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[蒼と茂る森の中に拵えられたお茶の席。
半透明の女と森の番人で、子供にとっては少し高い椅子に両足をぶらぶらさせてちょこりと座っている。]
ねぇ、その木苺のジャムとってくれる?
[暖かそうな湯気を上げる熊さんの絵のついたティーカップにジャムをたっぷり入れてスプーンでかき混ぜたり。焼き菓子にマーマーレードをぺたぺたぬったり格闘中]
― メーフィエの現れる前 ―
[す、とナプキンを片手に、口元を拭って。]
ここが貴方の夢なら。
次に見るときに、その声の主を夢見ればいい。
[グラスを片手に持ち、口元へ運びながら]
ここが『楽園』なら。
迷っているだろうその声の主の手を引いてあげればいい。
[少年に、味がわかるのか、わからないのか。
穏やかに笑ったまま、テーブルにグラスを戻し。]
もしかしたら。
貴方の記憶に、廃教会の亡霊と、遊んだ記憶ができるかも。
[冗談のように笑いながら]
楽しいゆめは、起きればとても悲しい。
稀に、ずっと眠っていたかったと思うくらい。
覚めれば、辛いばかりだというなら。
この夢を、思い出せば、いい。
クレーシャが楽園だと錯覚するくらい、優しい夢なのだから。
[背を、椅子に預ける。]
それから……
[再び、おなじ灰青の眸に向き合って]
………………ううん、何でもない。
[結局彼にかけようとした言葉は飲み込んで、
苦笑いにすら満たない表情に。
背を向けると、握られた銀の鎖が揺れる。
そのままホールの扉を静かに閉じた]
[目を開けば、少しずつ視界が蘇ってきた。
が、視界はどこか不明瞭で。
ここが新しい教会なのか、それとも古びた教会なのか。
自分の良く知る村はずれの教会か、それともあの不思議な教会なのか。
どちらも合っているような、違うような。そんなあやふやな認識]
(……あれ、私…?)
[言葉はやはり声にはならず。ただ、口を動かすのみ]
[誰かに呼ばれていた気がした。
だが、それが誰だったのか。
キョロキョロと辺りを見渡しながら、小さく首を傾げた**]
……此処は一体、何処なんだろう…。
[気付けば、また違う光に包まれていて。
青い光は未だ残っているが、果たしてその光は他からも見えるのだろうか。
人の気配はするが、こちらでも未だ声は出ないまま。
青い光の中に身を投じながら、ぼんやりと呟いた]
……メーフィエさん、どうしてるかなぁ。
私、どこに来ちゃったんだろう…?
クレーシャさんに、その気がなくても。
[くすくす笑う聲が途絶え]
ひとりぼっちのレイスを、助けてくれたのは
紛れもなく、クレーシャさんなんです、よ?
[今、なのか。先、なのか。レイスにも、解らないまま。]
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