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ゾンネ ユーベルスはシャッテンに投票を委任しています。
ナジーム ラシュディはシャッテンに投票を委任しています。
雷 宗太郎はシャッテンに投票を委任しています。
守川 篝はシャッテンに投票を委任しています。
ヴィクトーリア・フォン・リントブルムはシャッテンに投票を委任しています。
風薙 緋焔はシャッテンに投票を委任しています。
紅金の ロージアはシャッテンに投票を委任しています。
宮古護はシャッテンに投票を委任しています。
サフォア ツキシロはシャッテンに投票を委任しています。
高嶺 耀はシャッテンに投票を委任しています。
真田 玄斎はシャッテンに投票を委任しようとしましたが、解決不能でした。
ブライアンはシャッテンに投票を委任しています。
ゾンネ ユーベルス は 真田 玄斎 に投票した。
ナジーム ラシュディ は 真田 玄斎 に投票した。
雷 宗太郎 は 真田 玄斎 に投票した。
守川 篝 は 真田 玄斎 に投票した。
ヴィクトーリア・フォン・リントブルム は 真田 玄斎 に投票した。
風薙 緋焔 は 真田 玄斎 に投票した。
紅金の ロージア は 真田 玄斎 に投票した。
宮古護 は 真田 玄斎 に投票した。
サフォア ツキシロ は 真田 玄斎 に投票した。
高嶺 耀 は 真田 玄斎 に投票した。
シャッテン は 真田 玄斎 に投票した。
真田 玄斎 は シャッテン に投票した。(ランダム投票)
ブライアン は 真田 玄斎 に投票した。
シャッテン に 1人が投票した。
真田 玄斎 に 12人が投票した。
真田 玄斎 は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、高嶺 耀 が無残な姿で発見された。
Groom Huntress は立ち去りました。
真田丸 は立ち去りました。
現在の生存者は、ゾンネ ユーベルス、ナジーム ラシュディ、雷 宗太郎、守川 篝、ヴィクトーリア・フォン・リントブルム、風薙 緋焔、紅金の ロージア、宮古護、サフォア ツキシロ、シャッテン、ブライアン の 11 名。
投票を委任します。
守川 篝は、シャッテン に投票を委任しました。
現状の動きまとめ。
ゾンネ:ナジームと新党結成へ。大統領化フラグ。後やっぱりゾンビと読み間違える。
ナジーム:ゾンネと新党結成へ。副大統領フラグ。ゾンビに匹敵する空目がほしいところ。
ブライアン:悪側なのにカッコイイ。最後は記憶を取り戻したブライアンvsラスボスとかすごく燃える。
ツキシロ:己の答は見つかるか。理想を掴む為に彼は戦う。
雷:雷って書くとニックネームみたいだ。NEXTはしぬべき。
ヴィクトリア:正統派のお嬢様。今のところ成長は微々。
ロージア:オールフォーワン。ワンフォーオール。に目覚めかけてる。
緋焔:姉の事とか自分のなすべきこととか。過去に決着をつけて前へ。
宮古:正義側の司令塔。外出は少ない。
*きみたちは はかいし の なかに いる*
というわけで墓下です。
ここでのルールは
*中身を出さないこと*
それ以外はありません。
自由に雑談したりふざけたりして遊んでください。
あ、もちろん上で遣り残したことを軽くRPでやってみたりもOKです。
シャッテンは、宮古護 を能力(襲う)の対象に選びました。
/*
雷はキャラ体調不良フラグがあったが、が
み、宮古さんだと…!
おどろきすぎt(一位投票だった)
あれか 同票であみだくじとか…か!おれとかと。
※死ぬ覚悟は完了済みだっt
―夜:高級マンション屋上―
《―――ッ!》
[おちていく、蜘蛛のかたち。
空との境界に踏み留まり、
白の異形は蜘蛛の溶けていく
夜の底へ手を伸ばし―――結局は宙を掻く。]
《――――、…、延栄満…?》
[それが鍵だ、と。
あの異形は言い残した。
facelessは考え込むようにその場に佇む。
―――屋上へと続く扉が
開くのには暫し、気づかずに]
―― 夜/街路 ――
[夜になると、停電が一時的に復旧した地域と、そうでない地域が浮き彫りになった。闇に好んで侵入する者は在らず、光に寄り添うようにして一日の終わりを過ごしている者が大半。
人工の光ではない、NEXT達の衝突による火花が夜を照らした事は、メイドにはまだ知りえない事。]
今日はこの辺りにしておきましょうか。
[大通りから小さな路地へ。路地からまた大筋へ。
メイドは闇から闇へと渡り歩きながら、不幸にもそこを出歩いていた人々に詰問を開始した。――詰問とは名ばかりの、殺戮であったが。
メイド服についた血は、新しいものから古いものまで。
闇に、赤い華が揺れていた。]
?
[メイドは首を傾げる。]
この道、見覚えがあります。
確か……。
[街頭が落ちている為に判然としなかったが、そう、あれは診療所から外の世界へと帰ってきて、始めの頃に――。]
―― 夜/喫茶『月の猫』 ――
[からんころん。
赤い液体が粘つく夜に、涼やかな音が鳴る。]
ごめんくださいませ。
[喫茶へ現れたメイドの頬には、赤い斑点。
履物はなし。――この昨今、数少なくなった余暇を楽しむ来客達は、彼女の正体に思い当たった順に逃げ出した。]
?
[首を傾げるメイドに、見つめる視線が一つ。
この喫茶店のマスターだ。]
あの……、
え、
[メイドが話しかけようとすると、ユキエはマイペースに接客を始めた。以前に来た時と、彼女の態度は変わったように見えない。
それどころか、新しいネコアイスが出来たのさ――と、前とは顔の違う猫、もといネコアイスを持ってきた。
ユキエの足元で、本物の猫が体を擦り付けている。]
[メイドは訳が分からない内にカウンター席へ座らされてしまった。ユキエはのんびりと、靴はどうしたんだいとか、頬を怪我しているよとか、最近は物騒だねえとか、ウチの猫はかわいいだろう――とか、他愛も無いことを話しかけてくる。]
は、はあ……。
[メイドは、気おされつつも一つ一つに相槌を打ってゆく。]
[話している間に、ネコアイスを食べ終わってしまった。
メイドが空になった器を眺めていると、ユキエがもう一杯どうだい、なんて言ってきた。]
これ以上猫を傷つけるわけには参りません。
[大真面目に首を横に振るメイドがおかしかったのか、別の要因か、ユキエはわらっていた。]
[――やがて、メイドは歩き回った疲れからか、うとうととし始めた。ここ最近――ずっと――感じなかった、安堵による眠気。]
……ごしゅじんさま……
[メイドは寝言めいたことを呟きながら、カウンターに突っ伏した。
緩やかな吐息。
ユキエは、そっとカーディガンを背にかけた。**]
シャッテンは、雷 宗太郎 を投票先に選びました。
投票を委任します。
紅金の ロージアは、シャッテン に投票を委任しました。
――高級マンション屋上――
ちょっと、待ってってば!
[屋上へ続く扉は開けられて、ヴィクトーリアを追うようにまろび出る。
慌てて周囲を見回しても、蜘蛛のNEXTは見当たらない。]
あ、の……すみません。
あの蜘蛛は……?
[動向が気になって、遠慮がちに白のNEXTに問うた。
目の前で消えられた経験があるだけに、あれの難しさはよくわかる。]
《――、…》
[顔のないNEXTは、
見覚えのある小柄な少女の方へ一度顔を向け
それから問いかけに答えた]
《――落ちた。もう見えない。》
[性別不詳の“声”が語り
遥か下、目眩のするほど遠い地上を見下ろす]
――そう。
また逃がしたか……
[そう呟く声すらも飲み込むような高さだった。
同じように見下ろした先、暗い夜闇は少しだけ足が竦む。]
お邪魔して、ごめんなさい。
あたしたち、ああいうのとか見過ごせなくて。
−マンション屋上−
[エレベータが上昇する間、ロージアが協力を仰ぐ難しさを諭してくれた。>>3:550]
はい、難しいかもしれません。それでも言ってみるだけ言ってみる。
...、ごめんね。いつも飛び出してばかりで。
[いつも後先考えず飛び出す彼女を後ろから見守ってくれたり、手を差し伸べてくれるロージアに感謝した。]
[エレベーターが屋上に到着し、外への鉄扉を開いた時、屋上には、白のNEXT一人しかいなかった。
蜘蛛のNEXTは、とロージアが聞いたところ、落ちたと返答がきた。]
あ、あの...、あなた商店街で会った人よね。
そう、怪我した子供を助けるために、瞬間移動を使ったNEXT。
私は、ヴィクトーリア・フォン・リントブルム。
この度、NEXT・ブースト装着者で結成した治安チームHOPEの一人。
あなたの能力がほしいのです、力を貸してくれませんか?
[白いNEXTをじっと見つめる**]
《――聞かせて欲しい。》
《それが おれの願いと向きを同じくするのであれば。……力を貸すも 吝かでは、ない》
[――例えば、まず。
あのナジームを打つための手段を持ちたい。
利用し利用されるのもこの際、致し方ないかもしれないとも思いながら。まだ、カオナシはカオナシの まま]
/*
思ったんだけどさ
せっかくだから誰か
背中に翼生やすといいよ!
wwwwwwwwwwwwwww
それにしたってHOPEのリーダー落ちだと!?
どうしてこうなっっt
あたしはロージア。"紅金"のロージア。
[名乗る女は紅眼金髪。由来は自ずと知れるだろうか。]
あなたが必要かどうかはひとまず置いておいて、あたしも《HOPE》の人間よ。
向かう先は――どうかしら。
あたし個人の望みなら、『人間になること』なんだけど。
共存も、排除も必要ない。
あたしの望みは対等になること。
地下鉄で隣に座ったおじさんの出自や過去をいちいち気にする?
あたしはNEXTってだけでそれを気にされた。腫れ物に触るような扱いをされてきた。
そういうの馬鹿馬鹿しくない?
だからあたしはゾンネは間違ってると思うし、NEXTであることを笠に着るようなやつは大嫌い。
[喋るだけ喋って、にこ、と笑う。彼が僅かでもこれに共感してくれればいいと思う。
そうでなければこのNEXTとやっていくのは難しい気がしていた。]
《…―― …》
[ロージアが語るのを、黙って聞く。
闇夜にわずかに照る光が
彼女の金の髪を縁った。
月あかり、星影。
ひとつ、強い風が吹く。
faceless《カオナシ》は、頷いたようだった。]
《……おれが望むのは
NEXTも ひとも ともに生きること》
《皆が皆、きっと違う思いを持っている。
――“HOPE”も 一枚岩では ないとしても》
《――その言葉には 同意できる所が 多い》
私の願いは人とNEXTの共存。
そもそも、どちらも人間の子。手を取り合って生きていけるはず。
HOPEはその為に出来上がったの。でも、私達には機動力が足りない。
あなたの欲しい情報はたぶん提供できるはず。
あなたも一緒に戦ってほしいの。
[少しずつ近づき、嫌がらなければ手を取ろうとするだろう。**]
投票を委任します。
ヴィクトーリア・フォン・リントブルムは、シャッテン に投票を委任しました。
[光が極淡く爆ぜる。
その後には白い異形は消え、
強い風に髪をなびかせたひとりの青年が立っていた。
金に近い色の眼でふたりを見据える。
他人の目の前で変身を解いたのは
いつぶりだったか、もう覚えていない。]
…――、
対策本部を率いているリーダーの話が聞きたい。
[手をとろうとされれば振りほどくことはないが。
この2人だけで見極めきれるかは分からない、と
そう思ったのだ。]
話したいこともある。
[蜘蛛のNEXTが告げた「鍵」について。
それから、ふと気づいたように。]
……――おれはサフォア・ツキシロ。
[名乗る。やはり、愛想は欠けていた。]
[ならば都庁へ向かおうと
やや急いたようにヴィクトーリアは言うだろう。
下に風薙も待たせていると聞こえれば、
ツキシロは1つ瞬いた。]
そうか、…かれもいるのか。
[どんな顔をするだろう。
不安は、少なくなかった。]
―― 一度戻る。都庁にはそれから向かうから。
[HOPEの面々にそう告げると、ツキシロは
ためらいなくマンションの屋上から地上へ、身を躍らせた。]
―新小久保/韓国料理「ハルモニ」―
延さん、何事もなかったか。
[テーブルには4人が座っている。ひとりはナジーム。
吊り目、えらの張った顔―延栄満であろう。
残りは件の議員で、ひどく怯えきっている。]
豚どもが、「我ら」への包囲網を強めている。
貴様らは我が目的成就のための重要な仲間だ。
何を聞かれても、知らぬ存ぜぬで通してくれ。
[延栄満はニヤニヤ顔で頷く。]
―……日本人は貴様らには強く出れないからな。
―街中/喫茶店へ―
[とん と つま先が地面につくかつかないか。
白い異形は再び歯車を逆回す。
ツキシロの姿へと変わり、
スローモーションから
一気に速度を上げて地に降りる。]
…―――、…
[夜に血の匂いが籠っていた。
裏道から、通用口を通って――]
……、…
[し、と幸恵が人差し指を
唇の前で立ててからカウンターを指し示す。]
…、ぁ。
[花が咲いている。
メイドが眠っていた。
ツキシロは、頷いてそっと中へと入る。]
―― 喫茶『月の猫』 ――
[メイドは、ゆっくりと肩を上下させている。
己の主人が帰ってきた事にも、まだ気付いていないようだ。深い眠りは時折の身じろぎをも緩やかに、せ、表情にはいつものものではない――本来の彼女の笑みが、顕れかけていた。
頬にはネコアイスのアイスと、元々張り付いていた血が混ざり合い、少しずつ血の気配を薄れさせている。
メイド服や、掌についた血は相変わらずだったが――]
……ん
[メイドは、時折寝言を呟いているようだ。
笑顔が一転、苦しそうなものに変わり――。]
………あかねぇ
それわたしの……だぞぉ……
[えへら。]
……。あかね?
[なんだか、幸せそうな笑顔だった。
あの、メイドだから、と言いながら
浮かべていた笑顔とは違う。
「疲れてたのかしらねえ。
ゆっくりさせてあげましょうか」
幸恵は、マイペースだった。]
[他の客は去ってしまったようで
ゆるやかな音楽が流れるばかり。
なあぅ、と猫が鳴く。
寝顔は穏やかなばかりで
やはり戸惑ってしまう]
……。
[起きるまで待つことにした。
都庁に行くのは少し遅れるかもしれない。]
…ユキエさん、…女の人が履ける
靴、借りられないでしょうか。
[尋ねると、そうねえ、と幸恵は頷く。
彼女もこのメイドが裸足なのが気になっていたようだ。]
[これなんかどうかしら、と
少しくたびれた靴を探しだした幸恵に
ツキシロはぽつりと切りだす。]
…このあと都庁に行こうと思います。
――NEXTの、対策本部のほうへ。
……今日、言ったみたいな
…そういう、場所をひろげていくために、…
[――そう、と
幸恵は静かに頷いた。
やはり、気づいていたのだろう。]
[花は咲く。
種から芽へ。芽から蕾へ。蕾から花へ。
意識を閉じ、眠りに就いていたメイドは、瞼を開いた。]
…………。
[眠そうな表情が、輪をかけてぼーっとしている。
自らを見上げる猫をじーっと見つめて、それから。
視線は見守っていた片方、ツキシロの方へ。]
エンくん……?
[呟く。
呟きから数秒、ツキシロを見つめ――メイドは首を傾げた。
寝ぼけているようだ。]
投票を委任します。
風薙 緋焔は、シャッテン に投票を委任しました。
…………
[メイドは、視線を移ろわせる。
ツキシロ、ユキエ、猫、天井、床、壁、窓――。
最後には再び舞い戻り、ツキシロを見た。
背筋を正し、頭の花に軽く触れる。]
……っ
申し訳ございません。
メイドたるものがご主人様の前で眠りに就くなど。
大変なご無礼を。
[メイドは慌てて席を立ち、地面に膝をついて
額がつきそうになるくらいに頭を下げる。]
も、申し訳ございません。
どのようなお仕置きもお受け致しますので
どうか茜や緋焔を"処理"に連れてくることだけは……!
[床に擦り付けられた花弁が、一枚散った。]
――はっ、…?
[突然のことに、面食らった。
眼を丸くする。]
や、別に気になんかしてな……
[メイドは、必死だった。
聞いていない。
ただただ、頭を下げている]
ヒエン…?処理、…?
なんの、話……
[知った響きを聞いた。
不穏な響きを聞いた。
散る花びら、見ていられず手を伸ばして]
なにも、しないから!
[触れられるなら、肩に。
呼び起こすように揺らして]
……しないから、…
顔をあげろ、って…。
お前、どうしてそんな……
[突然の事に、猫が椅子から飛び降りてしまった。
物陰からじっと此方を見つめている。
揺らされる肩。びくりと体が跳ねた。
微かにメイドは震えている。]
あ、ありがとうございます。
お許しいただいて光栄です……。
[差し伸べられた手。
メイドは顔を上げ、彼の掌を見て――漸く
肩に起こっていた震えを、ゆっくりと解してゆく。]
………あ。
[何かに気付いたように、眠そうな目を少しだけ開く。
伸ばされた手を、つん、と指でついてみて
それから、腕から肩へ、肩から首へ、首から顔へ。]
サフォア様。
で、ございましたか。
[メイドは――いつものように、笑う。]
申し訳ございません。
少々取り乱してしまったようです。
─ 高級マンション前 ─
[二人に続かなかったのは、一応、周囲を警戒するためで。
けれど、視線は遥か上の対峙を見続け、そして]
……落ち、た……っ!?
