586 凍れる水車 ― dva ―
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医者 サンドラ
［少年から母親の様子を聞く。
往診を望まれれば、2分で支度をして出るだろう］
明日、往診するからね。
［往診したにしろしなかったにしろ、薬を渡し、別れ際にそう告げて――窓の外に視線をやる。音を持たないはずの雪は風を伴って、硝子を叩いている*］
― 回想終了 ―
忌み子 サーシャ
明日。
サーシャは迎えが来る。
だからそれまで、ゆっくりお休み。
[暖炉に薪を一つ放る。
ぱちぱちと薪が爆ぜる音だけが、静かに響いていた*]
【独】 村長の子息 ユーリー
/*
あー、ちょっとミスったな。
昨日の回想合わせた方がよかったか。先走りすぎた。
皆さっくり翌日行くと思っていた。今日ほぼ鳩オンリーてのもあるんだけど。
学生 ロラン
寒い……。
［ベッドの中で暖められたはずの身体は寒風に容易く冷える。ガタガタと震えながら歩いていれば、かけられる声。］
ナタリー。おはよう……この季節、前からこんなに寒かったっけ？
［役人の用件を聞かれれば、何か大事らしいと首を傾げ。］
昨日はうっかり酔ってしまって。せっかくのご馳走を食べ逃してしまったのが悔しいよ。
［食事の誘いに是非にと応え、未だ平和な二人の会話。］
【赤】 学生 ロラン
［その寒さが、身体が作り替えられていくのに伴うことであることも、その身に宿った呪いの力の産物であることも知らず。］
……え？
［おなかがすいたとつぶやく声。誰だと問う声。聞こえた気がして……ナタリーをじっと見た。］
人形師見習い オリガ
― 早朝・人形店―
［ノックの音。］
［二度、三度――― 間を置いて、もう一度。
僅かに身動ぎし、最後のノックで寝台から身体を起こす。
誰だろうか。
このような早朝に訪ねてくる客は居ない。］
………はい？
［眠い眼を擦りながら扉を開ける。
相手が役人と知り、警戒の色が過ぎる。］
人形師見習い オリガ
………？
お早うござい、
［『 至急、砦へ向かうように 』
挨拶を遮るように、言い放たれる言葉。
口を噤み、彼等からその後方…遠くに見える砦を見遣る。］
砦。
あの、一体、何の為に。
［徒ならぬ様子に、有無を言わせぬ強い口調に。
詳細は砦で、と一言告げられたなら、ただ黙って頷いた。］
雑貨屋の娘 ナタリー
前から、ずっとよ。
もう。法律のお勉強の為に学校へ行くのは立派な事だと思うけど、弱くなっちゃうのは困りものね。
[>>50寒かったっけ、との問いに。苦笑する。]
疲れてたんでしょう？しょうがないよ。
こっちには暫く居られるの？
近いうちにまた叔父様に、ご馳走作ってって頼むわ。
あ……っと、一応私も、手伝うし。
[ね、と笑いかけて。
彼の背を、叩いた刹那。]
忌み子 サーシャ
― 砦 ―
[人が集まりつつあるそこに、子供の姿もあった。
森の外で見る子供の姿に驚くものがいるだろうか？
近くにカーチャがいるならば、傍に寄る。
すんと鼻を一つ鳴らすと、僅かに香る血の匂い]
……血の匂いがする。
[ヘイゼルに心配する色を滲ませて。
防寒具の毛皮から薬草を煎じた丸薬を取り出し、手渡そうとするだろう]
【赤】 傭兵 ダニール
あー。ユーリー、か。
尻尾？知らねぇよ。
俺ゃ此処に戻ってきたばっかだっつの。
[心底嫌そうにカチカチと犬歯を鳴らす。]
聞いた事ない声もあるみたいだし、新入りが何かヘマでもしたんじゃね？
雑貨屋の娘 ナタリー
[少しの間、そうしていたが。
やがて、ふらりと立ち上がり。]
……ごめ、ん。
寝不足が酷い、みたい。
夜、あんまり、眠れなくて。
[実際には、一睡も出来なかったのだが。]
ちょっと、掴まらせて。
[彼の肩を借り、砦へと足を*進め始める*]
人形師見習い オリガ
…あたま、痛いな。
［何時家に戻ったのだったろうか。
外套こそ脱いでいたものの、外着のままの自分を見下ろす。
飲み物を口にして、その後の記憶が抜け落ちている。
揺さぶる手と、心配そうな声と。>>0:528
朧げにしか覚えてはいないけれど、ナタリーが送ってくれたのだろうか。］
やっぱり、吹雪になってる。
………真っ白です。
［分厚い雪。視界を覆うような。
通りで昨夜は冷え込んだ筈だ。
長いガウンを羽織り外に出て、郵便受けを確認する。
白い封書が、一通。
はぁと両手に息を吹きかけ、店へと戻った。］
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