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―屋上―
澪、良かった、ここに、いたのか…。
[駆け寄ってくる澪に、笑みを浮かべる。
見つめる目は、どこかぼおっとしたものだった。]
そんな、状態…?
いや、……私、は。
澪に何かあったんじゃないかと思って、探して…
変わったコトといえば、火浦に
「飲んでミソ」とブドウジュースを飲まされたくらいで。
………っ、
[吹き来る風邪に肌が撫でられる。
心臓が大きく暴れて、妙なくすぐったさに身を小さくした。]
とにかく、無事で……、よかったよ。澪。
で、そのロリコ――火浦は、どこにいる?
[きょろきょろ周囲を見回せど、八束一人のようだ。
身を縮める八束は寒そうなような暑そうなような、
とりあえず危なっかしいので支えようと手を伸ばした]
ついでに言うと、ここは離棟じゃないぞ。
八束も方向音痴だったのか?
[それから、華奢な肩を強張らせた]
あたしが……無事?
無事じゃないのは、ヤツカだろう。
どうしたんだ、本当に。
あれから痴話喧嘩でもしたのか?
[心配そうに見上げる]
ひぁ、……っ、
……いや、だ、大丈夫だ。無事だ。問題ない。
[澪の小さな手が触れると、びくりと身体が震えた。]
痴話喧嘩などしてないよ。
……ただ、澪がこのままいなくなったらと想像してしまって
いてもたっても……。
[庇ってくれた、と言われると顔を上げる。
瞬いた。]
………………。
ああ、……そうか。気付かれてしまったか。
はは。
なんだろうな。
コスプ…着ぐるみを着ると、強くなれる気がするんだ。
[満足そうな、悪戯がばれた子供のような、笑みをこぼした。]
本名は八束の方だ。
藍田ぽっくりでは、少し語呂が悪い。
[そういう問題ではありません。]
さすがのあたしにも、
無理してるのがバレバレだぞ、ヤツカ。
[労わるように、肘から手首まで優しくさすさす。
多分逆効果]
どうして、いなくなるとかいう想像になるのか、
理解に苦しむ。
網野澪は間違いなく理学部の在学生だし、
考査に追い詰められているから、旅行をしている暇はない。
……困ったな。
あたしも、何かヤツカを助けられたらいいのに。
どうしていいか、分からない。
[きゅ、と白衣のポケットの中で拳を固める]
気がする、じゃなくて、実際強かったぞ。
おかげで二度、ラスボスから逃げ遂せたし、
何度も助けて貰った。
[頼もしそうに見上げて頬笑んだ]
友達から親友に昇格だな。
……奴隷の方が好みなら、それでもいいが。
対等でありたいから、あたしも何か、
ヤツカの力になりたい。
?
[空耳だろうか。
空気(エア)を震わせるビート音が届いた気がした。
ついでに周囲の気温が体感78度ほど上昇。
触手がそわそわ落ち着きない]
それにしても。外は暑いですわね。
[汗を拭きながら木陰に腰を下ろした。眠そう]
さすがに冷蔵庫で涼むわけにも行きませんし。
どこか涼しい場所はないかしら。
−別棟・屋上−
[えるしっているか。
エアドラマーと煙は高いところが好き。
熱気が風に乗って本棟まで届いたかもしれない。]
こんだけ暑いと、脱水症状を起こしかねねぇな。
自販機でブランデーでも買うか。
[汗を拭って、階段を降りる。]
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