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ユージーンさん、おれ、ゴードンの機体近くまで飛んだ。
でも、声は聞こえなかった。
機体が墜落したって、コアが動力を失うことはないはずなんだ。
それに、赤い光――ファフニールが落ちる時。
さっきと逆みたいに、光が収束されたのを見たんだ。
これって、なんか、変だよね?
アルトキュムラスは、あの光でおれにコアを護れって言う。
けど、こんなにたくさんBFがいるんだよ。
コアだって星の数さ!おれ、どーしたらいいと思う?
[一気に話を終えると
ユージーンを見上げた空色の瞳は大きく見開かれて
それから、ふっと下を向いた。]
それとも――やっぱり、こんな話子供のデタラメだって。
思う?
核の光…。
特別な核が存在する、か。
俺のは、クヴォルに積まれたブラックボックスに関係がある。
それは
[担当研究員長がこちらに近づいてくる。
「はっろー、あなたがロジャーくんね。
簡単に説明すると、あたしは縮退の研究―ブラックホールと言ったほうがいいのかな。
それの起動させるキーに呪術的なものや、精神、魂、そういうものを使ってるの。
そっちの担当は別なんだけど、それの副産物ね。
元々の仕様にはないもの。まあクヴォルの魂が他のBFの命が消え去る時の声を聞ける―みたいね」
とロジャーと同じ背丈の彼女は言った]
…チーフ。
[堕ちていく月。
遠くで星の爆ぜる光。
状況を把握しようとレーダーを広範囲に切り替えて…]
…あれは…!!
[彗星のように尾を引いて落下するのは、重装甲の蝸牛。
大した損傷も受けていないのに、あの挙動はおかしい。
パイロットはまだ未熟な少女だと聞いていたが、たとえ中で気絶していたとしても、駆動系をやられていなければコアの自立行動で安全に離脱が可能なはずが。
堕ちていった巨体を救出すべくレスキュースタッフの機体が集まっていく。]
…おかしいと思いませんか、ナサニエル。
あの蝸牛の落ち方、ゴードンの時と挙動が似ている。
まるで、整備不良の緊急停止でなければ…コアを直接止めたような…
ログ突っ込みは匿名じゃなくて大丈夫だと思う。
そして質問以外を匿名でやりとりするとなると、微妙な感じになりそうなので、促してみました。訂正を求めている(意見のコンセンサスを求めているのに)のに匿名を使うも、という考えもあります。
発狂弾幕が敵味方問わずなのは、私もそう感じるのはありますけれどもね。
―――――――――!!!!!
[嵐のように荒れ狂い押し寄せてくる無数の光弾、叩きつけられる光の帯とまるで敵意の意思を持つように襲い掛かる水晶弾の中で、文字通り全身全霊の力を込めてその手に掲げた“月”を支える。
自分が放ったものか、あるいは押し寄せるものか、光の奔流に流されそうになる意識と体を支えたのは、唯一つ“負けられない”という意思だけ。自分の後ろには友だちがいて、そして自分の傍らにはフヅキがいる。ここで、負けるわけには、いかない]
―――ッ!
