情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
[18]
[19]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
この村にも恐るべき“人狼”の噂が流れてきた。ひそかに人間と入れ替わり、夜になると人間を襲うという魔物。不安に駆られた村人たちは、集会所へと集まるのだった……。
1人目、物語の導き手 アリス がやってきました。
物語の導き手 アリスは、村人 を希望しました。
2人目、ニュースキャスター がやってきました。
ニュースキャスターは、村人 を希望しました。
……では、次のニュースです。
本日のお昼ごろに発生したNEXTによる暴動事件ですが、
警視庁のブースト装着者と協力者であるゾンネ=ユーベルス氏によって
迅速に解決されました。
この事件による死者は0で……―――
3人目、ゾンネ ユーベルス がやってきました。
ゾンネ ユーベルスは、C国狂人 を希望しました。
― 事件現場 ―
[テレビに映し出されるのは一人の男。
褐色の肌に白髪、赤い瞳という目立つ容姿をしたその人物は
人当たりの良い笑顔でインタビューに答えている。]
……ですから、お礼を言われる事ではありません。
私は何の因果かこのような力を得たわけです、
ならばその力を良いと思う方向に使うだけです。
いまだ風当たりの強いNEXTですが、
こうして私が信じる物の為に力を使えば、いつかきっと……
争いのない日がくると信じていますので。
…… 以上、現場からの中継でした。
それでは次のニュースです。
昨今増え続けるNEXT犯罪について、
その中のいくつかに特定の人物が関与しているとの情報が
警視庁より発表されました。
この人物については"シャッテン"と名乗っている事以外は
一切不明であり、引き続き捜査を続けていくと……――
[テレビの中のニュースキャスターの声は
その後しばらく続けられていった**]
シンドバッド が見物しにやってきました。
シンドバッドは、見物人 を希望しました。
―都内某所―
[都内にある某高層ビルの屋上に白い影。
西方に向けて跪くような動きをするその姿。]
………………ヴァー…。
征け、戦士たちよ………。
[ここ最近、異常に「蚊」の多い日々だ。]
4人目、ナジーム ラシュディ がやってきました。
ナジーム ラシュディは、村人 を希望しました。
―数日前/関東国際空港―
[この防犯カメラの映像は都、いや日本の
関係筋を震撼させるものであった。
変装こそしているもののこの男―テロリストだ。
各地でテロ行為を行い、以前日本でも
多数の犠牲者を出した"あのテロ"の主犯でもある。
国際手配を受けているはずの彼がなぜ―]
村の設定が変更されました。
5人目、雷 宗太郎 がやってきました。
雷 宗太郎は、村人 を希望しました。
― 街中 ―
[人々が行き交う雑踏の中、フラフラと覚束ない足取りで街を歩く男。
街中に聳える巨大なビル、それの上に備え付けられた巨大なモニターはニュースを映している。
そのニュース番組に映った男に似た髪色と眸の色をした男とすれ違う人々の中には男に対しての悪意の言葉を呟く者もいるだろう]
死者はゼロ……。
きっと、犯罪者も含めての事、か。
[耳に飛び込むニュースキャスターの読み上げる原稿に歩みを止め、巨大なモニターに視線を移して小さく呟きを漏らす。
しかしすぐに視線を戻して再び歩き出す。
ゾンネ ユーベルスと言う男が犯罪者であろうと殺す事はしないのは有名な話だった]
立派な精神だ。
しかし――
[ゾンネの掲げる不殺の精神に思いを巡らせ、再び小さく呟くとポケットが小さく振動するのを感じた]
――俺だ。
……分かった、今から向かう。
/*
奇しくもフォーゼの始まった日に村が建つとは……
東映チャンネルでライダー見まくる。
と言うかPCないとNEXT体参加させるタイミングがむず……
まあ、適当に犯罪のとこに言って変身して倒す時にNEXTになるよ。
しかし参加する段階になって気付いたけどゾンネと似てたね、髪とか目の色w
カウントレス・S が見物しにやってきました。
カウントレス・Sは、見物人 を希望しました。
[胸が歓喜に躍る。
泣き叫ぶ声が聞こえる。幼い子供の声。
たった二人の大人は隅で震えている。それくらいしかできない。ただの人間などNEXTの敵にはならない。
運転席に陣取った一体が、ハンドルを握りながら片手の拳を高々と突き上げる。沸き上がる心のままに、力強く。
車内の二体は人質をおどかすように、両腕を開いて幼児たちに見せつける。
屋根の上に陣取った二体は互いに手を打ち合わせた。健闘を称え合うかのように。
そして、叫ぶ。昂揚を示威するように]
ヴィーーーーーーーーーーッ!
[幼児送迎バスのジャックは、とどこおりなく完了した]
参加者パスワードをhentaiと何回か間違えて入力して、自分に自信が持てなくなりました。KAMEです。
やりたいことが終わりました。
6人目、守川 篝 がやってきました。
守川 篝は、C国狂人 を希望しました。
―― 郊外 ――
[東京都郊外にある、簡素な診療所。
――薬品保管庫の地下に、一つの死体。
血溜まりに沈む男と、傍らに座り込む女。
事実だけを述べるのであれば、そうなる。]
[問題は、理由が分からないということだ。
人の良さそうな遺体の白衣が、細切れになっている理由も。
医者らしき男だけではなく、部屋まで散乱している理由も。
暴風が吹き荒れたような部屋で、
男は全身を切り刻まれ、女性だけが生き延びた理由も。
血に塗れる事も厭わず、子機を握りしめたまま
死に沈んだ暗い瞳を、彼女が覗き込んでいる理由も。
彼女が、何一つ着衣を纏っていない理由も。
血の化粧だけが、彼女の頬を、肌を、覆っている。]
[――通報に駆けつけたのは、今から10分程前の事。
抑揚の無い声で、僅かに震える声で
「ひとがしんでいます」
そんな、呟くような電話だった。
駆けつけてみれば、診療所には何も無い。
保管庫の扉が――血の臭いが紛れていなければ
悪戯電話だろうかと、引き返していた事だろう。]
「…………」
[本部に応援を要請してから更に10分。
何も着ていないのはまずいと思い、私は彼女に
上着を羽織らせようとしたが、首を横に振られた。
男の死についてや、彼女の事情を尋ねても
返る声は少なかった。
得られた情報は、たった一つ。
「かがり」という、彼女の名らしき三音だけ。]
『……遺体には触れないようにしてくださいね。
あと、もう少し離れた方が。汚れてしまいますよ。』
[既に血塗れの彼女には皮肉だったかもしれない。
それでも、かがりさんは是とも否とも応えずにいた。
死に寄り添って、冷たくなった自分の肩を抱いて。
やがて、ふらふらと立ち上がろうとした。
膝からがくりと崩れ落ちる。
慌てて支えれば、彼女は小さく感謝を呟いたようだった。]
『……やはり、このままでは風邪を。』
[彼女は、やはり応えず、今度は自分の足で立ち上がった。]
[見つめる先は、どことも取れない虚空。
電灯も窓も無い部屋では、どこを見つめても闇ばかり。
それでも、かがりさんは一点を目指して歩き始めた。
……あれは、花瓶――だろうか?]
『カガリさん。現場の物に触れては、』
[制止は聞こえているのかいないのか。
とにかく血や傷痕の被害が少ない場所へ連れ戻そうと
歩み寄れば、彼女の方が進路を変えた。
先程の花は、頭部のアクセントに変わっている。
指先も血に濡れていた為か、花弁とは違う赤も咲いていた。]
『カガリさん……!』
[名を呼んでも、どこか別の場所へ吸い込まれるよう。
――そう想っていたから、]
「……着替えを。」
[小さな声でも、答が返ってきた事が嬉しかった。]
「――ですが。」
[かがりさんは、唐突に立ち止まり、振り返った。
私の後ろで、数人の足音がする。
どうやら応援が来たらしい。]
『着替えがあるのであれば、
早く着替えてしまいましょう。カガリさん。
私から彼らには言っておきましょう。』
[私は仲間に、少し待っていてくれるよう伝えに行こうと
彼女に背中を向け、]
SM_04 が見物しにやってきました。
SM_04は、見物人 を希望しました。
[姿を変えた女が、リコイルスタータを引いてから3分。
ガソリンの臭いは、蔓延る死の臭いに塗り潰された。]
…………。
[為す術無く殺された者、変化に驚いた者や、恐怖した者。
中には、NEXTであった事実に、怒りを覚えた者もいた。
最も攻撃的な者は銃を握り締め――腕ごと刎ねられていた。
残ったのは一人。
足を殺ぎ落とされ、死んでいった者のどれとも違う目で
暗闇の只中、チェーンソーを握りしめる篝――
つい先程まで篝だったものを、見つめている。]
[男の傍らで、別の男がぴくりと動いた。
女は流れるように視線をそちらへと向ける。
死に体が腕を伸ばした先は――もう一つの自分の腕。]
『――やめるんだ! 篝さん!!』
[腕には掌。掌には握り締められたままの銃。
制止は女に届かない。
偉業と化した殺人鬼は、幽鬼のように歩を進め
残った最後の一本も――刎ね飛ばした。
迸る悲鳴に動じる様子も無く、作業のように淡々と
翻る秒速20mの刃は、死に損なった男の脳天を轢き潰す。
頭蓋をひび割る甲高い音が、部屋に浸み渡っていた。]
[チェーンソーは動力を停止。
唸り声を鎖し、女の手にぶらりと垂れ下がる。]
――――。
[ほんの僅か、生き残った一人に顔を向けた。
表情の分からない貌は、女の思考を読み取らせない。
最期の男はそれでも歯を食い縛り、見つめ続けた。
同僚の死。大勢の犠牲。
向けられる瞳は、先程とは別の感情に彩られ始める。
――だが、女は呆気なく背を向けて
何事も無かったかのように、
ワンピースとエプロンドレスへ手を伸ばした。]
[――銃を向けられた、と気付いたのはいつだったか。
破裂音とほぼ同時、女は肩口を穿たれた。
肉を貫かれ、湧き出る液の色は赤とは取れぬいろ。]
…………。
『はっ…………はっ、』
[女は、振り返りさえしない。
痛んだ体を、掌でなぞる。
――銃を向けた男は。
闇から生えた幾重かの刃に、串刺されていた。]
――――。
おやすみなさいませ。ミスター。
[一言呟けば、女の変身は解け
宙に縫いとめられていた男は、地に堕ちた。
女は顔を上げる。
――窓の無い部屋。
――闇の息づく世界。
そして、報せを受けた警官の開いた、たった一つの扉。]
7人目、ヴィクトーリア・フォン・リントブルム がやってきました。
ヴィクトーリア・フォン・リントブルムは、村人 を希望しました。
何が起こったのだろうか?ここは薄暗い森の中。
目の前には急所を差されて絶命した熊、泣き叫ぶ小さい弟、その弟をぎゅっと抱きしめる母、おびえた表情をしながらこちらにやってくる父。
そして私の手を見ると、それは私の手でないようで私の手。いや、この甲冑に覆われた身体は私ではないけど、それは私で…。
な に が お き …
…、ああ夢だったのですね。
ゆっくりとベッドから身体を起こす。枕元の時計は4時頃を指していて、夜明けには少し早い。
またNEXTになった日の夢を見てしまった。
家族四人で山へ出かけたあの日のこと。熊に襲われた弟を救いたい心が、彼女のNEXT能力を開眼させた。
白竜騎 リントブルム が見物しにやってきました。
白竜騎 リントブルムは、見物人 を希望しました。
『くるな、ばけもの。おねえちゃんを、どこへやった!』
弟が私を見て叫ぶ。私はここにいる、ここにいるのに…。
声を出してそう言いたいけど、口が動くだけで声にならない。
夢の後、いつも一番辛い言葉を思い出す…。
白竜騎に変身した私を弟は自分の姉と認識できず、そして人間の姿の姉すら、姉と認識できなくなった。
困り果てた両親と私は、懇意にしていた牧師様と相談して、私は牧師様の施設に、両親と弟は故郷ドイツに帰って、弟が落ち着くまで距離を置くことにしたのだ。
牧師様は言いました。
『弟君は、命の危険に晒されたこと、お姉さんが突然変身したこと、お姉さんが凶悪犯罪も行うNEXT能力者であること、色々なことが一度に起きて混乱していると思います。きっと大きくなれば分かるはずですよ…』
そう、私はNEXT能力者。でも決して犯罪は起こさない。
そして犯罪を起こすNEXT能力者も赦さない。
いつか、弟が自分の姉を誇れるよう、そんな立派な人になって、また故郷で四人で一緒に…。
夜明けまで、もう少しあるのね。
明日は平和な一日がやってきますように。
――おやすみなさい、私。いい夢を。**
8人目、風薙 緋焔 がやってきました。
風薙 緋焔は、村人 を希望しました。
─ 街中 ─
……おー、皆さん頑張ってらっしゃるねぇ。
[巨大モニタが伝えるニュースに、もらすのは暢気な一言。
モニタを見上げる瞳には、僅かながらも険しさがあるが、ぱっと見ただけではそれは読み取れない]
しっかしまあ、最近まーた物騒になってきてるし。
……バイト減るのは、ちょっときついよなー。
ま、違う『お勤め』は増えっけどさぁ。
[街の立てる音に紛れ込ませてぽつり、と呟き、休憩のために寄りかかっていた壁から身を離す]
さーてと、配達、後何件だったっけかー?
