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破壊する為――――。
……危機を破壊する為?それとも――
[硬く、開きにくい――”孔”が、少しずつ、少しずつ開いていく。
小さな、小さな黒が。点が大きくなる。]
それって――存在意義って事?
生まれながらの本能……よりも大きな。
[少しずつ膨らむ”孔”へと視線を集中させながら、耳と声だけ、話へと意識を向けて]
─船首(艦外)─
[両手足のマグネットで、艦の表甲に張りつく。四つん這いの姿勢でぺたぺたと艦首の舳先へと進んだ]
オーケー、ジュリエットさん。着いたよ!
[遠隔操作で、格納庫からそっと押し出され、繊細な艦操作で船首まで漂ってきた戦闘機を、両手で掴む。
人間が戦闘機を両手で持ち上げるというシュールな光景だが、真空だからこそ出来ることだ]
キャッチした!
残り何分? ……オッケ、間に合わせる。
[戦闘機からの回転衝角……ドリルの取り外しと、船首の主砲先端への取り付けを、同時に行う。
時にすぐ傍を宇宙怪獣が通り過ぎるが、前衛の2人が自分の仕事をしてくれるハズ、と無視し、自分の仕事に集中する]
[振り回されたハンマーと、その勢いに乗せたメガマリオン自身の体当たりで、多くの怪獣が弾き飛ばされていた。
とはいえ致命傷には至っていないものも多い。
勢いのままぐるりと一回転し、一度姿勢を安定させる。
と、そこにルッカ>>+102からの通信が入り]
"わかりました! むしろ敵をぶつけてやればいいんだろ!"
[と、機雷の進行方向へ向け一体の敵を殴り飛ばした。
打撃と爆撃でダメージ倍加、となっていればいいが]
"スコルさん!"
[と、スコル>>+105の声が聞こえて。
思わず、コックピットの中で見えないながらも頷いていた]
"うん、……生き延びないと、だな"
[メガマリオンのハンマーを握る手に、力を籠めさせる。
そしてスコルに向けて突撃しかけていた敵を、一体弾き返した]
んー……そだな、俺からはもう、ないな。
後の難しい話はエリーの方が理解し易いだろ、そっちに任せる。
俺はお前らの話を聞いて噛み砕くのに集中するぜ。
[質問は以上だ、と色々押し込めた。
後の聞きたい事など、全て個人的なものばかりだからだ]
[……が、流石に、射出方向を間違えたか、戦闘のどこかで弾かれたかで、流れ機雷が漂って来た時はひきつって]
<ルッカー! これ怖いよ!>
[ブーイングを飛ばした]
[──そんな時か。
目の前の巨大な"塊"に異変を感じたのは
触手の様な、形容し難い其を伸ばすと、"塊"の近くに漂う怪獣を、呑み込んで
"塊"は、巨大な宇宙怪獣を幾つも吐き出した。]
[其処には、見覚えのある《ハルピュイア》や《スキュラ》とは比べ物にならぬ程、巨大な。
西洋のドラゴンだろうか、其を模した"宇宙怪獣"の姿が──]
──馬ッ鹿 野郎……ッ!!
[信じられないその光景に、驚愕を隠し切れず]
いや、私だって、疑問に思ったキーワードを自分にわかる言葉で噛み砕こうとしてるだけでしかないよ?
[ついでに言うと、”孔”を広げて。
そろそろ呼びかけ始めなければならない。
胸元にまた入れてある通信機へ――]
通じてる?聞こえる?私だよ、エリーだよ!
………。
これだけは覚えておいて。この宇宙には、
奇跡も、魔法も、
ハメツ ゼツボウ
愛も、希望も、あるんだよ。
[帽子の淵に手を添え、
笑顔のままフェイトとエリーへ向けて話した。
『あいもきぼうも』、声はそう発音していた。]
―― 地上・シルヴァクロックアカデミー ――
(いきてる)
(いっしょに、いきる)
(《アイ》も、《キボウ》も、すてない。
痛くたって、それでも、すてない)
[通信の最中にスコルに伝えられなかった一言を、夢の中で誰かに語りかけるように、呟く]
(だって、うれしい)
[愛の喪失も、絶望も、"入坂結理人"と"イル"は知っている。
それでも、かれが今抱くこの想い。
数日前に妹の身に起きたこともまだ知らない、そんな、ある意味では暢気なかれらではあったけれど――]
…敵さんも本腰入れてきたわね…ユージィン、まだなの?
[観測データを確認すれば、群がる宇宙怪獣に中型、大型のものが混じり始めている。
作業の手を止めさせるわけにも行かず、ぼやく声は艦橋だけに響いた]
…音波攻撃が飛んでこないのは不幸中の幸いね。
集団の配置がこうだとして、ルッカの爆雷がこう、こっちの一団は対空で落とせる…
『テルオ君、左舷方向抜けてくるわ!警戒して!』
[指示を挟みながらの索敵警戒しながらの対空管制。コンソールを乱打するがごとくに少女の指が踊り…一瞬、止まった]
何これ、孔…?
エリー!?
[観測データに不自然な空白が混ざったのだ。それは、地球の側から伸ばされた手>>90]
[戦闘機からドリルが外れた。……ただ、外れたと聞かされれば、普通の者は首をかしげるだろう。
「外れた」というより、それは……戦闘機をドリルを中心に「くりぬいた」と表現する方が正しい。
そう、ドリルだけを分解したのでは、先ほども言ったように小さすぎる。だからこそ、戦闘機本体をもドリルの一部にしてしまったのだ。
これが短時間でドリルを巨大化させる為の案]
[そして主砲本体の方へ、差し金を当て、慎重に角度と位置を決め、取りつけて行く。
本来は、こちらも数時間かけて行うべき作業だ。武器は全てが機能美で出来ている。そうでなければ、自らの身に返ってくる。
宇宙服の中に、汗が伝った]
"……ドラゴン?"
[新たに生まれた怪獣――メガマリオンと比べてもなお巨大な怪獣。
それが、こちらに視線を向け――飛来した]
"――スコルさん、下がって!"
[咄嗟にスコルに向かって叫ぶ。
逆にメガマリオンは前進させ、振り下ろされる竜の爪を、ハンマーで受け止めていた]
"こんなでかいの……スコルさんじゃ、危ないよっ!"
………………。
[真空はもとから無音だ。しかし、それよりずっと堅く感じる無音の中]
[長い時間をかけて、一点、固定と密封を同時に行った]
[そこが基点だった。後は続けざまに流れるような作業を行い、最後の一点を止めた]
……はっ、はあ! はぁ! はあ!
[止めていた息を吐き出し、青年は通信を開いた]
──終わったよ!!
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