[白が踏み込む。蜘蛛が傾ぐ。
いつか対峙した時のように、闇の内へと。
嗤う声は、響いたのか、否か。
それは、この場所からはわからない]
……っ。
あ、ああ、大丈夫、です。
[しばし、その場にぼう、と立ち尽くす。
我に返らせたのは、車輌の運転手の呼びかけ。
先に行った二人はまだ戻らない。
ふる、と頭を一度振ると、一先ず、宮古の元へと連絡を入れる。
診療所でロージアを無事に発見した事と、その後の行動と。
NEXT同士の対峙と、その顛末まで伝えて、それから]
で、二人は今、白い方のNEXTと接触するために上に行ってます……二人一緒だから、大丈夫だと思いますけど。
俺は念のため、周囲を警戒。合流してから、そちらに戻ります。
[いつもの口調で、そこまで言って。
けれど、通信をすぐには切らず、開くのは僅かな空白]
あー、えー、と。
……すいません、でした。
一人で、騒いで、取り乱して。
[ぽそ、とそう、付け加えて、それから。
ぷち、と。
そんな感じで通信を切った。**]
投票を委任します。
ナジーム ラシュディは、シャッテン に投票を委任しました。
[肩が震えていた。
思わず手に力が籠る。 ]
――――、…
[たどる指を、目で追った。]
……そうだ、サフォアだよ。
……少々じゃ、ないだろ。 お前。
[苦く、眉を寄せた]
―― 喫茶『月の猫』 ――
[眉を寄せるサフォアに、メイドは瞬く。]
?
[赤に塗れたメイドは、先程までの事を覚えていない、とでも言いたげに不思議そうな顔をしている。
サフォアへ手を伸ばそうとして――背に違和感を覚えた。
カーディガンだ。]
…………
[そっと、肩にかけられていたものを手で触る。]
[一通りカーディガンを撫でてから、サフォアを見つめた。
肩に添えられた手。彼の熱が伝わってくる。
冷えた体のメイドには、一点の篝火のようだ。]
嗚呼。
そのように、辛いお顔をさせてしまいまして
申し訳ございません。
[メイドは、そっと彼の頬に手を添える。]
何か、私にお手伝い出来る事はございませんか……?
…―――、
[表情がツキシロにとって
見覚えのあるものに戻る。
それは何故か、ひどく痛みを呼び起こすもので。
頬に添えられた手は、冷たかった。]
…―――、
……、謝るな。
――――…殺すな、もう。
[エプロンに染みた、赤を見て。
ヒエン。アカネ。片側には、聞き覚えがあって]
…………
?
[メイドは、首を傾げる。]
メイドは華の世話も仕事ならば、お掃除も仕事。
貴方様が生きる為ならば、私は――
[彼の声色が、とても沈んだものになる。
サフォアの言霊は、メイドの花に吸収されるには足りない。それでも、彼にそのような顔をさせてしまうことが、メイドには苦しいものだった。]
……サフォア様……?
[メイドのメイドたる所以を、彼は否定する。
根源がわからないメイドは、ただ己の主人の表情に、痛ましげな顔をする。そして、謝るなと言われたにも関わらず、呟くように、謝罪を繰り返すのだ。]
…、そうじゃ、なくて…っ
[綺麗な花は、
いびつに咲いている。
とどかない。]
…―――最初から、
メイドだったわけじゃ、ない、だろ?
……違う、だろう……―――
投票を委任します。
雷 宗太郎は、シャッテン に投票を委任しました。
えーっと、まず高嶺は高層ビルから落ちて行方不明。生死不明。当然重傷と思われる。
しかしここで疑問が浮かぶ。コンクリに叩き付けられて、なおかつ生死不明。これは遺体が残ってないためであるが、ではどういうことなのか。場所が海や川ならばともかく、ここは陸地である。……だよな?
その処理をするには、高嶺は自身で歩き去った、もしくは誰かに連れ去られたという形になる。僕が高嶺の生死を知らない以上、描写するならどちらでも取れるように書くしか無い。
ブライアンの性格上、とりあえず確認にはいくもんな。
…メイド、じゃなくて。
名前だって、あるんだろう?
[いびつな在りようが引っ掛かる。
殺戮しながら、少年を守ったアンバランスさ。
そんな彼女が口にした、
――アカネと、ヒエン。
ヒエンという名、そうありふれたものではなく。
思い当たる一人を、
糸口とするようにくちにする。]
カザナギ、ヒエン。
― 公園 ―
[HOPEの誘いを蹴り、バイクで走り出すも目のかすみを覚えてバイクを止める。
辿り着いたのはゾンネと問答をした公園、ゾンネが消し去ったビルの跡地では黒山の人だかりが出来ていて、ニュースキャスターが悪し様にゾンネを罵っている]
確かに、人間は勝手な生き物だ。
だが、人間の心を持つNEXTもそれは同じ。
人間のように犯罪を理性で抑えられない分、
NEXTという奴の方が性質が悪い。
[ベンチに座り、背を預けながら小さく呟く]
― 夜 ―
[六脚のNEXTが落ちる。夜の闇にその身を投げ出す。
対峙していたのは歯車を操る顔の無いNEXT。落とした相手へ伸ばした手が、むなしく空を切る。
―――遅れて到着し、見えたのはその瞬間だけだった]
………
[メイドは、ただ首を傾げる。
いつからメイドになったのか。思い出そうとする行為を、脳の深いところが許さない。だから、頬に添えていた手を、そっと自分の胸に添え直す。]
守川篝と申します。
名乗りが遅れました事、ご容赦くださいませ。
[己の主人に名乗る悦びを顕すように、メイドはほころぶ。
――ただ、その後に告げられた名前には、寸時、停止して、何度か瞬いた。]
風薙緋焔……。
[思い起こされるのはどちらか。思い起こすべきはどちらか。メイドは、メイドである事以外を許されない。]
ミスター・緋焔、ですか?
[何故此処でその名前が出るのだろうと、もう一つ瞬く。]
― 高級マンション・下 ―
[途中、見たことのある姿があった。
正義を担うNEXTやブーストたち。彼らもここを嗅ぎつけて来ていたらしい。
かまっている暇は無いと判断し、可能な限り見つからないよう移動した。静かに、速やかに。
その分だけ到着が遅れた。
地面にはおびただしい血痕が残っていた]
―夜/喫茶:月の猫―
――――、…
[浮かぶ、違和感。
それがなにゆえであるか等、ツキシロにはわからない。
ただ、眉を寄せて]
モリカワ、カガリ。…カガリ。
[確かめるように繰り返す。
誘拐事件の仔細までは覚えておらず思い当たらない。]
――――、…
知ってるのか。
カガリ。お前、ヒエンと謂っていた。処理には連れてくるな、って。
―――だから。
[だから。取っ掛かりになるのではないかと、そう。篝をまっすぐ見たまま。]
[変身を解いたのは精神的な理由だった。
ものを考えるのにあの姿はあまり適さない。能力行使に精神的な負担がかかるだけでなく、あのNEXT体は精神的な昂揚をもたらすのだ]
……遺体が無い?
[血臭のなかで周囲を見渡すが、六脚のNEXTはどこにも見当たらない。
しゃがみ込んで地面の血痕に手を伸ばす。新しい。まだ体温を残すかのように。
高嶺はここに落ちた。それは見ていた]
自分で移動したか……誰かに連れ去られたか。
─ 高級マンション・前 ─
[こちらに気づかれぬよう、抜けていった気配には気づく事はなかった。
視線を上げたなら、白の姿も既に見えず]
……どーなった、かな。
[そんな呟きをもらしながら、ここまでに得られた情報を整理していく。
主に、自分の──《TYPE-blade》の力がどう、生かせるか、という方向で]
ま、元々純戦闘用だって言ってたしなぁ……それ以外の細かい事になると、本気、分が悪りぃ……。
[勿論、だからこそできる事もあるのは、知っているけれど。
本音を吐けば、それはあまり振るいたくない力だった]
―― 喫茶『月の猫』 ――
[名を呼ばれると、メイドは頷く。]
篝とお呼びくださいませ。
[笑顔ではなく、いつもの眠そうな表情で告げる。]
処理……。
[篝と呼ばれたメイドは、瞬く。花を――頭を抑えるような仕草をして、首を横に振る。]
あのような事を
ご主人様がお知りになる必要はございません。
[まっすぐと見返し、メイドは告げる。
次に見せたのは――やはり笑顔で。]
ミスター・ひえんは私のともだちです。
お互いにともだちがいないので、ともだちになろうと申しましたら引き受けてくださいました。
独断で勝手な真似をして申し訳ございません。
[メイドは、また謝罪を繰り返す。
何度も――何度でも繰り返した言葉。
繰り返された言葉。]
……嗚呼。
私とした事が、随分な時間を休んでしまったようです。
[窓。時計。
メイドは、肩に添えられた手に手を重ね、そっと外して、エプロンの汚れを払い、立ち上がる。]
……どちらにしても、この出血では。
[残された血の量を見、呟く。声は暗い。
詳しく調べれば、もう少し情報も得られるかも知れない。しかしビルが月を隠し、闇は深かった。捜索しようにも先ほど見たNEXTたちのことを考えると、この辺りにもすぐに捜査の手が回るだろう。
屋上を見上げる。ここからの角度では、その上の景色は見えないが]
作戦は失敗……。
[ひどく苦い感情。それを噛み潰すように口にして、闇に紛れるように去る。
今は、それだけしかできない]
── 《HOPE》司令室 (夜) ──
[雷は情報協力しかできないと述べて出てゆく。]
雷さん、あなたはまっすぐな方だ。
けれど──、
殺害予告をしている以上、放置はできません。
雷宗太郎と彼の所属する事務所を監視対象に加えてください。
[警察に依頼を送っておく。]
現行犯以外では、連行する必要はありません。
逆に、雷さんがNEXT狩りに加担したという話が洩れれば、報復として、彼の親しい者を襲撃する輩が出るかもしれない。
監視と同時に、そのような犯行は必ず阻止してください。
[宮古は車椅子の高い背もたれによりかかって天井を仰いだ。]
投票を委任します。
宮古護は、シャッテン に投票を委任しました。
[左手首の銀色の環を見る。
時折り緋色の瞬くそれを手にした時の決意は、今までは揺らぐ事はなかった]
……色々と、忙しくなりそーだけど。
時間取れたら、道場、行ってきてぇなぁ……。
[祖父の営んでいた剣術道場には時折り、稽古のために訪れていた。
その看板をいずれ引き継げ、とは何度となく繰り返された言葉。
それを言い続けていた祖父はもう、いない。
主を失ったその場所は、今は師範と門下生が共同で管理してくれている。
未だ、手に取る事に躊躇いのある、祖父の『形見』も共々に]
都SF特012号 <東風>は、能力(去る)を実行することにしました。
―夜/喫茶店:月の猫―
――――ともだち
[だから、なのだろうか。
あんな風に必死で呼んだのは。]
……別に、
謝らなくて、いい。
[謝るとしたら、それではなくて。
そっと、冷たい手が手を外す。]
おい、…――
―― 喫茶『月の猫』 ――
[メイドは、カーディガンをユキエへと返し
扉の方へと歩いて行く。]
サフォア様が心配なさることはございません。
貴方様はこの世に必要な御方。
進む道を邪魔する華がいるならば、
私が摘んでおきましょう。
[メイドは笑う。ただわらう。
悪意もなく、善意もなく、それしか知らないと言いたげに。]
――それでは、暫し暇をいただきます。
ご静養くださいませ。サフォア様。
[慇懃に一礼をし、メイドは扉に手をかける。]
――高級マンション屋上――
[白のNEXTは共感できる、と返してくれた。
それは単純に、女の胸に好感を呼ぶ。]
あら、それは嬉しいわ。
あたしはこの想い一つで生きてきたから、素直に嬉しい。
まあ、難しいとは思うんだ。でも、そうじゃなきゃあたし、人間じゃなくなっちゃうから。
[自分に過去が存在しないこと、このNEXTには知るよしもないことだろうが。
苦笑して言ううち、ヴィクトーリアが進みでた。
白のNEXTは、夜闇に仄明るい光を散らして青年に姿を変える。]
共存、っていうのも、なんか違う言葉だとあたしは思うんだけどな。
まあ、そこはいいか。
一枚岩じゃないっていうか、さっきのはあたし個人の意見だし。
生まれたばっかにもほどがある組織だから、《HOPE》がこれからどうなるかって、まだちょっと不透明だけど。
その分我を通す余地はあるかもね。
たぶん、リーダーも会ってくれると思うよ。
よろしく、サフォア。
[ヴィクトーリアが手をとっていたなら、自分は手を取ることはしない。
笑んで、下にもう一人風薙というブーストもいることを伝えた。
目前の彼が瞬き、既知らしきを呟けば、話は早そうだと思ったが。
後から行く、と。青年は、止める間もなく宵闇に身を投げ落ちる。]
はぁ……
――行く?
[しろい瞬きが夜に消えたあと、行き場のない何かがため息になって零れる。
残ったヴィクトーリアに首を傾げ、ひとたび戻ろう、とマンション内へつながる鉄扉を指し示した++]
ブライアンが「時間を進める」を選択しました。
投票を委任します。
ブライアンは、シャッテン に投票を委任しました。
[白いNEXTは変身を解いた。そこに現れたのは、両耳に沢山のピアスをつけた細身の男性だった。]
あ、あの時の…。
[彼の手を両手で握り、軽く力を込めた。]
よろしくお願いします。
[その後、彼は目の前から消えた。]
[次いで、都立病院へ連絡を入れ、宮古は医師と技術的な話を進めた。]
例の爆破テロでは、蚊を媒介として人体を爆弾に変えるという現象が起きているようです。
現在のところ、確認されている起爆条件は、電磁波による遠隔操作と温度上昇です。
その二点に気をつけて施設運営を願います。
[行く?とロージアに促され]
はい、戻りましょう。風薙さんも心配されているでしょうし、都庁に戻って新しい情報を伝えたいですし。
それに…
[屋上の床に放置された繭を指差し]
サフォサさんが仰っていた鍵、あの人も何か情報を持っているんじゃないかしら?
[繭を引きずって、鉄の扉に向かう。
繭はベタベタしていて、動かす度に微かな呻きが聞こえた。++]
え、事件発生当時、子供たちが、耳の不調を訴えていた、と…
若年者にだけ聞こえるとなると──高周波でしょうか?
俗にいうモスキート音。
18歳のヴィクトーリアさんなら、聞こえるかもしれないな…
ああ、いえ、こっちの話です。
ただ、それは起爆条件とは別でしょうね。
音波による遠隔操作は、電磁波と違って非常に誤作動が多い。
距離もかなり制限されますし…
[<東風>も圧縮空気の振動 ── 一種の音波を使う技をもっているから、おおよその距離感は把握している。]
けれど、もし、ナジームの能力発動と同時にモスキート音が出ると仮定すれば、位置や距離の限定に役立つ情報となり得ます。
ありがとうございます。
[データベースに放り込んでおく。]
―喫茶店:月の猫―
[ただただ、わらう。
それはあまりにも透明な有り様だ]
…――っ、
おれのことは、いいから、
カガリ!
[届かない。歯噛みする。
篝の足元近く、
看板猫は見上げてにゃあと鳴く]
―― 喫茶『月の猫』 ――
[見上げた猫を、一撫でする。
猫は擽ったそうに目を細めた。]
――――
[名を呼ぶ声。
振り返った先には、主人と仰ぐ彼の姿。
欠けた花びらは外からの風に揺れた。]
[ユキエが、靴を差し出してくる。
メイドは、笑ってそれを受け取ろうとしたが、伸ばしかけた手を引っ込める。]
折角の履物です。
土に塗れるのは園芸者の運命ですが
それ以外に塗れるには相応しくありません。
[お心遣い感謝いたします、と一礼をした。
メイドは――それ以上振り返ることなく、店を出た。]
[ベタベタした繭を引きづりつつ、鉄の扉を開けてもらいエレベーターに乗り込む。
エレベーターは静かな音を立て、すーっと下へ降りて行く。]
あのね、ロージア。あなたがいない間に、都庁でHOPEの話を聞いていたの。
そこでね…、雷さんが『NEXTは存在が死すべき存在だ』と言ったの。
[>>3:282からの話をかいつまんで説明する。]
でもね…、あの人。私が駐輪場でシャッテンにやられそうだった時、助けてくれたの。泣いている時、私を慰めてくれた。
死すべき存在のNEXTをどうして助けたんだろう?
[分からないの…、と呟き、下を向く。]
……それ、連れてくの。
[引きずられる繭。中で何かが呻く。
まだ中身は無事なようだが、引きずっていくのは危険なのではないかと思ってしまう。]
まあ、いいか……
[考えるのを放棄して、下へ向かうエレベータを呼び出す。
乗り込めば行きと同じだけの時間をかけて、エレベータは地上に辿り着いた。]
はうはうはー、ごめん、ロージア。
うーん、会話のタイミングが難しいな。
とりあえず、脳内で10分程度反応なければ、こっちから会話していいのかなぁお思いつつ、結構このタイミングが難しい。
会話投稿前にリロって確認するけど、20秒保留の間に相手が投稿されていた場合、本当申し訳ない、およよ…。
では、故障したのと同型のペースメーカーで、障害の出る電磁波について検証を。
至急、カウンター波の周波数を突き止めてデータを送ってください。
それと、患者の体内に残った受信体の破壊も急ぎたいのですが…。
…NEXT能力が関与すると確実ではないものの、原理的には、電磁パルスを使って、人体に損傷を与えず、精密機器だけ破壊することができるはず──ですか。
ナジームに気づかれないうちに、それで都民を救済…というのは難しそうですね。
[日本の技術者は優秀だから、理屈がわかれば無効化装置も開発してくれるだろうが、事態は一刻を争うのだ。
ナジームと戦う現場には、やはり、電気と磁界を操る雷の力が欲しいと思った。]
NEXTは死すべき存在――
[告げられる言葉を耳に入れる。
その言葉に、何を返せばいいのかすら、わからない。
自分が死ぬべきだ、とは不思議と今まで考えたことがなかった。おそらくNEXTを全面で肯定してくれる所長と出会えていたからかもしれないが、今思えば幸いだったのかもしれない。
NEXTは死すべき。
その言葉が自分の全てを真っ向から否定してくるような気がして、続くヴィクトーリアの言葉は耳に入ってこなかった。
俯く姿は目に入っても、それに何か言葉を掛けることも出来ずに、ただ彼女を心ここにあらずとばかり虚ろな目線で見つめているだけ。]
─ 高級マンション ─
[我ながら、挙動が不審人物だよなぁ、と思ったので管理人にちゃんと立場を明かしておいて。
それでも、中には入らずエレベーターが下りてくるのを待っていた。
やがて、聞こえてくるのはリズミカルなチャイムの音]
お、戻ってきたか。
[暢気な口調で言いつつ、そちらを見て。
二人の他に目に入った白い物体に、え、と短く声を上げた]
…、私達が出来る事。
今はそれをやらなければならない。
でも、それが終われば平和に暮らせるのかしら?
