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…………
ミスター。
[少年を腕から剥がすと、身じろぎをした。
ゆっくりと瞼が開かれる。]
おはようございます。
[背に手を添えて、彼が身を起こすのを手伝った。]
[耳元を、蚊が飛んで行く。
掌を大仰に動かして、追い払った。]
…………
食事を獲りましょう。
[まだ寝ぼけている風味の少年の手を取り
立ち上がる。
――街は、まだ騒がしい。]
『…………かーちゃん……?』
[少年は、まだ寝ぼけているようだ。]
…………。
[メイドは、何も言わず歩き出した。**]
―喫茶:月の猫―
[――おお、頑張ってくれてるねぇ。
珈琲を啜る、サラリーマンらしき客のがラジオの実況にコメントする。
――リヒタ、なんとか
――リヒタル・ゲゼッツ
――そうそう
――NEXTもああいうのばかりならなあ
――なあ。
――でもブーストだっているんだぞ?
――あれかっこいいよな、一回生で見たけどさ…
政治の行方、仕事の愚痴に並んでNEXTは話題にのぼる。
何気なく聞くには喫茶店は悪くない場所だ。]
[マスターが蚊取りマットのカートリッジをかえている。
虫除けのハーブも香っていた。
最近、ひどく蚊が多い。
月の猫、対策は万全である。
だからこそ、外に出ると余計に。]
「ツキシロくん、気になる?」
ぇ?
「爆発現場、とか」
…――――。
[食器を洗い終わり、手を拭く。]
…まあ、はい。
[―――そうよね、と幸恵は眉尻を下げた。]
[ツキシロは本来、月城と書く。
同じ名を冠する“月城研究所”は、
有名な製薬研究所のひとつ、だった。
数年前のある日、
原因不明の爆発事故が起きるまでは。
テロだとか、
実験の失敗だとか
――NEXTの仕業だとか。
ニュースにも取り上げられ
噂ばかりが流れたが
結局真実は闇の中。]
「気になるのはわかるけれど
無茶はしちゃ だめよ」
…はい
[ツキシロは、マスターに己の真実を伝えては居ない。即ち、NEXTであること。それから、自分が此処に来るきっかけとなった月城研究所の爆発事故のことも。]
[一瞬、暗い窓に写った姿がぶれて
機械仕掛けのような“異形”が重なる。
それも一瞬。]
……――
[何かが回り始めているような気が、した。]
―― 街中 ――
[メイドは歩いていた。
たった一つの温もりの手を引いて
歩く為に歩いて行く。
事件が起こった昨日よりも
街はどこかよそよそしい。
小規模な爆発事故も、幾つか起こったらしい。
喧騒が遠い。
目的も理由も、定まらずに皆逃げて行く。]
『なー、ねーちゃん』
[少年が、腕を掻きながら尋ねてくる。]
?
[振り返ると、少年はあどけない瞳を浮かべている。
邪気も悪意にもまだ目覚めていない、子供の目。]
『ねーちゃんは、どうしてあんなところでねてるの?』
……………。風邪を引かないからです。
『おうちでねないの?』
――――、
[メイドは、何事かを答えようと口を開きかけて
唐突に、立ち止まった。
ついてきていた少年が背中にぶつかる。]
[誰かの声が聞こえてきた。
声――というよりは叫びだっただろうか。
振り返ると、そこにあったのは一つの道場。
打ち込みの声や、床板を踏み込む音がここまで聞こえてくる。]
――――
[メイドは、時を忘れたようにそちらを眺め、]
『あそこがねーちゃんのおうち?』
[幼い声に、我へ返った。]
いえ。違います。
剣道だな、と思いまして。
『けんどー?』
はい。――と。
[今度は、少年が先行して走り出す。
二人して道場にこっそり近付き、
開いている扉から眺める羽目になってしまった。]
『いたそう』
はい。防具をつけていても多少は痛いです。
『でも、かっこいいな。あれってけんでしょ?』
はい。あれを通して撃剣の技術だけでなく
武道に副うことによる精神を強化します。
『へー』
[少年はわくわくして眺めている。]
『ねーちゃんもやったことあるの?』
…………
昔、よくやっていました。
『つよかった?』
…………。好敵手がいました。
全国では惜しくも負けてしまいました。
高校生になったら、また必ず戦おうと
そう誓い合いました。
『へー……』
[少年は、それきり観戦する作業に戻ってしまった。
メイドは、彼でも道場でもなく、空を仰いでいた。]
― メイドのやや後方 ―
[建物の影の中……、
溶け込むようにその男は立っていた。
その瞳無き顔から向けられた視線は、
やや前方を歩くメイド姿の女性へと向けられる]
―― 街中 ――
[緊急自動車のサイレンが、よく鳴る。
メイドと少年は、二人して野菜ジュースを飲んでいた。
少年はストローを吸う度に逃がそうな顔をしている。]
ミスター。
[メイドは、懐からモノを取り出した。]
これを差し上げましょう。
[少年に、銀色のペンダントを差し出す。
サーベルとも竹刀とも取れない剣の形が掘られ
囲うように六芒星が描かれている。]
『これ、なにー?』
[メイドは、そっと微笑んだ。]
私と貴方が出会った証です。
いつになっても、忘れる事のないように。
[少年は、話半分に聞きながらも『ふーん』と頷いていた。
しかし、その視線はペンダントから前へと向けられる。
メイドも顔を上げると、そこにはふらつく足取りの男性。
片手にワンカップを持っている辺り、理由は明らかだった。
メイドが少年を自分の側へ引き寄せようとすると、]
『――とーちゃん!』
[少年は、メイドの手を離して駆け寄っていってしまった。
いつものように――いつものように、眠そうに眺めている。]
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