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―本棟四階/居室―
[闇を介し部屋に戻る頃には廊下にあった人の気配も無くなっている。
城主の居室はシンと静まり返り其処だけは常の態。
寝室の奥に佇む城主の視線の先には花のように可憐な娘の肖像画がある。
微笑み湛えるディアーナの絵は生前の一場面を切り取ったかのよう]
――…ディアーナ。
如何してあの時、私を庇ったりなんてしたの?
少しくらい傷付いても、私は平気だと言ったのに。
[傷付きながらも城主の無事に安堵の色を見せた人間の娘。
自らの命が散りゆくを感じながらも娘は永遠の命を望まずに――
ただ目の前にある存在の変わりなき姿をみて儚く微笑んだ]
如何して、永遠を望まなかったの……?
[彼女の真意は城主には分からぬ儘。
けれど、望まず喪われた存在は城主の心に深く残っている]
今更1dの囁きを発見した。
そうよね、見物人は2dから墓だけど、イライダは1dから囁けるのだものー
独り言に近いものだろうから、遡ってまでは反応しないでおく。
会話の時間軸がごちゃごちゃになるし。
えーと。
1年前に吸血鬼ハンターが城に攻めてきて、オリガの姉ディアーナは人間でありながらイライダをかばって死に、ハンター側であるラビは捉えられていた→今日命を落とした。
でok? 色々把握しきれていないかもしれん。
ダニールは時期的に当時のことも知ってそうなんだけど……
「ぽけーとしてたら何かあったらしい。詳しくは知らない覚えてない」でイイデスカ?
――では、お言葉に甘えて。
[ひとつ頷き、城主の居室へと。
誰かがこちらの様子を見聞きするのは構わない。
むしろ男にとっては面白いことですらあるが、彼女がそれを望まないならと心に秘めておく。
ほどなくして、イライダの元へ姿を現すだろう。
男の口元にはゆるい笑み。]
―サロン―
[ぼんやりと揺蕩う意識が戻ってきた。
時間がどれだけ経ったのか、差し込む光は月光か、それとも陽光か。
身を起こさず、瞳も未だ開かないままに思考する]
ラビは……何者だったのだろう。
彼女は、何をされた?
[白いドレスから見えたうなじには、傷らしきものは見えなかった。
しかし、彼女の様子は尋常ではなかった。風邪を引いたようなものかと無理矢理納得していたが――
彼女の漏らした息の色が、はっきりと甘かったことを思い出す]
[近隣の村々では吸血鬼の住まう城と噂される。
それと同時に永遠が手に入る場所とも言われていた。
確かに生を望んだ者に血をわけ与え眷属とした事もある。
それがその者にとって幸か不幸か城主には知れない]
――……。
[ゆる、と頭を振る。
顔を上げればその眸には常通り強き光が宿っている。
城主然とした自信に満ちた表情は城を支える者の顔]
あのこの行動が――――を傷つけたであれば
場を譲った私にも咎があるのだろう。
我が庇護下にある者をこれ以上苦しめるであれば、或いは……
[柳眉を顰めて独り言ちると、来訪者の気配を感じ其方へと振り向く]
―本塔廊下―
私が吸血鬼などと……馬鹿げたお話だわ。
[吸血衝動など覚えたこともない。
妾腹の母は前当主の亡き後すぐに家を逃げ出したらしいが、
そこには様々な理由が憶測で流れていた。
そのひとつ――吸血鬼に心を奪われて。
娘の血の繋がりに感づいた使用人が、そこからどう連想したか、
分かり安すぎる思考に失笑したくなる]
でも、それはきっと、――。
[叔父は吸血鬼など、異端のものを極端に嫌う。
招待状も隠され燃やされようとしていたのを見つけたのだから。
彼は憎んでいるのだ。
母を――想っていた母を、奪ったものたちを]
私は何のために、ここに来たのかしらね。
……ただ逃げ出したかっただけ?
[夜の深い闇に、その声は溶けてゆく。
花瓶に飾られた赤いあかい薔薇。
華やかなそれは、人々を惑わせる毒でもある。
指を触れさせれば、走った鋭い痛みに眉を寄せた]
――変な味。
[抜ききれていなかった棘に血の玉が浮かぶ。
それに唇を寄せ、ため息をついて。
娘の血の香りを纏う薔薇をそのままに、散策を*続けた*]
/*
みんな、薔薇で怪我しすぎじゃないか!
もっと気をつけようよ!普段ッからタンスの角に小指ぶっけたりしてんでしょう!
美女が台無しよ!オバチャン心配になっちゃう!
[差し出された手を受ける。
生来『男らしくない』と言われるような人間であったから、
導かれる側であっても気には留めない]
あなたから見れば、わたしはまだ子供でしょうか?
まさか、泣きに来たわけじゃないんですよ。
[細められたぬばたまの瞳には、うっすらと欲の色を乗せ、
唇が触れあいそうなほどに顔を近づけた]
……あえて おねだりをさせていただくなら、
甘美なるくちづけを。
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