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あめ が
[ふと、補助AIの動きが変わる。
僅か位置移動をしては雨の攻撃力の変化を記録するという意義薄い行為に没頭していた球体が、くるりと――前面などというものは存在しないが――回転し、塔の方へ走査の意識を向けた]
…
[開け放たれた扉。
黄色い傘に護られた少年>>145を認知すると、avaritiaからソレへ判断が送られる――何か来た。情報が来た]
… だれ
[ぬる、と滑る床に腕をつく。
関節をスムーズに、それらしく動かすための基礎プログラムを模倣しながら、ぎくしゃくとソレは立ち上がった]
[私の前では彼は普通の子供だったから。
間違ってもそのプログラマーが「犯罪者」だと口にするわけにはいかなかっただろう。
だから、私が『時計職人』の正体を知ったのは、組織が壊滅してからずっとずっと後のこと]
しかし、両目が時計盤を模しているからといって、彼女達を『時計職人』――いや、『盲目の時計職人』と結びつけてしまっていいのか……?
[ぼそりとそう言う。
果たして彼女達には聞こえていただろうか?]
/*
まあシリーズっていうくらいだから。
PhaseIIの他にマーク2とかバージョン2とかオリジナルエクステンディッドとかセルフリミックスとかあったんだろう。
そして超アットホームな犯罪組織の予感しかしないんだぜ……!
[灰色の髪をしたそれをじっと見詰める。
攻撃プログラムである雨を、口中に溜めては飲み込むその行為は、gameにおいて有利になるとは到底思えなかった]
痛いのに口に入れて飲み込むの?
……変なの。
[人の形をしたAIへ近付いていく。
観察、というより、面白がる表情で見詰めながら]
……ぼくはトビーだよ。
[人の形をしたものは、ぎこちなく立ち上がる。
gameに送り込まれたAIにしては、その様子は酷く未完成と見えた]
きみ、は、だれ? 何者?
[外見上は若い男だが――生まれたばかりのようなそれを、『おにいちゃん』などと呼んでいいのかわからず、そう声を掛けた]
[ The Blind Watchmaker――盲目の時計職人。
皮肉がこもった名前だとLOGICが零した事がある。
盲目である事を知った誰かが言い始めた二つ名は、やがて単純な意味とは別の意味も帯び始めた。]
私は、シャーロット。
[ 時計盤は緑から琥珀色へ、そして紅と紫を経て元の色に戻る。秒数はきっかりV秒。]
Lost One.
[ 目を閉じ、名を告げる。]
Timepiece?
零れ落ちた時間の話?
……ああ、この目の事ね。
[ 再び時計盤が現れる。合点がいったように微笑む。]
へんなの
[近づかれたと判断するのは補助AIの方。
ソレは定まらない視点をふらふらと傘とトビーの頭部付近に揺らしながら、声をそのまま繰り返す]
ぼくは とびーだよ
[少年の緑の髪は雨には濡れていない。
avaritiaはその様を観察したが、ソレに雨から身を護るための模倣を提案はしなかった]
きみ は だれ? なに――
[掛けられた声を無為に打ち返そうとして、ふいに。
カチリとはまったように言葉に意味が宿る]
ぼくは 『コーネリアス』だよ
[ pierrotへ片手を差し出し、そしてseraphを見上げ。]
彼はpierrot、こちらはseraph。
どちらも私の補佐をしているわ。
[ 挨拶を行なう。不必要ではあるのかもしれなかった。]
『へへっ、よろしくな。』
[ pierrotのみが笑いかける。]
あなたは、彼を。
盲目の時計職人を知っているの?
Redfeathers―――…
[ 囁くように、LOGICの記憶にある名で呼びかける。]
トビーは『ぼく』、だよ。
[質問に自分の名前で答えられて、憤慨したような表情を見せるが、すぐに相手が単に自分の言葉を繰り返しただけだと気付く]
……言葉を知らないの?
[本当に生まれたばかりだとでもいうのだろうか。
首を傾げじっと見詰めると、不意に意味のある返答が為された]
コーネリアス……それがきみの名前?
なんだ、ちゃんと言えるんじゃない。
[それが、つい先程『脱落者』として表示された名前だとは、少年のmemoryには記録されていなかった]
[補助AIは少年のころころと変わる表情――まるきり人間らしい――を詳細に観察していた。
パターン解析を行ったavaritiaのロジックが、表出のためのもう一つのAI、invidiaに送られる]
ことばを しるよ
ちゃんといえる トビー
[ソレのアバターは顔を構成する基礎プログラムを動作させ、緩慢に憤慨のような表情を模倣し、次いでどこか不思議そうな形を作った]
きみはだれ?