[ジャケットのポケットから、メモを引っ張り出して確認しつつ、停めて置いた愛車の元へと戻る。
左の袖口から僅かに覗く硬質の銀色が、光を弾いて煌めいた。**]
9人目、紅金の ロージア がやってきました。
紅金の ロージアは、村人 を希望しました。
――対NEXT犯罪組織『STOPPER』・詰所――
はーあ。
[ニュース番組の告げる事件の顛末に、盛大なため息を。
詰所のテレビで頬杖つきながらそんな重さを演出するものだから、すかさずやめとけ、なんて静止がかかる。]
わーかってるわよ。別にあたしは犯罪さえなくなれば何だっていいわー。
あの人が殺さないのを嫌がる人がいるのも知ってるけど、あたしはそれが嫌なわけじゃないもの。
ただね……まあ、最近増えてるなーって思うわけよ。
このまま増え続けたらあたしもバッシングされるのかなー、とかさ。
別に、どうだっていい、んだけどねー。
[椅子をきしませながら、大きく伸びをする。
この"ロージア"もあまり殺しを好まぬNEXTであった。今インタビューを受けているゾンネ程ではないので、必要あらば手を掛けたことも過去にはあったが、それでも幾度かでしかない。]
[伸ばした身体を脱力させながら、過去を思う。
殺さないのは自分の能力がそもそも殺傷に向いていないという面もあるが、それよりもまたさらに、命を奪うのにためらう理由があった。]
執罰の フロウディア が見物しにやってきました。
執罰の フロウディアは、見物人 を希望しました。
[あの日の白い光。
眩しい光は人々を次-NEXT-の時代に導いた。人類はあの光によって進化し、能力を手に入れた。
自分も、その内の一人だった。
光に目を覆い、眩しさに慣れた頃。目を開けると悲鳴と逃げる人の姿が見えた。
あたしはこの姿でただ、その場に立っていた。
皆、あたしを見て恐怖に顔を歪ませて逃げた。
それからあたしがどうしたのかは、覚えていない。]
[気がついたときには、真っ白だった。
そこには誰もいなくて、何もなくて、あたしの記憶すら、なかった。
覚えているのは光がただ眩しかったことと、皆が逃げていく姿だけ。]
[元に戻ってから役所に駆け込んでも、あの光の及ぼした影響にてんやわんやで、記憶喪失なんて真面目に取り合ってはくれない。
それでも何度も通いつめて、ようやく調べて出た答えは、"あたしは誰だかわからない"ということだけだった。]
[それから自分で名乗る名前を決めて、ここに拾われるまでの話はまた別の機会にするとして、とにかく自分はもうNEXTでしかなかった。
NEXTそのものが鼻つまみ物になったらおしまい。自分が犯罪者になったらおしまい。今この立場を失ったらおしまい。
だから本当は、どんな悪であろうと殺すことは彼らと同位置に立つことだと思っていた。けれど殺せないことでここを追われるのも御免被りだ。
だから、あたしは今日も要請があれば動く。それだけだ**]
GroomHuntress が見物しにやってきました。
GroomHuntressは、見物人 を希望しました。
―とある映像記録―
――― ザッ ザザザザザ ザ・
[雑音。夜間、街灯の明かりのみで撮影した暗い画面。
走りながらの録画と思しく、ぶれた画面には撮影者の足とアスファルトの地面だけが映り、足音と激しい呼吸音が混じる。]
「ハアッ、ハアハアハア……何だよ、信じらんねえ……そんなんありかよ……」
「警察っ、けいさ、 あっ」
ガタンッ
カシャン!
ガランガラガラ……
[画面が激しくぶれた後、カメラは一点で止まる。
レンズには、ふらふらと立ち上がろうとしている若い男性が映る。]
「……ックショウ、何だってんだよ!!」
[画面の奥、男性の背後を白いものがさっと過ぎったかと思うと、画面から不意に男性の姿が消えた。]
「うわっああああああああああ]
カシャカシャカシャ、
[続いて上がる絶叫、固いものが擦れる音]
カシャ、カシャ、
[何かがもがく音が微かに聞こえるがそれも次第に収まっていく]
「………………」
[先程の男性の声とは異なる囁き。]
カシャンッ、カシャ、カシャ、
[やがて黒いものがぼんやりと画面に映り、節足動物の脚のようなそれが画面一杯に迫ったところで]
メキッミシ……ブツン
― 警察署 ―
[先程の繁華街から出るとバイクに乗り、警察署へ向かう。
到着するなり定期入れサイズの端末を取り出し、専用の画面を表示して入口に立つ警官に見せる。
公的機関に協力するNEXTという証のようなもの、それを見せると訝しげな目を向ける警官が慌てて敬礼をする]
……挨拶はいい、NEXT犯罪が起こったんだろう?
すぐに現場に向かう、情報をくれ。
[端末にデータを送信してもらい、再度バイクに跨がって現場へ向かう]
10人目、宮古護 がやってきました。
宮古護は、村人 を希望しました。
── 東京都社会福祉課 ──
NEXT犯罪の被災証明の今月分の統計、まとめてあります。
被災孤児の一時受け入れについて、教会施設に依頼する件は、都知事の決裁待ちです。
[都庁の事務室で、車椅子──と呼ぶにはいささかゴツい仕様の多機能型移動補助機体に座した青年・宮古護が日常業務に勤しんでいる。
宮古の両脚は、右が膝の下から、左は足首から先が欠けており、片目もまた白い覆いの下だった。
不思議な閃光によって超人能力を得たNEXTたちが引き起こす事件──自らもその犠牲者である宮古は、都の福祉課職員として、NEXTによって被害を受けた者たちの支援業務に従事している。]
[かつて、NEXTが引き起こしたテロで宮古が失ったものは両脚と右目だけではない。
数年ぶりに会うはずだった兄・進は行方不明、妹の愛は今も病院から出ることができないままだ。
そして、そのテロ事件の犯人も、国際手配されていながら、いまだ逮捕されていない。]
……。
[福祉課に届けられるNEXT事件に関する助成の申請もまた減ることはなかった。
福祉課にNEXT対策室が設けられたのも当然だ。
そして、その対策室の主任主事の辞令を交付された宮古は、特殊な使命を与えられた。
NEXTの力を研究するために開発された強化外装甲"ブースト"
その福祉用モデルの試用者に任命されたのだ。
『 都SF特012号 <東風> 』
それが、宮古が使用するブースト機体に、行政組織がつけた名称である。]
ー街中ー
[一目でイスラム圏から来たとわかる男。
人種のサラダボウルと化したここ東京では珍しくない。
英字新聞を読みながら、優雅なティータイムだ。]
「最近、やたら蚊多くね?」
「うん、蚊取り線香もいまいちだし。」
[そんな会話を尻目に、男は席を立ちレジへ向かう。]
[車椅子を転がして移動し、宮古は上司に業務報告を提出した。]
午後は定期検査で、そのまま直帰します。
…え、出張じゃないんだから、土産なんて期待しないでください。
チーズケーキがいいとか希望されても困りますって。
それでは、お先に失礼します。
[あたふたと事務室を出て、駅へ向かう。
ブースト仕様の車椅子には自動走行機能もついていたが、今はスイッチを入れず、車輪を手で回していた。
公務員らしい地味なビジネススーツに隠れてはいるが、宮古の両腕は日々の運動によって、ガッチリと筋肉がついている。]
「10円のお釣りに…!?」
[レジ係に差し出された手は異様に白く、
真ん中に丸くて紅いボタンのようなものがついている。
それは明らかに「人間のもの」ではなかった。]
「…ひ!?」
[驚いたレジ係は思わず、その手に乱暴にお釣りを置く。
いや、叩きつけたといった方が良い。
……………………カチッ]
─ 街中 ─
はいどーも、ありがとうございましたー♪
またの御利用、お待ちしておりまーす。
[にぱ、と人好きのしそうな笑顔を浮かべて、ぺこりと頭を下げ。
ばいばい、とこちらに手を振る、配達先の子供に、またねー、と言いながらぱたぱたと手を振った]
いよっし、本日分の配達しゅーうりょっ!
[道に停めて置いた愛車──今の『仕事』を始めてからの付き合いであるバイクの所に戻ると、んー、と身体を伸ばす。
バイク便のロゴ入りのTシャツとジーンズ、ちょっと着古した感じのジャケット、という出で立ちは、どこにでもいそうなバイト青年のそれ。
その中で唯一異彩を放つのが、左手首に着けられた、シルバーアクセというにはかなりごついブレスレットだった]
── ブースト研究施設 受付 ──
[都が宮古に貸与した特殊車椅子は、民間の研究所で試作されたものだった。
定期検査のため、宮古はたびたびここを訪れている。
宮古はもう顔なじみのカウンター職員に訊ねた。]
今日、風薙さんはこちらに?
急ぐ用ではないんですけど──お借りしてたDVDを返そうと思って。
GroomHuntress が村を出て行きました。
ああ、そうですね。
ジムに行った方が会える可能性が高いかもしれません。
検査の後で寄ってみます。
ありがとうございました。
[丁寧に礼を言うと、研究所の奥へと車輪を転がす。]
どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
[轟音とともに、カフェの入ったビルが爆発する。
そして、イスラム男は悠然と褐色の手を振り]
誤って民を手にかけたかの男と
犠牲になった名も無き戦士たちが
アラーのもとにありますように。
[以前と同じ手口である。どのように仕掛けているのかは不明。
何もないとおぼしきところで、爆破テロが起きる。
その男、国際指名手配特Aクラス。シンドバッドーナジーム=ラシュディ。]
[祈るような仕草を見せて、イスラム男は
悠然と立ち去ろうとする。混迷極まる現場を振りかえらず。
のちに、目撃者は語るだろうか、
「黒煙の中に全身白い影を見た。」と。]
――『STOPPER』詰所――
さて、と。
人の活躍に腐ってても仕方ないし、お仕事でも探しに行こうかな。
[つまり、街を巡回しつつ警察署に立ち寄り、事件のにおいを探しに行く。
地道なパトロールは好きだ。暇も潰せるし、仕事を拾えるとあらば、弱小対犯罪チームには嬉しい話だ。]
……仕事、ない方がいいのかもしんないけどねー。
今日は、このまま上がってもだいじょーぶ、かなっ。
……ま、暇なら巡回しとけ、っていわれそーではあるけど。
[伸ばした腕を下ろし、左手首のそれを見る。
銀の上に鮮やかな緋色で何かのエンブレムが刻まれたそれは、今の所は沈黙を保っていた]
まー、静かな方が、ありがたいんだけど、ねー。
[ふ、と笑って緋色のエンブレムをぽん、と叩く。
飾りとしてはいささか──どころか、かなり大げさなそれは、色々あれこれと詰め込まれた多機能端末。
NEXT犯罪に対し、独自に対抗する手段を求めた私設のブースト研究組織『Blaue Flamme』の技術の結晶。
ある意味、最先端技術とも言えるそれを、託されているのが彼──風薙 緋焔。
一見すると、本当にどこにでもいそうな、それでいてあちこちにいたら怖い、と周囲に突っ込まれるような、そんなお気楽青年だった]
[都職員としてブーストを装着する宮古の表向きの任務は、肢体補助具としてのブースト機体の実働データ収集である。
が、<東風>には自衛と特殊作業用の名目で取り付けられた対NEXT戦闘機能も備わっていた。
今日の定期検診では、機体の整備と、先日のNEXT遭遇戦で得たデータの、インターフェイスへのインストールを行う予定だ。
装着当初は非常に扱いづらかった<東風>も、度重なるメンテナンスによって、宮古に生活支援以上の利便性を与えてくれるようになった。
それでも──]
──まだ、届かない…
[「人工のブースト機体が、どこまでNEXTと渡り合えるのか」を試すために、宮古は積極的に対NEXT最前線に身を置き続ける。]
都SF特012号 <東風> が見物しにやってきました。
都SF特012号 <東風>は、見物人 を希望しました。
[宮古は、車椅子からの変形でパワードスーツ形態になった<東風>を操作した。
建物の中なので、ホバーは使っていない。
宮古の意識のままに、都のシンボルマークのついた車輪がスムーズに転がって、機体を検査ブースへ移動させた。]
― X-Day ―
[その日は高校卒業の記念にと、街に遊びに来ていた。
皆で過ごせる束の間の楽しい時間はあっという間に過ぎ、辺りが暗くなった頃。
「あれ、なんだろうな?」
不意に聞こえた友人の声、見上げると空に不思議な光が弱々しく瞬いているのが見えた。
やがてそれは夕暮れ時には相応しくない程に光が強く瞬き初めて、見ているのが辛く感じる程になったかと思うとオーロラのように帯状になりやがて何事もなかったかの様に消えていった。
街中の人々がざわめき、やがて謎の光についての騒ぎが収まりかけた頃、急に叫び声が聞こえた]
えっ、なん――
[言葉を最後まで紡げないままに、不意に凄まじい力に吹き飛ばされ、壁に叩き付けられた。
骨が軋み、身体中から熱が起こり、息が詰まる。
先程まで自分が立っていた場所には出来の悪い着ぐるみのような人影が友人達を屠る姿が見えた]
あ、僕だけ、姓名の間にスペースがないけど、それ直すために入り直すのもどうかと。
ちなみに、風薙が黒猫たすくさんで、高嶺がwumingさんだろうか。
設定と、ここまでの文体で予測してみる。
[弱々しくバラバラにされていく友人達へ手を伸ばす、何が起こったのかさえ解らぬままに、意識の闇が降りてきて自分の心臓が止まるのを感じた。
――このまま死ぬのか――
そう闇の泥土に沈みかけた頭で考えた時、急に強い電気ショックを『体内から』感じ、心臓が再び鼓動を始めた]
[バスジャックは完了した。
ハンドルを握る一体は鼻歌交じりに奪った幼児送迎バスを爆走させる。信号などお構いなしに、アクセルをめいっぱい踏み続ける。
景色が流れる。車内で悲鳴が上がる]
ヴィー……。
[しかし、ここに来てハンドルを握るNEXTのテンションは下火のようだった。
レーサーもかくやという運転技術を駆使しながら、片手で持った地図をしきりに確認している。
それは目的地までの道を確認するというよりは……まるで、自分がどこを走っているのか分からず、迷子になったものの雰囲気に似ていた]
――街中――
[しかしそんなささやかな平和への望みは、すぐに打ち砕かれる。
けたたましい轟音と黒煙。爆発であると簡単にわかった。]
馬ッ……鹿じゃないの、いきなり急に!
