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ぐっ・・・・・・!
[光り輝く腕はバーサーカーの剛力に捻られる。
咄嗟にバーサーカーの体を蹴り、距離を取る。
しかしそこには先に放たれた地龍が襲い掛かる。
数歩下がるが、ソロモンを補足し軌道を変えていく。逃れられない]
察し、ソロモンは正面に掌を突き出す。
周囲を回遊していた魔方陣が、掌を中心に集結し。
そしてその中央、まさに掌へと光が集まっていく]
・・・・・・打ち抜く!!
[その地龍の向こう側にいるバーサーカーまで見据え、その光を開放する。
オセが放つ光は一直線に地龍を正面から打ち抜く。
凝縮された魔力の光はもはや魔術師が扱うそれとは次元が違い、その塊を破壊し、周囲の空間が歪み、そして空間ごと塊は弾け溶けていく。
貫通しながらも小さな爆発を繰り返し、なおも直進し続ける]
――っ、…!
[弾け飛んだ地面の破片を
身を捻って避けるが腕に掠る。
とんだ先、非常階段の手すりに
掴まって体を支えた。
硝子の欠片、照らされて
神話の戦いが繰り広げられている。
御伽噺ほどに遠い、偉大なる王の魔術。
相対するは、いにしえの鬼。
巻き起こるそれは暴力といって尚生ぬるい。
ユダは探す。
マスターの気配を。
よもや巻き込まれてはいまいな――と。]
ッ
[舌打ちがひとつ。
そして女は後方への深い跳躍を以って間を空ける。
白い着物は既に赤い。
青灰色は、傷の割にす、と立ち上がった。
バーサーカーの、バーサーカーである証ととるべきか]
[光はバーサーカーを掠め、そのまま遠くの空へと空間を貫いていき、そして周囲の空間に歪みを残しながらも消えていく]
くっ、避けたか。
[誤算。この状態を保てる限界が近づいている。
今の一撃で倒せなかったのは致命傷になりかねない。
もう一度、今の一撃を放てば。自滅に繋がる]
[ソロモン自身もバーサーカーに与えられたダメージは大きい。
握られた腕は未だに痺れ、避けたつもりの彼女の一撃一撃も、ソロモンの体に傷を刻んでいる。
だが、それだけではない]
―東区・有栖川邸―
[ ざ、わ、、…嫌な予感がした、今までに何度か感じた事がある、
胸がざわつくような不吉な予感・・・
ポーチのテーブルに飲みかけの紅茶を慌ただしく戻す。
子蜘蛛の糸を手繰ろうとするも見つからない!
――これは、この感覚は…子供達が自分の腕から零れ落ちてゆく感覚と同じ!!
リシアは駆けだしていた。何処に?
また大事な者を失ってしまう。何故だ?
駆けだして…かの者が好きだった果樹縁に差し掛かった時
自分の体から強制的に引き出されるあの感覚…
[代償。
ただソロモンの指輪を発動しただけでは、不足した魔力により魔神の力を行使する前に消滅してしまう。
それを補い、魔力の消費量を抑えなおかつ彼らの力を出来る限り行使する方法。
それは、ソロモンの”霊核”そのものを触媒にする事。つまりは”ペルソナ化”。
無論、霊核を触媒にする以上ソロモンの核はまさに英霊2体分以上の負担を強いられる。
長時間の発動も難しく、また連続して発動すれば間違いなく破壊される。
いわば、最後の手段。それを彼なりの降霊術の行使により補助し実現させている。
もし、次の一撃を放てばどうなるか。ソロモンの霊核はその出力に耐えられず、即座に破壊され、消滅する]
アンネリーゼ、撤退する!
[これ以上の戦闘続行は不可能。それがソロモンの判断。
まだオセの力は残っている。この場を全力で脱出するくらいならば出来るはずだ。
近くにいるであろうアンネリーゼに呼びかけながら、視線で彼女の姿を探す]
――…っ、同時に膝の力が抜け丘陵を数度転げた。
そのまま草むらに突っ伏すも、ふらつく足取りで起き上がり、回路に全神経を集中する。
せめて判ったのはメフメトの意識が向いている場所
――中区・駅前―― ]
――…ッ、わかった…!
[巻き込まれぬよう、幾らか後方に下がっていた辺りから
投げられた声に、一言、声を上げる。
…正しくは其れ以上の言葉を発する余裕が無かったとも。
ある程度の魔力の回復はしている心算だったが
宝具を発動した辺りから――吸い上げられるのは並々ならぬ魔力の量。
これ以上は、此方も限界に近かった。
…嗚呼、よもや巻き込まれた者など、いないだろうか。
――魔力が尽きそうな中で、やはり一瞬だけ、頭に過った**]
―中央区:逸れた道―
[指先から力を抜き、ユダは落下に身を任す。
ひび割れた地面に降り立てば、
それに気づいた偽一が手招いた。
この場から離れる、と
謂わずとも同じ考えであろう。
サイレンの音、近づく中区から
サイドカーは遠ざかっていく。
飛散した礫が掠って
破れた二の腕に触れた。
眉を寄せる。]
……ち
[狂戦士としては、このまま追う方が正しい。
だが、主の力が遠く現状が苦しいのはこちらも同じである。
結果的に女も引く羽目になった。
草履は、ざり、と音を声をあげ
数回の瞬きのうちに女の姿はその場所から消えうせた**]
[ソロモン王の魔術は、言わずもがな。]
……。
あの女はバーサーカーだな。
いや。
――「鬼」 …と、
謂うべきかもしれない。
[ユダはそう、偽一に謂った。
彼はどんな顔をしただろうか。]
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