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― 枯れ井戸 ―
[何時の間にか傍の木の上から井戸を眺めていた]
[徐々に人が集まりだすのを静かに眺めていた]
[人形はドレスの裾を翻し音もなく地へと降り立つ]
御機嫌よう。
随分と大勢で、お散歩かしら?
今日は日がな一日、
其の井戸の闇を眺めていたけれど、
私には余り役立たなかったのだわ。
――枯井戸――
[少年が井戸の底を覗き込んだ。そう見えたのは一瞬とも、永遠とも感じられた。縁石を掴んだ両手を支点に、半身が揺らぐ――]
リッ……、舞葉っ……!!
[――そして少年は、円形の暗渠の中へと墜ちていった]
[モーガンの言葉の意がすぐには理解できなかった。]
[だって、あの幼子が自ら井戸へ落ちていくとは思いもしなかったのだから。]
――――舞……
[名を呼びきる前に目の前から姿を消す少年に、目を大きく開いたまま悲鳴をあげることも叶わず、呆然と井戸を見つめることしか…]
[耳を澄ませても底面への激突音は聞こえなかった。
代わりに届いた音は人形のように愛らしい朗らかな声]
――ヘンリエッタ。
――そなたか? 舞葉を唆したのは?
[日傘の娘を振り返り、うっそりと問いかけた]
***
私は其れを切り離す。
彼はもう休むべきなのだと思った。
彼をもう休ませようと思った。
だから私は其れを送る。
切り離す其れが悟られる事は無い。
仮令心を震わせ腐って居ようとも、
其れが負ける筈は無い。
其れは古よりの伝説の生き物。
私は彼を眠りへと誘う。
[人形を胸に傀儡使は闇へと吸い込まれる]
[言霊使いの問いにくるりと日傘を回す]
私は私の思う事を口にするだけなのだわ。
此処に居る限りは誰かをつき落とさなければならないと、
そう思いながら其の闇を眺めていただけよ。
余り役には立たなかった――そうか。
ならば、そなたが“闇より来るもの”か。
《深淵を覗き込むものは用心するが良い》
――古い言い伝えじゃ。手垢に擦り切れるほど、古い、な。
《お前が深淵を覗き込むとき、
深淵もまたお前を覗き込んでいるのだから》
――そなたが“闇より来るもの”であれば、井戸の奥底は同質の存在。そなたの役には立つまい。
然り。
この枯井戸は贄を欲する。
或いはそれは、“彼の地”に至ると念じて赴くのやも知れぬが。
何れにせよ、変わらぬことだ。
事実として、この孔は――この場に居る者を喰らい続けよう。
やがて彼の塒へと其れは沸く。
腐れ落ちかけた頤を開き吐くは竜の息吹。
灼熱の炎は一瞬で全てを焼き尽くす。
口許から零れる粘性の液体は、
甘い腐臭を漂わせていただろう。
私は殺す為に此処に在る。
其れは殺す為に殺す。
彼の声をもう聴けない。
彼の細い三日月の笑みをもう見れない。
彼の手はもう私の髪に触れない。
私は――…
***
舞葉…――十姫。
[どろりと絡みつく甘い腐臭が漂い]
[小さな手は赤黒く爛れ腐り始め]
[じくり] [ぐじぐじ] [じりじり] [ぐじり]
[見開かれた石榴石の瞳は揺れる]
[紅い人形は弱弱しく被りを振るか]
厭…醜くなるのは、厭。
[震える白い手が赤黒い手に触れ]
[触れた形に皮膚が陥没して戻らず]
[息を呑み薔薇色の唇は戦慄くか]
棄てられるのは、厭。
ひとりは、厭。
[石榴石の瞳から一滴の泪が零れ]
ひとりは――…寂しいのだわ。
〔目覚めた場所は――彼岸花の咲乱れる広大な草原。〕
〔灰色の空に…紅い月。〕
〔時折、遠くでオーロラらしき灯りがゆらめいている。〕
〔死せる幻術師は、自らが手にしていた柳の杖を見ていた。〕
[夢見ぬ眠りから目覚め、室内を見回しても人の気配はない。
不安げにソファーを離れ、片足を引きずって、屋敷をさまよう。]
…あぁ、ここに居たのか。
[気配のある部屋をノックし、芹菜の姿を見つけて安堵する。]
…井戸?
[昨日聞いた話を思い出す。
人狼を、井戸へ突き落とせと言い残し、この地の番人は無惨に殺されたと…]
……アハハ。…絆されてくれてたのかい…ヘンリエッタ。
〔…ばらり、と10本あった柳の枝が解けかける。中から覗くのは…古びた一本の剣。きつく握り締めて、目を閉じる。〕
…これが愛(かな)しい…ってやつか…
〔実感として――共有する想い。…嗚呼。〕
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