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別に怨みも何もねえ人間の死体ってのは。
やっぱ何時見てもヤなもんだな……
[こうも違うのか。
小さくひとつ、呟いた]
―特別車両から自室へ―
[薄暮明の通路を自室へ帰る道すがら、ベルナルトが一等車両の一つから飛び出して来た。
通路の暗さにまだ慣れていない上に近視ゆえ、その向こうに居るらしいロランの姿は認識できていない。]
ああ、ベルナルトさん―
[ちょうど良かった、と言いかける唇がそのまま固まった。]
>>12 今、何と仰いましたか?
[聞き返したものの、告げられた言葉>>14は、窓ガラスに当たる雨粒のように、弾かれ、意識から転がり落ちてゆく。
ふらふらと、シャノアールの部屋の扉を開くと、じっとそこから室内を、シーツから覗く、血の気の失せた顔を見つめている。]
だから、言ったじゃありませんか。
僕は、あなたの「勇者」にはなれないのですよ。
[シーツで覆われているせいか、シャノアールの姿はラビの時ほどの衝撃はもたらさず、乗車時と同じような、皮肉な口調を取り戻して、ぽそり、と男は言葉を漏らす。]
僕が「守ることはできない」と告げ、あなたが「残念です」と言った時、全ては終わったものと思ったのです。
それでも、―それでもあなたは僕の隣室にやって来た。
…なんて馬鹿なことをするのでしょう、そう思いました。
…本当は、もしかしたら、僕にもできるかもしれない、そう、少し思ったなんて言いません。
嬉しかった、なんて。
もしかしたら、もしかしたら、僕もカメラ以外の何かを手にする事ができるのかも知れない。
ほんの一瞬、北の新天地で、僕の写眞店で、一緒に働くあなたを想像した、なんて馬鹿らしくて言えません。
出会ったばかりの、人狼である可能性さえあったあなたに、そんな事を思ったなんてですね。
…おかしいですね、ここへ来る直前に眼鏡を新調したと言うのに、視界がぼやけます。
[皮肉な口調とは裏腹に、彼は眼鏡を外して袖口で目の辺りを拭っている。]
[やがて弾かれたように、男は倒れ臥す彼女の傍に駆け寄ると、うずくまり、おずおずとシーツを捲った。
そこに現れたのは月光に光る白刃。
男は何か決意したように瀟洒な象嵌の入った柄に手を掛けて、するり、とその刃を引き抜くと、ハンケチで包みポケットに仕舞いこんだ。]**
―少し前―
[ロランとの会話の途中、廊下から呼ぶ声がした。]
シュテファン!
あー……
[聞き返されて、わしわしと頭を掻く。
食堂室で盛り上がる彼らの姿が思い起こされる。あれはまだ半日も前の事ではないのだ。
ズケズケと物を言う自覚はあったが、流石にこういう時には言葉が出ない。]
……後で、食堂へ。
[出来たことはといえば、入れ替わりに部屋に入っていく彼の肩をひとつ叩いたのみ。
どのような表情をすれば良いのかも、分からなかった。**]
― 食堂車付近の廊下 ―
[一人また一人と去って行く食堂車から、箱から取り出したマッチを一本だけ擦り足元を確認しながら足早に歩む。
蝋燭は一本きりしか無いのだから、念の為に使わずにおこうと]
……嫌だな、一人は。
[一人は怖い、そう口にしてしまえる程には、心折れてはいないと信じたい]
[自分以外に誰も居ない廊下の空気は、ひやりと冷たい。
今此処に人影が現れようと、自分が独りきりで居ることに変わりは無い]
…………イヴァン……くん?
[脚を止め、現れた人影を見詰める。
つい先刻、食堂車で分かれたばかりの青年が其処に居る。生を失くしたばかりの彼が]
[彼の魂――或いは思念――は、は無き声で、訴え掛ける。己はヒトだと]
[彼の身に、一体何があったのか。
混乱のまま問いを口にしようとした時――マッチの灯りが消えた]
― 食堂車 ―
[食堂車に入り先ず目に入ったのは、マフラーに包まり震えるユーリーの姿。
思わず息子の名を呼び駆け寄り、伸ばし掛けた指を、思い直したように退く]
[駄目だ、混乱している。彼は息子では無い]
……大丈夫かい?
[一度息を大きく吐いて呼吸を整えてから、彼に尋ねる。
そうしながら、彼の視線の先を追って……遺体となったイヴァンの姿を見る]
彼は、死んでいるんだね。
……どうして?
[その場に誰か居たなら、周囲と、そしてユーリへと問い掛けて。
やがてベルナルトからの情報>>12が何処かから齎されると、イヴァンを占うと言った彼女の代わりのように「彼は人間だよ」と、遺体となったイヴァンを*指し示した*]
/*
疑われて吊られるフラグも立てるべく微妙なCOをしてみる。
見た目にはシャノアールも襲撃死と分からない死に方してるけど、黒猫ちゃんの霊は観なくて良いよね。
霊能判定的には視えないものだから。
そして今日のデフォルト投票先はシュテファンでした。
― 最後尾・外 ―
[真っ暗な闇。
と人間の目は訴える。
実際は、視える。
空に厚い雲があることも、その列車が暗い森を駆けていることも、
いや、くっきりと、流れていく線路の一つ一つの軋む際に発する振動さえも。]
さぁてね……。
めんどくせぇな。
[響く、いわゆる仲良しこよしの声を耳の奥は感じつつ……。煙草の火をそのまま投げ捨てたあと……。]
ああ、怒られるな。
[呟いた。]
/*
朝になってから匿名メモに気づいた。
残念な村建て。
ってかジョーカーが貼ったってことでいいのよね?
できれば赤でもフォローほしかったけど。
元の体が死ねば移動できるってことかな?
ああ、あいつは、どこだっけ。
サーシャ?
[高い背を少し丸め、最後尾のドアから中にまた入る。
灯りはぽつりと点るが薄暗い廊下をゆっくり前に移動した。
まだ、イヴァンが謎の死をとげているとは知る由もない。]
もう明日は食えるかどうかもわからないんだからよ。
[ずうっとそんな刹那を生きている。
生まれた時からそうで、
間少し、人間になれたけど
結局は、最後、獣に戻った。
それだけだと。]
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