[予告されてはテロの意味はないというものだが、知った事ではない。
慣れた様子で警察への連絡を行う。すぐさま動いてもいいが、救助だけでも一人でどうこうできる事態でもないし、NEXTの犯行であれば手が足りなすぎる。]
――こちら『紅金のロージア』。
第9ビルにて爆破事件が発生。人命救助優先で行動しますが、手が足りない状況です。
救援を要請します。
[警察への救助要請は、各役所のNEXT対策部やその他組織にも即座に伝えられるだろう。
情報を得ようと思えば、容易に得ることはできるはずだ。]
11人目、サフォア ツキシロ がやってきました。
サフォア ツキシロは、村人 を希望しました。
―都内某所 喫茶店:月の猫―
[からんからん。
レトロなベルの音が響く。
その音に違わず、アンティークな雰囲気の店内には静かなジャズが流れていた。]
…いらっしゃい。
[白いワイシャツに紺色のエプロンを身につけた細身の店員が顔を上げた。
金に近い色の涼やかな目元、長い睫毛。
ともすれば女性と見紛う整った容貌だが、発せられた声は澄みながら確かに男性のものだった。
手元には新聞。
一面に掲載されたのはNextの起こした事件とその顛末。
何気なく、其れを畳む。
見つめるときの表情は常よりも鋭いのに幾人が気づこうか。]
─ 街中 ─
ま、一巡りくらいはしとくか。
充電の足しにもなるだろーし。
[結局、選んだのは愛車による巡回一周コース。
元々、バイクで走るのは好きだったから、それ自体は苦でもない。
現状、一番気を紛らわせられるのは、行きつけの喫茶店でコーヒーを飲むか愛車で走るかのどちらだった]
んじゃ行くとしま……って。
[愛車に跨り、メットを被った直後、緋色のエンブレムが光を放った。
明滅パターンは、緊急アラートのそれ]
……んだよ、っとに!
間がいいのか悪いのかっ……。
[舌打ちしつつ、アラートの内容を確かめようとする。
その目の前を、暴走気味のバスが一台、横切っていった]
── 研究所内 ジム ──
[変形装着しての操作テストの後、<東風>を整備員に預けた宮古は代替車椅子でジムに移動し、床に降りてストレッチをしている。
ゆっくりとした動きに見えるが、筋肉と腱に充分な負荷を与えて鍛えるやり方で、すでに全身がじっとりと汗ばんでいた。]
ネクストW/W が見物しにやってきました。
ネクストW/Wは、見物人 を希望しました。
[心臓が脈動する度に身体に強い痺れを伴う、死にかけた身体が未だ麻痺しているのかと思ったがそうではない。
不思議と自分が暴れ回っている『アレ』と同質のモノになったのだと、理解した。
――NEXT――
その単語が強く頭に残る。
身体のダメージすらまったく無くなり、すんなりと立ち上がる事が出来た。
そして、自分や友人を殺し、更に街の人々を圧倒的な暴力で蹂躙しているソレへと駆ける。
足裏の踵部分から稲妻が射出され、さらに加速してゆき、強く拳を握れば全身から強い稲妻が放出され自身があたかも稲妻と同化したかのような錯覚の中、異変に気付きこちらを振り向くソレへと拳を叩き込む。
その瞬間、全身を包んでいた稲妻が相対する存在に入り込み、拳を離すと同時に拳を打ち込んだ部位から稲妻が激しく放出されスラッシュの軌跡を生み出し、自らの仇だった存在は黒い炭へと変貌し、崩れ落ちた]
いつもので?
[一纏めにしたやや長い青みを帯びた黒髪が揺れる。覗く耳には数多のピアス。特に大きなひとつがゆらり、揺れた。
常連客にかける言葉は涼やかながら端的で、やや愛想には欠ける。
「こーら、ツキシロくん」
とたしなめるような声がかかる。
この喫茶店のマスターである、40代くらいの上品な女性であった。名を月山幸恵(つきやまゆきえ)という。]
…―――はい。
[いいんだよ、飾り気がないのが彼のいいところだろ、と中年のサラリーマンはわらう。]
どうも。
[やはり愛想なく謂って、
“いつもの”を用意し始める。彼の淹れる珈琲は絶品だと評判なのだ。]
[紅金のロージアと名乗る声に耳を傾ける。
どうやら、NEXT対策関係筋の者であることは、
その話の内容からわかる。振り返りもしない。
ただ、その場にメモを落として、現場から離れていく。
「偉大なる唯一の神 アッラーの名のもとに
我は再び動き出す 以前の聖戦を忘れるな
当方の要求は追って出す
要求に違えば 今度こそ"聖地"・日本は
千と一の夜の底に沈むだろう 神はそう仰った
―SINDIBAAD-Naseem=Rushdie」
メモにはそう書かれていた。]
[ハンドルを握る一体は何度も地図を見ながら、送迎バスを爆走させる。
―――やがて、彼は一つの結論に達した]
ヴィー。
[ポイ、と。地図を投げ捨てたのだ。
送迎バスは爆走する。何かにぶつかってもいいやと割り切った、見ている者が青ざめるような荒々しい運転。
ガソリンはまだ七割以上残っていた]
……ぅぉぃ。
[行き過ぎたそれ──普通に考えたら、そんなスピードを出しそうにない、デフォルメされた動物ペイントの可愛いバスが異様なのは、わかった。嫌というほどよくわかった。
エンブレムは未だ、緊急アラートを明滅させているが]
……こっちら、風薙!
未来を担うお子様が窮地っぽい!
そっちのアラート追っかけるにはちょいとばかし遠いんで、俺はこっち、追跡するよ!
[通信端末にこう怒鳴り、先に走って行ったバスを追って愛車をスタートさせる]
っつーか、幼稚園バスジャックとか、古典すぎんだろ……!
[疾走しつつ、口をついたのは、突っ込みだった]
[自分を殺した出来の悪い着ぐるみが崩れ落ちるのと同時に、身体に激しい痛みと熱さを感じ自らもまたその場にうずくまる。
小さい頃に火傷をした事を思い出し、火傷の痛みが全身に回ったかのようなひりつく痛みに呻き声を漏らす、すると――]
―喫茶店:月の猫―
…――――
[きっちり珈琲を淹れ終わったあと、
ぴくり、と切れ長の眸が窓へ向く。
近頃物騒でねぇ。
客が謂う。
そうですねぇ。Nextっていう―――
マスターが珈琲を運び、世間話として答える。
窓の彼方ビルの向こう、
かすかに見える上がる煙を、ツキシロと呼ばれた青年は、捉えた。]
ー教会施設の一室ー
施設には子供が多い。
朝食を食べさせ、身支度を整えさせ、学校に送り出し、やれ掃除だ、洗濯だ、雑用だとしていたら、あっという間にお昼前。
窓から見える青空をぼーっと見上げていたら
『ヴィッキー、お茶にしましょうか。』
牧師様が、ティーセットをお盆に乗せて、こちらにやってきた。
[バスの屋根の二体。
暴走する幼児送迎バスの上で、NEXTの運動能力を無駄遣いした彼らは危なげなく立っていた。
振り落とされる気配すらない]
ヴィーー?
[その内の一体が、後方を眺めていぶかしげな声を出した。
バイク。運転者は青年。
こちらが赤信号に突っ込んでも、止まらず追跡してくる。どうやらこのバスを追ってくるようだ。
そう認識して、彼がした決断は単純だった。
バスから飛び降り、襲いかかる。たったそれだけの、しかしためらいのない行動]
[自分の身体を包んでいたゴムの様な黒いものや、白い石の様なものが溶ける様に消えて無くなり、元の人間の腕が目に入った]
戻っ、た……?
[苦しげにそれだけ呟くと、未だ残る身体の痛みに意識は遠のいた。
けれど、その時はまだ気付いていなかった、自身の髪や眸の色が変質した事に――]
[二人はお茶をすすっている。施設の子供の話題、今週の夕食の献立について、そんな他愛のない会話。
そんな時、テレビから緊急速報を知らせるチャイムが聞こえた]
<<市街地のカフェで爆発。原因・死傷者は不明。>>
NEXT犯罪者…、じゃないですよね。
[簡潔な文言で事件を知らせるテロップに、思わず呟く]
12人目、高嶺 耀 がやってきました。
高嶺 耀は、村人 を希望しました。
―都内のマンションの一室―
[カチャカチャカチャとキーボードを叩く音が高らかに響くなか、それに混じってテレビのニュースが流れている。]
「昨夜未明、渋谷区道玄坂の路上で無職・川島路美雄さん(21)が死亡しているのが発見された事件について、警視庁北渋谷署は同渋谷区松涛のマンションで発生した大学生・下田勇樹さん(22)殺害事件と関連性ありとする見方を発表しました。」
[キーを叩きながら液晶ディスプレイを覗いているのは黒髪の、女性とも男性ともつかぬ中性的な容貌の、20代半ばくらいの若者。]
うん、もうパターン起こしは終わってるから、10日には上がると思う。
そうだね、次は思い切って10着作るつもり。
[頭につけたインカムで友人と音声通話しながら、取引先に送るメールの下書きをしている。]
っつーか、暴走してんじゃねーよっ!
[あれはヤバイ、かなりヤバイ。
そんな思いが容易く浮かぶバスの暴走ぶりに、また突っ込みが飛ぶ。
距離が詰まり、目に入ったのはバスの屋根の上の人影らしきもの]
あれは……って、ちょ、待てえええっ!
[認識と、それが飛び降りてくるのはどちらが先だったか。
とっさの判断でハンドルを切り、いきなりの接触ぎりぎり、免れるものの。
体勢が大きく崩れ、派手な音を立てて急停車をするハメになる]
……あっぶねぇ、だろこら!
ちなみに僕自身は変身ヒーローもの、そんなに詳しくなかったりする。
だからこれ以上古典を期待されても困るんだけど、あえて独り言で言う。
『なんでもNEXT犯罪者に結びつけるのはどうなんでしょうね…、あら、電話電話』
[牧師様が呟きに反応してそう答えた時、レトロな黒電話の音が部屋に響く]
『…、はい…、はい…。分かりました。すぐ向かわせます』
[黒電話の受話器を静かに置いて、牧師様はつぶやいた]
『ヴィッキー、さっきの爆発はNEXT犯罪者の仕業みたいです。現場に向かって下さい、出動要請です。』
[険しい表情の牧師様に向かって、コクリと頷いた]
[ストレッチからリハビリも兼ねた筋トレ、持久力を鍛える水練までひととおり行った後、ジムに併設のシャワーブースで汗を流し、元の背広に着替える。
その頃には、<東風>の整備も終わっていた。
リニューアルした部分の説明を受け、書類に判を押す。]
ありがとうございます。
数日以内に使用報告をお送りしますので。
「北渋谷署では引き続き目撃者を探すと共に、マンション内で発見された女性Aさんに詳しく事情を聞くなどして捜査を続けています。
あ、ただいま緊急速報が入りました。
○○区××のカフェで爆発が起きた模様……」
あ、テレビ? うん、最近酷いね本当。
じゃあ、水曜に。バイ。
[通話をオフにして、「取り込み中」に変えた後、テキストエディタに書いた下書きをメールソフトにコピペしてメールを送信。]
[飛び降りざまの急襲を避けられ、四足獣のようにアスファルトに着地する。そのままの姿勢で首だけを巡らせ、相手が急停止したのを確認。
青年は何かを言っていた。怒っているようだ。]
ヴィー……。
[言葉にならぬ声を出しつつ、ゆらりと立ち上がる。彼はこういうとき、どうすればいいかを自分の中で定めている。
開いた右手。ただ振り回すだけの、しかし一般人なら致命的な威力の攻撃を、青年に叩き付ける]
[如何な超人NEXTといえども、起きた爆発をなかったことにはできない。
黒煙の上がるなか、ビル内に取り残された人へ手を伸ばす。
救援がくるまでは炎上があってもそちらにばかり気をかけていることもできない。爆煙による一酸化炭素中毒は簡単に人命を奪う故に、一刻を争った。
異形の自分に対して恐怖を覚えるものもいるが、その度叱咤の声をかける。
生きるのと死ぬの、どちらがいいのかと。]
[その場にある物々、中でもハンカチやロープなどを変化させ、外へと道をつなぐ。
カフェも併設されているビルでは、中にいる人間の数もまた多い。
どこかで遠く街のスクリーンがこの事件を報道しているのが聞こえたが、気に止めている余裕はなかった。]
さて──
室長のご要望はチーズケーキ、だったっけ。
[受付嬢に聞くと、ケーキ屋ではないが、喫茶店「月の猫」がお勧めだと言われた。
コーヒーも旨いらしい。
タルトなんとかが絶品と言われたが、どんなものか想像がつかなかった。
ともあれ行ってみることにして、店までの地図を描いてもらい、研究施設を出る。]
―爆発現場→最寄りの地下鉄駅へ―
[現場にメモを落とし、混迷極める状況で
イスラム男は何事もなかったかのように
地下鉄の駅へ向かう階段を下りていく。
終始無言、そのまま券売機で切符を買う。
ここは東京レトロ銭座線の駅である。]
…、ひどい。
[現場は思っていた以上に凄惨だった。ティータイムを楽しんでいた筈の人たちは、突然起きた爆発に驚き、傷つき、そして倒れている]
乗ってきたバイクを路地に止め、胸の前で十字を切る…。
[追跡者を確認。屋根の一体が飛び降りて交戦中―――。
ハンドルを握る一体はそれを認識し、バスの速度を若干緩め角を曲がる。
追跡者を沈黙させた仲間は拾わなければならない。別に拾わなくてもいいと言えばいいのだが、拾わない理由もない。
もう一度角を曲がる。ぐるりと回って、同じ場所をもう一度通るために]
あー……っとに、もう!