雷さんの言葉は、私たちNEXTが一生抱え続ける悩みなのかもしれない。
[チン、と音がなり、エレベーターの扉が開く。
そこに風薙さんの姿が見えれば、屋上であった事を話して、都庁へ戻ることを提案するだろう。
繭は…、都庁に戻ってから何とかしよう。私が繭を切ろうとしたら、中身まで切りそうで…]
―― 廃ビル ――
[通行人へ質問する過程、人気の無い廃ビルを見かけた。
月の猫を出て、そこへ戻ってくると、やはり管理者の手が入っていたり、警備員がいる様子はない。]
診療所には帰れませんね……。
[知らないNEXTの侵入。言質からするに、何か目的があって来たのだろう。]
可能性は多岐に渡りますが――
[メイドは最悪を想定し、第三の拠点としてこの場所を選んだ。
硝子の散る階段を、上へ上へと昇る。]
[あれこれ手配をしていると、風薙から連絡が入った。]
ロージアさんも無事ですか。
それはよかった──
[回線の向うで、風薙が小さな空白を挟んで告げた謝罪の言葉。
そして、通信が切れる。]
…風薙さん、
[かける言葉を、今の宮古はもたなかった。
個人的な会話の代わりに、風薙の、そして《HOPE》メンバーの端末に情報を送っておく。]
『裸足のメイドに関する追加情報。
都内で、またペットについて質問するメイドが出現したという報告が届いています。
ここ数時間は活動していないようですが──
警戒、および対処優先度Aでお願いします。』
―喫茶;月の猫―
…――、…
[からん――とドアのベルが鳴り、扉は閉まる。]
……カガリ……
[幸恵は、きっと様々気づいているだろうに。
ただただ、この店に訪れるものには等しく接して。
「――心配ね あの子」
と、受け取られなかった靴を持ったまま、
小さく呟いたのだった。
ぐ、とツキシロは拳を握り締める。
どうすれば、届くのか。]
…… ユキエさん、…行ってきます。
―― 廃ビル/屋上 ――
[灯火の欠けた夜景。
風に花と髪を巻き上げられながら、街の全体像を改めて把握する。]
言動の不審。
手がかりは掴めませんでした。
このままでは、サフォア様に好意的な者まで摘んでしまう恐れがあります。
[どれだけ光が灯ろうとも、影が消え去る事はない。
メイドが繰る悪意の具現は、何処にとて生えるように――。
人の華も、あらゆる場で毒を撒く。]
――喫茶店襲撃に切り替えましょう。
ミスター・シャッテンから課せられた役割にも競合しておりますし……。
[メイドは、薄く笑んだ。]
[できることをやるほかない。
ナジームとはまた違う透明な悪意を、止めて。
サフォアは駆け出す。
影の濃い場所を選び、“跳ぶ”]
……って……ツキさん、だったの、あれっ!?
[戻ってきたヴィクトーリアから、上であった事を聞いて、最初に口をついたのはこんな一言。
何をどういえばいいか、一瞬、反応に困ったものの。
同時、爆破テロのあった夜、投げかけられた問いかけ──その意味が、少しだけわかったような気がした]
そっか……んじゃ、戻った方がいいだろうね。
ロージアさん、早目に休んだ方が良さそうだし。
んじゃ、二人は、車で先行って。
俺は念のため、別ルート巡回しながら戻るから。
[ちなみに、繭に関しては、以下略だった。
以前、同じ網に絡み疲れたときの事は、しっかり記憶に残っている]
はい、分かりました。では、後ほど都庁で。
[風薙さんは別ルートを巡回するとの事。
宮古さんから、メイドNEXTの情報が届いていたし、それも警戒してかしら?]
ええ、ロージアだけでなく、私も疲れました。
都庁に戻るまで、車で休ませていただきますね。
[繭の件は都庁の方に伝え、切開とその後のケアを手配しておき、車の中へ乗り込んだだろう。]
[別ルートを、と言った理由は言わずもがな、な部分もあるけれど。
他にも一つ二つ、理由はあった]
ん、じゃ、後でね。
……色々ありすぎたし、休める時にちゃんと休んで、二人とも。
[ロージアの方は特に疲労が深いようにも見えて、かける声は気遣うもの。
二人が車輌に乗り込むのを見届けると、愛車に跨り走り出す。
派手に立ち回ったわけでもないからそれほどでもないものの、やはり、走り回った疲労は感じていた]
とりあえず……公務員扱いになった途端、事故るのだけは、避けねーとなぁ……。
[窓の外に広がる景色。
暗く虫食いになっているのは、残された森か、電力の失われたままの区画か。
光は、見えた瞬間に届いているのだと、そんな事実を思う。]
―― 廃ビル/屋上 ――
[静謐冷めやらぬ世界で、物珍しい原動機の音が聞こえる。
荒廃したこの街でも、逃げる市民もいれば、逃げない市民もいる。]
…………
[メイドは、眠っているようで眠っていない街を眺め、首を傾げた。
視界の端に白い瞬きが見えた気がしたが、メイドは、笑顔で見送るだけだった。]
>>3:549
[ 放つ網はもはやフェイスレスを捕えられない。細かく転移を繰り返しながら迫ってくる。
飛来する歯車のひとつを、振り上げた脚で叩き落した――それが大きな隙を作った。]
――な
[ 気が付けば転移した白い異形が肉薄していた。
腕を振り、弾き飛ばそうとするが――間に合わない。
歯車を乗せた拳が人間部分の側頭部に炸裂し、脳震盪を起こした蟲は一瞬バランス制御を失ってたたらを踏んだ。
巨体が初めて自分の意志によることなく後退したのだ。
ぐらぐらと脳内に渦巻く眩暈を抑え、Groom Huntressはフェイスレスを睨み据えた。]
>>3:551>>3:552
[ ――ギィン!!
フェイスレスの歯車とGroom Huntressの甲殻がぶつかり合い、火花が散る。
糸の残量が殆ど無いHuntressの、網を生成するスピードが明らかに落ちた。
間合いを開けるために放つそれも、フェイスレスの転移スピードを落とすには至らない。
転移地点を先読みして潰し、接近を防ぐ為の網罠を張るだけの余裕はとうに無かった。
蟲は高速で屋上の端まで後退したが、フェイスレスの接近速度はそれ以上だった。
白い弾丸のように懐に飛び込んできたそれは、回転鋸のような歯車を巨きな歯車を備えていた。]
――死すべき存在に出来ることって、何?
[問いかける言葉は不安定に震える。
しかしそれを最後に、風薙を見れば何事もなかったように上でのことをヴィクトーリアと二人話すのだった。
風薙の反応を見れば、やはり二人は既知のよう。
戻った方がいいだろう、には頷くが、先に続く言葉には苦笑して否定を見せる。]
そんな、気使わなくていいよ?
別に怪我して倒れたとかじゃないんだし。
ま、他に足もないから車は乗ってくけど。
[繭は斬った経験上解くこともできるだろうが、中身の得体がしれない以上解くことを言い出しはせず。
車に乗り込めば、ヴィクトーリアと都庁へ向かうことになったか。]
[立場云々を抜いても事故るな、という突っ込みは、生憎どこからも入らない。
もっとも、入ったとしても、受け流すのがオチな訳だが。
適宜速度を調整しながら、人気の少ない街を駆け抜けていく]
……お。
あの自販機、生きてるしっ。
[その途中、通電回復しているエリアで辛うじて動いている、とわかる自動販売機を見つけて、ブレーキをかけた。
ある程度の無茶が効く基礎体力はあるものの、やはり、水分他の補給は必要なものだった]
……というか、早く落ち着いて珈琲飲めるよーになって欲しいぜ……。
[缶コーヒーを開けながら、口をつくのはこんな呟き]
―夜更け/都庁―
[夜は更け、白み始める空。
いつの間にそれほどの時間が経ったのだろうか。
白い異形と二重写し、一瞬。
ふわ、と 光が淡く灯り、
ぱん――とはじける。
一度速度を重力に逆らって緩め、
そして降り立つ。
しゃら、とピアスが鳴った。
ゆっくりと顔を上げて、中へと急いだ。]
―― 廃ビル/屋上 ――
[原動機の音は止まったようだ。
世界に再びの静寂が戻る。
夜の膜が剥がされる空も、正しい明朝の形を祝福しているようだ。メイドはスカートを翻ししながら、屋上から街へと舞い降りる。
降下しながら、メイドは、鋼の華を携えた異形へと変化していった。]
ー新小久保/ハルモニー
延さん、確か明日都知事と「歌舞伎町浄化作戦」について
会談であったな……我も同行していいかな?
なぁに、都の職員など、精鋭以外は節穴だ。
[そして、彼は韓国勢力に守られて世を明かす。
日本人が一番弱い勢力の中で]
……もはや彼らとは戦争しかない。
ならば、戦争の定石…司令部を叩く!!
―― 廃ビル前/路地 ――
[地上へと舞い降りたおんなは、街の中心部を見据える。]
次に日が暮れるまでが勝負でしょうか。
破壊は進んでいるとは言え、聊か時を使い過ぎています。
[カゲから腕に巻く為のベルト――は、現れない。
老人との戦いで失った事を思い起こし、代わりにエンジン部の壊れたチェーンソーを取り出す。おんな自身の影からはチェーンが溢れ出し、刃としてガイドバーにまきついた。
供給管が、腕全体から飛び出す。]
――――。
[リコイルスターターに手をかけながら、おんなは奔った。]
―― 通り/喫茶店『ヒバシラ』 ――
[通りに面した喫茶店・ヒバシラ。
室内を彩る観葉植物に、古き良き時代を思わせる重厚な木製のカウンター。そこそこの名店であるヒバシラは、幸いにも停電地帯に含まれていなかった。
憩いを求めるように、ムーディーな曲の中で来客がモーニングコーヒーを飲んでいる。この店のウリは、店長のBGMのセンスだったりする。
今日もナンバーワンメニューの「火柱コーヒー」が飛ぶように注文されていた。喉が焼ける程に美味しいと評判なのだ。]
いよ……っと!
[空っぽになった缶を、少し離れた場所から回収箱へ向けて放ってみる。
が、手元が狂ったか残る疲れのためか。
缶の狙いは、微妙に逸れた。
カン、カララン、と甲高い音が鳴る]
……ち。
今日はいいコトなし……ってかー。
[子供の頃から続けている、ちょっとした運試しは『凶』の結果をはじき出す。
落ちた缶を拾ってちゃんと回収箱に入れておいた]
ま……現状、何事もなく、なんてのは……中々、望めねーか。
── 都庁 / 夜明け ──
[仮眠から目覚めると、ふたたび夜がひとつ過ぎ去っていた。
何もしていないわけではない。
けれど、具体的な成果をあげているかと問われれば──否。
ひとつ深呼吸をして、宮古は指を組む。]
ー翌朝/都庁前ー
……。
[都庁前に止まった黒いハイヤー。
降りてきたのはつり目でえらの張った顔の男。
黒い噂の絶えぬ……新小久保の顔役、延栄満。]
……。
[その後ろに立つ黒服のひとり。
アラブ系韓国人との説明があった。
身分証には「李恵恩」とあるが……。]
――都庁へ――
[庁用車の運転手はよほど訓練されているか、もしくはまるきりのお役所仕事なのか。
血と死臭に汚れた女も、謎の蠢く白い繭も車に乗せ、都庁へと戻る。
流れる景色は人気が少ない。警戒もあるだろうが、それ以上に死を思わせる街を、ぼんやりと視界に入れていた。]
あたしは――
[何かを言おうとして、けれど身体を蝕んでいた疲労は言葉を紡ぎきらずに、眠りを欲した。
目覚める頃には、車は庁舎の駐車場にいたことだろう。]
―夜明け:都庁―
《HOPE》に、用がある。取次ぎを頼めるか。
[――と、謂っても。
顔が知れているわけではないゆえに
ヴィクトーリア一行が戻るまでは
そこで待たされることとなるだろう]
―― 喫茶店『ヒバシラ』 ――
[開店から三十分足らず。
喫茶店ヒバシラに、大型トラックが突っ込んだ。
硝子の割れる音、ガソリンの漏れる音。そして――
喫茶店『ヒバシラ』に、小規模の爆音と火柱が上がった。
ムーディーな曲はひび割れ、奇怪な音となり果てる。]
ネクストW/Wは、能力(去る)を実行することにしました。
[夜はすでに白んでいた。
朝には少しばかり早い青白さ。時間の感覚も薄れていたから、その空の色は疲れを自覚させるようだった。]
まあ……いっか。
とりあえず、何すりゃいいんだっけ……
[報告することがありすぎて、何を伝えるべきなのかもう忘れかけている。
シャワーとか浴びたい、と独りごちながら、都庁舎内部へ向かう。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』前 ─
[もっとも、それを長く続けるつもりはない、と。
それは、口には出さない決意。
ともあれ、もう少し巡ってから、と思いつつ再び走り出す。
月の猫の常連になってからは遠のいたものの、ここらに前に通ってた喫茶店があったなぁ、なんて物思いは]
……て、ちょ、まっ!
[その店舗に突っ込むトラックと、それが巻き起こす爆発。
そして、炎の中に咲いた鋼の華の姿に──どこかに、飛んだ]
いや、待てよ、これって……冗談、なってねぇだろっ!
[過去の諸々の遭遇情報から、そこにいるのが誰か、わかりすぎたから。
口をつくのは苛立ちを帯びた叫び]
―― 喫茶店『ヒバシラ』 ――
[おんなは、焼けた己の外套をちらと見る。
無様にも繋ぎとめられた焼けカスを引きちぎる。]
…………
[揺らぐ炎の中、おんなの形影はリコイスターターを引いた。
チェーンソーが始動に吼える。
――オイオイ、新しいコーヒーかい? マスター。
小便を漏らし、妄想と現実のつかないままに引き攣った笑みを見せる来客の一人。広がる炎に、落とした腰を上げられない。
おんなの形に声が届き、そちらを見る。
声にならない声。
おんなは、そちらへと駆け、男にチェーンソーを横薙いだ。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
……っ!
ねーさん、やめろっ!
[横に薙がれるチェーンソーが見えて、とっさ、叫ぶ。
迷っている時間はない。
少なくとも──ひとが、NEXTに殺される光景は、二度と見たくない、と思っているものだから。
だから、走りながら、銀の上に緋色のリズムを打ち込んだ]
[炎広がる中に散るのは、黒と緋と。
現れた焔の『鬼』は、手にした剣に力を込める]
……斬っ!
[横へと剣を振りぬきつつ、叫ぶ声は衝撃波を生み出し、大気を裂く。
とはいえ、充填時間の短いそれは、威力的にはかなり、弱いが]
[待たされているらしいサフォアを見つければ、彼の身元を保証し招いた旨を警備に告げる。]
……先に来てるなんて、思わなかった。
待たせて、ごめん。
[彼の先導を後方のヴィクトーリアに任せ、自分は数歩後方へ下がる。
この姿で部屋の扉を開けるのが少し躊躇われたのもあるし、可能なら入室する前に身支度を整えたいと思っていたのもあった。]
―― 火柱の上がる喫茶店『ヒバシラ』 ――
[男を骨ごと刎ねんとした刃は、不可視の斬撃によって弾かれた。正確には、殺意と風圧、衝撃に立ち退く炎に違和を感じたおんなが、後方へ飛びのくのが一歩先だったが。]
――――。
[焔の向こうに在るのは、炎よりもなお紅く、焼け焦げたトラックよりもなお黒い、剣の鬼人。]
どちら様でございましょうか。
[おんなの言霊に、影が震える。
今にも弾け出ようと気配は膨れ上がり、チェーンの刃が幾本か顔を見せていた。]
[「李恵恩」はツキシロに笑みを向け、行ってしまった。
おそらく、延栄満が応接室に通され、
近くまで向かうのだろう。
その笑みは夜のような…毒のような。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
[振り抜いた剣は、そのまま切っ先を右後方へと流し。
鬼面越し、向けられた問いにひとつ、息を吐く]
《TYPE-blade》焔鬼……って言っても、通じない、よなあ、間違いなく。
風薙緋焔……それよか、エン、って言った方が、通じるかな?
[逸る気持ちはできる限り抑えつつ、名乗りを返す。
影から覗く刃は視界に捉えているから。
気を抜く事だけは、できなかった]
―― 喫茶店『ヒバシラ』 ――
ミスター・ひえん?
