611 ぬばたまの檻
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アナスタシア
御機嫌よう、ナイト様。
[グレゴリーがカチューシャによって排される事を望む、冷ややかな利己をぬばたまに隠して。
心を読まれたとしても、まだ自分はこの男に滅ぼされたりはしない]
良い夜を――
[闇に溶ける事はせず、頼りなくふらつく足でナタリーの部屋を出た]
【墓】 遊牧の民 ナタリー
[アナスタシアの姿を見つけたのは意外にも自分が使っていた部屋。]
[一緒にいたグレゴリーには、べーっと舌を向ける。]
[これで、ユーリーに頃された原因を知ったなら、どうだっただろう。]
[舌を出すだけでは済まなかったかもしれない。]
ま、なーんてやってもわかんないんだけどね。
[くるん、と宙返りして二人の会話を聞く。]
[カチューシャを落とせ、という言葉で封じの力を持っているのは彼女だと知る。]
封じてもらえたら、帰れたのかな…。
[ふにゅ、と眉を下げてため息。]
敗残兵 ベルナルト
……武器、持ってるのか。
[負担となったら、辛い。
お互い様だ、と頷いた]
捕まっちゃったら、俺一人の手で助けられる……とは言い切れない。
なるべく、自分の身は守れる範囲では守って欲しいかな。
カチューシャさんは、大丈夫？もし武器がないようなら、俺かヴェロニカさんから、なるべく離れないで。
[サロンの扉の向こうに意識を集中させる]
【墓】 囚われし者 ラビ
―― 回想・一年前 ――
[師が好むは銃と長剣。
陽光に晒せば明き光を、月光に晒せば銀の光を弾く其れ。
一方の娘が扱うのは双振りの剣だった。]
（眷属と亡霊ばかり。）
[源吸血鬼が隠れ住まう中には人間が多く居る場合もあった。
大抵は、「親」となる源吸血鬼の盾と扱われ、魅了視の力で心奪われた厄介な相手。吸血鬼からは糧として扱われるばかりというのに。]
「此処に居るのは眷族ばかりだ。」
[幾人か目の眷属を切り臥せ灰にした時、
師が娘の考えを裏付けるように呟いたのを聞く。
その時、娘の胸中に浮かんだのは「やり易い」という気持ちだった。]
アナスタシア
― オリガの部屋前 ―
[長い逡巡の後、躊躇いがちに扉をノックする]
オリガ…？アナスタシアだけど。
[此処にいないのなら礼拝堂だろう。
吸血鬼の跋扈する闇夜に、一番安全なのはあそこ。献灯に詰めているならば諦める心算で]
敗残兵 ベルナルトが「時間を進める」を選択しました
ヴェロニカ
使い方はろくに知らないけれど…。
私で力になれるなら、そうするしかない。
[マイン・ゴーシュに触れる手の力を強めて、確認の意思を伝えるように頷き返して。
吸血鬼に敵うとは思えないけれど──他の人が攻撃する時間を稼ぐ位には、
そう思いながら、傍のものへと伏せ気味の目を向けて
…休めるはずもなく、結局はベルナルトと共に警戒をする事にした]
ヴェロニカが「時間を進める」を選択しました
【墓】 遊牧の民 ナタリー
[部屋から出ていったアナスタシアを見送った後―]
[彼女がどうしてここにいたのかに思い当たる。]
―そっか。血……。
ごめんね、生きてたら、たっぷりあげたのに。
[そこではっとして、もじもじとした後。]
あれっ。
えっと…えと…おねえ、ちゃん…ってことなのかな？
親、の吸血鬼がが同じだし…。
[首をかしげて、ふわりと笑んで。]
生きてるうちに呼んでみたかったよ。
おねえちゃん。
[ごめんね。]
[もう一度呟いて、ベッドに座った。]
[ごろんと横になって、牙のようになった犬歯を触る。]
【墓】 灰色の亡霊 アリョール
[城門で、蝋燭を探していた娘が男に牙を向けていた頃、相変わらず城の中をうろうろしていた]
…城の中が静かになった気がする。
[その静寂のなか…彼女はまた一つ記憶を取り戻す…]
【墓】 遊牧の民 ナタリー
…吸血鬼のまま死んだら…
今の私は、やっぱり吸血鬼なのかな？
[感覚は人間であったときよりは、吸血鬼の時のそれに近い。]
[まだ血を求める本能も薄れてはいない。]
[―もっとも、吸えるのかどうかは知らないし、吸ったところでどうなるのかも。]
[この感覚もそのうち薄れてしまうのだろうか。]
おと……おかーさんは、どうなんだろう。
[ふと、自分が殺めた親吸血鬼のことを思った。]
【赤】 城主 イライダ
吸血鬼とは思えない。
あなたは人間の色が濃くみえる。
[城門での騒ぎを最後まで見ていれば
印象は変わっていたかもしれないが
話していればやはり帰りたいと望んだあの時と同じに思う。
ナタリーの意識が別へと向けば城主は口を噤み
は、と息を吐き出して何か考える素振り]
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