やがて川に辿り着くと、辺りを見回す。
繁みの深い場所に荷車を動かす。
人気がない事を確認すると、運んできた荷物の梱包を解く。

現れたのは、硬い皮膚に覆われた大きな大きな肉片。
荷車の後ろを川に向け、ハンドルを持ち上げる。

どぼん、どぼんと。それは川に落ちていった。

全てを落とすと、ハンドルを元に戻す。
男は空になった荷車を引き、来た道とは別の道を通って、移動動物園へと戻って行った。

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もし、肉片を見る事が出来たなら、それは「象」のものだと分かるでしょう。
男に事情を聞いたなら。「治らない病気が進行し、殺処分した」と答えるでしょう。
詰問すれば「人狼が襲ったのだ」と白状するでしょう。どんな姿かまでは、沈黙を守ることでしょう。
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