[停まっている間にバスがどうなるか、は推して知るべし。
視界からあっさりと遠ざかるそれを追うか否か、悩んでいる間に距離を詰められた]
……っ!
[とっさに腕を翳してガードの体勢を取る。
子供の頃は、剣術道場の跡取りになれ、と祖父に半ば強制的に修業をさせられ。
全てを『なくした』後、鍛錬を重ねた身体は、一般人に比べたなら遥かに打たれ強くはある、が。
叩きつけられた衝撃、その全てを受け止める──なんて芸当は、生憎と出来ず。
勢いに押されて吹き飛び、道路標識に思いっきり、背を打ち付けて止まった]
―都内マンション(自宅)―
[ ふぅと一息ついて、サーモマグに淹れたコーヒーを一啜り。
テレビカメラが上空からヘリで実況中継する画面を見、スッと目を細めた。]
……愚かな。
[ 低く酷薄な声音。
太古の神託者の如き非人間的な厳粛さが端正な貌に浮かんだ。**]
―爆発現場第9ビル/内部―
[凄惨を極める現場。爆発を免れた3Fでは
救助を待つ生き残りが数名、
空調の壊れた蒸し暑い部屋で助けを待っている。]
「痛い!!痛いよう!!!」
「ど、どうしたの坊や!?」
[その数名のうちのひとり、小さな子供が耳を押さえて苦しみ始める。
さらに、2人の子供も同じように耳の痛みを訴える。
20代より上だろうか、大人たちは何が起きているかわからない。
"部屋の中の室温は空調の故障、火災の影響で
みるみる上昇していく"]
― 現在:公道 ―
[過去に思いを馳せていると不意に携帯電話が着信を知らせて振動する。
バイクを道の端に寄せて止め、しつこく振動を続けている電話のディスプレイを見る]
……ナタリア?
俺だ、どうかしたのか。
先程、警察に接触してこちらからの協力姿勢を見せてNEXT犯罪が起こった現場に向かうところだぞ。
[電話の主はナタリアと名乗っている女性、本名かどうかは不明。
NEXTとして目覚めた日に家に帰る事も出来ずに街をうろついていたところを同様にNEXTによって家族を殺され一人でさまよっていた彼女を見つけ、それ以来二人で探偵とも何でも屋ともつかない事をやっている仲だった]
繁華街で爆弾テロ?
NEXT絡みなのか?
……バスジャックの方はブーストが2名向かっているのか。
わかった、俺も救助に回る。
[電話を切ると再びバイクを走らせ、街中の方へと道を戻ってゆく]
[平手を叩き付けられ、青年が吹き飛ぶ。道路標識にぶち当たる]
ヴィー。
[たしかな手応え。
カウントレス・Sは他のNEXTに比べれば身体能力は低いと言わざるを得ないが、それでも一般人相手ならば無敵と言っていい強さを持っている。
それで驕ることはない。それが当たり前なのだ。
青年は死んではいないだろうが、しばらく起き上がれないだろう。そう判断し、こちらに戻ってくるはずのバスを待とうと、道路の先へ視線を向ける]
「きーん、きーんって音がするよ、ママ!!」
「ぼ、坊や?何を言っているの?」
[子どもたちが訴える音は大人には聴こえていないらしい。
室温の上昇は止まらない。もう少しで"空調もない
外気の気温も越えよう"としている。]
――第9ビル室内――
はぁっ、はっ……!
[止められない火災は拡散を続け、生存者たちを脅かす。
NEXT体である自分は多少生身よりは耐久力があるが、そうでない者――特に、子供や年配の――は動くことも出来ず、死を待つ姿勢にすらなっている者もいる。]
大丈夫!? 聞こえる!?
ちゃんと"生きてる"からね、みんな!
[耳に異常を訴える子供たち、うろたえる大人。火災等による熱で思考も混濁してきている彼らに、強く呼びかけ手を伸ばす。]
……っててて……。
[しばらくは起き上がれない。
そんな予測は、わりと呆気なく裏切られた]
んのやろ、マジ一般市民だったら、イってたぞ今のっ……。
[は、と大きく息を吐いて、ゆらりと立ち上がる。
先に頭を守ってくれたメットは外して、ぽい、と横に投げ。
左手のブレスレットの上に刻まれた、緋色のエンブレムに特定のリズムで触れてゆく]
Menschenfresser der Flamme…….
[呟きに応じて走る、緋色の煌めき]
《TYPE-blade》……Anfang!
[そして、室温が外気を上回った頃
カチッ]
どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
[まるで自動で起爆するように、爆発が起こる。
救助に来た正義のNEXT諸君は見たであろうか。
シンドバッドが仕掛けた【爆弾はどこにあったのか】を++。]
── 喫茶店「月の猫」への途上 ──
[描いてもらった地図を頼りに路地をゆく。
近道を教えてくれたのだろうが、そこは大型の車椅子ではギリギリの道幅だった。]
…この先に放置自転車でもあったら、辿り着けないかもな…
[自転車くらいなら<東風>の放つ圧縮空気で吹き飛ばすことは余裕だが、事件性もないのに都民の器物破損をしていいわけがない。]
―喫茶店:月の猫―
[――緊急速報をお伝えします。
――××時頃、××ビルで爆発が発生…
店のラジオから速報が流れる。
バスジャックについても流れようか。
マスターの意向によりこの店にテレビはない。]
……。
[マスターの幸恵は、またなのね―――と呟き眉を寄せた。]
本当に。
[――また、異形の姿を見たと言う報告もあり――
「Next、だったかね、ばけものの…」
常連は、恐れと嫌悪を混ぜ合わせた表情で、こぼす。
世間の評価を耳にしながら、ツキシロは濡れた手を拭く。――そうして考える。“休憩”に、行くか否か。]
TYPE-blade 焔鬼 が見物しにやってきました。
TYPE-blade 焔鬼は、見物人 を希望しました。
[──緋と黒が、乱舞した]
[恐らく、傍目にはそんな感じに見えたであろう、一瞬。
理屈は不明──というか、実は全く気にしていないのだが。
特定のリズムでワードを打ち込み、『起動』を命じることで、それは『力』となって具象化する。
強化装甲《TYPE-blade》焔鬼。
NEXT犯罪によって全てなくした青年の得た、人の手による、『力』]
[伸ばした手は、彼らに触れない。
耳が痛いと訴える子供の呼び声に、救いは届かなかった。
爆音は再びビルを震わせた。灼熱の煙が吹きかかって、思わず身体を守る。]
つっ……!
[煙と瓦礫の向こうに、"被害者"の姿が見える――]
[なにごとかを呟く声に振り返る。……そこには先ほどの青年が倒れているはずだった。
緋色のきらめき。現れた異形。剣持つ鬼人。
もし彼が表情を変えられたなら、驚きに目を見開いていただろう]
ヴィーーーーーーーーーーーーーッッッッ!
[しかし、硬直も一瞬。
現れたそれを敵と見なした彼は、空気を引き裂くような雄叫びをあげる。高らかに、高らかに、昂揚を示威するように。
そして、バスから飛び降りたときと同じためらいのなさで、その異形へとまっすぐに突撃した]
Groom Huntress が見物しにやってきました。
Groom Huntressは、見物人 を希望しました。
―ある掲示板―
85:名無し@申請中 20XX/XX/XX(金) 11:24:15.43 ID:lAy7Mr4b3
昨日の渋谷のGroom Huntressの仕業らしいな
86:名無し@申請中 20XX/XX/XX(金) 12:08:01.87 ID:DCqPm6hf2
>>85
kwsk
87:名無し@申請中 20XX/XX/XX(金) 12:16:38.06 ID:lAy7Mr4b3
JC拉致ってビデオ取るレイープ魔だったらしい
マンションで死んだ奴は共犯
88名無し@申請中 20XX/XX/XX(金) 12:28:03.15 ID:rRdIB6F2n
そういうのは山奥に釣れてくんじゃないの
……ほいよ、っと!
[斜め後ろに飛び退く動き、それに合わせて上がる声は先の青年のそれと同じく、どこか軽いもの]
そうっそう何度も、食らってらんねーんでね!
[さらりと言いつつ、往なした相手の側面へと回り込み。
飛び退く際に一度右下へと向けた剣、それを流れるように振り上げ、躊躇う事無く切りつける]
― 街中 ―
これは……凄いな……。
[爆発のあったと言われた現場に到着してヘルメットを取り辺りを見回す、建造物は無残に砕け、肉の焼ける臭いが立ち込めている]
ただの爆破テロじゃないのか?
[慌ただしく動いている警官達に端末からデータを見せて登録済みのNEXTであることを明かして話を聞く。
流石に爆発した瞬間を目の当たりにした目撃者は悉くが肉塊となってしまっている為に話は聞けないが、爆発の中心地は車などが止まれない歩道であった事などの情報を聞く]
いくらNEXTと言っても他のNEXTの能力までは解らん。
仮にNEXT犯罪だとすると、今まで戦ってきたNEXTの中にはなかった珍しいタイプのようだな。
相手の特性が解らない事には対応は難しいと思うが……
[と警官達と話していると視認出来る範囲にあるビルから新たな爆発が起こり、電柱が倒れ電線がアスファルトの上のミミズのようにのたうっている]
―昭和神宮球場―
XX日のヤグルマVS軍神のチケットを。
[地下鉄銭座線を使い、男はとある球場にやってきた。
イスラム男は球場前売りチケット購入窓口にそう告げる。
ヤグルマスパローズ、軍神ジャガース。
ともに日本のプロ野球チームの名前だ。]
「XXXX円になります。」
[受付嬢に従って、チケット代金を支払う。]
[駆け出して行ったものの、爆発が酷くて中に入るのは簡単そうに見えない。
窓から、ハンカチやロープが変化したものに伝って、人が降りてくる。これはフロウディアの能力、中に彼女がいる!]
大丈夫だから、もう大丈夫。さあ、あちらで手当を。
[何とか脱出したが、恐怖と混乱でどう動いていいかわからない人に声をかけ、急ごしらえの救護スペースへ誘導する。]
[──と、緊急事態を告げる通信が入った。
車椅子からディスプレイを引き出して事件の起きた場所を確認する。
同時に、車椅子の自動走行のスイッチをリアに入れてバックさせた。**]
[突撃が避けられる。最初に襲いかかったときとはまるで違う、余裕を残した回避。
そして、間髪入れず振り下ろされる剣]
ヴィ……?
[そんな、悲鳴にもならぬ間抜けな声を残して、彼は一刀のもとに両断された。
突撃の勢いのまま、上半身と下半身がビチャリ、ドサリとアスファルトに投げ出される]
[怯える警官達にのたうつ電線が襲い掛かろうとした刹那、変身の掛け声と共にNEXT体へと変質し、電線をその手で掴む]
早いところ爆弾を特定しない事には被害が広がるだけだ。
NEXTらしき人影は見なかったのか?
[多少の電気は自分の強化皮膚には通用しない、ゴムよりも強い絶縁体であるし、NEXT体の自己治癒力で多少の感電ダメージはゼロに出来る
電線に怯えているのか、はたまたNEXTの姿に怯えているのか解らないが、警官は最早呂律が回らない程の恐慌状態に陥っていた]
[飛び降りた一体が敵と交戦。バイクで追跡していた青年が変身した模様。NEXTあるいはブーストと思われる。
敵は剣のような武器を所持。おそらく近接戦闘タイプで、身体能力が高い。
―――ハンドルを握る一体は、状況を完璧に把握していた]
ヴィー……。
[可視範囲内にその剣の鬼人を捉える。
彼がやったことは、やはり単純だった。アクセルをめいっぱい踏み込んだのだ。
剣の鬼人に向けて、幼児送迎バスが爆進する]
瓜科久しぶりだけど、メモ上限500ptか。
いきなり字数オーバー言われた (←
そして、バトル方面、完全に出遅れてるが寝る。
今日は設定出しとシャワーロールの日 (←
やれやれ、何か解ったら俺のパートナーに連絡してくれ。
とにかくまずは人命救助を最優先する。
[恐慌状態の警官達に避難するように指示してから電線を手に踵から稲妻を射出して高く飛び上がり、ビルの壁に電線を突き刺して着地する]
地面に通電している物を置いておく訳にもいかないだろうしな。
さて、行くか。
[我先にと逃げ惑ってくる人の群れの方向を見て、そちらへ駆け出してゆく**]
[そこにいたはずの命が跡形もなく消え去って、血と肉と瓦礫の混じったものになる。
坊や、と泣く筈だった母親の声すら、もう聞くことはできない。]
……、!
