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(ザーー)
[虚のプログラムは、夜闇の宙-ソラ-を抱いて揺蕩う。
侵食と肥大化は止まっていた。
積もる雪の美しいひとひらにさえ、触れるのを躊躇うように]
////////////////////////////
invidia system down
safe mode...
system check
/link/avaritia...fail
seach...
error
/link/avaritia...fail
seach...
error
link? _
////////////////////////////
[まだ生きているサーチアイが、半壊した2階の様子を淡々と撮影する。
3階と4階は完全に構成データもろとも消滅していた。
生存プレイヤーがいたとしても、Backupごと消し飛んだだろう。
1階に残されたホログラムに、同心円状に配置された参加者の矩形――
明るく表示されている数は、既に片手で事足りる]
[独立個体を形成していた補助AI-avaritiaは、崩落の瞬間Sonneの盾の外にあり、消滅していた。
AIとしての再起動スクリプトの要を喪い、蟲は雪に包まれた幻影世界へデータを拡散したまま、微睡む。>>19]
(ザーーザー)
[gulaへ送られていたavaritiaのLogの一部、製作者からの短いコメントが幻夢のようにフラッシュしながら空転した]
<< '#COMMENT_OUT'
to グラたん-アタシのasticot
どーヨ。生きてっかァ?
いっぺんも飯食えネーでブッ殺されてんじゃねーだろな?
グラたんはアタシの最高傑作なんだから、ちぃとはイイとこ見せてよね(ココ笑うトコだし
――あんたは、あんたの好きにやンなよ。
Commandなんて残さなくッテも、あんたの望むコトがアタシの望むコトだからサぁ?わかんだろ?【そういう風に出来て】ンだって。
じゃネ。いい餌喰えよォ?
from ベルゼビュート
……ゼロフォードのイねェ世界なんてクソッタレだ
#COMMENT_OUT
////////////////////////////
autonomous control mode...run
invidia system ...
.........
...boot OK
recover a:\memory.emot
recover a:\feel.emot
recover a:\think.emot
recover a:\will.emot
defrag/gula AI...41% clear
////////////////////////////
/*
ふー。BGM何にしようかな。
それはさておき>>23、仏語辞書で「asticoter:悩ませる、いじめる」ってのを見つけたんだけどこれと関係あるのかな?
―2F checkpoint.>>3:144―
[声が聞こえる。少女の、啼泣する声。]
馬鹿な。ira――起きた、など……
[それを最期に、男を氷槍が貫いただろう。]
―???―
[眼前に広がったのは、黒だった。宇宙空間のような闇ではなく、黒。
#000000に塗りつぶされた世界に男は横たわっていた。]
[これが死か、と男はいとも簡単に受け入れた。このような世界を男は見た記憶がなく、"過去"に飛ぶ男のプログラムの力ではこのような場に来ることは不可能だったからだ。
何らかの他者の力で飛ばされた、という可能性もなくはなかったが、あの場で活動していたプログラムに転移性のあるものは見受けられなかったように思うし、何よりIrvineの訃報を受けていたので現状の理解に至るのは難しくなかった。
Irvineや他の死者の姿は見えなかったが、そう簡単に出会えてしまうようでは、死後の世界は人口過多でパニックであろう。]
[現状把握が一通り自分の中で終わると、ち、と舌打ちをした。死ぬのはわかっていて、別段恐怖することでもなく、しかしだからこそあの場で死ぬのはこの男にとって口惜しかった。]
[iraの声を聞いた。自らの頭蓋の割れる音を聞いた。脳髄が潰され自己が破壊される音も、おそらく聞こえた。それらは全てデータであったが、男には自己とはデータでありデータとは自己であったため、データは現実だった。]
[死とはなんと無意味であるのか、と男はぼんやりと思う。
黒い世界の黒いグリッドをなぞりながら、ゆるりと立ち上がる。
それは普段の男と何ら変わりない姿だった。折角なのだから頭が潰れていたり背が切り裂かれている方が死にも面白みがあるというのに、だ。
つまらない、と嘆息する。]
[しかし、ふと男の思考に過ぎるものがある。自らの手のひらを見つめてみる。ああ、そういえば、なんと自分は無力になったのだろう。
パートナーであったMARIAは先ほど利用-Delete-してしまったし、この世界で過去に戻ることに大きな意味は見出せない。]
[口に出していたわけではないが、男は前言を撤回しようと思った。
この男にとって、リセットできない人生―という表現が適切なのかは、些か疑問が残るが―は大分久しぶりの体験でありひどく興味をそそるものだった。]
[男は何処かしら上機嫌に、延々と続くグリッドを歩き出した――]
[ランダムな黒白に塗り分けられた結界の中で、thenoiseと対峙していたその時。
世界が、揺れた]
――なんだ?
