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[ダストシュートをガコン、と開く。
おそらく外に通じているのだろう。
敵地に侵入するときは、退路まで用意しておく。]
実に残念。実に残念だよ。貴殿ならよもやと思ったが。
[そして、延栄満に一瞥を向け]
延さん……貴様「クスリ」をやっているな?
気付いていないかもしれないが、目を見ればわかる。
瞳孔が開きっ放しだ。我が神はその罪を許さない。
[延栄満が慌てて言い訳しようとすると、制するように]
もはや貴様など用済みよ。
「我ら」にはもっと重大なパートナーができたわ。
ゾンネ・ユーベルス―…貴様などよりよほど高潔な者よ。
……結局、君を殺し損ねてしまった。
[ヴィクトーリアへの一言目はHOPEの司令室で彼女へ紡いだ言葉の続き]
君は、確か……人と、NEXTの共存が夢……だったな。
だが、あれこれと、悩んでいるようにも見える。
これは、死に行くものの戯言だが……。
自分が決めた事は、迷うな。
迷えば夢までの道が消え失せるぞ。
[ヴィクトーリアの主張はあの時の台詞から読み解けた、けれど、どこかその夢への道を迷っているような気がしておせっかいにも言葉をかけた]
[雷さんの手を握り、潤んだ瞳で答える。]
はい…、私、もう迷いませんから。
家族に会うこと、好きな人と音楽を聞くこと…、夢があるのですから。
そこには雷さんも一緒にいて欲しいの。ナタリアさんも一緒に、他の仲間も一緒よ。人間、NEXT関係なく笑い、楽しむ…、だから…。
[言葉の続きは出てこない。]
感動的な言葉だな。
……だが、一つ言っておこう白い騎士よ。
[二人へと背を向けてから、
静かに言葉を続ける。]
……その言葉は、
今この場では最も無力な言葉だよ。
[小さな水音を立てながら
ゾンネはその場を去っていった**]
そうか、なら、いい。
どうすればいいのか、今は道が分からなくても。
胸を張って自分を信じれば、方法も道も自ずと見えてくる。
俺にはそんな世界は似合わないな、血生臭い今の方が俺らしい。
ああ、ナタリア……。
すまないが、代わりにナタリアに伝えてくれないか。
すまない、と。
あれは気丈だから、泣いたりはせずに怒るかも知れないな。
心配ばかりかけて、勝手に死ぬのだから。
[そう語る表情はいつもの険しい顔ではなく、穏やかに笑みを浮かべて]
[猫の子のように首筋を掴まれて引き上げられる。
シンドバッドのつるりとした紅玉髄のようなフェイスマスクに自分が映っている。
不意に白い腕から振られて、身体が投げだされた。
黒服たちがクッション代わりになっていなかったら頭蓋骨を破壊されていた勢いで。
だが、それもインシャラーなのだろう。
激しい衝撃に脳震盪を起こしたらしく世界が歪む。]
…… 、
[あれは──遠くへ、行ってしまった。**]
さらばだ、宮古護。
[ナジームの身体はダストシュートに吸い込まれていく。
そして―………カチッ]
ど……ごん…。
[爆発したのは延栄満の身体だけだった。
規模も小さく、負傷こそすれ致命傷には至らないだろう。
どうやら、黒服たちの爆弾を「認識していない」ようだ。
ナジームは気付いていない**。「異変」に。]
死なないでください…、ナタリアさんが悲しみます。
そんな笑顔を見せないでください、死ぬなんてあなたらしくな…い…
[死期が近づいているからか。優しい笑顔を見せる雷さんの顔が涙でにじむ。]
ゾンネに勝てていたとしても……どの道もう長くなかった。
死ぬ、か……またあの感覚を味わう事になるとはな……。
ああ、なんだか疲れた……やっとゆっくり休める……。
もう……目覚めて、くれるなよ……俺の……身体……。
[口端から一筋血の線が溢れ、すぐに雨に消えた。
血の筋が消えると、ゆっくりと瞼を閉じて、そのまま二度と目が覚めることはなかった**]
/*
実は宗太郎を殺したNEXTはナタリアの父親で、ナタリアの父親も妻が目の前でNEXTに殺されて激昂して暴れてたとか、そんな事を色々考えていたけどどうでもいい設定だった。
─ 喫茶店『ヒバシラ』跡地 ─
[降り続ける雨が冷たい。
焔の色の髪は濡れて力なく。
感じる冷えが、そろそろ戻らないと、と危険信号を発していたが、その場を離れる事ができずにいた]
……どこにも、それらしいものは見えない……って、事は。
[瓦礫の山のどこにも、先に相対していた姿は見つけられなかった。
それが何を意味するのか。
考えられる可能性は限られる、けれど]
…………。
[無言で、ポケットに手を突っ込み、中に入っているものを握って、離し。
それから、水滴を払い落とすようにぶん、と首を横に振って、空を見上げた]
……まだ、わかんねーし。
諦めて、たまるかよ。
[ぽつり、と零れるのは、小さな決意。
一度は諦めて、それで後悔したから。
二度、同じ事をする気はなく]
…………。
[改めて、ぐるり、周囲を見回して歩き出す。
都庁で、そして別の場所で起きた事を知るのは、もう少しだけ、先になりそうだった。**++]
[都職員は、どれだけが満足に生きていただろう。
生存者を探し、外へ誘導するのはついこの間の第9ビルの爆破に強く重なる。
止まぬ爆破の炎に、つく息が重くなる。
電波系統も芳しくないのか、通信はノイズが強くなったあと、暫く前から途絶えている。
宮古が電磁パルスで電子機器を落としたから、とは知らぬまま、しかし出来ることを、と残したヴィクトーリアの言葉守り動き続ける。]
[瞬間。規模はさほどでもないが、聞こえた場所は――司令室。]
――――faceless《カオナシ》!
[跳べる、といった彼を反射的に呼ぶ。
誰よりも早く中へ向かえるのは彼だ。望みを、託す*+*+]
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