[ぎり、と表情を表すパーツの少ないNEXTの、動かぬ唇を噛み締める。
芽生える殺意は押し込めて、そして狂おしいほどの後悔と自責を胸に、別室へ向かう。
まだ、生存者はいる。]
[《TYPE-blade》の特性は、その『速さ』にある。
作成者曰くのコンセプトは、『やられる前にやれ』との事で。
それはある意味、装着者である緋焔の気質そのままと言えたから、相性としては最高であるらしい]
ぉ……意外にあっけな……。
[一閃で倒れた姿にもらした呟きは]
……いいっ!?
[突っ込んでくる送迎バスによって、語尾がひっくり返った。
ここで避けるのは容易いが、それをやったらバスがどうなるか。
ちら、と振り返った後ろには住宅が並んでいる。
選べる選択肢は多くない──]
……けっこー、無茶だけど……突っ込まれるよりゃ、マシっ!
[そんな理屈で自分を納得させて、剣にエネルギーをチャージして]
……斬っ!
[掛け声と共に、剣を横に薙ぎ払う。
放つ衝撃波が狙うのは、バスのタイヤ。
とにかく動きを止める、それ以外は思いつかなかった]
[救護スペースは野戦病院さながらだった。
ただただ泣く者、呆然とする者、火傷や怪我の痛みに呻く者。生命の危機の高い順から救急車で搬送されるが、それも限度がある。]
大丈夫、大丈夫だから。手当が済むまで頑張るのよ。
[大丈夫な訳がない。でも、そう言わないとやってられない惨状。救出されて動けない人に肩を貸すため、救護スペースから再び現場へ向かった。**]
―昭和神宮球場前―
[チケットを買い、球場の前で大騒ぎしている声を聞く。
件の爆破テロにおいて、NEXTたちを含んで
救助活動を行っている、という話だった。]
「戦士たち」は勇猛果敢だ。熱気に煽られると「突撃」する。
それもまた運命―初めから決められた運命だ。
[東京周辺は最近蚊が異常に発生している。
この球場周辺にも虫刺されの痕がある人がいる。
どうも彼の口調には「主体的な犯行」である
という意識が希薄なように思える。]
インシャラー(神の思し召すままに)……。
[最大速度でバスを突貫させる。景色が流れるように飛び過ぎ、標的がどんどん大きくなる。
その標的が、剣を一閃させた。
ザゥンッ。そんな、斬撃のような音を聴いた気がする。
わずかな浮遊感。激しい衝撃。送迎バスの車体が小さくバウンドし、金属がこすれるイヤな大音量。
何が起こったのか、詳細はさすがに分かりかねた。分かりかねたが……しばらくして送迎バスはその動きを停止する]
ヴィ……ヴィー?
[激しい振動が止み、運転席に座る一体が顔を上げる。
衝撃にひび割れたフロントガラスのすぐ向こうに、剣の鬼人が立っていた]
[仕掛けた攻撃は、かなりぎりぎりの賭けだった。
最悪、止めるどころか──な可能性もあったわけで。
いずれにしろ、これは後で説教食らうな、なんて思考は今の所は、ない]
……さぁ、てぇ。
いいっ加減、大人しくしてもらおーかぁ?
[ひび割れたフロントガラス越しに剣の先を突きつけつつ、運転席へ向けて声をかける。
大人しくするなら重畳、そうでない場合は容赦するつもりはないが。
人質取られたら厄介だなー、なんて思考も、多少過っていた。**]
[外からは泣き声や喚き声が聞こえる。けれど、声が聞こえるということは生の証でもあり、それは安堵を呼び起こす。
瓦礫を蹴り、時に重いものは鞭を絡めて引き上げ、生存者を外へ送り出していく。
その度に下の救護スペースはまた騒がしさを増したろうが、それはこのNEXTにとっては喜ばしいことだった**]
[敵は明らかに戦闘タイプ。近接戦闘向きに見えるが、遠距離攻撃も使用可能。
こちらの残りは運転席に一人、車内に二人、屋上に一人。人質を盾に取り気を引いて、屋上の一人が奇襲をかける戦法を考慮する。もしくはさらに人数を増やし、人海戦術で打倒するケースについて考える。
幼児送迎バスはもう動かない]
……多元定理変算。
[彼らが初めて発した意味のある言葉は、はたして剣の鬼人に届いただろうか。
まるで存在自体が薄れるように、幼児送迎バスをジャックしていたカウントレス・Sたちは一体残らず消え去る。―――両断され、アスファルトに転がった一体も含めて。
後には壊れた幼児送迎バスと、無事だった人質たちが残された**]
白竜騎 リントブルム が村を出て行きました。
―― バス亭 ――
………。
[喧騒に酔うようにして、女は右に左にと揺られながら
都心へ向かおうとしていた。
空には太陽。地には騒音。
進めば進む程、音と熱の壁は女を阻む。
途中でバス亭のベンチを見つければ
半ば倒れこむように腰掛けた。]
…………。
[街の方で、煙が上がっている。
緊急自動車のサイレンも重なって飛んでいる。]
ずいぶん様変わりしましたね。
[女の感想は、そんな言葉だった。]
[見回せば、往く人来る人はあまり前を見ず
手にした無線機のようなものへ熱心に入力している。]
……?
[首を傾げた。]
…………。ずいぶん様変わりしましたね。
[一人が電柱にぶつかったようだ。
電話と煙の方角を見て、前を見なければ当然そうなる。
もしかしてマゾヒストなのだろうか、と女は考えた。]
…………。
[ポケットから野菜ジュースのパックを取り出す。
道中で自動販売機を破壊――もとい購入したものだ。
ストローで啜り始めた。]
[野菜ジュースの紙パックがぺこんとへこむ。]
………。
[もう一パックを取り出し、ストローをさした。
女は咥え、両手でパックを抑えながら立ち上がった。
足取りの覚束なさは相変わらずだったが
目は向かうべき先をしっかりと見据えていた。]
ふいふん、ははははひひはひはへえ……。
(ずいぶん、さまがわりしましたねえ……)
[三度目となる呟きを遺し、煙の方角へ。
往く人来る人、その全ての合間を縫いながら。]
―喫茶店:月の猫―
―――ユキエさん、
少し出てきます。
[ああ、行ってらっしゃい、と
いつものことと返事がある。
休憩を幾度かとるのはツキシロの常。
他数名の従業員もよく知ることだ。
“すぐ戻る”から問題はないのだ。]
[エプロンを外し裏口から出る。
くくった髪をほどき、
左右に首を振ればさらりと髪は揺れた。]
―――、
[煙の上がった方を睨むと、
徐に駆け出し、跳躍―――そして次の瞬間にはその姿は、*消え*]
フェイスレス が見物しにやってきました。
フェイスレスは、見物人 を希望しました。
[―――かちり。
歯車は回る。白い姿は煙とビルの隙間を縫って、ぶれて消えて幻か何かのように]
[“カオナシ《Faceless》”]
[ここ一、二年のこと。
Nextの事件現場に
現れては消えるそれは、
いつしかそう呼ばれるようになっていた。]
―― 街中/幼児送迎バス付近 ―
?
[人だかりが出来つつあった。
景色が人手埋まる前、見えたものは、中型バス。
ファンシーに彩られたそれは、幼稚園だか保育園の送迎用。
見慣れぬものに、女は近づこうとしたが
更なる野次馬が現れて、進路をふさがれてしまった。]
…………。
[聞こえてくるのは幼児の泣き声。
それと、青年のような声だっただろうか。]
♪
[女は、進展の無い景色から瞳を移ろわせた。
野菜ジュースの最後を一飲み。
その場で放して落とすように、空のパックを捨てた。
メイド姿は、現場から遠ざかって行く。
最後にうっすらと見せたのは――わずかばかりの笑み。]
―爆発現場―
[よく磨かれた鏡面のような“顔”は、
なにかを探すように左右に触れる。
道中。
落ちる瓦礫や救助に邪魔な壁を歯車が砕く。砕いては、フェイスレスは薄れ、消えた。
救助隊は見ずとも、
こどもや、あるいは救助に当たっていたNEXTは瞬間、その姿を見たかもしれぬ]
《――もう 居ない か》
[煙の途絶えぬビルの上、
探していたのはこの事件の“犯人”。
不意にぱしりと白く機械じみた手でつかむように叩く、
それは小さな“蚊”だった。
――脆弱なそれ、されど違和感が残る。]
―― 爆発現場前/救護スペース ――
[立ち込める黒煙。灰色の狭間から漏れる火の色。
悲鳴に、絶叫に――変わり果てた瓦礫の国。
女は、眠そうに三本目の野菜ジュースをすすっている。
来る人、行く人。怯える人、叫ぶ人。
瞳だけを動かして、形の動きを追った。]
[そんな景色を、女が眠そうに眺めていると
仮設テントから現れた看護師らしき熟女が言った。]
『あんた! 早くこっちへ来て手伝っておくれよ!』
[女が鈍い反応を見せている間に、
熟練の看護師らしき女性は、メイドの腕を引っ張った。]
『応急手当と、水分の配布。
いいかい、この布の色が治療の優先順位を示してるから…』
[看護師の説明に、ぽやーっとしたまま聞いている。]
『……よし覚えたね。覚えて無くても気合で覚え名!
ほらほら、ちゃちゃっと動いて! 早く!』
[そんな景色を、女が眠そうに眺めていると
仮設テントから現れた看護師らしき熟女が言った。]
『あんた! 早くこっちへ来て手伝っておくれよ!』
[女が鈍い反応を見せている間に、
熟練の看護師らしき女性は、メイドの腕を引っ張った。]
『応急手当と、水分の配布。
いいかい、この布の色が治療の優先順位を示してるから…』
[看護師の説明に、ぽやーっとしたまま聞いている。]
『……よし覚えたね。覚えて無くても気合で覚えな!
ほらほら、ちゃちゃっと動いて! 早く!』
[エプロンドレスは、送り出すように背中を押された。
つんのめりつつも、踏みとどまる。]
え。あ。……はい。
わかりました。
[遅れて、脳が事態を把握したらしい。
マイペースながらも、言われた通りに手当をこなしていく。]
ん。動いてはいけません。
ん。これを飲むといいです。
[水分を求めている軽い怪我の人には、
次々と野菜ジュースを差し出した。
『ぼくやさいきらーい!』と飲み渋る子供は
鼻にストローが突きさされたとか。]
―爆発現場:ビルの上―
[救護の行われているあたりを
見下ろすようなしぐさを見せる。
浮かぶ歯車がかきりと 回った。
一歩退き
白い姿は空へ跳躍する。
次の瞬間にはその姿は掻き消えていた**]
―しばし後:喫茶店月の猫―
[おかえり、ツキシロくん、と
マスターが声をかけてくる。
常連はさっき出ていったところのようだ。]
はい … ただいま、かえりました。
[後ろで髪を結わえながらツキシロは答える。
何事もなかったかのように、それが日常。
ラジオからは事件の続報が流れ続けていた。]
…――。
[「NEXT」という言葉にラジオのほうを一瞥する。
すぐにそらして手を洗って業務に当たる。
喫茶、月の猫。通常営業中、であった。]
[彼は救護には手を出さない。
それは己の役目ではないと思っている。
あともうひとつ。
自分の姿が知られるのを好まないのだ。]
…ユキエさん。
[なあに、と母親が子に応えるような風で
マスターは返事をする]
…NEXT 、の事件 増えましたね
[そうねえ、とマスターは痛ましげな表情を浮かべた。NEXTは時に畏怖され、時に憎悪され、時に嫌悪され、受け入れるもの受け入れないものの間に大きな溝を生んでいた。]
……――共存は できるんだろうか
[呟いた言葉は、流れる水に落ちて、消えた。]
―― 爆発現場 / 救護スペース ――
[一通り、女に任せられた仕事も終わった。
額に汗を浮かせる事もなく、
自分用の野菜ジュースを飲んでいる。]
――――。
[先程の看護師は、別の患者に付きっ切りのようだ。
その背中を暫く眺めた後
メイド姿は仮設テントから消えていた。]
[女には履き物が無い。
硝子にコンクリに――諸々が散乱しているこの場所を
裸足で歩けば、怪我の一つも負うだろう。]
…………。
[女は、ちらと足元を一瞥しただけで、
後の歩は、特に気を使う素振りも無く歩いて行く。
どの人も、どの姿も
火災の鎮圧や人名の救助に忙しなく
場違いな格好をした女に振り返る事はしない。
時折、声をかけてきた者もいたが
無反応のままで歩き続けると
問題は無いと判断したのか、別の人の所へ行ってしまった。]
―― 街中/路地裏 ――
[一通り、破壊された場所を回った。
生きている命、終えてしまった命。
様々なものは垣間見えたけれど
女の感想は、騒動から離れた場所で呟かれた。]
未来ですねー。
[わるい宇宙人が地球によく似た星の生命と戦争を起こし
一つ、また一つと街が消えて行く。
女の心に珍しくも残る、とある映画のお話。]
次はどこでクーデターが起こるのでしょうか。
[空を眺めた。
宇宙船のようなものは飛んでいない。
代わりに、灰色の雲が広く積もっている。]
[笑みも無く、悲しみも無く
女は歩く為に歩いて行く。]
…………ふう。
[建物と、建物の陰。
丁度、何かの店の裏のようで
大き目のゴミ箱――錆付いたコンテナが置かれていた。]
良い風除けになりそうです。
[女は、コンテナの陰に腰を下ろした。
壁に背を預け、足がコンテナからはみ出ないよう
軽く膝をまげて、それを腕で抱え込んで。]
――――。
[空になった野菜ジュースを、コンテナへ放り込む。
中空で綺麗な孤を描いた紙パックは――
残念ながら風に押し戻され、女の顔にぶつかった。]
…………。
[何事も無かったかのように
落ちた紙パックをポケットにしまった。]
13人目、シャッテン がやってきました。
シャッテンは、人狼 を希望しました。
― 爆発現場 ―
[喧騒に包まれたその場所。
街の人ごみの中、その男は立っていた。
どこか希薄なその姿と存在感。
だが矛盾するが如く、これ以上ないほど異常な"在り方"が
見る者によっては感じ取れたであろう。]
……これは、良い。
[ぽつり、呟く]
覚悟あるNEXT……。
意思あるNEXT……。
選ばれしNEXT……。
そこから生み出され、振るわれる力とは
かくも美しき絵画と旋律を生み出すものか。
[帽子を深く被り、ぽつりぽつりと言葉を続ける。]
―――……。
答えは、もうすぐ、出る。
[その言葉を最後に踵を返せば、
名残惜しそうにその場を後にしようと歩を進める。]
そう、奴等は弱い……どうしようも、無いほどに。
[帽子の下、仮面の奥。
見えているのに見えない貌。
影の男は、ゆっくりとその場から姿を消した**]
―しばし後:喫茶店月の猫―
[からんからん。
レトロなベルが鳴り響く。]
――…いらっしゃ 、…
[顔を上げたツキシロは、
何を感じたのか。それは何者かの影であったのか。
不意に+言葉を途切れさせた+]
……どうかしたか?