まさか、世界が崩れるとでもいうのか?
[その時、thenoiseが作り出した空間の裂け目を覗いていたなら、まさにその通りの出来事を目撃する事になったであろう。
崩壊し、辛うじて2Fの一部が残るのみとなったBabylonの姿を]
[私と、ECLATANTにとっての唯一にして最大の誤算は。
少女の姿をしたそいつの奥で眠っていたAI「アイラ」が、すでにシステム全権を掌握しようとしていたことに気付かずに、停止コマンドを放ってしまったことだった。
気付く暇もなく、哄笑と、中断されていたプログラムを起動する声が響いた(>>9)。
白い光が、少女の姿をしたそいつを中心に炸裂する]
雪景色が……!
[消える。効率よく消される。
手元のフレームにヒビが入った。とっさに〈Concertino In Blue〉のフレームと〈FANFARE ECLATANT〉のフレームを引っ張り出す。
コーネリアスを破壊した(>>11)氷の槍が消え、ECLATANTが輝きとともに元の姿に戻った。
続けて〈prism〉のフレームを引っ張り出そうとした時――
赤とオレンジのフレームの隣にあった〈Sonne〉のフレームに、ぽつんと
Program
Complete!
その単語が、見えた]
iraが「時間を進める」を選択しました。
―― 崩落後 ――
[〈Sonne〉に守られた箇所の雪景色は、残っていた。
赤とオレンジのフレームは、数箇所ひび割れつつも、その機能を失わずにいた。
ただし、星の見えない闇夜は、雨の降る闇夜に塗り変わっていて――]
――――……え?
[目を開けた私は、雨が降り注いでいるのを視認して驚いた。
姿勢も、先ほどまでは立っていたはずなのに、今は雪降る地面に倒れている。
〈Sonne〉の発動を見る前に、supernova explosionの白い光に思わず目を覆ったまま――意識を失って倒れてしまっていたらしい。
しかし]
いきてる……生きてるよっ!
〈Sonne〉が守ってくれたよっ! やっぱりおじじとおばばは凄いよ、こんなプログラム作ったなんて!
でも、今ここで、プログラムを記憶をもとにちゃんと組んだのは他でもないこの――
[とりあえず起き上がりながらひととおり喜んだ後]
そうだ、シャーロットは? コーネリアスは? それに……あの少女はどうなった?
『こらーっ! アタシのことを忘れるなー!』
[手元にあった〈FANFARE ECLATANT〉のフレームに、青の妖精の姿が現れた]
『色々危なかったけど、gulaが雪景色ごとsupernova explosionを食ってくれたおかげで「場」の維持にかけてたメモリを4割システム維持に回してシステムダウンを防いだよ! ただ、アタシはもうここから出られないと思う』
そうか……
(たとえばこんな時、彼女にどんな言葉をかければいい?
おじじやおばばにかけられた言葉と同じ物をかけて、それで私は満足するかもしれないけれど、
こんな言葉のやりとり、所詮まぼろし)
LittleDancer Caroleが「時間を進める」を選択しました。
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