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香屋月子は、村人 を希望しました。
<都内>
[机に向かい、プリントに書いてある文語調の文章の横に、その現代語訳を書いてゆく。]
−昔々、竹取の翁という人がいました。−
[小さなころから何度も何度も。物心ついてすぐのころは父に、母に読んでもらい、字が読めるようになってからは自分で読み始めた、日本最古の物語。]
−野や山に分け入って竹を取り竹を取りしては、いろいろな物を作るのに使っていました。−
[止まることなく、すらすらとペンが動く。つい絵本のように、少し脚色した表現をしそうになるが、そこは抑えて本文に忠実に。]
…まあ、いっか。
[予習範囲は、5人の貴族たちが結婚を申し込み、かぐや姫が無茶苦茶な試練を課すところまででよいのだが、気にせず続ける。]
たぶん、明日私当てられまくるだろうし。
[よくいたずらっぽい笑みを浮かべ、生徒をからかう古文教師の顔を思い出す。
名前をいじられることは、不快どころか、むしろ自分の名前が人に触れてもらえるということで、うれしいことなのだが、]
『やめてあげてよ!月ちゃんがかわいそう!』
[抗議の声をあげる友達の顔を思い出し、少し憂鬱になる。]
悪気ないのはわかってるんだけどね…
『「香屋 月子」という、オマージュ作品のキャラクターのような名前をからかわれることは、本人は平気な顔をしているが、嫌に決まっている。
なのに月ちゃんは優しいから抗議できない。
だから代わりに私たちが怒ってあげる。』
[彼女たちの純粋な善意と、そして、「弱い友達を助けてあげよう」というヒーロイズムが透けてきて、それこそが最も居心地悪い。]
…悪気ないからこそ、なのかな…
[一人語ちながらも、ペンは止まらない。]
[口語訳はクライマックスへ。かぐや姫の課した条件をクリアできなかった貴族たちは、財産を失いすごすごと引き上げてき、その後、噂を聞きつけた帝が娶りにきて、]
…?
[ふと、引っかかりを覚えてペンを止め、読み返す。]
[かぐや姫の美しい容姿に惹かれ、求婚した貴族たち、無理やり連れ帰ろうとした帝。]
ああ…
[合点が行った。]
帝は、もしかぐや姫が月に帰らなくて、ずっと一緒にいることになっても、いつまでもかぐや姫のことを大事にできるのかな…
[歳を取り、その美貌が崩れても。]
[何故そんなことを今更考えたのか。思考の流れが我ながら単純すぎて、思わず苦笑した。]
いきなりそんなこと言われても、ね…
[ぽつり。つぶやいて、三日月のストラップのついた携帯電話を見た。
つい先ほど、自分を動揺させるには十分なメールを表示した携帯電話を。**]
5人目、上総帝。
上総帝は、求婚者 を希望しました。
<都内某所>
[いかにも不機嫌と言った仏頂面で、どこかへ向かってのしのしと歩く青年が一人。]
……
…………
[手には妹が作ったケーキの入った箱を持っており、機嫌の悪さで荒々しくなった歩調と言えども中身を崩さないよう注意は怠らなかった。]
……あいつは何してんのかね。
[ぼそりと呟いた言葉は誰にも届かず。一瞬脳裏を過ぎった嫌な想像を振り払うように歩く速度を速めた。
目的地は、彼女の家。]
[そろそろ彼女の家も近くなった頃だろうか。帝は一度立ち止まり、ポケットから携帯電話を取り出すとメールを打ち始めた。]
『To:月子
Sub:家にいるか?
――――――――――
市のやつがケーキを作り過ぎたらしくてな…お裾分けしに向かってんだが、今家にいるか?
いるなら鍵開けてくれ、後3(5)分くらいで着くと思うからよ。』
……よし。
[文面を作成し、宛先と文章に不機嫌さが滲み出ていない事を確認すると送信ボタンを押す。
送信完了の画面が表示されたのを見て、携帯電話をポケットへ突っ込むと再び歩き出した。]**
[シンデレラ、白雪姫、眠り姫、竹取物語、瓜子姫…
物語のお姫様は、決まって類まれない容姿の持ち主。
権力者たちは、一目ぼれをして求婚をする。
物語の結末はいつも、「そして素敵な王子様と結婚して、末永く幸せに暮らしました。」
けど、おもう。]
ほんとうに、一生愛してもらえたのかな…年を取って、美しさが損なわれても、きちんと大事にしてもらえたのかな…
[先ほど来たメールの内容を思い出す。]
―月ちゃんへ。―
[所属している部活動の先輩からのメール。
そこには、一緒に活動をしていて、やさしさ、ひたむきに練習する姿にどんどん惹かれていったという旨が書かれていた。
が、]
…ねえ、一番大きいのはそっちでしょう?
[どんなに言葉を尽くして内面を褒められても、わかってしまう。]
私よりも一生懸命練習してる人、たくさんいるし、私よりも優しい人も、いくらでもいる。けど、その中から私を選んだのは
♪fly me to the moon and let me sing among those stars〜♪
[注視していた携帯電話が歌い始め、びくりと肩を震わせる。]
…おかあさん?
[細かな鳴り分け設定の中で、この曲が流れるカテゴリーは、]
…あ。帝君だった。
『To:月子
Sub:家にいるか?
――――――――――
市のやつがケーキを作り過ぎたらしくてな…お裾分けしに向かってんだが、今家にいるか?
いるなら鍵開けてくれ、後3分くらいで着くと思うからよ。』
市ちゃんのケーキかぁ。
[ふんわりとした、マシュマロのような雰囲気の彼女を思い浮かべながら、リビングに走ってゆき、インターフォンからつながっているモニターをいじって、マンションのエントランスのドアを開けた。]
『To:上総先輩
Sub:いるよー。
―――――――――
わあ。市ちゃんのケーキかぁ。楽しみ。
今日親二人ともいないから、こっちは午後ティーくらいしか出せないかも。ごめんね。』
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