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[魔力の供給が断たれることほど、
バーサーカーにとって致命的なことはない。
魔力の消費量を考えればまともに宝具を開放することも出来ない]
───
[腕の赤熱が止む。
黒い腕はぼたりと歪んで地に滴る。
滴りから響くのは怨嗟の声。
鬼に横道なきものを。
何度も繰り返される、鬼たちの怨念の叫び。
けれどそれも、黒い刃を妨げるには至らないのだ。
身を貫く数々の痛みへ、隻腕が悲鳴を上げるだけの余裕はなかった]
…っ、…――
[崩れた体勢から腕を掴んだのだ、
バーサーカーを見上げるような形となる。
掌を焼く温度が急速に失せていく。
指の間から滴るように
腕が、どろりと落ちていく。
闇へと戻るかのようだ。
鬼を貫く槍は、十字架は、
その色に少し似ている]
[黒い着物に衣替えしたかのように
隻腕の身を確かに黒は貫いていた。
虚ろげな青灰色は英霊を見下ろし、微かに口元歪めた]
…お前が、次の鬼か
[確かに告げて、唇をゆがめて]
鬼も、人も
[ゆっくり吐き出すのは声だったか。
赤い色であったか]
…何も、変わらぬ
[だらりと、腕が落ちて揺れる。
既にその形は崩れ始めて]
[このような状況にあって
虚ろな青灰色は奇妙にうつくしく]
…、 ――な、に
[告げられた言葉に
ユダは目を、僅かに見張る]
人も、鬼も同じ
[青灰色は歪む。
笑ったのかないたのか、さて]
鬼を産むのは───人の、人を憎むその心よ
[その後に何かを言おうとしたようだが
隻腕の形はもう保たれない。
ざらりと、まるで砂鉄の山が崩れ落ちるように
一遍にかたちがなくなり、そして
その黒い山も粒子になって後には残るものはない**]
[おんなの青灰色から眼をそらせず
動けずに居たユダは
彼女の体が崩れていくさまを余さず見ていた。
赤い色も黒い砂鉄のように色を変えて]
――、待て、お前は…
[問いの答えも、言葉の続きも
もう紡がれることは無い。
失せる。
跡形も無く消えてなくなる。
ユダは暫しその場から動けず、
彼女のマスターが、銃で撃たれたことにも
しばらくは気づけない。]
[影より突き出た十字架も、槍も。
バーサーカーの気配が失せると共に
影と同化して沈むように形をなくす。
黄昏色の衣は一部黒さを増し、
鬼の腕に傷ついた肩口から赤色が滲んでいた。
焼け焦げた掌を見下ろす。
じわじわと、それは治ってゆくのだろうが。]
…鬼…?おれが、…
[岩に染み入るような、
おんなの声は重かった。]
−小学校上空−
[戦場の上空にたどり着いたときには、既に勝負は決していた。
唇を噛む。アーチャーはフェリシアという魔術師にも自ら道を示し歩んでいく事を望んでいた。
だが、眼下に広がるのは、その閉ざされた道であろう]
あのバーサーカーも倒されたか。
・・・・・・ユダ。アサシンのサーヴァント。
[アンネリーゼから彼の真名は聞いている。
成る程、アサシンらしくないアサシンであるのが腑に落ちた。
アサシンは気が付くであろうか、上空にて待機し、彼を見下ろす炎の巨鳥を]
[バーサーカーのマスター
――フェリシアが倒れているのにようやく気づく。
偽一の方を見た。
件の笑顔は、あったか、無かったか。
ユダは衣と影を引き摺るように立ち上がる。
女の在った場所を見下ろし
眉を寄せた。
あのとき、女は
わらったのだろうか。
ないたのだろうか。]
[そして、見上げる。
肩越し振り返り、仰ぐように
大きな気配へ、眼を向ける。]
……ソロモン王。
[焔の鳥に乗った、
遠い昔。おとぎ話の王が其処にいる。]
[ごぼり、と沸き立つように闇が揺れる。
怨嗟の声を混じらせながら
黄昏色を夜に染めるように影が伸びる。
わずか、眩しげに細められた眼。
ユダの見せたそれは
何処かわらっているようで
ないているようで
あの鬼の女に、何処か似たかもしれない。]
決着をつけようか。
穢れを帯びた聖盃とやらへ至る道への決着を。
[アンネリーゼの話からも、そして吸い取ったアーチャーの魔力からもうっすらと感じる。この聖盃の異質さを。
そして、アサシンは既にその聖盃に飲まれようとしている事も。
その先にはどんな結末が待ち受けているのだろうか。
はただ、その先を知るために。
鳳凰をゆっくりと羽ばたかせ、アサシンの元へと降りてゆく**]
[焔の鳥の羽ばたきが風を地上に運んでくる。
黄昏色の衣が一度大きく揺れる。
ユダは一度目を閉じ。
それから。
歪んだ笑みに似た表情を*浮かべた*]
決着をつけようか。
そう・・・・・・穢れを帯びた聖盃とやらへ至る道への決着を。
[アンネリーゼの話からも、そして吸い取ったアーチャーの魔力からもうっすらと感じる。この聖盃の異質さを。
そして、アサシンは既にその聖盃に飲まれようとしている事も。
その先にはどんな結末が待ち受けているのだろうか。
ただ、その先を知るために。
鳳凰をゆっくりと羽ばたかせ、アサシンの元へと降りてゆく**]
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