[その奔流の中で、“機能”を剥き出しにした全身が、“なにか”に“触れた”。
それは光の中に浮かび上がっては沈む断片の形を成した記憶で、記録で、つまりは情報だった。
一つ一つは意味を成さないそれらを全身の感覚がすくいとり、たった一つの有意な言葉として再構成する。
光学に拠らない、目ではない目が観測したそれは、荒れ狂う光の中にあってさえ揺るぐことのない強固な『誇り』]
――ク――ノ――殿――――
[極めてシンプルなそれを目にして、一瞬意識に空白ができた。その空白を言葉にするなら、『呆』れる『気』持ちと書いて呆気と読む。
けれど依然吹き止まない弾幕の嵐を前に、すぐさま意識が引き戻される。
そこに まったく別の 何か が 紛れ込んで いて 。
一気に感覚が凍り付いていく。
それは、『誇り』によって構成された奔流とはまったく異質の不吉な輝き。恐怖に一気に萎えかかる気持ちと、負けられないからこそ、その輝きに目を凝らさなければならないと思う気持ちが交錯して、そして、傍らと、背後の、誰かの存在が、意思を奮い立たせ、そこにある情報を手繰り寄せ―――
―――そして。
光が 収束 した]
…ッッ
[不意に戻った視界に、思わずぐらついた。少々、機体にも体にも、無理をかけすぎたかもしれない。
限界を超えて光球を維持し続けた弾幕兵装は焼きついて機能を停止し、疲労しきった体はもうあちこちの感覚が欠如し始めている。
それでも、直前、手繰り寄せた情報を頼りに、眼下に視線を走らせて]
―――ああ―――
[そこに見た騎士の姿に、いつか感じた奇妙な感覚と、たった今感じた不吉な光が結びつく]
――まt―――会い―――たね――騎士殿―――
[自分の口が動き、なにごとか呟いていることを不思議に感じながら。
意識が。途切れて。行く。
/視界暗転]
夢幻の竜騎士 マリアは、シルバーコレクター ナサニエル・ウエクサ を投票先に選びました。
―― ピット ――
[小人たちがくるくる回りながら私の身体を行ったり来たり。
目の前でモノクルをかけた兎が懐中時計を片手に残りのピット時間を計っている。兎の隣、私の鼻先に立っているのは白衣と眼鏡を纏った大型の妖精。私達に対して何かを言っている]
[私はマリアの聴覚機能をオフにしたまま、現状を把握する]
『ニーナ、頑張ろう。
あと少しで長いピットイン可能な時間になる』
[友人からは反応がない。
遅延可能なコードを込めて、送る]
[私は目を挙げて、一面に広がる空を見た]
[会社が撮影していた会場のデータをダウンロードする。
王者ゴードンの最後]
[私は目を閉じて自分のコアが停止する時のことを考えた]
(……怖いな)
『嫌だ、ね。飛びたくない』
[そんな気分とは裏腹に、修復作業はキリに近づいて……]
――大会会場上空/観客席(南西エリア西より・中層)――
[南エリアに展開されゆく翠色の巨樹(>>2:227)。
それを生み出し操るのは]
人型の機体に……剣装備。
なんかいいなぁ……
[さっきまでの不安が完全に消えたわけではないが。
少女はいつも通りの暢気さをとりあえず、取り戻していた。
少女は戦闘機型のBigFireにしか乗ったことはない。
そのため弾幕兵装も機銃系統のものしか扱ったことがない。
曲芸飛行はお茶の子さいさいの少女であったが、なぜか機銃系統の弾幕兵装を扱うのは駄目で、照準機能があるはずなのにちっとも弾が当たらない。たとえ標的がすぐ近くにあっても弾はあさっての方向に飛んでいく。
分かりやすく10文字で表すと。
少女はノーコンだった]
……ニーナが犯人の機体を見つけたら。
それには近づかない方がいいかもしれない。
ニーナの情報収集能力は確かだ。
[私はぽつり、ぽつりと呟くように通信を送る。
シャノンもピットインしているなら遠慮なく。
空にいるなら、遅延可能なコードで]
だって、私の正体も本名も、ばれてしまった。
[私は「正体」について具体的には言葉にしない。
ただ、ぼんやりとした画像を想起し、送った。
私のコアの画像。正確には、コアの安定した無尽蔵のエネルギーを前提にした、私の脳の画像]
昔からずっとそうだった。
ゆえに最初に想像したのは、弾幕を形作るエネルギーを刃物の形とし、真っ直ぐ飛ばすこと。
確かに翼に光の刃をまとわせて斬り込むのはかっこいいけれど、それよりはこっちの方がいいだろ?
(あと少し。あと少し、逃げられれば)
[私は残りの機体をマリアの指折り数えた。
長いピットインが終われば、そろそろさりげなくリタイアすることが許される頃だ]
[私の目の前で、妖精が耳を指差し大きな身振り。
しかたなく私は聴覚を取り戻す]
【聞いているのかね、マリア、ウィルアトゥワ】
【そんなメンタルでどうする。
ウィルアトゥワ、君は欝状態に陥っている】
【下らないことに怯えすぎるな。
契約どおり、君のクローンも人格パターンも
バックアップはとってある。脳の1つや2つが何だ】
[私は金の瞳に光を強めて、妖精をにらみつけた]
(死ぬことが不死だというお前には分かるまい。
きちんと飛べばいいのだろう)
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