[おんなは、首を傾げる。
炎の中であることも、惨劇の未然である事も、彼女には届いていないのか。振る舞いも、身を纏う気配も、殺人鬼でありながらメイドのそれでもある。]
エ………ン。
…………?
[たった二音。
篭められた言霊は、掘り返すべき記憶を掘り返そうと、黒い土を固めて行く。
帰るべき時は100500時間以上前。]
――――
[唸りを上げるチェーンソーの音だけが、焔の世界に広がっている。**++]
[どうぞ、と掛けた声に応えて入ってきたのは、衣類に酸化した茶色を吸わせたロージアとヴィクトーリア、そして痩せ形の青年だった。
風薙から連絡がなければふたりの様子に驚いたろうが、今はただロージアとヴィクトーリアに労いの会釈を向ける。
椅子に座るのに気になるならそれを敷けばいい、と。積んである新聞の束を示した。]
座ったままで失礼します。
初めまして──でよろしいですか。
[改めて青年に向き直り、挨拶した。
青年の左右の耳朶の形を微妙に歪めているいくつものピアスが沈黙の光沢を留める様は、複数の瞳に光を宿すかのようだ、というのが第一印象だった。]
ああ、えっと。
[招き入れられるその場には、まだ踏み入らない。
新聞の束は示されたが、一度視線を向けただけで。]
もし、あればでいいんだけど。
座る前に、タオルとか借りられるなら貸してほしいな、なんて。
ないなら諦めるけど……ちょっと、さすがにこれはない、でしょ、と。
[もし借りられたなら、それをどこか水道――見当たらなければ、洗面所の水でも構わない――で濡らしてから、ひと通り目に見えた汚れを拭い、再び本部へ戻っただろう。
そうでなければ、ちぇ、と舌打ち一つ、示された新聞片手に席につくか。]
―都庁:《HOPE》本部―
…はじめまして…――です。
おれは、サフォア・ツキシロ。
……――NEXTです。
……あなたが、リーダーですか。
[満身創痍、と呼んで尚余りある青年。
それでも戦い続けようとするのか。
思いは過ぎる。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
こんななりだけど、中身は間違いなく俺ですよ。
[首を傾げる様子に、軽い口調でこう言って。
二文字の短い愛称、それを紡いで動きを止めるのを伺う。
このまま、破壊活動を続けさせるわけにはいかない。
けれど、仕掛けることに躊躇いがあるのもまた、事実で。
視界の隅、運良く難を逃れた喫茶店の客が這うように逃げていくのを捉えつつ、一歩、前に踏み出す]
メイドさん。
篝ねーさん、だよ、な?
あかねぇ……風薙茜のコト。
覚えて、ない?
[焔の猛る音と、チェーンソーの音が響く空間に、問いが放たれる。
状況的に場違いとも言える問い、けれど、それは、真摯な響きを帯びたもの。**++]
丁寧なご挨拶、いたみいります。
申し遅れました。
僕がこの部署を預かる都職員の宮古です。
リーダーという器量はありませんが、立場上、受付では、「都営戦隊の司令官」でも通じるようです。
それと──ブースト装着者でもあります。
都の広報でご存知かもしれませんね。
[ぽつりと、零すように、初対面の自分にNEXTだと打ち明けた相手に対し、宮古も正直に告げた。]
あなたが、風薙の言っていた「白い方のNEXT」でしょうか。
[ロージアたちが連れて来たことを鑑みても、予測はできる。]
[どちらにせよ座ってからは、特に促されるまではサフォアと宮古の会話に口をはさむことはしない。
言葉だけが行き交う静かな空間になれば、思い出すのはヴィクトーリアから伝え聞いたあの言葉ばかり。]
――――……。
[NEXTは死すべき存在、なのだろうか。
思えば自然、机に頬杖をついていた視線は俯きがちに下がっていただろう。]
―都庁/応接室前―
[延栄満は都知事と「歌舞伎町浄化作戦」について
会談に入った。韓国籍の人々が新宿付近には多い。
無視できない存在になっているのだろう。]
「あ、自分お手洗いに。」「私もであります。」
[黒服は何かと口実を付けて、部屋を離れていく。
都庁のあちこちに黒服の韓国人が配置されていく。]
―都庁:《HOPE》本部―
宮古さん。
…嗚呼。広報誌で見たことがあります。
[顔までは、知らなかった。
「都営戦隊の司令官」と聞けばピンと来る。]
……そうです。《白》のNEXTです。
[謂うと、――]
/*
これ、戦隊だったんだ……
ほんとにバトルフィーバーだったんだ……!!!
ということはエンくんはバトルジャパンだしツキシロくんはバトルフランスなのか。
ヴィクトーリアがミス・アメリカなのか。
やばいケニアかコサックしか残ってないやばい
コサック……? 黄色と赤だしコサックなのか……?
しかし変身すると緑なわけだがケニアなのか……!?
やだーーーあたしもミス・アメリカがいいーーー
ダイアンとマリアで分ける……!!
…――これがおれの姿。
NEXT。人から“変わった”末の異形。
[宮古を見据えて]
……聞きたいことがある。
何を願って、戦っているのか。
……――NEXTを、どう思っているのか。
この場に来て、その姿を見せるということは、目的は《HOPE》の邪魔か支援、どちらかでしょう。
[前者であれば、ロージアたちは騙されていたことになるが、ツキシロはすぐに変身を解いたし、少なくとも殺意を示していない、と感じた。]
NEXTを人ではないというのは、絶対音感を持つ者が人間ではないというのと同じです。
僕は、NEXTの在り方を変えるつもりはありません。
NEXTであることと善悪は関係ないです。
一撃で命を奪う力なら、NEXTでなくても、銃を持った者なら持っている。
暴走する可能性に有為な差はありません。
誰も、音楽の才に優れているからという理由で殺される必要はない。
NEXTも同じです。
能力を封じて隠れ生きるような社会にしてはいけない。
僕らは特定の思想や敵と戦うのではない。
犯された犯罪に対して、野放しにしないだけです。
そして、そこに生じた誤解を解くために訴えかけてゆく。
いまだ差別を克服できていないのに、そんなことは不可能だと言う人がいる。
その歴史認識は正しくありません。
確かに、まだ克服できていない差別もあります。
だが、今では同化してして、かつて差別があったことすら忘れられた「特異」もまた多数あるのです。
ともかく──必要なのは、我々の手で現状を打破すること、です。
協力して脅威にあたり、その記憶を留め、伝えることです。
それは、今、危機に直面した我々だけがもつチャンスであり、未来をかけた生き様《スタイル》です。
あなたが、その考えに賛同してくださるなら──
全面的にでなくてもいい、意見の違う部分は相手を見ながら話し合ってゆくことで折り合いをつけられると思うなら、
手を貸してください。
悪意を退けるには、勇気と仲間が必要なんです。
ましてや、僕らがやろうとしていることは、あたりまえのことでありながら、世界に対する意識革命です。**
[黙し、見つめて耳を傾ける。]
…―― 、そう ですか。
[一度目を閉じる。
それから、伏目がちに開く]
……その、考えを持ち、動くので在れば。
おれは、あなた方に、
……《HOPE》に協力しようと、思う。
すれ違い、軋轢も生まれるかもしれないが
今、おれも。あなた方のような力を、借りたいんだ。
……NEXTの能力も
所謂才能のように扱われるような
……そういう世界がほしい
珈琲を、ひとだろうがNEXTだろうが関係なく、
共に在れるような。
[その思いをひとつ、口にしてから]
……現状の打破。
そのために。……――
[剣道稽古の帰りだった。
いつも通る道を、いつもと同じように歩いていたら、いつもとは違う音が聞こえてきたのだ。音ではなく悲鳴だと気付くには、安穏に生きる少女にとって、少しの時間を要するものだった。
女の子の悲鳴。駆けつけた先には、嫌がる子供の腕を掴んで、連れて去ろうとする一人の男。
少女は躊躇わなかった。戦術でも勉強でも、あまり物事を考えるのは得意ではなかったし、何より目の前で起きている出来事を放置するなど出来なかった。
少女と女性の境に位置する彼女にとって、物事は単純で在って欲しかった。手を差し伸べれば助けられ、助けを求められれば当たり前のように助け――。
誤算があったとすれば。
男が、本物の刃物(あくい)を持っていた事実だけ。]
[目を覚ますと、くらい場所だった。
意識の浮上が混乱を呼び込むより先に。竹刀を握っていたはずの右手が痛む。よくは見えなかったが、血が出ているらしいと匂いで分かった。
同じ場所にいたのは五人。
少女と同じような年頃の五人。
正確には六人だったが――全員が目を覚ました事を確認した男が、手にした鉞を振り下ろしたのだ。
――一人多いな。やれやれ、少し間違えた。
そんな事を呟いていた。]
[男は続けて言う。
――僕はね、人間を作りたいんだ。
その場にいた五人と少女は、誰もその言霊を理解できなかった。一人は震え、一人は泣き、一人は呆然のあまり声が出ず。
冷たい死のにおいが広がっている事だけが、現実の出来事であると確かめさせてくれる。
だから、みんなが呼吸を忘れた。
――――じゃあ、こうならない子を一人選ぼうか。
愉しげに告げる男以外は。]
[少女が割り当てられた番号は"4"。
男が出した目は――、くろいまるがよっつ。
手に、血の滴る鉞を握らされた。
首を振る。
やりたくはないと、ここから出して欲しいと訴えた。
男は
――なら、君を殺してもう一度サイコロを振り直そう。
そんなことを言っていた。]
[赤い体が一つ増えた。
二つ増えた。
少し外して、腕が欠けてしまったけれど、男はただ笑っていた。続けなさい、と言っていた気がする。
赤い塊が三つになった。
あかい塊が四つになった。
あかいまるがいつつになった。
――――皆、助けて、やめて、と叫んでいた。]
[指先が白くなるほど握り締めていた鉞は、硬い音をして床に落ちた。よく聞こえなかった。
男が笑って腕を引いたけれど、よく分からなかった。
手に冷たいものがはめられる。
足に硬いものがあてがわれる。
男は、どうしてだか裸だった。
ゆっくりと服を脱がされてゆく。
――まだ、ずっと、みんながたすけてとさけんでいた。]
[いろんなことを教えられた。
一つでも間違えると"お仕置き"をされるので、間違えないようにずっと頭の中で練習して、復習して、言われた通りに振舞えるように。
熱があっても、"お仕置き"で骨が折れていても、男にとっては関係が無い。必要なのは頑強で壮健で忠実な人間で、自分の都合で暇を取る事は許されない。
どうすれば男は悦ぶのか。
どんな顔をすれば男は不快ではないのか。
どうすれば上手く、人を分解できるのか。
これをやりなさい、と言われて、
分かりました、と頷く日々が続いた。
秒針がどれだけ進んだかはわからない。
でも、どれだけ経っても戻る事はなくて、とまる事も無いのだ。たとえ10000秒経っていようと、105192秒経っていようと大差は無い。
同じ音が、同じように、赤い華を咲かせながら繰り返される。]
[秒針が300000000ほど進んだ頃、男は瓶詰めにしようとしたモノを、おんなの前に置いた。
今までに無いことに、おんなは躊躇う。
問いかけるように顔を上げると、男は天使のような笑みを浮かべて言った。
――これを食べるんだ。カガリ。
見つめた先で、びくりとあかいものが脈打った。
分からない、考えるということを頭が拒否している、それでもそれが何であるか沢山ひとをころしたおんなにはよく分かっていて――
――前にも言ったよね。僕は人間を作りたいと。君という忠実な"脳"は作った。でも、君をもっと完成させるには中身も性能も入れ替えないといけない。
――僕に移植手術の技術なんてないからね。でも、君ならできる。僕の忠実な僕の君なら、手術なんてモノに頼る必要は無い。
――僕がやれと言えばなんでもする。出来るようになる。僕が作った君の脳に不可能は無いのさ。
男が言っていることが、よく分からない。久しぶりに湧き上がる感情は、天使のような男の笑みを、毒のにじみ出る華のように歪ませる。
消え入るような声で、男を拒否した。
男は、]
[気づいた時には、男は死んでいた。
自分の顔は真っ赤で、体は――自分のものとは到底思えない。影から、鎖めいたものが不吉な音を立てている。
メイドは、男の死体を30時間ほど眺めた後
電話を手に取った。]
―― 喫茶店『ヒバシラ』 ――
[華の形をした心臓が、脈動した。
震える声がする。凶器が震える声がする。
問いかけてくる男は、同じように武器を手にしていた。]
ねー……さん……
[鋼の華は脈動する。恨み言を咲かせるように。]
――――アカ、ネ……?
[鋼の華は鼓動する。恨み言を忘れ得ぬように。]
―――――――。
…………
[チェーンソーの音が止む。
影から除いていた鎖が、そぞろ撤退を始めた。]
……わからない。
[おんなの形は、首を振る。]
分からない。わからない。わからない。わからないわからないわからない。アカネは……違う、分からない、知らない、知らない知らないしらないしらないしらないしらない。
貴方は誰ですか。
貴方は誰ですかエンくん……!
[再度、乱暴にリコイルスターターが引かれる。
勢いをつけすぎた刃は、いつもの咆哮ではなく、甲高い音と共に一抹の火花をはじいた。]
――――嗚呼。
きっと貴方を殺せばわかる。
きっと貴方を食べればわかる。
記憶も想い出もみんな、貴方の脳に詰まっているはず。
[炎の只中から、数多のチェーンが飛び出す。
チェーンソーを片手に飛び出すおんなと共に
黒紅の鬼人を目指して、狂気が振るわれた。**]
―都庁:《HOPE》本部―
――それから、もうひとつ。
[「延栄満」について伝えた後、
ツキシロは少しだけ眉を寄せて続けた。]
…――カゼナギ ヒエン も
ここの参加メンバーだと、
聞いているのだけれど。
[ヴィクトーリアへと視線を向けた。
彼女に教えてもらったことだったゆえに。]
彼に、話したいことがあるんだ。
……いまは、彼は此処に居ないのか?
[別行動を取ったのだと説明があれば
では、帰ったら伝える、と謂った。
伝えたい理由《ほんにん》と
既に邂逅しているなど、知らずに。
都庁へ増えていく黒服。
既に此方も事態は大きく動き始めている――**]
投票を委任します。
サフォア ツキシロは、シャッテン に投票を委任しました。
――… ――… ―――…っ
[炎に巻かれながら、メイドは呼吸を荒くする。
NEXT体となった現実の彼女に息切れが存在しない以上、それは心の悲鳴だったのだろう。]
私は、――…、私――…
――…私は、
わ――…たしは――…
[延栄満と、
ナジームが組んでいるとして、
――ならば。
共通の敵と彼を標榜した上で
蜘蛛のNEXTが残した情報をもとに
司令官は、同じ結論に達したであろうか。]
ナジーム・ラシュディ。
やつはすでに、
――この都庁の中に、いる。
[宮古へ顔を向け、そして
ロージアとヴィクトーリアの方を*見た*]
―――…
[吐き気は収まらない。
一気に引きずり出された記憶は、平衡感覚を奪う。]
………、
[口の中から血の味が忘れられない。
――己の中に繋がる影。
不思議な抱擁感は、過去と幻の奈落へ堕ちてしまいそうな体と意識を、現へと繋ぎとめる。]
[主人と仰いだサフォアを笑顔にする事も出来ない。
尽力した先で――彼は本当に笑ってくれるのだろうか。
……先程までなら肯定しただろう。
だが、自分がしている事に――理性が気付きかけている。
緋焔は――誰なのだろう。
わからない。思い出せない。思い出してはいけない最後の一線を、彼も、サフォアも、揺さぶってくる。]
―――…。
思えば。
ミスター・シャッテンだけでしたね。
[彼は――"今の自分"を、見ていた。
その上で、期待をしていると、そう言ったのだ。
だが、彼は言った。人は必要な者以外を滅ぼすべきだと。
NEXTとしての力。その先の選択。]
…………
もし私がNEXTでなかったのなら。
ミスター・シャッテンは―――…。
[呟きは影に漏れて、こみ上げる吐き気にごまかされる。]
…………
[そして、もし彼がNEXTになった経緯を知ったなら。
血に染まった自分と、サフォアや――緋焔が、恐らく相容れないであろうのと同じように、彼も思うところを変えるのだろうか。
初めに一度会っただけの縁。
彼は――よく知らないから言っただけかもしれない。]
…………。
[自我を繋ぎとめる影の消失。
失ってしまったらきっと――狂うのだろう。]
………っ
[こみ上げる事の忘れたはずの液体が、目の端から零れそうになって、首を横に振った。
――どうしてオマエだけイキテルンダ。
声が聞こえる。まだずっと、鳴り響いている。]
[茜と緋焔は、きっと助けに来てくれるだろう。
でも、彼等がここを見つけてしまったら、もしくは"彼"に見つかってしまったら、"材料"にされてしまうのだ。そうなったら"処理"しなければいけない。殺さなくてはいけない。嫌だと叫んでも、言う事を聞かない体と脳は未来を幻視させるに十分で。
――手を差し出せば助けられ、助けを請えば手を差し伸べられ。世界は単純であって欲しかった。
でも――親しい誰かがこの世界に入り込んだ時、彼等は闇色の獣に食われて元の世界に帰れなくなってしまう。
黄泉の味を知って帰る事の出来る人間は、いないのだ。
だから――いつか、助けを願う事をやめた。
叶って欲しい、叶ってはいけない願いを忘れてしまった。]
――――………。
[影を通じて、思考や呟きが漏れて来る。
それを静かに聞きながら
シャッテン……ゾンネはなにも問い返さない。
ただ単に告げるのみ]
―――何も、不安になる事はない。
既に私達は繋がっているのだから。
[影を通じて、再びあの抱擁感に満たされていく]
[サフォアを主人とした理由は単純なものだ。
脳を洗われ、知識を埋められ、正気を失いかけてもなお、願い続けて、願い続けて、忘れてしまった言霊。
きっと彼なら。
あの時の声に応えて助けてくれたのだろうと。
躊躇い無く差し伸べる手に――恋をした。
人が死ぬべき存在なのか、NEXTが世を覆すべきなのか、そういった難しい事は、凍った自我にはわからないが――
サフォアには、憧れ続けた何かがあった。
でも、彼が今の自分に喜ぶはずがないと
正気と狂気の混ざり合う狭間で、気付きかけている。]
[―――誰か、助けて。
お願いだから、誰か……私を連れ出してください。
茜。エンくん。
………会いたいよ。
――――助けて、たすけて……。]
[繰り返された呟きが、芽生えて枯れる。
枯れかけた想いは、広がる抱擁に抱きとめられて]
……ぅぁ
っ――――
[表面では流せない涙が、呟きに漏れた。]
…………まだずっと聞こえます。
あの子達は助けてって叫んでたのに。
死にたくないって叫んでたのに。
私は……自分が生きる為だけに……。
………ひとをころして
そうしないとお仕置きされるから
でも、心臓なんて、食べたくなんて、――っ
その心は……全部は理解できるとは言わない。
だが幾割かは理解できると思っている。
[殺されなければ、生きられなかった。
助けたくとも、腕をすり抜けていった。]
君は、不幸な経緯で力を得てしまった。
望まぬ形で受け入れざるを得なかった。
その慟哭と謝罪は、私では赦す事は出来ないのだろう。
だが、受け止める事はできる。
影は離れず、全てを受け入れるのだから―――。
[以前のシャッテンの声では、やはりない。
それでも、包み込むような優しさは彼のものだ。]
…………。
シャッテンは、優しい。
私のような人のことを
きっと人は、殺人鬼だと、そう呼ぶのに。
貴方は……遠まわしに、
[慰めてくれているのでしょうか、とは言わなかった。
馴れ馴れしいのは嫌いだと、彼は言っていたから。]
…………、
そんなことを言われたら、
甘えたくなってしまいますよ。
……シャッテン。
[大切なものを確かめるように、おんなは呟く。
それが本名かはわからないが、おんなにとっては知り得る唯一の名だった。]
[心と体が乖離する。
正気に気付いた影(こころ)と、
狂気から帰らぬ光(からだ)と。]
――――、
[影の言葉に寄り添いながら
おんなは、炎の中で暴れる自分自身を見つめている。]
……優しければ、切捨てなどしない。
私は優しくは在れなかった。
この身もまた、殺人鬼なのだから。
[一度は守ったものを殺す。
一度は守ろうとしたものを切り捨てる。
己の心は、地に堕ちてしまったのだから。]
だからそう、私は優しくない。
もし優しいというのならば、たまたま
私の我侭が君にとって心地の良い物だったのだろう。
ー都庁内ー
どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
[そのときである。都庁内の至るところで爆発が起きた。
各所に散らばった黒服が相次いで爆発したのだ。]
反撃の狼煙は上がった……征け、戦士たちよ!!
