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――各機ピット>>94―
[機体の戦闘状況をモニタリングしていたウェイン兄弟が、短く呻き声を上げた。ディスプレイには『アンギャルド』のステータスが表示されている。
より正確には、その武装――『禍珠(フォルスコア)』の稼動状態。そこには“臨界”の二文字が追記されていた]
『……思い、出したのか? シュウ』
『……どうかな。だが―NBXの、というよりもBigFireの設計上、パイロットの指示が入らなければ兵装は起動しない筈だ』
『全てなのか、あれの起動コマンドだけなのか……』
『わからんな。――おい、シュウ、聞こえていたら返事しろ!
シュウ!』
[傍らのインカムを取り上げ、『アンギャルド』への常時接続へと呼びかける。しかし、それに答えるのは砂嵐のような雑音だけだった]
ヲレの名はクロノ。
宇宙を跳ぶものクロノ 最初に宣言したぞ。
[それは戦艦を率いた、あの宣戦布告の時。]
大会参加者のデータはかき集めた。
「第七号コロニー公社」
人質はとる、毒は盛る、あげくに侮辱ときた。
ついでに偽り有の経歴。
宇宙海賊を思わせかねん所業だな。
[皮肉か何かか。それとも冗談か。
苦みのある口調からは伺いきれない。
だが、「公社」へ深い追求をする事もない。]
ヲレは… !?
[覆いかぶさる、影。]
[メテログラフトの背後に現れる二つの影。
青空と太陽を背に、二つの影は天球儀に落ちる。
一騎。現れるのは赤い騎士。
一騎。現れるのは緑の騎士。
ペンドラゴンとランスロット。Camelot社製BigFire。]
―――― !!!
[間に合わない。二騎の機体性能、
そして現時点で逃走に使える時間内のリープ数。
近接武器の射程圏外に、一度のリープでは逃げ切れない。
シャン。
白銀の煌き。メテログラフトは、地上へ向けて叩き落された。
二騎は、リトルアースとウィルアトゥワを一瞥し、*天球儀を追う。*]
―南空域・中層―
[今の様子>>113を、少しロジャーに話してみようと思い、羊雲を探しながら上へ、上へ。
その近くをアンギャルドが降下して行くが、こちらは気にする程度ではないのか、それとも普通に気付かなかったかそのまま降りてゆくかも知れない。]
(ロジャーくんは、クロノさんに対して怒ってる…確かにあの時にはもうRedWOLFは抵抗しなかったわ。だから、それは当然だと思う…でも、うん。)
[自分はどうだ、と問いかけながら上へ、上へ。
しかし、進めば進む程落ち着かなくなって行く]
…スネイルネン、色々と覚悟はしているけど。
もしもの時は…ごめんね。
[左手の、パネルを押す力が少し上がった。
青い蝸牛はヒレをはためかせながら上層へ行く**]
―上空・FlashTaker機内―
[攻撃の第2波の最中、残ったBFを映しながら横のデータモニタを確認する。]
アンギャルドとクヴォルフィリア…っと弐拾参式が乱入…GRAVE社は苦戦してる?
[ズームアップしたままその場で機首を下げて降下したクヴォルフィリアを映す。
再びアンギャルドと白川弐拾参式=改へとレンズを向けて、他の機体へと視点を移す。]
こっちは…乱入ウサギ…メトログラフトと…リトルアース。
カタツムリとひつじ雲も向かってる?
まあ、地球乗っ取られちゃ困るからなあ、心の底から応援するしかないだろうな…。
[それからくるり、機体を旋回させて別の方向を。]
こっちは万年惜しいウエクサ氏のズィルバーン…。
あの三日月は誰だ?ルナ?ふうん。
やややっ、やっ、やばっ、ヤバかったぁ!!!!
[チャフ領域を抜ける。
正直、あの瞬間は墜落も覚悟していた。
飛び出そうに鼓動する心臓を押さえようと深呼吸、後から追撃は――来ない。]
――あれ?
[即座に後方確認、バランスを崩して傾いだ先程の機体と――下へ抜けて大きく回る鋼色の機体。
タイミング的に『ダモクレス』を攻撃したのはあの機しか無いだろうと、モニタに拡大、検索。]
――白川重工のワークス機、かぁ。
[サンダーエースをU字に旋回させつつ、そんな事を呟いて。
これで、流れは変わった、機体も、致命的な箇所には被弾はしてはいない――が。]
[戦闘を続けている機体が少なくなってきたせいか、データモニタをそれなりに見る余裕は生まれていた。
ミサイルに接触したサンダーエースをズームアップし、再び旋回させてドラゴンのウィルアトゥワを。]
今残ってんのが今回のエース級ってとこか。
あとはゆっくり観戦させてもらうとしますかね。
[トリガーをゆっくり引いて後退しつつ高度を上げる。
最後に戦闘フィールドの全景を収めて、取材用BFの発着点に向けて機体を降下させた。**]
/*
ねんねこ前に。ロジャーくんの発言にもありましたけれども…アーネストさんの発言から>>118
カタツムリと羊雲が並んでるとメルヒェンですね。
すっげぇのどか。
/*
クロノとグレンはどちらも村たてさんだよね。
マリアは村たてさんに何か嫌われるようなことしただろか。
いくつか心当たりはあるけど。
それとも単に、伝わらないだけか。
―― 回想 ――
[マリアの倶利伽羅不動ガンから放たれた弾幕は、次々と天球儀に相殺されていく。マリアの瞳は、レーザーの弾道を目の前の空に描くように追った。ちっ、とマリアの口から舌打ちが漏れる]
(……やっぱり第一波を抜けた相手は甘くないか)
『でも、それはさせない――っ』
[こちらを認識するようなクロノの呟きに、2回線を使った台詞がオープンチャンネルに乗る。レーザーを消し飛ばそうと私が大きく息を吸ったとき]
【……ありがとうございます。………ウィリアム殿】
[クローズドチャンネルで、役名ではなく本名が呼ばれた。
私は息を飲み、翼が動きを止める。
マリアの口と瞳が大きく開かれた。
結果、私、ウィリアム・ナイトレイの脳をコアに直結させた機体は、姿勢をぶらし少し彼らの交戦区域から離れることとなる]
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