ここでなに するの?
[灰色の髪の先から水滴がしたたる]
……うーん……
[たどたどしい言葉に、こちらを模倣しているかのような表情。
どう扱っていいのか計りかねたように瞬き]
だから、ぼくはトビーだってば。
これから、みんなでここで戦うの。
きみも、そのために誰かに送り込まれたAIなんでしょ、コーネリアス?
[自分もここに来た経緯を知らない事は棚に上げ、拙い言葉を並べるコーネリアスに問い掛ける。
彼は既に酷く濡れそぼり、髪から水滴が滴っていた]
ほら、ここにいるとだんだん体が弱っちゃうよ。
あの建物に行かないと。
[振り返り、聳え立つBabylonを指差した**]
[彼女達が自己紹介をしている間にECLATANTが戻ってきた]
『アンタ達さっきの……って、なんでキャロルのファミリーネームを知ってるのさ!
アタシ知ってるんだよ! 参加者に知らされるのはエントリーネームだけだって!』
[私の横で、女性がRedfeathersと口にしたのを耳にして、思いっきり驚き騒ぐECLATANTの横で、私はそっと驚きを引っこめると、言った]
やはり、そう、か。
……彼には私が拾われた組織の者が世話になった。
[驚きが、別のものとして胸の奥に広がっていく。
本拠地だった都市の名前にして組織の名前、そして、都市へと流れ着いた身元不明の者につけられるファミリーネームでもある――Redfeathers
それが、誰かに覚えられていたことが、今はただ]
貴女達は、彼に作られたAI、だね。
[嬉しいのだろうかと、そう思った]
>>158
たたかう
[送り込まれた、そう聞いて瞬く。
肯定とも困惑ともつかない色で表情は止まり、灰色の瞳をようよう、少年の顔へ向けた]
そう
[曖昧に。
少年の指差す動作の意図をavaritiaが図りかね、同じ動作を真似る。振り返り、babylonの塔へ腕を上げ]
いかないと?
もどらないと?
[歩き出した少年には続かず、顎を開いた。
一筋、唇の端を流れる雨を舐める。奇妙に有機的な動きで舌は微弱な攻撃プログラムに触れ、刺激を喰らって痺れた]
トビー さようなら
[動かないソレに、少年が一人で塔へ戻っていくなら、
雨に吸われて減衰する小さな声を]
――ごちそうさま
つぎは いただきます?
/*
まさか口調緩和フラグまで立つとわっ
んー、でもthe shadow(not曲名)の一件を知ったら「もったいないことを」とは思う、かな。
利用する相手には誇示する。それでも奥の手は明かさない。
倒す相手には一瞬しか見せない。
基本的にセーブする傾向にある。
それが踊り子さんの力の使い方。
……大技暴走させてみたいなんてそんな
[ 盲目の時計職人。
曰く、何処へ辿りつく事も出来ず、絶望的な展望を持っている。
曰く、人間である筈がない。無駄なく削ぎ落とし、目的の為に特化させたProgramの精緻さは、作り手の狂気を思わせる。まるで機械や、複合進化型の自動生成プログラムで製作したかの複雑さと精密さ。
曰く、どんなに高度に人間らしいAIを作り上げても、それは全て目的の為。効率良く欺き、裏切る瞬間まで気付かせない。信用は出来ても信頼は出来ない。
曰く、破壊破壊破壊。この世界の破壊。憎悪の限りのままに、火星政府と地球政府、クローン売買業者へ執拗に攻撃を仕掛け続ける電脳犯罪者。反政府組織に、自ら組み上げたAttack Programを流し、政府管轄サーバーへ新種Virusをばら撒き、要人の殺害未遂と殺害を行う。Black Hat Hacker(ブラックハットハッカー)。
火星生まれのクローン人間。髪の一片まで自分の物ではない。
それ故に――――――
奪われたものは人権。奪われたものは仲間。奪われたものは眼球。奪われたものは両腕。奪われたものは――]
[ そんな盲目の時計職人を知る事はなかった。
先程、the shadowに>>89盲目の時計職人が作ったとは思えないといった事を言われてもピンとは来ていなかった。]
可愛い子だね。
[ 妖精の姿をした補佐AIにくすりと微笑む。
Little Dancerの確認の言葉に、こくんと頷く。]
この二人はそう。
私は、彼に体を作ってもらったの。
[ そうして、Tobeyに話したような事(>>50前半)を話した。]
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