「我ら」に仇なす抵抗勢力を討ち取って参れ!!
[黒服たちが爆発したのは、都庁の主要な廊下である。
この建物の中でナジームを探すには、
ひどく厄介な足止めになりかねない致命傷。
都庁内に蚊が蔓延していく。]
―――
[おんなは、涙を拭って、ただ笑う。
心地よい影。心地よい我侭。
浸ることが出来るなら、そうしていたい。]
………。
ありがとう。
[それでも、ただ笑う。
感謝の言霊を紡いで、意識を鎮めた。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
[投げた問いの答えを待つ、その間に感じるのは息苦しさ。
極限環境での活動も考慮された『鬼』の姿であれば、焔踊る場所にあっても相応の時間は耐えられる。
だから、今感じているのは、物理的なものではなく、精神的なものに基づく苦しさで]
…………。
[問うてから、考えた。
肯定を得られたとして。
止められるのか。
そして、止める事ができなかった時、自分は何を選べるか。
望みたい物は、決して多くはない、のだけれど]
[やがて、訪れたのは、静寂。
影から覗いていたものは消え、鬼面の下で息を吐くも。
続けられた言葉に、過るのは嫌な予感]
……ねーさん?
[小さな呼びかけは、連ねられる否定に遮られる。
次いで、向けられる、問いかけ]
誰、って……俺は、俺!
エン……風薙緋焔、としか言えねぇよ!
[叫ぶように返す、それに重なる、甲高い音。
反射的に、駆動制御に多目の充電を回した]
それっ、どーいう!
そんなんしなくてもっ……!
[思い出せるだろ、という言葉は、鎖の襲来にかき消された。
加速をかけた動きで、それをぎりぎりかわしてゆく。
ディフェンスの甘さは、《TYPE-blade》の弱点の一つ。直撃は早々もらえない]
……それにっ!
[振るわれるチェーンソーの軌道は、合わせるのに苦労した太刀筋を思い出させる。
一つ、息を吐き、大きく振るった剣で一撃を弾く。
そのまま、勢い任せに跳びずさって距離を開けた]
そのやり方だと、俺がやりたいこと、何にもできなくて、困るからっ!
ー回想 車の中ー
[落ち着く間もなく次から次へ起きる出来事。
この先、みんなが平穏に過ごせる世の中が来るのだろうか…。
ぼーっと外を見る。そんな時に思ったのは彼の事。携帯電話をおもむろに出し、メールを書き始める。]
―─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─―
[玄斎ほど精錬された動きではない。だが、鎖は悉くかわされる。あれほどの機動力にぶれない上体、足腰の強靭さ。長年の鍛錬を思わせた。
苛立つように横合いから伸びた刃は弾かれ、男は飛び退く。]
――――
[おんなは、チェーンソーを垂れ下げながら男へ向き直る。]
……っ
[やりたいこと。彼がやりたいこととは何か。少なからずおんなの動きは停止しようとして、蝕む正気は立ち昇る炎の狂気に押し戻される。
濃く映える影は、二人の形を明確に縁取っていた。]
ミスター・ひえん。
何も考えずとも良い。
貴方は私の華となり、華はあなたとなるのです。
何も心配することはない……そう何も。
[淡々と呟く。言葉に霊(たま)が篭らない。
花が紡ぐ葉は、続く変わりに核がびくりと脈打った。
呼吸を整える男に、彼自身の影からチェーンが伸びた。]
宮古さんへ。
お疲れ様です。そばにいると、あなたのお仕事がいかに過酷で責任の重いものだと再認識しております。
早く平和に暮らせる日々を取り戻したいです。私が役に立てるなら、何でも言ってくださいね。
宮古さんの言っていたの争いがなく、愛する人と音楽を聴いて喜びを得られる、そんな日々、早く来て欲しいです。>>3:456
私がプリッツェルンを焼き、二人でゆっくり音楽を聴く。
そんな日々が待ち遠しいです。
今は大変ですけど、私頑張りますね。ヴィッキーより。
[送信、と…。]
[…、遠回しだけど、これじゃ私と宮古さんが一緒にいる事が前提じゃないの。
そう思ったら恥ずかしくなって、車の中でジタバタした…。]
ー都庁ー
[話を聞いていて、どうも事態は改善どころか悪い方向に向かっているとしか思えない。
鍵となる男性は、逃げ隠れせずむしろここに来ている?>>152]
え、ここに来ているって、ナジームも一緒なの?
それなら、ここで逮捕するしか。
いや彼は都内に爆弾を仕掛けているのよね。それを取り除かないと、いざとなれば…
[躊躇なく場発させるだろう、とは口が裂けても言えず…]
―都庁―
…――来ているなら、
“やる気”なんだろう。
[視線を鋭く動かした。]
病院でNEXT体のあいつに会った。
あいつに触れると国会議事堂の爆弾が爆発する仕掛けらしい。
そういう“能力”なんだろうが――……
― 闇の中 ―
[暗い部屋の中。
赤く光るラジオのランプだけが、部屋の一部をぼんやりと照らす。
聞こえてくる声は、破壊と死を告げるのみ。
ここ数日の出来事は、聞くものによっては
悪夢や絶望といった物でしかないだろう。]
……ナジームからの連絡はまだ、か。
そうだな、刈らねばなるまい。
世界を変えるための、剪定を。
“逮捕”とか、甘いことを考えないほうがいい。
やらなければやられるぞ。
……もっとも、
あいつが向かわせてくるのは
爆弾を植えつけた“人間”だけどな。
[低く、怒りを込めた声が落ちた。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
[言い放った言葉のためか、刹那、見えた動きの揺らぎ。
先ほどまでの事と合わせ、それは、一つの推測へと繋がる。
自分の知っている、自分を知っている『篝ねーさん』は、完全に消えたわけじゃない、と。
それが希望か絶望かは、今は全く見えないが]
考えないで突っ込むのは、俺の得意技だけど。
生憎、そういわれて、はいそーですか、って、納得はできな……っ!?
[できない、と言う言葉は、影から飛び出す鎖によって宙へと舞った。
距離が、余りにも近すぎて、避けるには僅かに時間が足りない。
それでも、と屈めていた身体を伸ばし、上体を逸らす事で直撃だけは免れる。
掠めた鎖は、決して軽くない一撃を左の上腕へと刻むが]
……利き手じゃねぇなら、なんとかなるっ!
[無茶言った]
[体勢を整えつつ、鬼面の下で息を吐く。
正直、こういう遠距離に強いタイプの相手には《TYPE-blade》は分が悪い]
……懐飛び込んでけりゃいいが。
なんにも考えずにいったら、ガキの頃の繰り返しだよ、なっ!
[そうは言っても、それしか術がないものまた、事実。
充電残量は、装着時は十分だったがどこまで持つか。
日が照るならば、多少なりとも補給しつつ動けるのだが。
ともあれ、剣に僅かばかりの力を込め、それを衝撃波と変えて、放つ。
同時、地を蹴り、自分の間合いを取るべく走り出す]
―─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─―
[男の腕を穿った一撃は、天井へと到達して破砕した。
瓦礫が落ち、視界がふさがる。]
その通りですね。
止血さえ怠らなければ"生きて"はいられます。
[男の気配がぶれる。殺意は――二つ。
おんなは、炎を裂く不可視の斬撃を視認した。
垂れ下げたチェーンソーを僅かに上げる。]
――――。
[眼前に迫り来る衝撃波。
おんなは――その只中へと飛び込んだ。]
[袈裟に裂く斬撃。
噴出するいろのない液体は、すぐに炎に移られた。
断たれながら、炎に身を纏いながら――おんなは
衝撃波と炎の向こうに在る、おとこへ奔った。]
――――格闘戦が貴方の間合いというわけですね。
[鋼の華が脈動する。
此方へと疾駆していた男を捉え
垂れ下げていた位置から上方向へと刃を振り上げた。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
そーいうこと……生きてりゃなんとか、何とでもなるんだよ!
[半ばはやせ我慢だがこう言い放ち。
衝撃波がもたらした結果にほんの一瞬目を見開くものの、鬼面の下のそれは伝わるものではなく。
今、炎を纏って駆けてくる、という『現状』に、意識を向けた]
長距離とか、物陰隠れてあれこれとか、俺の性にあわねーんだよ!
だから、少なくとも、奇襲は一回か二回くらいしかやってねーぞ!
[主張したのは、子供の頃の事。
その奇襲も成果は上がらず、いつもよりも余分にぼこられた上に説教までついてくる、というオチに繋がったりもしたのだが]
……っ……ん、のっ!
[振り上げられる刃。
跳んで下がるは容易いが、それではまた同じ事の繰り返しになる──と。
手にした剣を打ち合わせる事で、一撃を押し止めにかかった]
――都庁《HOPE》本部――
[延栄満。名前に聞き覚えがなく、調べ並べ立てられていく情報には強い興味は示さない。
しかし、サフォアの目撃情報を聞けば、流石に黙っているわけにもいかなくなった。
この中にいる、とこちらに向けられる視線。
状況を飲み込みきれたとまではいかねど、彼がいる可能性としては高すぎる。視線を合わせサフォアに頷いた。]
この、中に……!
[警戒を強め、ドアの向こうを睨み付ける。
その、瞬間。
至るところから爆発音が響いて、都庁全体が強く揺れる。
蚊の羽音が、した++]
―─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─―
[振り上げる異形の刃は、男の剣戟によって合わされる。
暴走する刃と押し留めようとする刃。
両者は合わさり、火花が世界を一瞬、白く染めた。]
―――、
[せり合いは互角――僅かに男が上。
おんなは僅かに足の位置を変え、]
はッ!
[そのまま押されるままに刃を戻し
引き面――刃を"押し切らせる"と同時、
後退しつつ"面"を放った。]
― 公園 ―
[日が昇り、また暮れる、ベンチに座ったまま動かない男の珍しい髪色に始めは物珍しげに足を止める人々も居るが、徐々にその数も減り何事もないかのように公園からは人の気配もなくなっていく]
……時間がない。
[ナジームを殺さなければならない、が後どのぐらい持つかのかが分からない。
全ては己のNEXT能力の弊害]
[パソコンを見ながら、何か打開策がないかと再度見直す。
電磁波がポイント?たとえば、都内に仕掛けられた爆弾も、ナジームに触ると電磁波が出て、それが爆弾に反応する、ってこと?逆を言えば、電磁波を中和する電磁波を出せる事が出来れば…]
え、議事堂に…爆弾をしかけた?
何でそれを黙っていたのよ…、ああ私も聞かなかったけど。
じゃあ、爆弾を取り除くしかないじゃ…、耳が痛い…。
[頭を締め付けるような高音がしたかと思うと、ドーンという音が鳴り響く]
ナジーム!
[ツキシロさんが言うとおり、逮捕なんて甘い考えは捨てたほうがいい。ナジームは本気だ。自分だって巻き込まれる可能性があるのに、平気で爆弾を放って来る。]
起爆条件に温度上昇があると情報があった。
爆破の後には火災が発生するわ、避難と消火を最優先に!
[ビル爆破の時も、火災が広がる度に爆発が起きていた。
最初は一つの爆破かもしれないけど、爆弾に変えられた人間さえいれば連鎖的に爆発が起きる。
それだけは避けないと!]
不要なものを刈り取ろう。
生きるべき者を、生かすために――
[その姿に気付いた通行人達が、
悲鳴を上げながら一目散に逃げていく中。
周囲は光……そして熱量から発する炎に包まれる。]
さぁ、地獄を、始めよう。
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
[火花を弾く競り合いの最中、鬼面の下の表情は滅多に見せぬ真剣なそれを形作る。
打ち合う物は異質であっても、剣を合わせる、という感覚は久しいもの。
ふと、そんな事を考えていたがためか、その動きへの対処は僅か、遅い]
……っ!
[自分の力だけで押し切った時とは、違う感覚。
僅か、体勢が崩れる]
ちっ!
[後退しながら放たれる一撃──背後には、焔が近い。
と、なれば取れる手段は一つ]
……せい、やっ!
[両の腕に部分的な加速をかける。
先に受けた傷が痛んだが、それは押さえ込み。
切り返した剣で、打ち込まれる刃を受け止めた。
ぴし、と小さな小さな音がしたのは、気がついていたが、顧みる余裕はなく。
剣構える両手に自身と《TYPE-blade》、双方の力を込めて、一撃を跳ね上げ。
そのまま、前へと踏み込みつつ、再度返した剣を真っ向、大上段から振り下ろした]
―都庁内―
[通路の至るところが破壊され、火の手があがっている。
そして、変なゴーグルのようなものをつけた
黒服の男たちが都庁内を闊歩している。
病院のときと同じように電力でもやられたか、
外の光が当たらないところは薄暗くなっている。
―空調をやられ、都庁内には火災が発生している。
そして、鳴り響く蚊の羽音。
延栄満は「誰」と会談していた?
この戦いは「時間無制限」の勝負ではない。]
[公園から見えるそう遠くない場所で途轍もない光が放たれるのを見る]
あれは……ゾンネか。
[自分の力は人間の進化の礎に、そのためならば――]
人類の敵が俺の敵だ。
変身。
[ゆらりとベンチから立ち上がり身体を変質させてゆく]
私、延栄満を探してみる!
彼が鍵なら、ここで焼け死んでもらったら、何も情報がなくなってしまう。助け出して、何が何でも情報を出してもらわないと。
[誰かが止めたとしても、無視して走り出しただろう。]
―― 喫茶『ヒバシラ』 ――
[混迷と狂気に揺れるおんなに、男の"隙間"は見えない。
だから、打ち込んだ刃が届かなかった時。
僅かに首を傾げるようなしぐさをして、]
―――、
[大上段から降下される一撃。
武器を撥ね上げられた状態では舞い戻せない。
おんなの動きは、頭部への一撃を回避するに留まり
右肩口から腰まで、一気に刃が肉を断ち切った。]
…………、
[噴出する液体。引火する炎。
ぐらり。おんなの体は、瓦礫へと斃れた。
掌はチェーンソーを取り落とし、動かなくなる。
赤くは無い体液が、瓦礫へと広がってゆく。]
― 街中 ―
[しばらく経ってから光が見えた場所へと辿り着く、辺りは火の手が上がりさながら地獄の光景に思えた]
これがゾンネの力か……。
[幾度となくその力は目にしてきたはずのもの、けれど知っている彼の力は不殺の精神から成り立つ手加減状態に過ぎない]
ゾンネ、どこに居る。
お前に勝負を挑みたい。
[黒煙と茜色に燃え盛る炎の中、辺りを見回しながら声をかける]
―都庁―
[爆発する。
都の象徴が大きく揺れた。
飛散する肉片が脳裏を過り、ツキシロは唇を噛む]
…―――っ、
延栄満は―――会見室に向かってた!
