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"うえっ!?"
[ユージィン>>+137の通信を受けて、慌てて指を引き戻す。
メガマリオンはぎこちなくも、その場に静止し方向転換する]
"でも……中の人が……"
[後ろ髪を引かれるようなテルオの言葉が聞こえたのか、通信機の向こうに、笑みを零したような声が聞こえた]
〈戻…なさい。君たちまで、…ぬ事はない。
それともし、地球に無事戻れたなら……〉
[リュウグウノツカイの尾が振られる。
通信機の音がざあっと遠ざかる]
〈娘……ブリジットに、すまな……と……〉
[それっきり、ボールドウィンとの通信は繋がらなくなった]
うっ……ああ……
[コックピットの中で崩れ落ちそうになるも、ここで制御を誤れば更に状況が悪化するのだと自身に言い聞かせて体を立て直す。
目の端から流れ落ちたものも、格納庫に戻るまでは拭えそうになかった]
『……』
[戦闘が始まっているのが、解る。返事の代わりに、微かな歯軋り。
何も出来ない。いや、できないのなく――出来るのにしない。
無論、後の為に力を取っておく必要があるのはわかっている。
それでも、歯がゆさだけは。シームルグへの襲撃があった時を思い出すような歯がゆさだけは、如何ともし難かった]
『そ、れじゃあ………。一度そのコンテナの方を、見に行っておくね。
ああ、あと……通信機の方、調べる人に渡しにいかないと――
ああ、大丈夫、だから、ね?
指揮と相手に集中していて。』
[歯がゆさをごまかすように。
ただ休むよりも、何かをしていないと、落ち着けなかった。
呟きが聞こえたからか、会話で気をそらしたくなかったからか、大丈夫と告げて。
近くの職員に、道案内と通信機についてを話し、協力を得ようと動く。]
[メガマリオンを降りればすぐに、司令室への呼び出しがかかるだろうか。
立ち止まっている暇はない。
素早く顔を拭うと、司令室へ走る]
―AHO艦内/司令室へ―
─A.H.O司令室─
[シームルグへの推進機搭載と、要所のみの気密化を終え、青年は機械油まみれの姿で、指令室に現れた。
すでに艦長席についていたジュリエットに視線を送り、巨大スクリーンに投影される新宇宙怪獣の姿を見る]
宇宙怪獣が人間を……?
どうしようって言うんだ……。宇宙怪獣に比べて、弱すぎる生身の人間を生きたまま運ぶなんて、尋常じゃない手間だろうに。
[あるいは意思があるだけで、すでに「人間ではないもの」として吸収されているのかも……というグロい想像もしてしまったが、口に出すほど無神経ではなかった]
とにかく追おう! 「巣」を目指してる可能性が高い。
救出も視野に入れておく。
[救出が主目的ではないのは……もちろん、ジュリエット至上主義という自分勝手な目的の為だ]
……この能天気さが
異常性に繋がるんだからたまったものじゃないよね。
宇宙の生存を拒否する……宇宙怪獣《ジャイアント種》と同じだな。
[グノーシス外に声零れぬまま、呟いた。]
それとも、もう全て渾然となって相乗作用を齎してるのかな。
宇宙を変質させるのもいい加減にしてほしいよー。
[グノーシスは、ライフルをフェイトへ向け、引き金に指をかける。
グノーシス外へ向けて、フェイトへ向けて話しかける。]
≪フェイトくん、あの宇宙怪獣達はわたしを狙っているの。
だから、早く消えないと危ないよ。≫
[そしてライフルの銃口を空へ向けた。]
―司令室―
そうだよね……。襲って、食べたとかなら、まだわかるけど。
[ユージィン>>+142に、嫌な想像をしつつも頷く。
と、彼の提案にぱっと顔を輝かせ]
助けに行ってくれるの!?
