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ゾンネに勝てていたとしても……どの道もう長くなかった。
死ぬ、か……またあの感覚を味わう事になるとはな……。
ああ、なんだか疲れた……やっとゆっくり休める……。
もう……目覚めて、くれるなよ……俺の……身体……。
[口端から一筋血の線が溢れ、すぐに雨に消えた。
血の筋が消えると、ゆっくりと瞼を閉じて、そのまま二度と目が覚めることはなかった**]
/*
実は宗太郎を殺したNEXTはナタリアの父親で、ナタリアの父親も妻が目の前でNEXTに殺されて激昂して暴れてたとか、そんな事を色々考えていたけどどうでもいい設定だった。
─ 喫茶店『ヒバシラ』跡地 ─
[降り続ける雨が冷たい。
焔の色の髪は濡れて力なく。
感じる冷えが、そろそろ戻らないと、と危険信号を発していたが、その場を離れる事ができずにいた]
……どこにも、それらしいものは見えない……って、事は。
[瓦礫の山のどこにも、先に相対していた姿は見つけられなかった。
それが何を意味するのか。
考えられる可能性は限られる、けれど]
…………。
[無言で、ポケットに手を突っ込み、中に入っているものを握って、離し。
それから、水滴を払い落とすようにぶん、と首を横に振って、空を見上げた]
……まだ、わかんねーし。
諦めて、たまるかよ。
[ぽつり、と零れるのは、小さな決意。
一度は諦めて、それで後悔したから。
二度、同じ事をする気はなく]
…………。
[改めて、ぐるり、周囲を見回して歩き出す。
都庁で、そして別の場所で起きた事を知るのは、もう少しだけ、先になりそうだった。**++]
[都職員は、どれだけが満足に生きていただろう。
生存者を探し、外へ誘導するのはついこの間の第9ビルの爆破に強く重なる。
止まぬ爆破の炎に、つく息が重くなる。
電波系統も芳しくないのか、通信はノイズが強くなったあと、暫く前から途絶えている。
宮古が電磁パルスで電子機器を落としたから、とは知らぬまま、しかし出来ることを、と残したヴィクトーリアの言葉守り動き続ける。]
[瞬間。規模はさほどでもないが、聞こえた場所は――司令室。]
――――faceless《カオナシ》!
[跳べる、といった彼を反射的に呼ぶ。
誰よりも早く中へ向かえるのは彼だ。望みを、託す*+*+]
―司令室内部―
[――カキリ。
歯車の音。空間が裂かれ、
爆風の余波残る部屋へと白い異形は現れる。
壁に床に天井に、出来の悪い落書きのように
赤い飛沫が散っていた。]
《ミヤコさん!!》
[叫ぶ。椅子に座ったままの《東風》、
黒服の上に倒れ付した宮古。
もうシンドバットの姿はない。]
[気を失ったらしき宮古の体を横抱きに抱え上げる。
自分がしっかり触れてさえ居れば
共に跳躍しても危険ではないだろう。]
《――、…?》
[そこで、違和感に気づく。
爆発したのは、ただひとり。
あれほどに自ら進んで爆発していた黒服が
爆発することなく、在る。
先ほど大きなノイズが起こり、
通信機器が乱れた。
これが]
《これが “策”…?》
[腕の中の宮古へ視線を落とすが、彼は意識を失ったまま。]
[次に現れたのはフロウディアの前。
小さく息を詰める。
自分以外の誰かの分まで
座標を違わず“跳躍”させるのは
まだ慣れぬせいもあり負担が掛かるようだ、と
再度自らの身をもって確認する。]
《――シンドバッドはもう居なかった》
[事実を告げる。]
《だが 黒服は爆発していなかった。》
《――ミヤコさんの謂っていた“策”は、成ったのだと、思う》
《ミヤコさんを病院へ》
[フロウディアへ確認する。
できる限り、宮古に衝撃を与えぬように
しっかりと抱えたまま
可能な限り早く下にたどり着くために
再び“跳躍”した。
黒服の生き残りが在ったとしても
もう、シンドバットが直接認識できない限りは
爆発しないのであろう。]
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