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…………… カガリ ………?
[消え入りそうな響き。
メイドは、風に攫われてしまう前に、口にする。
続く言葉も、倣おうと口を動かして――音にはならない。]
……………
………… それは
……だれかの、名前ですか?
[メイドは、首を傾げた。]
─ 住宅街・バス停付近 ─
て、え、と。
[届かせるつもりがなかった呟き、その意を問われて軽く、瞬く。
じっと見つめられて、何となく居心地悪く、がし、と頭を掻いた]
あー……あはは、うん。
あかねぇ……姉貴の、大事な、友達の、名前。
[特に誤魔化したり、取り繕う必要も感じなかったから、答えはそのままに口にする]
いやまあ、気のせいなんだろうけど。
メイドさん、雰囲気とか、似てる気がして、さー。
[ 友人から連絡が来た時のために携帯電話をテーブルに出して置いて、ざっと画面を眺める。
ネットの暇人たちは、僅かな間にネット上に公開されている情報なら何でも拾ってくる。
犯行声明を出したテロ組織の概要から国際指名手配されている犯人と思しき人物が映っているぼんやりした衛星写真。
もしそんな記録(もの)が存在していたら、卒業アルバムの初恋の人の映った集合写真からうまい棒の好みの味まで穿り返して晒すに違いない。]
[豆をひく。]
[あのひと は どっちだろう、とは
喫茶店に訪れる少女たちが
時々話題にしていること。
ノートパソコンを開く、あのひとは
男かな、女かな。素敵だね、そう言って。]
[珈琲を淹れる。]
[満ちる香りを引き連れて、若者の席へと向かった。]
[ かれは周りの無責任な声には一切反応しない。
無遠慮な視線は相手にしないことと学んでからもう随分経つ。
鼻腔を擽る珈琲の芳香で、ウエイターの青年が近付いてきたのを知り、さっとタブを無害なニュース一覧に切り替えた。
もっとも、それも昨日の連続テロ事件がトップなのだが。]
─― 住宅街・バス停付近 ─―
――――。ともだち。
[様子のおかしい青年に、メイドは視線を外す。
手を差し入れたのはポケット。
取り出したのは、紙パックの野菜ジュース。
ご丁寧に、ストローまでさしてある。]
――――。
――――、
ともだち。
アカネ………カガリ。
[メイドは、そっと野菜ジュースをさしだした。]
………
ともだち。
とても、遠い音色です。
秋の夕暮れ、塩辛トンボ。
…………、ともだち、……ともだち……
[メイドは、壊れたテープのように言葉を羅列する。
ずきりと痛んだのは、頭の奥。
掘り返そうとする過去も夢も、澱んだ記憶に邪魔をされて、中々"その場所"へ帰してくれない。
だから。]
ともだち。
私はメイド……です……が。
とても、憧れる気がします。
…………飲みませんか?
[メイドは、まっすぐと見つめたまま、野菜ジュースを差し出している。言葉の意味は、決して続いてはいないけれど――。]
―喫茶:月の猫―
[――詮索される側に属する自分としては
黄色い声は騒音以外の何者でもないのだが。
スーツの若者はクールだ。]
おまたせいたしました。
[静かに言って、珈琲を置く。]
――…、
[図らずも目に入る、
テロのニュースサイト。]
…酷いものですね
[ぽつ、とだけこぼした。]
─ 住宅街・バス停付近 ─
[羅列される言葉に、瞬きひとつ。
首を傾げていたら、差し出されたのは、野菜ジュース。
その唐突さと、ストローがさされた状態でポケットから出てきた事に突っ込みたくなったのは、さすがに自重した]
あ、ええと……いただきます。
[突っ込みの代わり、差し出されたそれを受け取る。
キアが見ていたら、『無防備すぎるっ!』と、蹴りの一発も飛んできそうだが]
憧れる、かぁ……まあ、うん。
俺も、姉貴たちの様子には、そんな感じだったなぁ。
[修行修行と引き摺られ、同世代と遊ぶ時間のほとんど取れなかった少年時代。
姉とその友の様子に抱いていたのは、憧憬めいたもので。
だからこそ、何かと突っかかっていた、とも言うのだが]
[ 若者は大体いつも無反応で、珈琲をテーブルに置かれても黙って本かPCを眺めている。
オーナーが話しかけた時だけは若干の愛想を込めて二言三言返すが、大体いつもウェイターも無愛想なのだからおあいこかも知れない。
今日ウェイターの青年が話し掛けてきたのを聞いて、ハッと顔を上げた。
驚いた、という目だ。]
…………。
[青年が野菜ジュースを受け取ると、メイドは平静を取り戻したように、意味の無い呟きを終えて微笑む。]
ミスターも、憧れなのですね。ともだち。
[冷たい心臓。いろのない心臓。
凍て付いた胸の奥が、彼の髪のような紅い血に
染まっていく。
記憶と――血潮と。
メイドがメイドでなかったならば、それは暁鐘めいた鼓動なのだと、理解できていただろう。]
…………
なってみますか? ともだち。
[メイドが、今度は自分の掌を差し出す。]
―喫茶:月の猫―
[無愛想、ふたり。
並ぶと見目だけは非常にうるわしい。]
…――。
[はっと顔を上げられた。
驚かせたのだろうか、と少し首を傾いだ。
ピアスが揺れる。]
…――物騒だ。
“蚊”も、…多いから。
気をつけて、ください。
[何気なく、忠告をしたつもり。
かれが“そう”だなどと、知らないから。
黄色い悲鳴は、案の定上がった。]
[ ふたり見詰め合っても、別にそこに何かが生まれることもなく]
……蚊、ですか?
[ テロとはちぐはぐな忠告に怪訝そうに眉をひそめる。
が、どうやら彼なりの気遣いらしいと、礼だけは返した。]
どうもありがとう。
[ 当然こちらも昨夜対峙した無貌のNEXTが目の前の青年と気付く筈もない。]
─ 住宅街・バス停付近 ─
[受け取ったのは、半ばは流れに押されて、な部分もあったのだが。
残りの半分は、悪意や害意を感じなければストレートに受け止める生来気質によるところが大きい。
ともあれ、受け取った事で平静を取り戻したらしき様子に、ちょっとだけほっとしていた]
んー……そだね。
信頼してる人はいるけど。
友達、って感覚とは、ちょっと違うしなぁ。
[むしろ『戦友』と書いての『とも』だしなぁ、とは。
心の内にのみ落とす呟き。
そんなことを考えていたら、思わぬ言葉と共に、手を差し出されて]
はい? メイドさんと?
[瞬いた。重ねて瞬いた。ちょっとだけ、流れが見えなかった、けれど]
まあ……ジュース、もらっちゃったし。
全然知らない人じゃ、なくなってるし、ね。
[ここで悩まないのも、生来気質──で、済ませてよいのか、と突っ込む者は生憎といなかった。
子供の頃には、時折りしか見せなかった懐っこい笑顔で頷いて。
差し出された手に、こちらも手を差し出す事を躊躇う様子は欠片もなかった]
─― 住宅街・バス停付近 ─―
[笑顔で頷く青年に、メイドは視線を奪われる。
――それも寸時。手を差し出された事に気付けば
指がゆっくりと近付く。]
…………
[手と手が届き合えば、その体温は間近に考えられる。
冷え切ったおんなの手と、それより温かい青年の手。]
友達です。
[メイドは、朗らかに笑ってみせた。
ぎゅ、ぎゅと握ってから、離す時もゆっくりと離れる。
名残を惜しむように最後まで指は伸びていて、――それでも、二人の手は離れていった。]
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