[店の中、言葉を途切れさせた店員に首を傾げる。
それは不思議な感覚だっただろう。
見てるはずなのに見えていない。
確かに在るのに確認できない。
まるで夢幻の如く、異様な男。]
コーヒーを、ひとつ頼もう。
…、
[ごく普通に返ってくる言葉。]
…―――、は い
[じ、と見ているはずなのにその先は希薄。
喫茶店のマスターは、気づいている様子がない、ようだ。
豆を挽いて、いつも通り。
白磁のカップに香りたつ珈琲を注いで差し出した]
…どうぞ
[顔が、わからない]
……悪くは、ないな。
[コーヒーを口に運べば、そのような言葉。]
―――随分と、私が気になると見える。
気になるという事は、意識しているということ。
意識するということは、認識できるということ。
君もまた……此方側なのだろう?
次なる段階《ネクスト》へと進んだ……ね。
14人目、真田 玄斎 がやってきました。
真田 玄斎は、村人 を希望しました。
真田丸 が見物しにやってきました。
真田丸は、見物人 を希望しました。
…どうも。
[やはり、ツキシロには
愛想がやや足りない]
…、…
[確かに。
“見て”いるのはツキシロだけだった。
不自然なほどに誰も彼を気にしない。]
―――!
[左目にだけかかる長い前髪の下、僅かに表情が固くなる。]
いずれ、君は選ぶだろう。
その力の……自分が進む方向を。
[顔の無い顔、
まるで輪郭だけが存在する、影のような……。]
選択は、すぐ傍まで来ている。
それまでに『信念』を決めておく事だ。
[中身の無くなったカップを、コトリと置く。]
―――名前を、聞いても?
……――
知ったふうな こと、謂う。
[彼には、顔がない。
faceless、ツキシロのもう一つの姿に付けられたあだ名を思い出す。眉を少しだけ寄せた。]
…サフォア。
[名乗る。]
サフォア ツキシロ。
知ってなどいない。
知ろうとは、しているがな。
いや、決めようとしている……が正しいか。
[まるで自分自身を確かめる様に。
顎に手を当てて思考に耽る。]
サフォア……か、覚えておこう。
私の名前は………
[チャリ、と机の上にコーヒーの代金をおいて、
緩やかに立ち上がる。]
―――……シャッテン、そう名乗っている。
[その瞬間、男が揺らぐ。
それはまるで最初から存在していなかったかの様に
音も無く、何も残さず薄れていった。]
また……会う事もあるだろう。
既に道は混じり合ったのだから――――
―― 路地裏/コンテナの陰 ――
[もぞもぞと手が動く。
首筋をさする。蜘蛛は慌てて避難を開始した。]
…………。
[足元を一目散に逃げ出して行く。
メイドは、いつにも増して眠そうな眼で追いかけた。
どこかの店へ入ってしまったようだ。]
…………。
[周りを見渡した。]
…………。
知らない場所です。
[首を傾げた。]
起きたは良いものの
唯一接続onっぽいツキシロの元へ行く理由が
思いつかなかった!
…………こういう場合は
一人遊びすれば道は開かれるって誰かが言ってた。
―喫茶店:月の猫―
…――知っている…?
知らない…、決めようと、
なんの、…話、してるんだ。
[胸の奥を引っかかれるような感覚に
青年は珍しく、饒舌に問いかけた。
けれど顔のない顔は、それには答えない。]
[知っているのではないかと、そう思った。
例えばそう、己の求めている答えに近づける何かを。けれど]
…――シャッテン?
[ぐらり
ゆらり
ゆれる輪郭。目を瞠る。]
待 ――― っ
[そのまま“シャッテン”は、姿を消した。]
…――
[呆然と、その場に立ち尽くす。
最初からそこに誰もいなかったようだ。
――ツキシロくん、どうしたの?
マスターが声をかけてくる。
ああ、やはり、見えていないのかと]
いえ、…いま、そこに
[言いかけて、なんでもないと 首を横に振った。
からん、からん。
また ベルがなった。
今度は、顔のある、顔か**]
―― 路地裏/コンテナの陰 ――
…………。
[ぼーっとしていると
小さな気配が視界の隅をよぎった。
ちょうど、メイドが此処へ入ってきた入り口の方。
見上げると、そこには]
?
[先程、救護スペースで野菜ジュースを飲み渋った男の子。
女は、益々首を傾げた。]
『……ばーちゃん、いそがしいって』
[少年は、ぶっきらぼうにそんな事を言う。]
『わがままをいってはだめよ、って』
[メイドは、今にも泣き出しそうな少年を見つめた後
エプロンドレスをはたきつつ、立ち上がった。]
……………。
?
[女は、頭に咲く花のような笑顔で、手を差し出した。
少年は面食らったように動かなくなった後――
こくりと頷いて、おずおずとメイドの手をとった。]
―― 街中 ――
[少年の手を引いて、メイドが歩く。
事件の野次馬に向かう人もそうでない人も隔てなく
女の格好からか、振り返って何かを囁く。]
『……じ、じぶんであるくからいいよ。
べ、べつにはずかしいとかじゃねーからな!』
[少年が手を引き剥がそうとするも
メイドはぎゅっと握って歩き続けた。]
?
[小さな違和感を感じて振り返る。
少年は、抵抗をやめたらしい。]
[メイドは街をさまよっていた。
当初は仮設テントへ戻ろうとしたのだが]
『もどっても、ばーちゃんもかーちゃんも……』
[少年の呟きに、踵を返す事となった。
練り歩いていると、色々な景色が流れていく。
少年とメイドは二人して物珍しげに眺めている。
そして――女の目は、一つの看板に留まった。]
ミスター。
ネコは好きですか?
[メイドは、少年に尋ねた。
少年は、小さく頷いた。]
―喫茶:月の猫―
[いらっしゃいませえ、と
マスターが声をかけたのでツキシロは今度は黙っていた。少年と女性の二人連れ。きょうだいだろうか。]
どうぞ、空いているお席へ。
[手で指し示し、
ツキシロは置き去りの代金とカップを片付ける。]
―― 月の猫 ――
[店の人らしき一人の挨拶と、案内。
裸足のメイドは、ゆっくり見渡した後]
三味線用に皮を剥がれた猫がいません。
[首を傾げた。]
『そ、そんなのいるわけねーだろ』
[少年は緊張気味のようだ。]
あいている席へ――
[つつつ、と手をひいて、隅の席へ。]
[メイドは、メニューらしきものを手に取った。]
…………。
ミスター。読めません。
[首を傾げた。]
『はんたいだよ、ねーちゃん』
[メニューが逆さまだった。]
[あら、外国の人なのかしらねえ、
とマスターが「読めません」を聞き留めて
おっとりと謂う。
「ツキシロくん、読んでさしあげて?」
というのはサフォアがつまりハーフであることを理由としてであろうが]
ご注文は、…
………読めますか?
[ぼーっとメニューを眺める女性と落ち着かない様子の少年二人組の近くに歩み寄って尋ねる。]
[メニューを眺めていた顔を、上げる。
初めは少年を見たが、異なる気配に視線を移した。
とても綺麗な、女性のような――男性がいた。]
ご注文……。
[店員らしき彼と、メニューを見比べる。]
文字の深遠はすぐそこに顔を見せていますが
深遠の意味を知るには、まだ私は未熟者です。
[口を開きかけて、またメニューを見る。]
…………拝読可能ですが、私は
"えすぷれっそ"や"ぶれんど"なるものが
どのような存在なのか、よくわかりません。
音に強そうな響きが含まれているのはわかります。
[少年は少年で、カタカナが難しいらしい。
そちらもそちらで唸っているようだった。]
[――日本語は流暢なようだ。
が、言っていることがまるで、哲学者だ。]
……。
[難しかったので黙っていた。]
…別に珈琲は戦いませんから安心してください。
……そうですね
甘いのが好きですか、
苦いのが好きですか。
[味から攻めてみた。それから、少年を見て]
…アイスもある。
[と付け加えた。]
珈琲は戦わない……。
彼らは液体でありながら平和を制定したのですね。
磨り潰され、混ざり合い――一つの調和へと。
[頷いた。]
……味が選べるのですか?
[驚いたように目を見開いた。
が、眠そうなのは相変わらず取れる気配が無い。]
……では、苦い………
[少年を見た。目をきらきらさせている。
アイスにか、はたまた奥から聞こえた鳴き声にか。]
ネコアイスで……。
[メイドは真剣な表情で、青年に告げた。]
……? ??…
…………ブレンドのことですか。
[脳内咀嚼した。
眠そうな女性と、ともすれば無表情の青年は
並ぶととても、なんだか、不思議なバランスだった。]
…選べます。
苦い、…ブラックでお淹れします。
温かいのと、冷たいのとどちらが…――
…え? 猫アイス?
[目を瞬かせた。(表情はほとんど変わらないが)
困ったように一度マスターの方を見た。
マスターは任せておいて!とばかり笑顔を浮かべた。]
…。…では、猫アイスで。
[通ってしまった。]
ふれんど。
平和を築くには、まず友を大事にしなければならない。
そういう事なのですね。
ミスターは、良い事を言います。
[頷いた。]
…………。
ところで。
[青年と、何やら自信たっぷりに受け容れた女性と。
交互に見やって、メイドはついぞ首を傾げた。]
あの。
ネコアイスとは?
[首を傾げた。
少年は少年で、店の奥の方を凝視している。
鳴き声の主はまだ見つけていないらしいが
どこから聞こえてくるかは大方見当をつけたらしい。]
…いや、ブレ…。
[訂正しようとして]
……そうですね。
[思い直して頷くことにした。
――人を受け入れるのも大切よ。
マスターの教えだが使い方は合っているのだろうか。
ともあれツキシロはコーヒーを淹れに向かう。]
……。
[ツキシロもネコアイスはよく分からない。
マスターの方を見ればなにやら
アイスを使ってデコレーションをしている。]
…ユキエさん?
[だいじょうぶよ、と少々おちゃめなマスターは笑った。]
生憎と席の好き嫌いは無いのでな。
適当に座らせて頂こう。
[席に着くと、メニューを覗き込み、]
玄米茶。
[短く告げて、目を閉じた。]
ミスター。ネコアイスです。
[女性がテーブルへとアイスを持ってくる。
それは、一見何の変哲も無いアイスだったが
よく見ると、やはりアイスだった。
それでも、メイドと少年、二人を注視させるには十分で。]
猫ですよ。ミスター。猫です。
『うわあ。ねこだ、ねこだっ』
[女性が『ゆっくり食べて行ってね』と遺すと
二人は同じようにこくこくと頷いてみせた。]
[程なくして、青年が珈琲を持ってきた。]
ありがとうございます。
[眠そうな視線を青年へと向けて、お辞儀をしようとした。
花弁が一枚、珈琲に落ちた。]
…………。
[メイドはじっと見つめた後、カップに口をつけた。
優雅――とは程遠い、わしづかみだった。]
15人目、ブライアン がやってきました。
ブライアンは、村人 を希望しました。
― 公園 ―
[ガリッ、とニンジンをかじる。生のまま、皮も剥かずに。
ガリ、ガリ、とかじって、口の中でゴリゴリとかみ砕く。まるで馬かウサギのような食餌。
公園のベンチに座る男は、日光浴でもするかのようにくつろぎながら、まるのままのニンジンを食べ続ける]
…………。
[やがてニンジンを一本食べきってしまった男は一息つくと、傍らに置いた鞄の中を探る。
そこから取り出したのは、赤い三角錐の野菜。……新しいニンジンだった]
─ 街中・幼児送迎バス近辺 ─
[問いに返るはどんな言葉か。
今のところあまり『無茶』はしていないので、余力はあるが……と。
考えを巡らせている所に届いたのは、聞き慣れない単語]
たげ……え、何だよ、それ?
[これまでの意の取れない声とは異なる単語に戸惑う内、その姿は薄れるように消え失せる。
はっと振り返ると、先に倒した一体もまた、同じように消えていく所だった]
……なんっ……なん、だ?
[問いに答える声はなく。
鬼面さながらのマスクの下、はあ、と大きく息を吐いた]
[呟きと同時、これまた特定リズムを端末に打ち込む。
黒と緋は消えて、現れるのはジャケット姿の青年一人]
……ま、今ここで悩んでても仕方ねーし。
細かい事は、後で考える、っと。
[そういう割り切りはやたらと早かった。
常日頃、そこを突っ込まれているのはある種の予定調和、というのはさておいて]
でもって、とりあえず今やる事は、っと!
