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……。胸板については撤回します。少し見込みはあるかもしれません。
あなたを保留して他を捜すには、他の手がかりが必要です。けれども、それは今の時点では無いのです。目の前の可能性を放置したままで、私は手がかりも無しに世界をさまようべきなのですか?
あなたが、協力を拒む理由はなんですか?
[言いながら、青年の不満を分析する。彼の不満を解決しなければ、協力を得られないと思ったからだ。――彼女は、自分の行動が突拍子もないものである事に、まるで気付いていない]
―蒼真宅―
[事実をひとつ、確かめるようにイステは頷いた。
音なくパンを咀嚼して飲み込む。
咽喉が小さく動いた。
蒼真を見つめ、耳を傾ける。]
… ひと。
[ゆっくりとした瞬きひとつ分の間。]
ひとは 言葉通りの ひと ばかりではないと。
希薄。関係。お前はそれに、
思うところがあるのか。ソウマ。
お前は人ではない私に
人だと謂った。それは、理解しかねる。
だろうだろう?
俺、なんとなくHMだろうと素手で倒せる気がするし。
[立ち上がり、シャドーボクシングをしてみせる]
お、キャリアウーマンっぽい見かけ通り頭はいいな!!
正論だ、目の前にある解決手段をスルーして、
別の解決手段を探すなんて効率が悪い。
いや、全くもってその通りでございます。
[先程躊躇した事をずばりと当てられて少しだけ驚いた]
協力を拒む理由……?
めんどくさい。
それといきなり蹴られた。
それぐらいかな。
[理由は特になかった。
だけど、いきなり理不尽に蹴られたのは不愉快だったから]
じゃあ、逆に聞きたい。
俺が協力しなくてはいけない理由ってあるか??
手がかりである俺を納得させられないのは、アンタのミス。
人でも雇って別の手がかりを探せば?
ああ、ラミア、でいい。
[頭痛はすっかり治まった。
だが、頭の中に響いた声。あれは何だったのだろうか]。
リルと視線が合ったまま、お互いに言葉を紡ぎだす。
今日もまた、夢の中のような出来事が続いている]
色々あるのさ……世の中ってのは。
[思う所があるのか。
勿論、色々と胸に秘める思いはある。
それでも……その中にある最も大きな感情を一つ取り出したとするならば。
その感情を一般的な名称で呼ぼうとするならば。]
……たまには、寂しくなったりするもんさ。
慣れたって言っても、な。
[その小さな呟きは、聞こえただろうか。]
[──ラミア。
未だ、Endeavour社の格納庫で眠るその機体は、フィリップの名を受けて黒曜石のようなボディの内側から紅い光を放つ。頭部にある真紅が燃えるように蠢いた。]
En/Co/lCha/Dis/At/En=6*O は肩書きと名前を ラミア に変更しました。
人とはなんぞや、なんて難しい事俺にはわからねぇさ。
イステが自分を人ではないという。
事実、それは正しいのかもしれない。
[パックの牛乳を一口、喉へと流し込む。]
でもよ、事実がどうあれ……この世では認識が全てだ。
俺がイステを人と思えば、俺にとっちゃ人だ。
それでいいんじゃねぇかな。
[自分でも何が言いたいのか解らない。
どうもまとまらない考えに、頭をガリと掻いた。]
……駄目だな、今の俺は。
どうも調子がくるって、感情が先走っちまってる。
そんなのはもう、やめたってのによ。
HM……? それはなんですか? 強いものですか?
[彼女の知識にその単語は無かった。彼女は「Humanic Mobile」を知らないからだ]
なるほど、不満の一つを理解しました。蹴った事は行き過ぎであったようです。もうしわけありません。
[あっさりと頭を下げた。躊躇する理由は無い]
ただし、面倒という理由はわかりません。あなたは死ぬ可能性を避ける事よりも面倒事を避ける方を好むのですか?
もしあなたが私の求める人間で、そしてあなたが協力を拒んだ場合、人類は滅びます。あなたは死ぬ事になりま――。
[そこまで言いかけて、ふとある可能性に思い当たった]
――あなたは本当に協力する事が面倒なのですか? 私の話を信じる事が面倒なのではないですか?
[それならば、納得がいくと思った]
さて、そろそろ大学に行く時間だ。
支度をするから、僕を自由にしてくれないか。
[時計をみると、既に家を出なければいけない時間に近づいている。
だが以前拘束の身である]
HM知らないとか俺をからかいすぎだろ〜。
強いぜ、だってロボットだからな人型の。
だから、それに素手で勝てるかもしれない俺も強い!!
かもしれない。
[立ち上がって、頭を下げるキャスリーンに近づく。
そこまでする必要はないと、頭を軽く二度叩いた]
おー、意外や意外、もっと堅物かと思った。
ちょっと不愉快だったけど、そんな怒ってねーから平気さ。
ま、今後も俺にちょっかい出すなら理不尽な事はしないほうがいいと思うぜ??
大嫌いだから。
[この場限りの人間にこんなことを言う必要はないのに、
なぜか余計なことを話していた]
そもそも、本気で言ってんの……?
だとしたら、俺、本気で逃げちゃうよ。
いきなり、私に協力しないと死ぬよなんて頭おかしいって〜。
ノストラダムスの予言で1999年で死ぬよって話より、眉唾さ。
そんな話に付き合うのが俺は面倒。
だったら、街に繰り出して騒いで他方が建設的だとおもわねー?
[もっとも繰り出す仲間がいなくて公園でいじけてたわけだけど]
──……
聴こえた。
[何か音に耳を澄ますように、熱を封じ込めるように、或いは闇に沈むように、一度目蓋を閉じる。フィリップに言われて、双眸を見開いた。]
時間、か。
嗚呼、分かった。
では、お前が支度をする間に、
私は典型的な日本の朝食を用意しよう。
一般成人女性の足にして、
徒歩15分程度の距離にあるスーパーを
穏便に抉じ開けて、材料を調達してくる。
この時間なら、この服装でも目立つまい。
大都市の隣人は、交流をしないと言うしな。
[繋いでいた手を離して、ひらりとフィリップの上から床に降りる。その動作は人間らしいと言うにはやはり軽過ぎた。リルが、買物を終えて戻ってくるまで5分と掛からない。
培養槽に居たインターフェイスに、日本の朝食の知識はあるのか、テーブルに、ご飯、焼き鮭、出し巻き卵、ほうれん草のおひたし、ワカメと薄あげの味噌汁がすぐに並べられた。]
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