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[ケルベロスを手に入れたのは、遥か昔、既に80年…90年近く前。
当時既に船体に書かれていた「N」の文字は掠れ消えかけていた。
初めて出遭った時、既視感と共に、
「こんな風ではない」ものだったように思われた。
だが、「こんな風であること」が良いようにも感じられた。
其れは、とても不思議な話だった。]
(以前のミハイルの子孫は話が早かった。
だが、此度の子孫は如何かね。)
[右目のモノクルを外し、両肘を椅子の肘掛に置く。
両手は緩く、身体の正面で組み合わされた。
薄闇の中、双眸が紫色の光をアーモンド型に2つ放つ。
何れにせよ、子孫の中で、発狂者に等しい科学者ミハイル程の才能を持つ者は、存在しない。]
――旅館地下6.547kmの一室――
[長い成年期が続くエイリアンだからこその、子孫達との邂逅。
以前出遭ったミハイルの子孫は、
+表+ミハイルの子だった。/孫だった。
此度出遭うミハイルの子孫は、その更に孫にあたろう。]
サービスしちゃったら、お客さんにならないもん。
だから、買う。
蜜柑茶碗。
[持っていた巾着をごそごそ。
手渡したには、とても小さな*08柴犬*の金貨。]
足りる?
――旅館地下6.547km ry――
さて、わざわざこんな機会を作ったのは他でもない。
―――造船者である科学者ミハイルは、
ケルベロスの機体性能を本来のものより抑えている。
その解除コードを知りたい。
何、そんなに睨むな。
俺がミハイルを生体コンピュータにした事を怒っているのか?ん?
仕方あるまい。
それが当時俺が行い得れた事であり、+表+
ミハイルの望んだ事だ。/有益に利用している。
コーラ牛乳。くれ
[しかし温泉自動販売機は沈黙している。
ただの品切れのようだ。
~10:大人気すぎて品薄 11~100:不人気過ぎて品薄 23]
……………ねー、だとォ?
調子こいてんじゃ
[ぐ:自販機を殴った ち:売店まで買いに行くか ぱ:じゃあコーヒー牛乳でもいいよ +グー+]
――旅館地下ry――
解除コードは、ミハイルの裡にはない。
後代の子孫の+パー+精神/魂/次元閾値野 情報を設定しているのだよ。
―――ハ、俺も驚いた。
まさか、未来の事を完全予測しているとは、――な。
ヒューマンの計算による未来予測者はほぼ皆無。
ミハイルの才に驚かざるを得んよ。
[心から笑っている語りかけではない。
冷酷さが滲む、静かな語りかけだ。]
(……こんなところであんたと会うとはね、か。)
[男にかけた言葉が脳裏を過ぎる。
奴と今この時再会したのはあくまで偶然。しかしコダマは奴がいずれここを訪れるであろうことを予期していた。
――だからこそ、早めに手を打つつもりで、治りかけていない風邪を引きずって、ここを。
ケルベロス艇製作者の子孫がどっかに隠れ住んでるらしいとの情報があるこの星を訪ねたのだった。
まあ本調査の前の下見みたいなものである。
温泉につかってのんびりしつつ幻のお土産も探しつつ、運良く「ケルベロス艇の謎」に繋がる情報を得られたらいいなー、と、かるーい気持ちでいたのだったが]
あいつがここにいる……これってある意味チャンスじゃんか。
+表+(表:そうと決まればさっそく! 裏:でものんびりしたーい)
――旅館地下ry――
解除コードは、ミハイルの裡にはない。
後代の子孫の+グー+精神/魂/閾値 情報を設定しているのだよ。
―――ハ、俺も驚いた。
まさか、未来の事を完全予測しているとは、――な。
ヒューマンの計算による未来予測者はほぼ皆無。
ミハイルの才に驚かざるを得んよ。
[心から笑っている語りかけではない。
冷酷さが滲む、静かな語りかけだ。]
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