[何はなくとも、確かめるべくはバスに乗っていた子供たちの安否。
度重なる暴走でショックを受けている子供も多いが、怪我はないようで]
……とりあえず、こっちは大丈夫そう、と。
あー、うん、大丈夫だいじょうぶ、怖いおじさんたちは、どっか行っちゃったから。
うん、すぐにおとーさんおかーさんが迎えに来るから、もうちょっとだけ、待ってろなー?
[怯える子供たちと目線を合わせて宥めにかかる。
それに手間取る内、周囲には野次馬が集まってきていた。
それに阻まれた者がいた事などは、知る由なく。
その場を運転手と引率者に任せると、一度バスを降りて組織へと通信を入れた]
[ガリ、と新しいニンジンをかじる。
ブライアンはニンジンをかじるとき、最初の一口は一番先端をかじると決めていた。
二口目はその反対側だ。三口目は側面の真ん中あたり。
そうやって食べると、一本のニンジンでも微妙に味が違うと気づく。
これはブライアンにとってはマナーのようなもので、ラーメン通がまずスープを一口飲むのと同じ意味合いを持つ。味を見極め、より堪能するために必要な行程なのだ。
四口目は皮だけを刮ぐようにかじる。
視界の端では、未だ黒煙を上げるビルが映っていた]
―喫茶:月の猫―
[ふたりで食べるのだろうと
アイスに添えられたスプーンは2本。
珈琲には花びら。]
……。
……その花、本物なんですね。
[なんとなく、尋ねた。]
綺麗だけど。
[珈琲をすする。
新たに現れた珍客に、眠そうな目を向ける。]
――――。
[切なそうに猫の顔を崩す少年に視線を戻し
胃の腑へ順調に黒い液体を補給しようとした。]
…………
?
[唐突に、少年は『あげる!』とアイスを差し出してきた。
メイドは目を瞬かせた後――スプーンにぱくついた。]
…………。
苦くてあまい。
不思議なアイスです。
[――と、突然の問いかけに顔を上げた。]
[香ばしい香りに鼻腔をくすぐられ、閉じていた目を開けた。
供された茶をしばらく睨みつけて、]
うむ、ご苦労。
[労いの声をかけた。]
あと、たくあんを所望する。
こちら風薙。
暴走バスは無事に停止した。
『どこが無事なのよ』
[通信第一声には、ざっくりとした突っ込みが返ってきた]
……るせえ、被害は最低限に留めたろ。
犯人確保は失敗したけど。
『肝心の所、抜けてるわよねー』
あのな、なんかする前にいきなり消えられたらどーにもならねーだろーがっ!
ま、そこらは戻ってから報告する。
[逐一トゲを感じる突っ込みに憮然としつつ、こちらの話はこうまとめ。
諸々の手配を頼んだ所で、ちら、と遠くの空に目をやった]
……で、さっきのアラートの状況は?
そっちは、手、足りてンの?
――――。
綺麗……。
[頭の花に、片手を副える。]
綺麗。
[ふやっと笑みがこぼれた。]
――あの世に咲くのは捨子花。
この世に咲くのは人の華。
[ずず、ともう一口。]
……です。
[こぼれた笑みが、完全な笑顔に変わった。
にこりと笑って、花びらを一枚、差し出してみる。]
[ガリ、と最後の一口をかじる。……ニンジンの味がした。
口の中いっぱいに、ニンジンの味。何一つ混じりのない素のままのニンジン。はたしてニンジン以外のものを食べたのはニンジン以来だったか。素晴らしきかなニンジン。少しは違うものを食べないと栄養が偏るなニンジン。でもニンジンは身体にいいらしいから大丈夫だろうかにんじん。ニンジン。にんじーん。
きっとニンジンには中毒性があるのだ]
……野次馬に行こう。
[呟いて、腰を上げる。鞄を肩にかけた。
ビルへと向かう]
[駆けつけた消防隊の助力によって、火災そのものは徐々に鎮圧してきている。
あとは蒸し暑い室内に充満した煙が何よりの凶器だった。蹴破るようにして窓を、ドアを開け、煙を外に逃がしていく。
黒煙より白煙が多くなってきたとあれば、もうこの騒動も収束に近づくだろう。
あの眼前の爆発以外にも、一度、二度、爆発は起きた。その度に瓦礫をどかし、崩れたビルから道を作り出した。
立てる人には自力で脱出してもらうためでもあるし、自分が埋まらないためでもある。
甲斐あってか、ビルの中から人の声は少なくなっていた。]
救助です! 誰か残っていらっしゃいますか!
[声を上げ、反応があればそちらへ走り。
ついにその声がなくなるまで、救助は続いた。]
『……足りてる、と思うんなら、アンタ、相当おめでたいわよ』
……さよかい。
とりあえず、こっちの現場引き渡ししたら、回ってみる。
『充電は?』
大して動いてねーし、だいじょ……おおっと!
[大丈夫、と言おうとしたら、背に衝撃が伝わった。
一体なんだ、と振り返ったなら、好奇心にきらきらと輝く大きな目が多数]
『……エン?』
あー、なんでもねーなんでもねー。
とりあえず、こっちの状況が落ち着き次第、移動するっ!
[聞こえる怪訝な声にこう返して通信を切り]
[一方ツキシロはというと]
…。
[綺麗、と繰り返す女性に頷いた。]
…ステゴバナ…?
[咄嗟に単語が浮かばない。
笑顔は花開くようでうつくしい。
笑みと共に差し出された花びらを、
ツキシロはまたたき面食らいながらも、受け取った]
…どうも…。
捨子花……幽霊花。
地獄に咲いては死人が宿り、
此岸で自然に咲き誇る事の無い、彼岸にありては毒の花。
[何事かをそらんじるように、メイドは言霊を紡ぐ。]
…………。
[笑顔は萎れ、アイスを食べつつ猫を眺める少年を見る。]
ミスター。
貴方の悲願はなんですか?
[瞳だけを少年から青年に向けて、ぽつりと問いかける。]
捨子花……幽霊花。
地獄に咲いては死人が宿り、
此岸で自然に咲き誇る事の無い、彼岸にありては毒の花。
[何事かをそらんじるように、メイドは言霊を紡ぐ。]
…………。
[笑顔は萎れ、アイスを食べつつ猫を眺める少年を見る。]
ミスター。
貴方の悲願はなんですか?
[瞳だけを少年から青年に向けて、ぽつりと問いかける。
彼の姿は、足早にカウンターへ向かったようだ。
返ることのない答に、メイドは頷いてみせた。]
……くぉら!
おにーさんはお仕事中なんだから、邪魔しないのー!
[先の衝撃は、ショックから回復してきた子供の突進だった。
ちょっとだけ大げさな口調で言うものの、目は穏やかで。
小言や引率者の諌めも何するものぞ、な子供たちの質問攻勢を受け流したり答えたり。
ようやく人員を割いてやって来た警察に場を引き渡すまでの間、子供たちの相手に時間を費やしていた。
ブースト研究組織『Blaue Flamme』は、技術に関する部分を除けばわりとオープンな所があり、装着者である事を秘匿する必要はない、とされていた。
だから、自分の立場を明かすことにためらいはない。
そうでなければ、街のど真ん中で装甲の着脱などは出来ない、とも言うが]
── 炎上した第9ビル付近 ──
[公共機関を使ったのでは現場近くまで接近できない。
宮古は車椅子の駆動をONにしたまま、テロとおぼしき爆発のあったビルへと向かう。
移動中の形態は、宅配ピザのバイクにも似た、風防をたてた一人乗りのコミュータースタイルである。
元が車椅子にもかかわらず、公道を走れるようにナンバープレートもついていた。車検証もばっちり。]
[街ゆく人々はニンジンに見えた。老若男女みんなニンジンだった。大きいニンジンと小さいニンジンがいて、細いニンジンと太いニンジンがいた。
ビルは凄惨な有様だった。
爆発でもあったのだろうか。衝撃であらゆる窓が割れていて、未だところどころから黒煙を漏らしている。巻き込まれたニンジンたちが仮設テントに運び込まれ、治療を受けていた。
周りの野次馬たちは、しきりにNEXTがらみだと噂している。改めて被害現場を眺めて、納得したようにうなずいた。
……NEXTならば、こういう能力を持つ者もいるだろう。
20世紀末のあの光より後、人類は進化の可能性とともに、死に至る猛毒も得たのだ]
ー爆発現場近く・救護スペースー
もう少しで手当してもらえるからね、頑張るのよ。
[外見からは軽傷ながらも煤まみれの子供を、空きスペースに座らせる。
現場は混乱してはいるものの、救助隊員がある程度の統制をとって、徐々にではあるが応急処置の効率は上がってきているようだ]
あれ、あの人も救護の方かしら?
[爆発現場には些か場違いの綺麗な花を頭に飾った、メイド服の女性が怪我人の間を塗って作業に当たっている]
[その内にやって来た警察官に場を引き渡し、先に投げ出したメットを被って、倒れたままだった愛車を起こす。
目視と、先に転送されていたデータから、割り出すのは最短距離]
……さて、行くか!
んじゃ、元気でなー♪
[走り出す間際、子供たちにひらひらと手を振って。
前を向いたなら、思考はすぐに切り替わる]
……爆弾テロとか、よく思いつくよなぁ……ったく。
[苛立たしげに吐き捨てながら、裏道利用の最短ルートで疾走する。
こんな時ではあるけれど、走る感触は心地良かった]
―喫茶:月の猫―
[萎れてしまった笑顔に、かすかに眉を寄せもした。]
―――ぇ
[かすかに耳に届いた気がする女性の声。
悲願?―――それは。
手のひらにある花びら一枚、読みかけの本に挟んでからマスターの手伝いへ。
幸い無事沢庵は見つかり、
ほどよい大きさに切り、
爪楊枝を添えて老人のもとへと届けられた。]
お待たせいたしました。
[元気付ける為に、子供へ野菜ジュースを飲ませようとする女性に、子供が『ぼく、やさいきらーい』と返答している。]
うふふ、その元気があれば大丈夫。
[心の中で子供に一声。]
…、ここは大丈夫みたいね。でも、あちらは…。
[黒煙から白煙に変わってはいるものの、爆発音が時々聞こえるビルを見つめる。]
─ 第9ビル近辺 ─
[小回りがきくとは言え、バイクで近づける距離にも限界はある。
ある程度まで近づいた所で停車し、メットをハンドルに引っ掛け、後は走って近づいた。
現場整理に当たる警察官には、無言で銀に浮かんだ緋色のエンブレムを見せて通してもらった]
……うわい、マジで派手にやってったんだなぁ……。
[未だに上がる煙と、立ち込める臭い。
思い切りきつく、眉が寄った]
[爆破テロと聞けば、心は穏やかではいられない。
順次、入ってくる報告からは人的被害が出ていることも知れた。
どうしても、あの日のことを思い出す。
肢体を損ない、兄妹の幸せを破壊されたあのテロ──]
……ナジーム・ラシュディ──
[あの事件を初め、いくつもの爆破事件の主犯と目されている男。]
今回の事件、犯行声明は出ているのだろうか…?
遅くなったけど…。今、助けに行きます。
[ビルの近くにある路地に向かい、なるべく人から見えない位地へ移動した。
そして、まぶたを閉じ、胸の前で十字を切る…]
うむ。
[供されたたくあんをじろりと睨みつけ、指でつまんで口に放り込む。
目を閉じて、ぱりぽり。
ゆっくりと目を開けた。]
……惜しいのう。
茶は合格だったが、たくあんは落第ぢゃ。
よいか、茶屋とは、茶の味は当然のこと、漬け物にも気を使わねば一流とは言えぬ。
店主にそう伝えるがよい。
ところで、オヌシは男のような声ぢゃの。
喉を患ったのか?
[しかし、NEXTも悪ばかりではない。
人類の歴史において悪が根絶された記録がないように、善もまた人々の心からなくなりはしない。
ビルの中にNEXTらしき影が見えた。頑丈で優秀な身体能力を生かし必死に働いているようだ。おそらく派遣されているのは、あの一体だけではあるまい。
彼らこそ、善のNEXT。悪のNEXTはびこる現世において、正義のヒーローとでも言うべき存在だ。
また、最近ではブーストという力も開発されている。ただの人間がNEXTに対抗するためのこの技術は、人類の力で明確に掴み取った進化の第一歩と言える。
それら正義の力は、人々の平和を守るために力を尽くしている。
……しかしそれでも、悪のNEXTによる被害は絶えない。このビルのように]
[現場に到着すると、まだ救助活動が続いていた。
車椅子と見て手を貸そうとする親切な消防団員に礼を言って身分証を示しながら、宮古は現場の情報を入手する。
現場に駆けつけた──あるいは、目撃されたNEXTやブースト装着者についてのデータもまたダウンロードした。
そのうちのいくつかはUNKNOWNとだけ記されていた。]
ー球場付近/ビジネスホテルー
アッラーフ・アクバル…。
[爆破現場の喧騒は知らぬ顔。
球場近くにとったビジネスホテルのひと部屋。
難しい顔をしてなにがしかの機械を弄っている。]
……ッ、
[絶えぬ爆炎、尽きぬ救護の声。]
あ、あ、
[一人見つけては外へ運び、また戻り、運び出す。
無論それが人々の役に立っていることも、自分でその行動を選らんでしていることもわかっているのだが、わずかな呪詛が意識を蝕む。]
(……飽きたッ!)
