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[左手下方へ向かってdrizzleの広範囲弾幕を張る。
回り込むように、クヴォルフィリアの傍へ向かう。]
ユージーンさん!援護するよーーーーー
[そのとき]
[赤い光が収束されるのが見えた気がした。]
!!!!!!!!!!
うわあああああああああああああ
[――初めてBFに乗ったときのことは、よく覚えている。
アルトキュムラスは最初から、まるで自分の手足のように動いた。
声を聞き、一緒に、ただ空を飛ぶのが楽しかった。
’コア’の声が聞こえることを深く考えたこともなかった。]
(いつも、助けてもらってたんだ。)
(今度は、おれが助けなきゃ。)
(みんな。アルトキュムラスの、仲間だ。)
[一番近く、ユージーンの機体へ向かってロジャーは手を伸ばした。
赤い光は翳した中心から発せられ、その烏羽を包む。
アルトキュムラスは、光を発してすぐに、しゅう、とコアは小さくなった。
自機は光に包まれたのは一瞬。
まるで無防備に、アイボリーは力を失って停止する。
護れるのは、どうやら1機だけのようだ。]
…!くっ… ’stratus’ !!!!!
―格納庫・入り口―
[空を見上げ]
……スネイルネンだったら、何て言うんだろう。
[黒く長い耳を思い出し、空に描く。
それはすぐに後ろを向いてこちらを向かなくなった]
……。
[カバンの中身に視線を落として、意を決したように勢い良く前を向いて歩き出す。
向かう先は大会本部**]
[喧騒。慌しいピット内。
インターバルといえ、時間は限られている。
この時間内で何処まで機体の修理修復、敵機体に対しての対策がとる事が出来るかで結果が変わってくるのだ。
GRAVEブースから戻ってくると、ダイアナが、リトルアースの搭乗者と話をしているのが見えた――。*]
/*
最初BFの中で訊こうと思って、次にピットでニーナのそばで訊こうと思って、結局断念して以下の文をボツにした……が、帰りのBFの中で訊けそうだな。貼り付け貼り付け。
*/
グレンさんは、誰が――いや、どんな人が勝つと思いますか?
単純に「強い人」が勝つといっても、強さは様々でしょう? 物理的な強さに精神的な強さ。
[言い換えるならば、どんな強さが勝つためには必要なのか]
私は――「背負ったものの重さに押しつぶされなかった人」が、最後に勝つと思ってますが、どうなのでしょうね。
『早速ここまで壊してくれるとはねぇ、
くくっ、あんな男の挑発に乗ってたら機体が幾ら合っても足りねぇよ。見てみろ、突っ込んだ右翼なんて殆ど使い物にならねぇ。』
――うん。
[ピットに降りるが早いか、手早く機体の整備を始めて行く。
前回のピット時に整備していない所を。と思っていたのだろうが更に状態を悪くして戻ってきたせいか、おっちゃんは苦笑いだった]
『――ま、こっちは何とかするから、嬢ちゃんは休んどけ。』
……でも、機体が間にあわ――
『休むのも役割ってヤツだよ。それに疲れたままあんな飛び方されたんじゃどうしようもねぇ。
やりたい事も。あるんだろう?』**
―空中ピット・表層整備区画―
よいっ…しょ…と……ふぅ。
[開いていたリトルアースの表面ハッチのうち、整備の終わった箇所のクリップを止め、バイザーを上げて額を拭う。
これで修理の進捗は六割といったところ。残り時間を考慮するに、多少は余裕を持って整備を終えられるだろうか。そうなると、気にかかるのはやっぱり、分かれたまま合流できなかった二人のこと。もちろん、他にも懸案事項は山積みだったけれど…]
…フヅキ、ネットワーク回線の誘導だけお願いしてもよいでありますか?
その先は小官が自分で行いますので、フヅキは引き続き再計算ならびに設計作業を願うであります。
[即座に開かれた回線に“手”を伸ばし、情報の海から必要とする案件を探し出す。…“ウィルアトゥワ”と、“サンダーエース”の現在状況]
……ッッッ
[見つけ出したそこに、惨憺たる状況を見て取り、絶句する。
後悔が頭を真っ黒に塗り潰した。
“マリア”の様子から、こうなることは、予想できていたのに。なぜ、自分はあのとき、あの場を離れてしまったのだろう。
その思考だけがぐるんぐるんと頭の中を回り、どうしよう、どうしたら?と、掻き混ぜられた思考は同じ問いを繰り返す。
…自分に、なにができるだろう。共闘するなどと口にしながら、肝心のときにその場から離れ、危険にさらしてしまった自分が何を?]
『小官が墜ちるならばそれは小官の責任です。』
[いつか、ウィリーに告げた言葉を思い出す。そう、そのはずだった。だから、気にすることはない。…などと。
割り切ることなんてできそうもない。気がつけば、伸ばした手は、MiddanEdenのネットワークアドレスを手繰り寄せていた。モニターと称するそこに、かすかな残滓を見つけ、その“気配”を辿り、手繰り寄せ―――]
“―――ウィリアム…さん…?”