[言い回しからすれば目的は別にあるのかもしれない。
けれど、非情な命令を下されなかったことに安堵した]
そうだよね……。まだ、チャンスはあるんだ。
おじさんの子供に、哀しい事を伝えなくて済むんだ……。
『危機管理課とすぐやる課は対空警戒しながら現状維持、必要以上に発砲しちゃ駄目よ。
ダイシチョーの完成まで保たせればいいわ。連中を刺激しすぎないよう注意しなさい。
ジンロボ隊の各班は極力引き付けて、できることなら近接戦闘で撃破なさい。
―――すぐやる課、市立大のほうから例のものは?
OK、届いてるわね。
誤射だけはしないように、そのことだけ注意して頂戴。
…強酸銃、斉射っ!』
[号令一下、緑色の液体が作業ロボットが支持した特殊ホースから噴射される。“蟲”の体液を真似て精製された強酸液だ。“鳥”の外皮を侵すことができるのは先刻確認済み。
開発のためのサンプルは、陣桜市ならば掃いて捨てるほどあった]
『F班、十時の方角、撃ちなさいっ!! …C班、背中ががら空きよ。無理があるなら接近戦は控えてかまわないわ。対空銃座に任せなさい』
[少女の指揮の声が止まることなくそれぞれの担当課へ響き、飛来する宇宙怪獣が撃ち落されていく。
防衛に徹している現状、宇宙怪獣が他所へ向かっているために襲撃が集中されるわけでもない以上、戦局は決して悪くない。けれど]
≪それに、ね。
わたしは大丈夫なんだ。
フェイトくん、わたしを気遣ってくれるのは嬉しいけど、
【おねえちゃんを大切にしてあげてね】 ≫
/*
……そりゃ、そーよね。
ううーん…戦闘から遠ざけすぎ…ってのは分かってるんだけど、立場的にどうしてもそっちの方向に…
…どうするべきなのかしら…
考えろ、考えろあたし!
ああもう!!
なんでお前だけを狙って来んのかは知らねーけど今のそのグノーシスで勝ち目あんのか!?
大丈夫って言われても、俺にゃ信じらんねえよ!!
何がどうなってどうだから大丈夫なんだよ、そっから説明しやがれ、俺でも解るように最初から……――
[ライフルがこちらを向いてもうろたえず、真っ直ぐにそれを見ては再びグノーシスを見上げたが、
続けられた、姉を気遣うような言葉には息を飲んだ]
[戦闘音が聞こえる。
戦場指揮の声も、宇宙怪獣の悲鳴らしき声も、聞こえてくる。
戦場を支援したい。
けれど、これからの事を考えれば、力を使うわけにはいかない。
歯がゆさをごまかすように、急く様に動く。]
ええ、ですので、通信反応がありましたら連絡をお願いします。
それでですね、コンテナシェルターを確認しておきたいんですが……
え?ああ、それは、ダイシチョーから降りて、動かなければなりませんので。
あー、とどう説明すればいいかな。
[だからなのか、目の前の職員を説得するのに、焦りが見えている自分では、逆に時間がかかっていた。
何か様子がおかしい、そうとられて、まずは落ち着くように促されている。
それが、更なる焦りを呼びかける。]
――…な、何の事だ。
[あのバインダーの内容を彼女も知っていたという事か。
主席候補生だから閲覧の許可も下り易いだろうし、それはそれで有り得るが]
姉貴、の事とか……。
[天使は完全にうろたえ、彼女が紫の光弾を放つのもただ視界に入れるだけ、制する事すら出来なかった]
……ジュリエットさん、もう少し速度上げられる?
[じわりじわりと開いていく距離に、青年が尋ねる]
「帰還の燃料を気にしないなら可能ですが」
う……うう〜ん。
[ジュリエットの戦闘欲を満たして、ついでに地球も助けられたらウマウマ……というノリで来た青年だ。
命をかけてでも!というつもりはない。メイドの返答に渋面を作った]
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