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― 回想:食堂 ―
[神威に気をつけてと声をかけられると、首を竦める]
お地蔵様の首が落ちてるから、何か悪いことでも起きるかもしれない…か?
誰の悪戯か分からんが…ま、留意しておくか。
[神威に留守を頼むと、診察鞄を手に外に出た]
― クレオール ―
[外のうだるような暑さから冷房の効いた店に入り漸く一息つける。
そんな事を考えているといつもの陽気なマスターの声に相好を崩す]
麦茶よりコーヒーがいいな。
いつもは病院のインスタントで我慢してるんだ、
ここに来た時くらい“ちゃんとした”コーヒーにありつきたい。
[カウンターに座り、大きく息をつきながらマスターに告げた]
オー…、麦茶、ダメデースカー。ワァタシィ、麦茶ダイスキネー。デモ、お客さんのオーダーに応えるの、ワァタシィの仕事ネー。
[口ではぶつぶつ言いながら、慣れた手つきで年季の入ったグラインダーで豆を挽き、コーヒープレスをセットした…]
――黄昏時――
大田老人が兄を見舞うべく山入に足を踏み入れた頃、既に日が暮れかけていた。
村道から細く曲がった林道に入り、轍の跡だけが道を示す山の中の集落。山入は隔絶された外場村にあってなお隔絶されていた。
林業が廃れて行くにつれ住む者も減り、大田の兄と、一組の老夫婦の二軒を残して後は廃屋があるばかりになっている。
既に滅びの足音は集落に迫っていた。
道祖神の破壊によって村は境界を失い、既に悪しきものへ入り口を開けている。日が落ちれば彼らの時間だ。
山入で何があったのか、その真相を知るのは夜の住人だけ。
[コーヒーを出してもらいつつ、好物のスモークチーズのサービスに]
さすがマスターだな。ありがとう。
マスターの入れてくれるコーヒーで一服するのが、
いい気分転換になるんだ。悪いな。
[麦茶にこだわるマスターに侘びを入れる。]
[マスターと他愛ない話をし、店を出る
回診を終えた頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。
空を見上げれば雲ひとつない星空、いつもと変わらない風景]
明日も暑くなりそうだ
[暗くなってもなお蒸し暑さの残る中、病院への帰路についた]
6人目、グラサン 須藤暁。
グラサン 須藤暁は、血人 を希望しました。
――???――
[かたり。棺の蓋が軽い音を一つ立て、ゆっくりと開く。
中から、起き出して来たのは青白い肌の青年。
ふわりと笑むその表情は、一般には爽やかな笑みと分類されるだろう。
しかし、その目の奥は笑っていない。それは見る者によっては不穏なものに映ることだろう]
やあ、おはよう。
さて、命令通り準備は進んでいるか?
[彼の傍に控える屍鬼、そして"なりかけの人形"に声をかける。
人を従えることを知っている口調であり、表情だった]
7人目、未亡人 瀧華伽耶。
未亡人 瀧華伽耶は、C国狂人 を希望しました。
ここまで長かった、いや、さぼど長くはないか。
(俺の"生きて"きた年月に比べれば、そう、瞬く間だ)
忌々しい境目の社は既にない。
やっと村に入れる、楽しみだ、な?
[男はこの村を手にする為、入念に準備を重ねていた。
兼正の屋敷、その元の持ち主は既に彼の操り人形と化してその土地屋敷を彼に売り、山入の老人――大田といったか――を彼に合わせる手引きをした。
屋敷の元の主人は起き上がらなかったが、大田は役に立った。
社を破壊し、山入の始末も進めていることだろう]
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