[駆け出す少女へ、
ツキシロは知る情報を声にして届ける。]
[人々の叫び声。
そして地獄から生み出される炎の猛りが響き渡る中
不思議とその声は確かに届いていた。]
……どうやら御指名らしいぞ、私よ。
[ゾンネの体がまるでぶれるように
影が質量を持ち始める。]
[都庁内はまるで「死の家」。
通路が爆破により通行不可能になっている場所もあり、
回り道をすると、狙いすましたように
体内に「爆弾」を纏った黒服が現れる。
男たち(【韓国人】のようだ)は「何か」を噛み、
発汗ののちに爆発していく。
都庁はゲリラに取り囲まれた森のようだ。]
ああ、聞こえている。
[影のほうを振り返らずに、
その赤い瞳は己が作り出した光景をゆっくりと流し見る。]
意志ある殺意。
私はそれを決して否定しない。
―――故に、私は行かねばならない。
[声の聞こえる方、歩みはそちらに向けられた。]
我が事ながら、難儀な物だ。
[歩み去る"自分"を見送りながら、
影は静かに地面へと解けてゆく。]
まぁ、良い。
影は静かに、従うのみ……だ。
ありがとう!ツキシロさん。
[会見室は、ここからかなり遠い。早くしないと間に合わない。彼はこんな事になるなんて思ってただろうか?
剣を抜き身にして走り出した。]
── 都庁 《HOPE》司令室 ──
[《HOPE》への協力を申し出てくれたツキシロに、安堵の笑みを見せる。]
志願してくださったのはあなたが最初です。
これからも──協働の輪が広がってくれるよう頑張ります。
ええ、同じカウンターで珈琲を。
それが当たり前であるように。
[ツキシロの口から風薙の名を聞けば、ひとつ頷く。]
ええ、彼もメンバーのひとりです。
あなたのことを報告してきた後は、現場を離れたようですが、連絡手段がないわけではありません。
[ツキシロに、風薙が公開しているコールナンバーを教えておく。
そこにメッセージを入れておけば、気づいたら折り返し連絡をくれるだろうと。]
議事堂……ってことは、このままじゃ議事堂もいつやられるかわかんないってことじゃないの!
[各所では炎が上がる。つい先程蚊の羽音が聞こえたことも踏まえれば、今この都庁ですらもう人間爆弾が至るところにいるだろう。
それでも尚、今この都庁に時間を割いている訳にはいかないというのか。]
馬鹿は嫌いなのよッ!
変身-メタモルフォーゼ-!!
[左眼が光る。皮膚が硬化するかのように、白い装甲が女を包んだ。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
[踏み込む直前、僅かに見えた首を傾ぐ仕種。
それへの戸惑いは、僅か、剣筋を乱す。
そこに回避の動きが重なり、打ち下ろした一撃は、女の肩へ、それから腰へと滑り落ちる。
また、ぴしり、という音がしたが、それは勢いを増した焔の音をかき消されて届かない]
……っ!
ねーさんっ!
[斃れる姿に、声が上擦る。
殺したいわけじゃない、死んでほしいなんて思っていない。
一度、探すのを諦めはしたけれど。
だからと言って、抱えていたものが消えているわけではないのだから。
緋色がアラートを歌っているが、そちらは今は、意識に入らなかった]
[そして、告げられた延栄満の名には、すぐさま反応した。
検索ワードを打ち込む間も、視線はツキシロから離すことはない。]
「ナジームの活動の鍵」ですか。
今回の事件に限らず?
それは──貴重な情報だ。
一度、公園にナジームらしい人物がいると、警察にタレ込みがあった後は、ナジームに関する情報がぷっつり途絶えていたんです。
助かります。
[リヒタル・ゲゼッツが悠然と炎の中を歩んでくるのを見つければそちらに身体を向ける]
ゾンネ……いや、リヒタル・ゲゼッツ。
あの時にお前とは決着をつけるべきだった。
どこかで俺はまだお前を信じていたかったのかもしれない。
もしかすれば、と。
だが――
人々を無為に殺戮するその行為、万死に値する。
[電子音に促されて画面を見た宮古の表情が変わる。]
延栄満。韓国籍。
政界へ多額の献金あり──
本日、来庁予定がありますね。
もう、来ていますか。
[「さっき、こいつに似たやつが都庁に入ってきたのを、見た」というツキシロの証言に、正面玄関の防犯カメラの映像を転送し、来庁記録と照らし合わせて時間を遡る。
データにあるとおりのつり目でえらの張った男は確かに延栄満だ。
だが、それより──
ボディガードなのか。
すぐ後ろに付き従う、彫りの深いエキゾチックな容貌の黒服は…]
──… !!
[録画だというのに、視線があった気がした。
あるいは、その気配は、宮古には捉えられない何かの形で届いたのか。
車椅子の肘掛けをつかみ、思わず背を浮かす。]
[ツキシロの声がかぶさる。
「ナジーム・ラシュディ。やつはすでに、――この都庁の中に、いる」と。
予告めいたその声と同時、
爆音が都庁を揺るがせた。]
―― 喫茶『ヒバシラ』 ――
[鋼の華は、おんなの心臓。
雨雲の下、炎の猛る世界の中で、ひとつ、脈打った。]
[おんなは動かない。体も、指先一つ動く気配は無かった。
呼びかけに応えるように現れたのは、チェーンの刃。
炎の飛沫を舞わせながら、おんなの体の内より生まれる刃。肉を食い破る音と共に、十数本の刃が咲いた。]
[男へと向かう刃は、おんなの体からだけではない。
瓦礫の下から、大蛇のように次々とチェーンが増える。
それはさながら――炎の森を、男ごと飲み込まんとする、鋼の森の大海嘯。おんなの駆動が堕ちたことで、狂気と悪意だけが具現化した災厄の襲来。]
私が万死に値する罪人……か。
もしそうならば裁きを下すが良い。
裁かれぬ法に何の意味がある。
[炎の中。
揺光を纏いながら天使の如き姿をした者は
まるで翼を広げるかのように腕を広げた。]
もし、この世の誰も私を裁けないというのならば
この私こそが……
"光の法"であるという証明その物だ。
[会見室に向かうらしいリントブルムに延栄満を任せ、脱出経路の確保を図る。
とはいえ、ナジームの関係者を外に出せば事だ、瓦礫の撤去と消火には最新の注意を払わなければならない。]
せい、やぁっ!
[まずは洗面所、給湯室、諸々の水道を壊していく。
蹴り壊しきれなければ、そのへんの瓦礫をひとつ手に、鉄より硬くし水道管に叩き込んだ。
吹き出す水は、制御する電気系統を破壊されたスプリンクラーよりは消火に役立つ。
未だ爆撃の被害を受けていない箇所も、水に濡れれば炎を威力を弱くするだろう。]
[延栄満に関する情報と、防犯カメラの映像、ツキシロが口にした「議事堂の爆弾」まで含めたいっさいのバックアップデータを外部アーカイヴに転送する。]
都庁のサーバーが破損した場合は、このアーカイヴから情報を引き出してください。
[一見、冷静な初動だったが、宮古は唇を引き結んでいた。]
[予備電源か、まだスクリーンはついている。
そこに示される赤いランプ──爆破地点。
各階をつなぐエレベータや主要な通路が標的されている。
さらに、炎を感知した防火シャッターがエリアを寸断していた。]
ナジームはどこにいる──
[都庁の構造を把握した的確な爆破。
それをやってのけるナジームなら、標的の前にすぐに現れることもできるはず。
それをしないとなれば──人間爆弾の設置を、蚊の蔓延を待っているのだろう。]
正直なところ、戦闘のターンにまじめに参加するのは最期だけでいいと思っている。
切り札というか、まじめに派手なことは一個くらいしかできやしない。
だからこういう日はゆるり様子見でいいじゃまいか。動きにくいし。
全庁放送で来庁者・職員と議員の避難誘導と護衛にあたってください。
外へ出たなら、風薙さんと雷さんに連絡を──
[指示しながら、司令室を除く、庁舎全区画で消火液スプリンクラーを作動させるべくコンソールを叩く。
消火のためではない。
蚊を落とすためだ。
だが、制御する電気系統を破壊されていて、使い物にならないとわかった。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
[呼びかけに答えはなく、目に入ったのは、鋼の華の微かな震え。
それが脈動──とは、知る術もなく]
篝ねーさっ……!
[再度の呼びかけを遮ったのは、刃の鎖の動く音。
一つふたつと数える暇もなく、それは数を増やして]
……て、ちょ、まっ……!
[進む道は、塞がれている。
振り返れば、退路も危うい]
何がおきてんだよ、これっ……!
[進みたい、進めない。
手を伸ばしたいのに伸ばせない。
何より、ここにいるのは危険に過ぎる]
……ちっ、きしょ……!
[吐き捨てる声に宿るのは、苛立ち。
駆動系に充電を回し、炎の森から文字通り転がり出る事で、すぐさま飲み込まれることだけは、避けた]
―都庁/応接室―
いい身分だな、貴様。
[傍らには延栄満が「何者か」を踏みつけている。
シンドバッドはそれを見下ろしている。]
「老害」と称され、誰も望まない政策ばかり。
貴様……何様のつもりだ?
[それは新たなる「人質」。]
はぁはぁ…、頭が…、痛い。
[どれぐらい走っただろう?階段を走って降りて行く。
キーンという音がさらに大きくなる。
階段を出て通路に出ると、遠くに黒い服を来た男がいた。
こちらを見て、一瞬ニヤリと笑ったかと思うと…]
!!
[爆発した。瓦礫が四散する。そしてものすごい爆風。爆心には何もない。泣きそうになりながらも、応接室に向かう。]
[白竜騎やフロウディアらは都庁を闊歩すれば、
黒服の男たちと出会うだろう。
彼らは自発的に体温をあげて自爆するのだが、
その位置情報はもちろんシンドバッドに伝わる。
緑色の点が消えたとしたらそこで出会うからだ。]
………ほう、面白いくらいに策にはまってくれる。
自分から「司令室の場所」を教えてくれるとは。
[緑の光が消えた道筋。それを辿れば自ずと。]
―― 喫茶『ヒバシラ』 ――
[飛び退く男に、刃の波はそれまで男がいた場所を削り取った。瓦礫も、そこに立っていた炎すらも一時的に掻き消える。
おんなは、動かない。
己の内側から生まれた刃、そして男が切り裂いた傷口から這い出るように、ずるりと"産まれ出た"。
歪な羽を持つ、スクリューのような金属片。
宙へと浮かぶそれは、おんなの背から、腕から生える供給管によって接続された。
炎の海から、おんなの体から生えていたチェーンが
スクリューへと集まり、巻きついていった。]
[かなり大回りさせられた。
通路を走り、その奥にあるのは応接室と書かれた一室。入り口には細工の施された大きな扉がある。]
延栄満、大人しくしなさい!
[勢いよく扉を開けた時に見えたのは…>>214
もしかして…、延栄満が会見していたのは…]
卑怯よ、その人から足を除けなさい!
[―――白の異形が姿をあらわす。]
―――ミヤコさん、
あんた、動けるのか。
[宛てなく駆け出しても思う壺か。
コンソールを叩く司令へ、
顔を向けた。]
―― 喫茶『ヒバシラ』 ――
[回転を始めるスクリュー。
巻きついたチェーンはじゃらじゃらと忙しなく鳴る。
回転量が増えれば増えるほど、チェーンは軋み
速さが増せば増すほど、刃は悲鳴を上げる。
チェーンの連結部は、スクリューの遠心力に耐えられず
少しずつ引き伸ばされ、そして
スクリューに巻きついていた刃が、ばらばらに爆ぜた。
連結から解放された刃達が、弾丸となって射出される。
さながら機関砲のように、破壊は空間へ膨れ上がった。]
良いだろう。
だが私の"内なる影"は……
素直に踏まれているほど甘くはないッ!
[ザ……と、地を踏みしめると同時。
リヒタルの周囲に浮かんでいた揺光は
その腕へと集い強い輝きを宿す。]
―――……ッ!
[眼前へと迫り来る鋭い蹴り
それを左へ受け流そうと、光の宿る腕を前へと出す。]
卑怯?妙な言い方をするのだな。
戦争においてはあらゆる戦術が許されるのだ。
[延栄満はその白い影の後ろに隠れる。]
お初にお目にかかる。「我々」がシンドバッドだ。
我はその指導者、ナジーム・ラシュディ。
[「我々」という言葉とともに、赤い半球が開き
多くの蚊が放たれていく。
「我々」とはシンドバッドというNEXT自体の一人称。]
[ヴィクトーリアが、延栄満を見つけに行くと宣言する。]
では、知事らの安全確保をあなたに頼みます。
危険が迫ったら、ここへは戻らず、外へ。
["フロウディア"へとメタモルフォーゼしたロージアとツキシロにも、そう告げる。]
[事務的な指示を出しながら、ヴィクトーリアの髪にかすめるように指を伸ばした。]
プリッツェルン、楽しみにしていますよ──ヴィッキー。
折角だが「我々」を貴様らの司令と会わせてもらおう。
この男では話にならないのでな。
[そう言って、延栄満の踏みつけていた男の首根っこを掴んで起こす。
その顔は蚊に刺されてボコボコになっていたが、
紛れもなく東京都知事であった。]
もう我の爆弾の正体は掴めているのであろう?
―……見ての通りだ。「我々」を案内するか、
この男の命と引き換えに我を殺すか。選ぶといい。
[モスキート音が聞こえる。]
[顔も性別もないような白い姿に変じたツキシロの、動けるか、の問いに宮古は首を振る。]
残念ながら、廊下の惨状は、<東風>のホバー機能を使っても走破が難しいと思います。
[苦渋に目を細める。]
ナジームを呼び寄せる方法でもあれば…
もうお前との問答は終わりだ。
お前と分かり合える事は何もない。
[特殊な能力を通していないただの蹴りはいとも容易く受け流される]
ぐッ……。
[光を纏ったその手に触れられただけで光の発する熱に焼かれ絶縁体の皮膚が焼け爛れる]
光か、厄介な属性だ……。
[赤い半球から蚊が飛び出して来る。
大量の蚊は嫌悪感を抱くのに十分な量。振り落とそうとするもなかなか上手くはいかない。]
そうよ、卑怯よ。
あなたは、人質を取らないと何も出来ない弱虫よ。
[蚊を振り落としつつ、それでも気丈に振る舞う。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』 ─
な……なんだ、あれ?
[炎を抉り取った一撃、それを避けられた事に安堵の息を吐いたのも束の間。
現れ出でたそれに、思わず上がるとぼけた声。
巻きついていく鎖に、何となく嫌な予感を覚えた]
……よりによって、曇ってきてる、し……。
[ちら、と空を見て、呟く。
ここはどうするべきかの判断がつかない。
理性と感情のバランスが取れていない。
迷いの中、鎖の軋む音が響き──]
ちょっ……ありか、そーゆーのっ!
[爆ぜた鎖、飛び散る刃。
とっさに出来たのは、駆動に全エネルギーを回し、跳び退く事。
同時、飛来する刃を可能な限り剣で叩き落すが、追いつかずにいくつもの刃が身を掠めていく]
このっ……。
[苛立ちを込めて吐き捨てつつ、大きく剣を振るって複数を防いだ直後。
澄んだ破砕音が、周囲に響いた]
んなっ……。
[手の中の質量が、一気に軽くなる。
それが何を意味するか、理解するのは──嬉しくはないが、容易かった]
ちっきしょ……おっとお!
[舌打ちしつつ、全力で後ろへと後退する。
先に飛び込んだ喫茶店からは、だいぶ距離が開いていた]
[しかし、人質を取られてしまえば何も出来ない。
最悪な事に、都知事の身体は爆弾に変化れている…。
これが、戦場で生きてきた人と、平和な世界に暮らしてきた人の違いなのか?]
…、分かりました。案内しましょう。
―都庁―
[ツキシロの響き持つ声は
次に発した時には性別不詳の音に変わり]
《―――…そう、か》
《おれは、誰かを転移させることはできなくはない。
だが手段としては危なすぎる》
[スクリーンに映った
惨状に舌打ちする。]
《―――おびき寄せて策はあるんですか》
そうか?
少なくとも……私と君で、
奇しくも一致している心情があると思うがね。
―――目の前のものは、打ち倒すべきだと。
[相手から苦悶の声が漏れれば、
今度は此方の番と指先は眼前の敵へ。]
私の憎しみの顕現、
全てを焼き尽くす永久の憎悪。
私の光をかき消すのは容易ではないぞ!
[指先から、幾筋かの光が相手を穿とうと放たれる。]
良い心がけだ。我は貴様ら日本でぬくぬく育った
NEXTの何倍も何十倍も何百倍も死線を潜り抜けてきた。
貴様らが「我ら」に及ばないのは
―……死と背中合わせの実戦が圧倒的に足りないからだ。
そんな「お嬢様」に卑怯と言われても、心は動かんよ。
[そう言うと、司令室まで先導させる。]
―― 喫茶『ヒバシラ』 ――
[喫茶店は炎に消えて行く。
柱が焼け折れ、天井が落ちる。
喫茶店の入り口、火災の中では、新しいチェーンの刃が生まれ、炎の海に森を作っていった。
鋼の森に遮られ、おんなの体は見えない。
『ヒバシラ』の看板が落ち、店の全てが業火に巻き取られて逝く。何かに引火したのか、厨房の辺りから新たな爆発。
チェーンの森も、おんなの体も
炎の瓦礫の向こうに消えた。]
[水道管を壊す間、黒服の男には二度会った。
彼らはどちらも、こちらを見るなり何かを噛み潰し爆発する。]
っ――!
