこうして、櫛を使って梳いている訳です」
「……ええ。成るほど」
納得したわ、と図書館の魔女・パチュリーは持っていた本から顔を上げて、頷いた。
再度、目をその本に落としながら彼女は尋ねる。
「で、小悪魔。春告精を選んだ理由は何かしらね」
「いえ。行き倒れていたから回収してきました」
小悪魔の指の先。櫛を梳かれているのは春告精のリリーだった。
衣装は黒。本来の姿は白だった筈だが、イメチェンか何かだろうか。
図書館の木椅子に深く腰を掛け、背もたれに身体を預け、彼女は静かに目を閉じていた。良く耳を澄ませば、静かな図書館にリリーの呼吸音が響いていたのが解るだろう。
すうすう、と目を閉じて眠る彼女の髪に、小悪魔は櫛を入れていた。
「……紅茶とケーキに、何か入れた?」
「いえ。私“は”何も」
妹様が何やら、『紅魔館』に入り浸る相手にケーキを制作した余り物だ。味は美味しい。それ以外は知らない。でもまあ、妹様が丹精込めて作ったのだ。大丈夫だろう。分量が多くて、妖精メイド達にも振舞われていた。
小悪魔は、ケーキを造れるほどメルヘンチックな性格をしていないし。
「……そう。なら良いわ」
それだけを言って、魔女はこんどこそ黙って本を読み進め始めた。
それを確認して、小悪魔は再度、ゆっくりと手を動かす。
――す、と髪を梳く。
春告精の長い金髪が、椅子と背中全体を覆っている。スキマ妖怪とは違う、細くて張りの有る髪だ。流れるような髪を、ゆっくりと櫛を通し、梳き、流すと、金色がきらきらと小さな光源に反射する。
図書館は薄暗い。窓が少なく、地下にあるからだが――それでも、音そのものが、今日は少なかった。何時も顔を出す白黒の魔法使いも、今日は来ていない。
――すう、と櫛を動かす。
今は、冬だ。《幻想郷》の冬は寒い。赤の館も、雪化粧に彩られている。
門番の仕事に雪かきが加わり、メイド長は洗濯物が乾かない事を嘆いている。お嬢様に至っては――寒くてベッドから出られないそうだ。うん、気持ちは分かる。温かい布団は、冬の最終秘密兵器だ。要は、誰も彼も、穏やかに眠りに誘われていると言う事なのだろう。
音を消し、深々と積もる雪も相まって、騒がしい音はとても少ない。
白黒……霧雨魔理沙の場合、この図書館では無く、プリンセスの所に顔を出しているのではないだろうか。プリンセス。小悪魔を生みだした『魔界』の神様の、娘の所に。
――静かですね。
小悪魔は、声に出さず、思う。
とても静かだ。小さく、確実に針を進める図書館の柱時計。そして時折、魔女がページを捲る紙擦れの音以外は、小さな手からの音しか聞こえない。
圧力の無い静寂。こういう静けさを、小悪魔は嫌いでは無かった。
――本当に、ね。
『魔界』の中で、小悪魔が聞く音は、怨嗟と嘆きと悔恨と呻きと、大凡聞いているだけで気分が滅入る音ばかりだったから。
気が滅入る。ああ、懐かしい話だ。
魔界で人間を虐め、殺し、繰り返し繰り返し責め苦を与えていた頃と比較すれば、静寂なぞ楽園と言っても良い。
今の小悪魔の行動は、本当に「小」悪魔。過去の自分の行いと比較して微々たるものであろう。
悪魔。うん、酷い呼び名だ。悪い魔である。悪い魔がいれば善い魔がいるのかと言えばそうでもない。異端を示す「魔」を、悪で飾っただけの話。この場合の悪とは、多分『魔界』を造った神綺様の過去の所業が原因なのだろうし、悪魔と冠されることに関して、小悪魔に責任が有る訳でもないだろう。
だが、しかし。
そうは言っても、彼女は悪魔である。
そういうふうに、造られた。
