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―司令室内部―
[――カキリ。
歯車の音。空間が裂かれ、
爆風の余波残る部屋へと白い異形は現れる。
壁に床に天井に、出来の悪い落書きのように
赤い飛沫が散っていた。]
《ミヤコさん!!》
[叫ぶ。椅子に座ったままの《東風》、
黒服の上に倒れ付した宮古。
もうシンドバットの姿はない。]
[気を失ったらしき宮古の体を横抱きに抱え上げる。
自分がしっかり触れてさえ居れば
共に跳躍しても危険ではないだろう。]
《――、…?》
[そこで、違和感に気づく。
爆発したのは、ただひとり。
あれほどに自ら進んで爆発していた黒服が
爆発することなく、在る。
先ほど大きなノイズが起こり、
通信機器が乱れた。
これが]
《これが “策”…?》
[腕の中の宮古へ視線を落とすが、彼は意識を失ったまま。]
[次に現れたのはフロウディアの前。
小さく息を詰める。
自分以外の誰かの分まで
座標を違わず“跳躍”させるのは
まだ慣れぬせいもあり負担が掛かるようだ、と
再度自らの身をもって確認する。]
《――シンドバッドはもう居なかった》
[事実を告げる。]
《だが 黒服は爆発していなかった。》
《――ミヤコさんの謂っていた“策”は、成ったのだと、思う》
《ミヤコさんを病院へ》
[フロウディアへ確認する。
できる限り、宮古に衝撃を与えぬように
しっかりと抱えたまま
可能な限り早く下にたどり着くために
再び“跳躍”した。
黒服の生き残りが在ったとしても
もう、シンドバットが直接認識できない限りは
爆発しないのであろう。]
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