[誰にも聞こえぬよう一声胸のうちだけで叫ぶ。
思い裏腹手を止めたりすることはないが、どうも根っからの飽き性は変えられず、小さく燻った。]
白竜騎 リントブルム が見物しにやってきました。
白竜騎 リントブルムは、見物人 を希望しました。
[そこにいたのは少女ではなく、白銀の甲冑に包まれた騎兵型NEXTだった。]
…、騎馬では中に入れないわね。
[下馬して手をぽんと打つと、馬は消失し、代わりに小さな首飾りに変化した]
リントブルム・行きます!**
ザー……。
ザーザー……。
[ラジオのある周波数のチャンネル。
主にニュースをやっているはずだが、
何故だか不審な雑音が混じってきている。]
―― 月の猫 ――
[少年がアイスを食べ終える。]
ごちそうさまでした。
[少年も倣うように手を合わせた。]
さあ。行きましょうミスター。
程好い段ボールを探さないと
今夜の寝床がなくなります。
[テーブルに、自販機を破壊した際に手に入れた硬貨を置く。
猫アイスも含めて、多め。]
ミスターは、一度帰りますか?
[少年は、小さく首を振った。
メイドは頷くと、彼の手を取った。]
[白銀が煙の中へと踊り込むのが見えた。]
あの機体はリントプルム──!
[NEXT対策室に報告されている"協力者"ヴィクトリアの機体だ。
そして、宮古にとってヴィクトリアは、単なる現場の"協力者"ではない。]
―喫茶:月の猫―
……
[気むずかしげな老人は、静かにダメ出しをした。]
…そう、ですか。
伝えます。
[和風茶屋ではないのだが。
とは思いつつも口にせず。]
…―――
[目に見えて眉が寄った]
いえ、この声は元々で。
急げ…、
[車椅子のコンソールを見つめる宮古の声に願いが混じる。
ようやく都庁土木課のデータを照合して第9ビルの青地図を確保。
現場の状況を照らし合わせて進入できる経路を検索し、取り除くべき障害をピックアップした。]
救援チームに、この情報を流してください。
僕も突入します。
[被害の只中のニンジンたちは息つく暇も惜しいと働き、遠巻きに囲む野次馬のニンジンたちは馬鹿のように眺める。
後者の中にあり、ふとよぎった考えに眉をひそめ、顎に手を当てた]
……皮肉なものだ。
[もしもの話だ。
ビルの中を駆けずるあの善のNEXTの力……それを、無数に投入できるとしたら。こういう事件の被害は、ずっと少なくなるに違いない。
そんな考えが、皮肉に思えてならなかった]
さって、んじゃま救助活動のバックアップ、か。
[ぼそ、と呟き、それから、がじ、という感じで頭を掻く。
赤味の強い髪は、染めているのかと良く聞かれるが、地味に生来のものだったりするのは余談]
……向いてねーんだよなー、あんまり。
[《TYPE-blade》は、良くも悪くも戦闘重視のブーストだった。
勿論、装着する事で上昇する身体能力は、こういう場所では役に立つのだが]
ま、『御同輩』は増やしたくねーしなぁ……。
[そんな呟きをもらしつつ、通信のスイッチを入れる]
キア、聞こえるか?
現場到着、これからバックアップに入る!
ふむ、オヌシも業を背負って生きておるのぢゃな。
[感慨深げに頷いた。]
ぢゃが、もう少し愛嬌を身に付けた方がよいぞ。
せっかくの容姿が台無しぢゃ。
古来よりオナゴには愛嬌と言うではないか。
『はーい、はい。
勢い余って、余計なモノ壊さないでねー?』
あのな、お前ひとを何だと……。
『……送迎バスの修理見積もり、ウチに来てたわよ』
[ぽそ、と入った突っ込みに、返す言葉は、なかった。
なので代わりに、銀の上でリズムを刻む]
[ウェイトレスの視線につられて、女性と少年の後姿に視線を向けた。]
ふむ。
ワシは知っておる。
ショタというやつぢゃな。
毛も生え揃わぬ小童に入れ込むとは、嘆かわしいことぢゃ。
[玄米茶をぐびりと飲み干した。]
女中さんや、おかわりを所望する。
こ……は…犯行………明…ある。
[ラジオの雑音に混じり、途切れ途切れに声が聞こえる。
やがて、その声もクリアになってきて]
「我々」はシンドバッド。我はナジーム=ラシュディ。
此度の爆破テロ、「我々」の行ったものである!!
[救助活動が続く間、こちらでは淡々と犯行声明である。]
[心の叫びはさておいて、ビル内に駆け込むNEXTやブースターの姿を確認すれば、一目で一般人ではないその姿に、安堵と同時に見えない唇を尖らせる。]
遅い!
……けど、助かった、ありがと!
[装甲の下の表情が見えていたなら、それは軽やかなウインク。
しかし残念ながら、真っ白な装甲は厚かった。]
[爆破現場に突入するに当たり、宮古はブーストを特殊作業モードへと変形させる。
風薙の所属する民間のブースト研究機関・Blaue Flammeで製造されたその機体は、公共の備品にしては洗練されたデザインだった。
背面にしっかり都のシンボルであるイチョウ紋が染め抜かれているのを除けば。]
──変態完了。
[ゆっくりと機体を始動させて動作確認をする。
先ほど整備したばかりで、まだ触れたことのない機能もいくつかあるが、マニュアルを呼びだしている暇はなかった。]
これ聖戦の序章に過ぎない!!
「我々」は既に都内各地に爆弾を仕掛けてある。
探しても無駄だ。先の聖戦を思い出すといい。
[以前にもナジーム=ラシュディを名乗る者が声明を出した
爆破テロが日本であった。その際爆弾の仕掛けられたルート、
そもそも何に爆弾が仕掛けられていたのかすら不明だった。]
「我々」の要求に違えば、仕掛けた爆弾を爆発させる!!
この電波を辿っても無駄だ。「我々」に危害を加えれば、
その場ですべての爆弾を炸裂。
……聖地日本は千と一の夜に沈むだろう。
[声明は続く。]
視野リンク問題なし──
[犯人につながる手がかりになればと、野次馬たちの姿を録画する。
後で、その画像を精査した宮古は、そこに映るブライアンの姿に驚愕することになるのだが、それはまだ先の話。]
[黒と緋を纏った直後、飛び込んでくるのは突入先のデータ]
……おー、詳細詳細……って、これ、宮さんかぁ?
[送られてきたそれにこんな呟きをもらしながらビル内へと踏み込んで行く]
も少し、早く来たかったんだけどね!
文句は、古典芸能的悪事働いたヤツに言ってくれると助かる!
[遅い、という声>>227が聞こえて、返すのは軽い調子のこんな言葉]
ービル内・一階ー
[ここにあったカフェには来たことがあった筈だが、その面影はなく瓦礫の山。室内を包む熱気と煙に目をひそめる]
確か、上のフロアに行くにはこの先に階段があった筈。
[しかし、熱と煙と焦げた臭いが充満した室内を動くのは容易ではない。障害物に注意しながら移動するのが精一杯で…]
ひとつめの要求である。
「我々」は首班以下現政権の全面退陣を要求するッ!!
新たな首班は………
[首班以下全閣僚に至るまで、犯行声明が要求する
新政権には日本国内では親NEXT最右翼として知られる政治家だらけ。
もはや狂信的にNEXTを擁護するような連中で知られていた。]
退陣声明が遅くなれば遅くなるだけ、
幸福なる犠牲者の数は増えるだろう。
迅速なる決断を、「我々」は要求する!!
他の要求は追って連絡しよう。
インシャラー(アッラーの思し召しのままに)…。
[そして、ラジオはもとの番組に戻る。]
古典芸能的悪事?
そんなの、爆弾テロも古典でしょ。
なんにせよ、悪事にはかわりないけどね!
[瓦礫を退けるのに力が入れば、語尾にも力が入る。]
もうあんまり声はしないけど、声の出せない人たち、聞こえない人たちもいる筈よ。
崩れてきても困るし、撤去手伝って欲しいの。
[言いつつ、小さなコンクリート礫を階段下に放り込んだ。]
…これは…
[ラジオをジャックした声明は店の客にも聞こえたろう。
やかんが湯を噴いた。
急ぎ止めながらツキシロは眉を寄せた]
なんと!オヌシ、男であったか!
これは失礼した。
ぢゃが、オヌシの格好は日本男児らしからぬの。
全く、嘆かわしい。
それにしても、もったいないのう……。
[物惜しげな目で、キッチンに下がるウェイトレスの後姿を眺めた。]
─ 爆破現場 ─
古典も古典でしょーに、幼児送迎バスジャックとか。
ま、悪事に変わりない、は同意だけどさ。
[軽く肩を竦めつつ、言う声は軽い]
……結構、時間たってるしなぁ……了解、撤去とか、そういうのの方が俺の得意領分だからな。
[生存者の状況予測に、鬼面の下で眉が寄る。
先に転送されたデータ、それを元に道を塞ぐ瓦礫の撤去に取り掛かった]
とはいえ……衝撃与えすぎ注意、だな、これ。
[ピピという電子音と共に、何かデータが転送されてくる。
この建物の地図だ。これで視野や足場が悪くても、何とかなりそうだ。そして、このデータを送ってくれたのは…]
宮古…さん?
[いつもお世話になっている役所の人であり、ブースト装着者。宮古さんも、救出活動に参加しているのね。
他にも救出活動に参加しているNEXT、ブースト装着者もいる筈と思うと心強い]
宮古さん。データ、ありがとうございます!
[地図を頼りに、フロウディアのいると思われる上層階まで、一気に駆け上がる]
── 第9ビル内 ──
[爆破にあったビルの中へ進入する。
煙と瓦礫で視界がきかない。
こんな炎熱の籠った中では、サーモスキャナーも役に立たなかった。
救助対象の不在を確認してから障害物の撤去作業を進めねばならないが、それではいろいろと手遅れになる可能性も高い。
宮古は、先ほど地図データを送ったのと同じ、都が"協力者"に通知している周波でメッセージを送る。]
こちら、東京都社会福祉課ネクスト対策室主任主事・宮古です。
音声分析・生体電流感知など、生存者探索に活用できる能力のある方は、被災者の発見に専念してください。
探索能力をお持ちでない方は、その方とペアになり、発見された生存者の搬送に従事していただけますか。
作業はビルの最上階から一斉に行ってください。
捜索済みのエリアのデータはこの<東風>まで報告願います。
データは僕が常時更新して発信します。
それを参照しながら探索範囲を階下へ移していけば、重複することもありません。
なお、長時間、熱にさらされたピルの鉄骨が弱くなっている可能性が高いとのことです。
崩壊の危険があるエリアには接近しないようにしてください。
危険エリアのデータも随時、更新して送ります。
以上、
都に変わりまして、皆さんのご協力に感謝します。
なお、長時間、熱にさらされたピルの鉄骨が弱くなっている可能性が高いとのことです。
崩壊の危険があるエリアには接近しないようにしてください。
危険エリアのデータも随時、更新して送ります。
以上、
都に代わりまして、皆さんのご協力に感謝します。
…――― “あの爆発”か…
[現場を“見て”いる故に
ただの爆弾テロではなかろうことを感じとる。]
(…――NEXT)
[思いつつ。
注文の玄米茶のおかわりは老人のもとへやはり熱々で運ばれた。]
―球場付近/ビジネスホテル―
さぁ、民の代表の英断に期待しよう。
[そう言って、テレビのスイッチを入れる。
件のビルが映し出されている。
「戦士たち」はすべて「突撃」したのだろうか。
そんなことを思いながら、悠々と。]
[協力者たちに通信を送った後、NETX対策室から送られてきたニュースに、<東風>はしばし、機能停止した。]
「シンドバッド」を名乗る組織──
「ナジーム=ラシュディ」を名乗る者から、
犯行声明が出された… だと…。
[キシリ、とブーストに包まれた生身の肉体が鳴る。]
[通信を受け、一般的な人間ならば耳のある場所に埋め込まれたスピーカーが音を送り込んでくる。
収納されている小型マイクをジャックに接続し、こちらも通信を送る。]
ハァイ、こちら"フロウディア"。
呼びかけによる反応はそろそろなくなってきています。
ただし瓦礫がひどいのもあり、その下に生存者がいないとは限りません。
現在上階に即時向かえるかどうかの判断も厳しいため、継続して撤去作業を行いつつ上階に向かい、それより指示通り行動予定です、っていうかその指示遅いです思いっきし下から掃除しちゃいました、どうぞー。
[あくまでもこれは仕事であって、正義のヒーロー気取りの遊びではない。伝える通信は至って真っ当なものであったが、発信者が既知であったこと、それから人の声も少なくなりつつあることが、最後に一言加えさせた。]
[階段を登りきった所は、熱量と煙が充満していて、さらに視界が悪い。]
誰か、だれかいませんか!
[データを確認しつつ、ひたすら声を出す。瓦礫の山の隙間、部屋だったと思われる空間、人がいるかもしれない所に向けて、走りながら声をかける。
宮古さん、いや東風の声が機械から聞こえる。>>243]
了解しました、捜索しつつ合流します。
[とはいえ、生存者、救出従事者…、この煙の中で見つけられるだろうか。弱気になった気持ちを振り切り、声をかけ続ける]
……お?
[特定周波で入るメッセージ、その送信主はよく知る相手]
さすがは宮さん、手回しいいなぁ……。
っと、《TYPE-blade》、了解!
[返すのは、短い了承。
今はのんびりと話す時間も惜しかった]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
[18]
[19]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新