[耳をつんざくような爆音と爆風。風は濡れた瓦礫を巻き上げ、そしてそこには"何も残らない"。]
どうして……
[炎は湿気た一帯には強くは広がらず。その分、弾けた人体の撒き散らした血と肉片はありありとそこに残る。
歯噛みする。蚊に寄生されて無意識のうちに起爆されるのとは訳が違う。自ら進んで、彼らは死と破壊を選んだ。]
……!
[理解出来ない、と苛立つままに、また管を蹴った。
ただ、冷たい水が吹き出すばかり。]
[ナジームのいう事は悔しいけど現実だった。
彼を逮捕しよう、など考えていた自分は所詮甘いのだ。
彼は死ぬか生きるかの二択しかない世界で生きていた。私とは違う…。]
ここよ…、もう知事を離して!
[かすれた声で言い、司令室の前に立つ。]
なるほど、それは一本取られたな。
[リヒタルの指先から迸る光の線に身体を庇うように腕を交差させ、身を低くさせながら突進]
かき消す必要なんてない、光に向かいて光を切る!
[身体を光の線で貫かれながらも距離を詰め掌に雷を宿して手刀を振るう]
まだだ。「我ら」は貴様らの司令にのみ用がある。
―……部外者には出て行ってもらおうか。
[などと言っている割に、自分は黒服や延栄満を
引き連れている。都知事は相変わらず人質に取られたまま。]
ナジームの爆弾の起爆信号は電磁波のようです。
このOAエプロンを頭からかぶせることができれば、一瞬、電磁波を遮ることができるかもしれない。
ともあれ、彼に接触できる隙を作れれば、と思っているんです。
接触せずとも、数メートルまで肉薄できれば──起爆機能を無力化する策はあります。
永久に、というわけにはいかないかもしれませんが。
それに、彼自身を無力化することはできません。
彼の動きを止めるためには、"リントブルム"や"執罰のフロウディア"、あるいは"TYPE-blade 焔鬼"のような攻撃力がないと…
ここで倒しきれなければ、あなたの力でナジームを弾き飛ばしていただく他はないかもしれません。
─ 喫茶店『ヒバシラ』近辺 ─
[飛び退いた着地点は、丁度、愛車を乗り捨てた近く。
ちら、とそちらを確認した後、一際大きな爆発音にはっ、と視線を戻した]
……っ!
[揺らめく炎。
一瞬見えた、鎖の森もその内に飲まれる。
思わず、呆、とするのを我に返らせたのは、駆けつけた警官と、消防隊員の声で]
……ダメだ、不用意に近づくな!
あれ、単なる爆発事故じゃないから!
まず、避難誘導を優先させて!
消火活動は、できるだけ距離開けて!
[事情をどこまで説明するかは難しいが、先ほどの刃の雨を向けられたなら、彼らでは一たまりもない。
我ながら無茶を言う、と思いながらも指示を出し、それから、喫茶店──既に跡地、というレベルだが──の方へと目を向けた]
[外が騒がしい。
それは、ストレートに危険を意味する。
宮古はブーストを装着して顔を覆った。
司令部の机を壁際に吹き寄せ、車輪とホバーの駆動でも動き回れる広さを確保する。
通信回線をオープンにし、それをツキシロに伝えた。
ロージアが地下室からSOSを伝えて来た方法だと。]
―都庁:司令室―
[差し出されたOAエプロンを受け取りながら
これはなんなのだろうと顔を向けた]
《……――電磁波?
嗚呼、まさか――それで》
[ひとり、合点がいったように呟く。
老人たちが倒れていたのは――体に埋め込まれた
治療用の機器がそれによって乱されたためなのかと]
《…… 接触できる、隙。
策があるならば、遮れるよう動きます》
[facelessの機動力は随一、
だが攻撃力は高いわけではない。
適材適所で動ければ、一番よいのだが――とは、思いながら]
どこまで卑怯なの…。
[そんな事言われても、ナジームには何も感じないだろう。
悔しさに顔を歪め、扉を開けようとする。]
[振るわれるは輝く刃。
相手を穿つべき光の矢は、
雷纏う手刀によってその輝きを容易く失う。]
……雷、か。
君もまた、ある種の光を操るのだな。
[その様子を眺めながら。
紅い瞳は改めて雷の戦士を見据える。]
髪の色、瞳……そして力。
まるで出来の悪い鏡の様だ。
いや、だからこそ……
ここまで立ち位置が対極になると言えるか。
《――!》
[廊下に気配。
ツキシロにとっても聞き覚えの在る声がする。
風が机を吹き飛ばしていく。
通信回線がオープンされたことを聞き、
ひとつ頷いた。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』跡地・近辺 ─
……ついて、ねぇ。
[装着の強制解除と、それが残した疲労感に低く呟く。
警官が大丈夫ですか、と問うのには、なんとか頷いた。
充電は空、太陽光も宛に出来ず、何より──剣が、砕けたのは、痛い]
っとに、この、非常時に……!
[《TYPE-blade》の剣──『鬼神剣』は、特殊合金利用の特注品。
キア曰く、壊れたから、とすぐに修繕したり複製したりできるものではない。らしい。
特急作業で頼めば、どうなるかはわからないが]
ご自身も瞬間移動ができるのであれば、あなたは姿を隠しているのも手ですね。
[ツキシロに告げ、開かれようとしている扉に向き直った。]
[ひと通り近場の水場を考えられるだけ破壊し、延焼を防いだ上で、付近の瓦礫を撤去していく。
一部は端に除け、道を作る程度に留まったかもしれない。それでも、中に残る都職員を外に出すには十分だったろう。
壊れたロッカーの扉をひとつ外す。炎熱で溶けぬほどまでに硬化を施せば、即席の防火盾としてそれなりに役立った。
黒服がこちらを見るなり爆発を図るのは逆にありがたい。
自ら弾け飛ばないのが"都職員"だと判断できたからだ。
盾を手に路を守りながら、彼らを外に逃す。]
リントブルムッ……?
[その頃。
幾人もの黒服とNEXTを先導してきたリントブルムが、本部へ向かう。]
[扉を開けた時に見えたのは、ブーストに身を包んだ司令官の姿と、白のNEXT。]
ごめんなさい…、知事が人質に取られていて…。
[肩をがっくり落として呟いた。]
ナジーム…、シンドバッドは司令官に話があるとの事です。
部外者は外に出るように、とのことです。
[悔しさで声が小さくなる。それだけ言って、表に出ようとする。]
[白のNEXTは姿を隠した。]
司令官、申し訳ありません…。
[ここは、自分がいても何も出来ないだろう。
自分の無力さを感じ、部屋を出た。]
―都庁/司令室―
ご苦労だったな。望み通り都知事は返そう。
[白竜騎よりもかなり前方にシンドバッドを
始め黒服、延栄満たちは立っていた。
そして、彼女の方へ向けて都知事の身柄を投げ―]
…………カチッ。
どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!
[彼女は都知事を受け止めようとしたのだろうか。
彼の身体は爆音とともに四散し―
司令室の前が瓦礫に包まれる。そこは外界と隔絶される。]
[その手刀の鋭さは、再び受け流そうとしていた
リヒタルの腕の光を容易く切り裂く。
先ほどの結果とは逆。
纏っていた光は霧散し、一歩二歩と後ろへ下がる。]
―――侮っていた、わけではないのだがな。
何時の世も、意志とは想定を軽く覆す、か。
だが、勝敗を覆すまでには至らん!!
[切り裂かれた腕とは逆、
左の腕に宿る光が、雷を貫こうと拳を突き出す。]
ふん……。
NEXTを愛する貴様とNEXTを憎む俺。
愛憎は表裏一体なんて言葉もあったか。
どこまでも互いが反発せざるを得ないな。
[身体を庇ったことによる両腕の被害が大きく黒い肉体に血がぬらぬらと滴る]
全てを照らす光に比べれば、
闇を一瞬切り裂く事しか出来ない雷では本当に出来の悪い模倣品でしかないな。
……本当は分かっていた。
お前にとってのスイッチが人の悪意だったように。
俺にとってのスイッチはお前だったんだろうと。
そんな俺もきっとお前に重荷を背負わせていた存在なんだろう。
だから俺は終わらせる必要がある。
[腕を使った必殺技は現状のコンディションでは放つ事は出来ない、となれば――]
さて、これで邪魔者は入らない。
宮古―……といったか。
「我々」はシンドバッド―ナジーム・ラシュディ。
[彼の前に立とうとする黒服たちを制し、
車椅子のブーストに向かって右手を差し出す。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』跡地・近辺 ─
[進められる避難誘導と消火活動の様子を見つつ、先に連絡を入れるのは、『Blaue Flamme』東京支部。
剣の事を考えての判断──だったのだが]
『エンーっ!? アンタ、どこにいるのよーっ!』
[通信越し、返って来たのはキアの素っ頓狂な声だった]
え? どこに……って。
『さっき都庁で爆発あったり、連絡取れなくなったりで、こっちてんやわんやなのよ!? 一体、アンタ、どこで何してたのよっ!?』
ちょ、なんだよそれっ!? で、状況は……。
『それが把握できてないから、てんやわんやなんでしょおがっ!』
……ごもっともです。
あ!
[投げ出された知事を受け止めようとするが、その前にその身体は四散した。爆風で身体を吹き飛ばされる。]
!!
[目の前には爆風で生まれた瓦礫の山。瓦礫の山は扉を塞ぐかの量で、中の様子をうかがい知る事は難しそうだ。]
宮古さん…。
[痛む身体を動かし立ち上がる。]
相手の動きを封じる事ばかりだなぁ。
その人がどうしたいって、なかなか分からない。
読込が足りないといわれたらそこまでなんだけど…。
―都庁―
[――跳躍する、刹那 爆発音が響く。]
《―― な ッ!?》
[2度に分けて跳ぼうとした距離を
1度で止めて。瓦礫の上に降り立った。
飛び散った臓腑が床に奇妙な文様を描いて落ちる]
《――おい!…無事かッ》
[吹き飛ばされながらも起き上がる騎士に
顔なき顔が声を向けた]
[ツキシロの白が消える。
どこか異次元にいるのだろうか…そんな疑問が頭を掠めた。
が、扉の向う、視界に入るのは別の白と白。
そして、取り巻きと──人質。]
"リントブルム"、あなたはここまででいい──
[言葉をかけるのと同時に、知事が爆殺され、司令室の壁が崩れる。]
ふん……。
NEXTを愛する貴様とNEXTを憎む俺。
愛憎は表裏一体なんて言葉もあったか。
どこまでも互いが反発せざるを得ないな。
本当に出来の悪い鏡のようだ。
[身体を貫く光を切り裂き、リヒタルの腕をも裂けば即座に攻撃を受けられるように構えを取る。
省みれば身体を庇ったことによる両腕の被害が大きく黒い肉体に血がぬらぬらと滴る]
当然だ、俺は既に死んだ身体をここまで保ったのだから、な!
[リヒタルを切り裂いた雷の刀で光の拳を受けようと正面に掌を突き出す、が――]
─ 喫茶店『ヒバシラ』跡地・近辺 ─
[常から良く喋る技術者娘には言い負ける事が多いのだが、今は疲労と傷の痛みで更に分が悪くなっていた。
それでも、どうにか気を鎮めたらしいキアに、現在の自分の位置と、剣の事を伝える。
『あとで覚えときなさいよ』という低い声を最後に通信は途切れ、はあ、と息を吐いた]
に、しても……一体、何が……。
とにかく、こっちからは通信回線開けとくか。
[都庁の事も気になるが、この場を一般の警官や消防だけに任せて行くわけにはいかない。
ブーストは使えずとも、一般人よりは動けるはずだから、と。
避難誘導と消火活動が落ち着くまで、その場に残った。
動けるだけの余力に疑問があった事と。
鎖の森の向こうに消えた女の事が気にかかるから、というのも、その理由として上げられるのだが]
ぐあっ!?
[その簡易な雷の盾はいとも容易く光の拳に突き破られ、掌を潰される]
なる、ほど……。
所詮、雷は光と違って暗闇に一瞬だけ輝ける幻。
常に世界を照らし続ける光の足元にも及ばないか。
どうやらこんなところまで出来が悪いようだ。
[自嘲気味に笑いを漏らしながらも、再びリヒタルへ構えを取る]
ならば、やる事は一つだ。
俺がお前の暗闇を払える雷たるや、確かめてみろ!
[雷を纏い、踵から放出させ空高く舞い上がり、空中でとび蹴りの構えを取る]
ライトニング・スラッシュ!
[そのまま全身に眩く強い光を纏わせながらリヒタルへ向けて蹴りを放つ]
──…、
[目の当たりにした凶行に瞬時、息をつめた<東風>のすぐ前まで、赤と白──この国の国旗のカリカチュアにも似た色彩のNEXTが立つ。]
シンドバッド…ナジーム・ラシュディ。
僕が宮古護です。
[差し出された手を見る。
絶好の機会、あるいは罠か──]
あなたは「戦い方」を心得たムジャーヒディーンだ。
それは認めます。
こんな場でなければ、敬意を表するほどに。
[座った高さから右手を出す。]
[項垂れる様子のリントブルムの様子に、そちらへ数歩歩み寄る。
黒服を先導する彼女、何らか強制されているとしか思えず、様子を伺おうとしたのだったが。
司令室の扉を開け、黒服たちが入室してすぐ。
一人の男が放り出された。
彼女はそれに手を伸ばそうとして――空を切る。]
リントブルム!!!
[叫び声。爆風に紛れたそれは、どれだけ彼女に届いたことだろう。
無事、との声が聞こえれば胸をなで下ろすが。
瓦礫は司令室を埋めている。中にいる宮古をこのままにしておくわけにはいかないと、瓦礫に向かおうとする。]
その言葉、有難く受け取っておこう。
[よほど自信があるのか、それとも礼儀なのか。
紅白のNEXTは差し出された手を迷わず握り返す。
そして、かのブーストと同じ目線に跪く。]
貴様……いや貴殿こそ「我ら」が聖戦に対し
迅速かつ適切な行動をとっている。貴殿らから見てな。
それは我も敬意を抱く。このような名指揮官と戦えたこと、誇りに思う。
雷が放つ刹那の輝き……。
永久なる光の前に掻き消えるが良い!
―――装光……ッ!
[その言葉と共に、傷ついた右腕に再び光が灯る。
されど、それは先刻の物とは様子を違えた輝き。
全てを燃やし尽くすが如き、染まりし極光。]
《ハンズオブ――
永光の……
――グローリー》ッ!!
……腕ッ!!
ごめん…、なさい。
人質を…、知事を助ける事が出来なかった。
[瓦礫に向おうとするフローディアに対し]
中に入って何をするの?
今の私達に何ができるか、それを優先しましょう。
[たとえば、避難する職員の救出。たとえば、国会議事堂に仕掛けられた爆弾の除去。たとえば…]
雷が放つ刹那の輝き……。
永久なる光の前に掻き消えるが良い!
―――装光……ッ!
[その言葉と共に、傷ついた右腕に再び光が灯る。
されど、それは先刻の物とは様子を違えた輝き。
全てを燃やし尽くすが如き、染まりし極光。]
《ハンズオブ――
永光の……
――グローリー》ッ!!
……腕ッ!!
だが―………やはりわかり合うことはできない。
我らはともにNEXTと人類の共存という
理想郷の病理に苛まれている。
しかし、貴殿らは同時に重篤な別の病理を患っている。
[握った手を握り潰したりなどしない。
ただ、本当に敬意を払うかのように。]
道徳で以て融和を図ろうとする因習だ。
そうした因習という病理に罹っている。
―……いつか分かり合えるという「妄念」に。
[思うところがあるのか、彼の声が少し曇って聞こえる。]
─ 喫茶店『ヒバシラ』跡地・近辺 ─
んー……。
[一応、回線は開いてみたものの、耳に届くのはノイズ音。
こちらの状況も良くない、というのもあるのだろうが、そのノイズは嫌な予感を助長する]
宮さんたち、大丈夫だといいけど……。
[そんな呟きをもらしていると、忙しない足音と共に警官が駆け寄ってきた。
ぴし、とした敬礼と共に向けられたのは、近隣の避難誘導と消火作業が一段落した、という報せ]
―都庁/瓦礫前―
《―― …、ああ》
[リントブルムに頷く。
フロウディアのほうを見て]
《壁はおれなら“跳べ”る から》
《それに通信回路は、つながってる。――聞こえるはずだ》
[2人に、それを伝えた。]
ん、お疲れ様、と。
……役所とか、上の方から改めて指示あると思うけど、当面はこの区画、立ち入り禁止にしといて。
俺は、もう少しここで様子見てるから、そちらさんは指示待ちしつつの警戒態勢で、ね。
[無理して作った軽い口調で指示を出し。
立ち入り禁止を示すテープが張られて行くのを、見守る。
それらの作業が一段落した所で、空を見上げた]
…………。
[見上げた空は、お世辞にも、明るいとはいえない]
[敵と話すなと訓示したのは自分だ。
そして、悪でありながら人徳があるこの男と会話を続けるのは危険だと本能がざわめく。
猶予はない。
決行の時だ。]
いつか一緒に、コーヒーを、飲みましょうか。
[オープンにしてある回線──ツキシロに向かって、行動せよとのコールサインを送る。]
[ナジームを逃がすまいと、無意識に手に力がこもった。
ナジームに肉薄した状態で、<東風>のコンデンサ(蓄電器)に負荷をかけて、あえてショートさせ、
その瞬間に発生する局地的な電磁パルスで、ナジームの起爆信号発信機能をスタンさせる──それが作戦の理論。
電磁パルスが影響するのは電子機器だけで、生命にはこれといった害はない。
この部屋の電子機器は壊れるだろうが、データはすべて外部アーカイヴに移した。
携帯の中の、兄妹で撮った写真データが消えることだけは──胸が痛む。
コンデンサが破壊された時点で、成功しても失敗しても<東風>は使えなくなる。
それでも──やる価値はあると踏んだ。]
希望は万人の上に。
僕らは、決して暴力には屈しない。
[フェイスガードの下で静かに唇を引き結び、自分を支える<東風>に自壊を命じる。]
通信が聞こえても…。
[ノイズ混じりに聞こえる別の声…]
『市街地中心部でNEXTが交戦中。
一人はw/w、一人はリヒタル・ゲゼッツ。リヒタルは、市民を燃やし怪我人もあり。応援…
』
[通信が途絶えた?]