悪魔なんぞ所詮は道具だ。命令されれば、色香で惑わせて魂を奪う事も、白黒の魔法使いを拷問に懸ける事も、策謀を通して『紅魔館』を破滅させる事だって、きっと出来る。出来てしまうのだ。魔界の一員であるから。
今更何を言ってもそれは変えられない。絶対に変えられないと知っている。魔界メイドからプリンセスまで――もう、これ以上なく、知っている。
魔界の神の言葉から、逃れる事は出来ない。住人を徹底的に愛し、愛し、愛し抜き、その愛で縛るのが、あの魔神の有り方だ。そして、盲目的で絶対的で強制的な、その愛という頸木から逃れた者はいない。
だから、かもしれない。
小悪魔が、悲鳴以外の別の「鳴き声」を聞きたくなってしまうのは。
何でもいい。自分の意志で成した、悪徳の結果を求めてしまうのは。
――静かに、金髪を整える。
小悪魔の手付きが快かったのだろう。リリーブラックは眠ったままだ。微かに上下する胸と、途切れる事が無い呼吸。髪を梳く小悪魔の前には、白く綺麗な首筋が覗き、今すぐにでも斬って殺す事が容易い格好だった。
――ええ、そうですね。
それ以上は考えなかった。
ただ淡々と、櫛に絡まった僅かな髪を抜き取る。
春告精を発見したのは、ただの偶然だ。まだ春も遠いこの時期に、何故、彼女が外に出ていたかは知らない。春以外に彼女が何処に居るのかも、謎のままだ。
ただ、彼女は此処に来ていた。大事な事は、それだ。
小悪魔は、静かに、只管に静かさを保って手を動かした。
「……先の話しだけど。小悪魔」
唐突に、再度、魔女が口を開いた。
「ええ。何でしょうか」
「春告精の髪には、当然のことながら春の気質が含まれているわ」
「でしょうね」
春の気質。あるいは春の欠片。
春雪異変――訪れる事が無い冬の異変は、いったいどれほどに前だったか。
「髪を梳く。……その理由は?」
魔女の問いかけに、小悪魔は口元だけを動かして微笑んだ。
ああ、この人はやっぱり抜け目がない。だから面白い人だと、思う。
「……教える必要が有りますか?」
「そうね。――必要ないわ」
そう、言う必要のない事だ。
この魔女は――自分の事を見抜いているのだから。
小悪魔は、悪魔だ。だから魔界神に逆らう事はしない。
小悪魔は、悪魔だ。だから、この愉快な契約者との約束を違える事はしない。
小悪魔は、悪魔だ。だから、己の境遇を嘆く事もしないし、文句も言わず、淡々と従い続ける。
小悪魔は、けれども今は“小”悪魔であって、過去の魔界の大悪魔ではないのだ。
――悪魔は神に祈らない。
いいや、祈っても何も変わらない。
ならば、自分で――思いと行動を刻むだけである。
「小悪魔。……今日は上がって良いわ。明日も宜しくね」
また、彼女が指示を出した。目を古書に向けたまま。けれども自分を心で視て。
「はい……。では、失礼します」
眠ったままのリリーを背負う。中々に背が高い。足を引きずらないように運ぶのは中々、骨が折れる。仕方がないから、腰と背中を抱いて、持ちあげた。
彼女を、自室まで運ぶ事にしよう。
春の妖精だ。きっと……そう。きっと、彼女は温かい。
行動に、意味は無い。
悪魔の行動は偽善でしかないのだろう。
だから――小悪魔の部屋の中に。
飼いならし、可愛がる夜雀が居るなんて事があっても。
寒さに震えて、自分に温もりを求めている事を知っていても。
……それはきっと、温かな春告精を迎えた事と、何も関係がないに、決まっているのだ。
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