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気になさんな、パイロットの正装だ。
それに、俺らはお前さんの上司でも上官でもない。
[と、シャーロットと共に歩き出す。]
にしても、コアを止める、か……。
「そうなると、パイロットの身が危ないですね。」
言っただろ。
命を預かるシステムには、枯れた技術を使うべきだ。
コアから独立した系で多重化するべきだってな。
[程なくして……TweeHeart CompanyのBFスペースに辿り着いた。]
― 格納庫・TweeHeart Companyスペース ―
(こちらオメガ、TweeHeartスペースに潜入した。)
((バ、バレてないですかね。))
(ビクビクするな。余計怪しまれるぞ。)
[ここです、と案内された機体の前。
各々の作業に集中しているのか、単に鈍いだけなのか知らないが、スタッフはまだ彼らに気付いていないらしい。]
「これはひどい……。」
[研究員が無神経にも声に出す。]
[無惨に破壊された外殻からは、『マリンブルー・スネイル』の内部機構がのぞいていた。]
(ああ、やっぱり辛いモンなんだな。)
[量産機にばかり乗っていた――ましてや、数え切れないほど堕としてきた――オメガにとっては、BFへの思い入れというものは想像することしかできない。]
[シャーロットから一通り説明を受けると、バレない内に早々に立ち去ることにした。]
やられてまだ辛いだろうに、丁寧にありがとう。
ここは今の人手だけで充分なようだな。
俺達はクロノの話を聞いてくる。
何か分かったら、お前さんにもこっそり教えてやるからな。
[研究員が抗議の声を上げた気もするが、なかったことにして]
それじゃ、またな。
[二人はその場を後にした。]
……あれ?
[墜落していくであろうはずなのに、何の衝撃もない。]
助かった、のか?
[きょろきょろと様子を見渡すと、墜ちていく機体が見えた。
そう、まるで自分がそうなっていた筈の運命を戦っていたはずのマシマ機が受けていた]
馬鹿な、どうして−……!
まさか……。
[今回起こった事象についての最悪の可能性に気がつく。]
一つは墜落しそうな時に、打ち込んだ相手を確実に巻き込み相討ちに持ち込むために打った物が、シュウには使えなかった為に手近なマシマに行ってしまったか、あるいはマシマに誤射したか。
もう一つは、マシマ機のコアのエネルギーを奪ったか。
実際今は機体のダメージの割に損傷が小さいというか、違和感があるようにも思える。
多分父や母は私を守るためにそうしたんだとは思うが……厄介な者だよ。
……生きて、いるか。
[もう駄目だとは思ったが、ぎりぎりで切り抜ける。
それでも墜ちないナサニエルに地上から歓声が上がっているかも知れないが、それを考えている余裕は無かった]
……マシマっ!
[戦闘相手であった機の墜落に目を取られる。]
私の打ち込んだ相手はあの黒い騎士のはずだったが……。
まさか。
[考えたくない可能性。]
墜落しそうな時に、まさか無意識にマシマ機を攻撃してしまっていた、のか?
[自分のBFに大会直前になって乗せた装甲。それはかつて、事故のあった惑星に勤めていた、幼い頃に別れた両親の物とわかった。]
父と母は、私を守ってくれたんだな……。
[しかし、その心中は複雑な物であった。共に戦いたいと思った相手をそのターゲットに選んでしまったのだから]
夢幻の竜騎士 マリアは、シルバーコレクター ナサニエル・ウエクサ を投票先に選びました。
―― ピット MiddanEdenブース ――
[MiddanEdenブースに、私とマリアは運び込まれた。
べり、と、音を立てて動かぬマリアが私から引き剥がされた。
私はうずくまって目を閉じる]
[小人と人型鼠が大きな担架を引きずってきて、マリアと装備をどこかに運び去った。私の体に小人が上り、機能していない翼を小さな鋸でぎぃぎぃ切り取り始めた]
[私はMiddanEdenのサイトにアクセスをする。
そこには、モニターと称してマリアと私の修復情況がリアルタイムで載せられていた]
(……まやかしばかりだな)
[私は、マリアの損耗情況を思い出して目を瞑る。
あれだけ損傷していれば、おそらくあれは廃棄処分だろう]
[目の前を、眼鏡をかけて白衣を着た妖精が時計兎としゃべる]
【イマイチ上手く動かないねえ】
【ですねえ。
攻撃衝動を高めても、向かうべき相手にいかない。
やはり短期刺激型では複雑な運用に無理がありますね。
戦闘プログラムが容量くいすぎるんですよ】
【シナリオ班は?】
【急ピッチで作業中です。
フロッグスター主任がなんとかなる、と】
【ああ、あの天然人蛙か。
天然は厄介だから監視だけしておくか】
[私は不覚ため息をついて、聴覚をオフにした。
ネットワークにアクセスして、各種通信回線を探る**]
メモ履歴のページ処理が謎なことになってるな。
<<ページ間で重複部分、抜け等が発生している様子。>>
p1: 10/21 00:33:05 〜 10/21 01:03:00
p2: 10/21 01:03:00 〜 10/21 08:03:52 【p1p2 重複1】
p3: 10/21 02:43:12 〜 10/21 21:45:55 【p2p3 重複7】
p4: 10/21 19:33:52 〜 10/22 01:14:06 【p3p4 重複7】
p5: 10/22 12:48:38 〜 10/22 23:19:52 【p4p5 抜け15】
p6: 10/22 22:52:40 〜 10/23 00:29:17 【p5p6 重複6】
<< (p1p2 + p2p3 + p3p4 = -p4p5) なのは偶然だろうか。>>
青視点なところに原因が隠れてるのか?
<<もう1件、メモ履歴で、その日の最終以外のページのURLに、GETパラメータ t が2つ含まれている。>>
値は同じだから問題は起きないと思うが。
― 格納庫-本部治療室への道すがら ―
「そういえば、さっきのお話、ガチで命賭けてた風でしたね?
私の知る限り、銀河系の主要惑星系では、大気圏内での戦闘はもう何世紀も起こってないはずです。」
え? あー……、あれね、あれあれ。
[先程までの余裕とは一変して、途端に歯切れが悪くなる。]
そうそう、訓練兵時代の模擬戦闘での話と海賊との宇宙戦の話が混ざっちまったんだろう。
「なーんか怪しいなあ。局長の『伝説』も聞いたことなんてありませんし。」
触れてくれるな。言ったろ? 腕のいいパイロットじゃないって。
おかしな記録を達成してしまっただけだ。
[研究員はなおも何か問いたそうな目を向けてくるが、そのとき地上が、空が慌ただしくなる。]
『また一機堕ちたぞ!』
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