私、行って来る。w/wは私達の仲間。助けないと!
[まるでここから逃げるかのように、走り出す。無力な自分が恥ずかしい。誰も死なないで、そう願いながら。]
[激突する白と白。
眩いばかりの光を放ち合い、焔の赤と光の白でまるで街中に昼間が戻ったかのようになる]
うおおおおおおおおっ!
[文字通り全身全霊の雷の力を込めてさらに勢いと激しさを増して一瞬ゾンネの攻撃を押したかに思えた、が――]
[炎の中、大粒の雨が降り注ぐ、不純物の混じった水は雷を吸収して拡散させる]
何!?
しまっ――
[雷という装甲が剥がれ、ぶつかり合っていた力が逸れる。
リヒタルの技が腹部に直撃し、無様な体で空に再度舞い上がる]
がはっ……。
[光の力で腹部に穴が開き、口から血が溢れる。
そのまま地面に落下すれば変身が解け吐血の量も増える、さらに技の反動で全身が痙攣を起こし、雨の中ですら身体から煙が燻っている]
俺の、負け……か。
―………どうした?何か考えているのか。
[不自然に籠る力に何らかの違和感を感じたのだろうか。
恐らく何をやろうとしているのかまではわかってはいない。]
―……やってみろ。ここで我を討てれば貴殿の勝ちだ。
貴殿の一撃…甘んじて受けよう。起爆もさせぬ。
[本当に抵抗する意思がないのか、跪いたまま
逆に宮古の手を強く握り返す。離れない意思。]
貴殿の志と「我ら」の志―……勝負だ!!
[現場の作業が完了する頃には、どうにか身動きは取れそうだった。
完了を伝え、敬礼をして去っていく警官を見送った後。
立ち入り禁止の境界線を、一人、越える]
……ま、あんな派手技、何度もこないと信じて……と。
[もし宛が外れたら確実に死ぬな、とわかってはいるのだが。
このまま、立ち去る気にだけはなれなかったから、ゆっくりと歩みを進める]
……ん。
降って来た、か。
[先ほどから、その気配はあったのだが。
本格的に落ち始めた雨粒に僅かに眉を寄せつつ、瓦礫の山へと近づいて行く。
動くものの気配は、感じない。
炎の鎮まったその場所は、言いようもなく、静かだった]
[夜の闇で染まる街中。
それを切り取る光同士の鬩ぎ合い。]
――――――……ッ!
[強まる雷鳴。
その猛る勢いは傷を負った右腕では荷が重い。
少し腕が押し戻されたかに見えた瞬間……
―――相手の力が、弱まる。]
[瓦礫の山と化した都庁内をくぐり抜け、外に待機していた福祉車両に飛び乗る。]
中央街へ向かって!仲間がピンチなの。
人を怪我させないよう、時速200kmで急いで!
[福祉車両の運転手は、またかと思ったかもしれないが、慌ててエンジンを起動させ車を急発進させる。
外は雨が降っている。間に合うだろうか…、いやな予感がする。]
でもっ……宮古が!
[何ができる、とリンドブルムは言う。
出来ることは目の前に見えている、とばかり、瓦礫を退けようとした。
しかしそれを白の――facelessが止める。
跳べる、そして通信がつながっている、と言われれば、それを受信することでひとたび、手は止めた。
声は聞こえる。無事であることを把握すれば、悔恨自責と共に瓦礫をひとつ蹴った。]
――避難誘導、再開しよっか。
[低い声でそう告げる。
経路は確保している。そう難しくなく行えるはずだ。]
[まるで押し込められていたものが解き放たれるように、
光の拳は逆に勢いを強め、敵の腹部を打ち貫く。
静かな雨音の響く中、
どさり、という鈍い音だけが……
不自然なほど、五月蝿く聞こえた。]
――……。
[言葉は無く、静かに姿は人へと戻り。
地面へと横たわる男へと歩み寄る。]
そして、私の勝ち……か。
運というには余りにも口惜しいが、ね。
投票を委任します。
ゾンネ ユーベルスは、シャッテン に投票を委任しました。
[が、それを聞いたかどうか。
別に入るノイズ混じりの通信に、リントブルムは外へと駆ける。]
ちょっ――と、待ちなさいよ!
[言って止まらぬのは重々承知の上なのだが、癖のようになったそれは口からするりと出、そしていつものこと、それは制止にはならずに雨降る野外にリントブルムの姿は消えた。]
あんたがやれることを、って言ったんでしょうに――
[追う選択肢もあったが、かと言って都庁をこのままで放置していく訳にはいかない。
W/Wも《HOPE》に推薦されたNEXTであるなら、おそらく過剰な手助けも要しないだろうと、救助にまた奔走することになった。]
[車がキキーッという音を立て、急停止する。]
…、雷さん!
[そこには、身体から煙を出す雷さんの姿と、立っているゾンネの姿。
慌てて、雷さんのそばへ駆け寄る。]
雷さん、何故?どうして一人で戦うの…、私達、仲間じゃない。
[尋常じゃない量の血を吐く雷さんを抱え、叫ぶ。
空から落ちる雨なんか気にならない。涙が雨と同化する。]
[ナジーム=シンドバッドの自負が立ちふさがる。
受けると。
外から見ただけでは、電磁パルス作戦が成功したかはわからない。
ただ、確かなことは、<東風>がもはや動かないということ。
装甲の役にしかたたなくなった<東風>の解放ボタンを押して、宮古は腕の力だけで、開いた装甲の前面から脱皮するように抜け出す。]
運も実力の、内……と言うだろう……。
ふ、だが……お前の主張は、死んでも認めないが、な……。
それに、少し元に戻る時間が早まった、だけだ……。
俺の身体は、既にNEXT能力の弊害で……ボロボロだ。
[雷のNEXTの特性、常人ではありえない程の高圧電流を全身が駆け巡る。
いくら細胞が強化されているとは言え何度も使えば当然内臓まで焼けるのにはそう時間はかからない]
俺は……お前がスイッチだったんだと、思う。
お前が、人間の味方であれば……。
俺も極端な思想に傾倒はしなかった……。
なんとなくだが、そう思う……。
[ナジーム=シンドバッドの自負が立ちふさがる。
受けると。
見ただけでは、電磁パルス作戦が成功したかはわからない。
ただ、確かなことは、<東風>がもはや動かないということ。
ただの装甲の役にしかたたなくなった<東風>は重い。]
心折れたら負けだよ!
確定ロールかましていても、空気読めない動きしていても…、ああ、ごめんないごめんなさい。
PR村って難しい。ガチも難しいけど、同じようで違う難しさだわ。でも、頑張って食いつかないと!
[解放ボタンを押して、宮古は腕の力だけで、開いた装甲の前面から脱皮するように抜け出す。
床に正座を崩した形で座り、敵の動きを見た。
その右掌には、文具の肥後守を握る。
足の先を失っている宮古は、立ち上がることはできない。
だが、古式武術には膝で移動し、技をかけるものがある。
主君の前で立つことを無礼とした武家の編み出した御留流。
高さは届かない。
ナジームの脇腹に突き立てるべく、膝行で距離を詰め、刃を振り抜いた。]
何か、言いたい事でもあるのか?
戦いの果てにある結果など、判り切っているだろう。
[雨の勢いが徐々に強くなる中。
此方へと向けられた視線を臆する事無く受け止める。]
それとも、この場で戦うかね。
今の私は手負い……、
ともすれば良い勝負になるかもしれないな。
[血が滴る腕を見せ付けるかのように
目の高さまで持ち上げる。]
[ヴィクトーリアに抱えられるとゾンネに視線を送る]
今の戦いは、お前の思想の戦いじゃない。
ただの私闘だ、俺と、お前の。
だから、俺が死んだからとて。
お前の主張に賛同する者が増える事はない。
だが、今日はお前の勝ちだ。
だから好きにすればいい。
俺はコイツと話がある。
[ゾンネを睨みつけるヴィクトーリアにゆるく視線を向ける]
……言っただろう、私達はできの悪い鏡だと。
私が中心から離れれば、君もまた離れる。
つまり、そういう事だったのだろう。
[地に塗れ言葉をつむぐ男を見下ろしながら。
どこか自嘲の色を帯びた声で言葉を紡ぐ。]
奇しくも一致している心情とやらが、
どうやらまだあったようだな。
たとえ死んでも、互いを認めない……という、な。
[視線は雷から外れ、駆け寄ってくる女性へ。]
……何か、言いたい事でもあるのか?
戦いの果てにある結果など、判り切っているだろう。
[雨の勢いが徐々に強くなる中。
此方へと向けられた視線を臆する事無く受け止める。]
それとも、この場で戦うかね。
今の私は手負い……、
ともすれば良い勝負になるかもしれないな。
[血が滴る腕を見せ付けるかのように
目の高さまで持ち上げる。]
/*
なんか宗太郎はこの戦い通じてゾンネを認めた気がする。
やっぱり男の子は喧嘩しないと分かり合えないんだね、めんどくさいね。
―……その程度のもので我を討つと?
[脇腹に刺さるナイフ。しかし、それだけでは彼は倒れない。
白い腕で宮古の首根っこを捕まえて持ち上げる。]
我も甘く見られたな。ただ、その執念だけは評価できる。
―………ブーストを使わずに我を討とうという。
[ナジームは自分が何をされたかに気付いていない。
赤いマスクがノイズがかったようにちらついているkとなど、
彼自身は知るべくもなく、黒服たちの方に宮古を放り投げる。]
[血に濡れた手を見せるゾンネに向かって…]
そうやって血を流して、戦って…。
それで、あなたの心にある憎悪は晴れるのですか?
あなたの理想は、血で血を洗うものなのですか?
今日のあなたに向ける剣はありません。
去りなさい、悲しい人。
[それだけ言って、話がある、という雷さんに顔を向ける。]
[ダストシュートをガコン、と開く。
おそらく外に通じているのだろう。
敵地に侵入するときは、退路まで用意しておく。]
実に残念。実に残念だよ。貴殿ならよもやと思ったが。
[そして、延栄満に一瞥を向け]
延さん……貴様「クスリ」をやっているな?
気付いていないかもしれないが、目を見ればわかる。
瞳孔が開きっ放しだ。我が神はその罪を許さない。
[延栄満が慌てて言い訳しようとすると、制するように]
もはや貴様など用済みよ。
「我ら」にはもっと重大なパートナーができたわ。
ゾンネ・ユーベルス―…貴様などよりよほど高潔な者よ。
……結局、君を殺し損ねてしまった。
[ヴィクトーリアへの一言目はHOPEの司令室で彼女へ紡いだ言葉の続き]
君は、確か……人と、NEXTの共存が夢……だったな。
だが、あれこれと、悩んでいるようにも見える。
これは、死に行くものの戯言だが……。
自分が決めた事は、迷うな。
迷えば夢までの道が消え失せるぞ。
[ヴィクトーリアの主張はあの時の台詞から読み解けた、けれど、どこかその夢への道を迷っているような気がしておせっかいにも言葉をかけた]
[雷さんの手を握り、潤んだ瞳で答える。]
はい…、私、もう迷いませんから。
家族に会うこと、好きな人と音楽を聞くこと…、夢があるのですから。
そこには雷さんも一緒にいて欲しいの。ナタリアさんも一緒に、他の仲間も一緒よ。人間、NEXT関係なく笑い、楽しむ…、だから…。
[言葉の続きは出てこない。]
感動的な言葉だな。
……だが、一つ言っておこう白い騎士よ。
[二人へと背を向けてから、
静かに言葉を続ける。]
……その言葉は、
今この場では最も無力な言葉だよ。
[小さな水音を立てながら
ゾンネはその場を去っていった**]
そうか、なら、いい。
どうすればいいのか、今は道が分からなくても。
胸を張って自分を信じれば、方法も道も自ずと見えてくる。
俺にはそんな世界は似合わないな、血生臭い今の方が俺らしい。
ああ、ナタリア……。
すまないが、代わりにナタリアに伝えてくれないか。
すまない、と。
あれは気丈だから、泣いたりはせずに怒るかも知れないな。
心配ばかりかけて、勝手に死ぬのだから。
[そう語る表情はいつもの険しい顔ではなく、穏やかに笑みを浮かべて]
[猫の子のように首筋を掴まれて引き上げられる。
シンドバッドのつるりとした紅玉髄のようなフェイスマスクに自分が映っている。
不意に白い腕から振られて、身体が投げだされた。
黒服たちがクッション代わりになっていなかったら頭蓋骨を破壊されていた勢いで。
だが、それもインシャラーなのだろう。
激しい衝撃に脳震盪を起こしたらしく世界が歪む。]
…… 、
[あれは──遠くへ、行ってしまった。**]
さらばだ、宮古護。
[ナジームの身体はダストシュートに吸い込まれていく。
そして―………カチッ]
ど……ごん…。
[爆発したのは延栄満の身体だけだった。
規模も小さく、負傷こそすれ致命傷には至らないだろう。
どうやら、黒服たちの爆弾を「認識していない」ようだ。
ナジームは気付いていない**。「異変」に。]
死なないでください…、ナタリアさんが悲しみます。
そんな笑顔を見せないでください、死ぬなんてあなたらしくな…い…
[死期が近づいているからか。優しい笑顔を見せる雷さんの顔が涙でにじむ。]
ゾンネに勝てていたとしても……どの道もう長くなかった。
死ぬ、か……またあの感覚を味わう事になるとはな……。
ああ、なんだか疲れた……やっとゆっくり休める……。
もう……目覚めて、くれるなよ……俺の……身体……。
[口端から一筋血の線が溢れ、すぐに雨に消えた。
血の筋が消えると、ゆっくりと瞼を閉じて、そのまま二度と目が覚めることはなかった**]
/*
実は宗太郎を殺したNEXTはナタリアの父親で、ナタリアの父親も妻が目の前でNEXTに殺されて激昂して暴れてたとか、そんな事を色々考えていたけどどうでもいい設定だった。
─ 喫茶店『ヒバシラ』跡地 ─
[降り続ける雨が冷たい。
焔の色の髪は濡れて力なく。
感じる冷えが、そろそろ戻らないと、と危険信号を発していたが、その場を離れる事ができずにいた]
……どこにも、それらしいものは見えない……って、事は。
[瓦礫の山のどこにも、先に相対していた姿は見つけられなかった。
それが何を意味するのか。
考えられる可能性は限られる、けれど]
…………。
[無言で、ポケットに手を突っ込み、中に入っているものを握って、離し。
それから、水滴を払い落とすようにぶん、と首を横に振って、空を見上げた]
……まだ、わかんねーし。
諦めて、たまるかよ。
[ぽつり、と零れるのは、小さな決意。
一度は諦めて、それで後悔したから。
二度、同じ事をする気はなく]
…………。
[改めて、ぐるり、周囲を見回して歩き出す。
都庁で、そして別の場所で起きた事を知るのは、もう少しだけ、先になりそうだった。**++]
[都職員は、どれだけが満足に生きていただろう。
生存者を探し、外へ誘導するのはついこの間の第9ビルの爆破に強く重なる。
止まぬ爆破の炎に、つく息が重くなる。
電波系統も芳しくないのか、通信はノイズが強くなったあと、暫く前から途絶えている。
宮古が電磁パルスで電子機器を落としたから、とは知らぬまま、しかし出来ることを、と残したヴィクトーリアの言葉守り動き続ける。]
[瞬間。規模はさほどでもないが、聞こえた場所は――司令室。]
――――faceless《カオナシ》!
[跳べる、といった彼を反射的に呼ぶ。
誰よりも早く中へ向かえるのは彼だ。望みを、託す*+*+]
―司令室内部―
[――カキリ。
歯車の音。空間が裂かれ、
爆風の余波残る部屋へと白い異形は現れる。
壁に床に天井に、出来の悪い落書きのように
赤い飛沫が散っていた。]
《ミヤコさん!!》
[叫ぶ。椅子に座ったままの《東風》、
黒服の上に倒れ付した宮古。
もうシンドバットの姿はない。]
[気を失ったらしき宮古の体を横抱きに抱え上げる。
自分がしっかり触れてさえ居れば
共に跳躍しても危険ではないだろう。]
《――、…?》
[そこで、違和感に気づく。
爆発したのは、ただひとり。
あれほどに自ら進んで爆発していた黒服が
爆発することなく、在る。
先ほど大きなノイズが起こり、
通信機器が乱れた。
これが]
《これが “策”…?》
[腕の中の宮古へ視線を落とすが、彼は意識を失ったまま。]
[次に現れたのはフロウディアの前。
小さく息を詰める。
自分以外の誰かの分まで
座標を違わず“跳躍”させるのは
まだ慣れぬせいもあり負担が掛かるようだ、と
再度自らの身をもって確認する。]
《――シンドバッドはもう居なかった》
[事実を告げる。]
《だが 黒服は爆発していなかった。》
《――ミヤコさんの謂っていた“策”は、成ったのだと、思う》
《ミヤコさんを病院へ》
[フロウディアへ確認する。
できる限り、宮古に衝撃を与えぬように
しっかりと抱えたまま
可能な限り早く下にたどり着くために
再び“跳躍”した。
黒服の生き残りが在ったとしても
もう、シンドバットが直接認識できない限りは
爆発しないのであろう。]
[1]
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