[声ではない声で、恐る恐る、呼びかけた。返答は、あったかどうか分からない。聞こえなかった。MiddanEdenの、おそらくは重要機密に当たるであろう“其処”は、幾重もの防壁に阻まれ、遠く、繋がりは細い。そのことに歯噛みしながら、その“手”を繰って、ナニカを紡ぎ上げる。
しばしの時を経て形を成したそれは、ほんのささやかなプログラムウィルス。
強引なナノマシンによる精神介入を感知したとき、正気を呼び戻そうと耳元で囁く程度の、弱弱しいそれ。
防壁の小さな穴を抜け、あるいは間違っても“ウィルアトゥワ”と“マリア”を修復する作業の手を妨害しないように、サイズを最小に抑えたそれは、気休めになるかどうかも分からない]
―― ピット ――
[長いピットインの時間がそろそろ終わる。
私はその間、ぼうっとまどろんで体と脳を休ませていた。
最後に注入されたナノマシンだけではなく、この大会用にチューニングされたナノマシンは多く私に注がれていた。ショーでも滅多にない長期戦は、休んでいる時にこそその消耗を私に自覚させる]
[もしその休息時間に誰かが私を訪ねてくるなら、私はいくつか言葉を交わしただろうし、オープン・クローズド問わず通信が来ても同様だ。……マリアはまだ整備中だったけれども]
“―――こういうものを、旧い文化で、おまもり、と言うのでしょうか―――どうか―――お役に立ちますように―――”
[祈りの言葉とともに、回線に乗せ、その“おまもり”を送り出す。これで、お詫びになるとも、思わないけれど―――
…次いで、ネットワークを繰る“手”は、OLD Replicaの所属チームを探りだし、チームの所持する端末を手繰り寄せた。
生身の相手に、先ほどのように直接呼びかけることもできず。精一杯の謝罪を書き記した手紙をそこに残し、漸く“手”をネットワークの海から引き揚げた、その間際]
“お二人への、直接の面会を推奨いたします”
[そんなメッセージが、ごく間近から届けられて。
思わずむすっと顔をしかめ、フヅキの中枢が納められたリトルアースを、肉眼でじとっと睨んだ]
[男は、ピットで担当研究員長が賄賂によって余計な事を話しているとは知らない。
知っているのは、空から堕ちていくBFに、赤い光で堕とされたものが含まれていて、その区分けが出来る事だけだ。
男はふらふらと辺りを歩いていて、偶然マリアの居る区画に来ていたようだ。
緑がかった軽い金髪が見える]
どうやらこんなところまで来ちまったようだ。
…お疲れ様。
[男は、しがないサラリーマン同士の会話文句のように、労いの言葉をマリアにかけた]
…小官は、機体の再構築に関する計算と設計をお願いしたはずでありますが?
[悔し紛れの文句を受けても、フヅキは何も答えない。
そのままじぃっと見つめていたけれど。やがて降参したようにうつむいて、ごつんっと額をリトルアースにぶつけて]
…今更どんな顔で会いに行けばよいのですか…
[小さく、呟いた。やっぱり、フヅキは、答えない]
[どれくらいそうしていただろうか。あまり間を置かず、そこに、声がかけられた。
いつだったか、ケンカを止められたときに見知った顔だ。
なんとか余所行きの顔を繕って応対すると、彼は、追加の資材を届けにきてくれたのだという。
その手の品を、覗き込んで。静かに首を振った]
せっかくの補給、恐悦至極にありますが、けれど、その物資を受け取るわけにはいきません。
…その保存状態から察するに、それは大切に保管されていたものなのでしょう?
小官は、勝利のために必要とあらば機体の損傷を厭いたくはありません。
ですので、物資は現行の代替が利くものをお願いしたく思います。
せっかくの御厚意を無駄にしてしまうことは大変に遺憾でありますが…ご理解を。
[先ほどまでとは意味合いの異なる渋面を作って、そう告げる]
…一つだけ。贅沢をお許しいただけるのでしたら、『BFF・アームズラック』の修復が可能な設備をご紹介いただけると助かるのでありますが…
[BFF・アームズラック…Big Fire Field Arms Rack。BFを宙に浮かせるものと同様の力場を展開して、弾幕兵装の遠隔保持、支持展開を行うシステムで、リトルアースの弾幕兵装を操作する要でもある。兵装の柔軟な運用を可能とする引き換えに、膨大な演算能力を要求するうえ、機動力に回すBF出力まで低下させてしまうために開発されて早々過去の遺物となってしまった技術なのだが…その管制装置が、フルムーンの過剰出力に耐え切れず、損傷してしまっていた。
それでもなんとか、システムの書き換えや出力調整で騙し騙し切り抜けようかと思っていたところだったけれど…修復のチャンスが来たとしたならば、乗らない手はない]
…それともう一つ。ウィルアトゥワとサンダーエースの…
[修復支援が可能であれば…と。続けようとした言葉を、飲み込む。自分が赴くならばともかくとして、それを、目の前の男性に頼むのはあんまりに厚顔な気がした]
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