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「ヘッドセットを身に付け、操縦席へと身を沈める。
開いたままだった頭部を手元のパネルで閉じれば視界は黒で覆われた」
「良いか、こいつは動きこそは鈍いが守りには長けている」
知っているわ。こうして身を守る事も出来る。
[素早く両の指先でパネルに何かを描く。黒の視界に横一線の光が走り、格納庫の光景が映し出された。
更に指を動かせば、たちまちの内に伸びていたBFの頭部が短くなる]
「そうだ。そしてその反応速度はお前の手の動きによって変わる、だから」
解っているわ。遅れるな、でしょう?
…大丈夫。
[再び指を走らせて縮めていた頭部を伸ばし、その他テストを行っていく]
――格納庫・入り口布巾――
[刺々とした声が耳に入る。
少女はその方角へ視線を向けた。だがそこに見えたのは困惑した様子に見える青年と、その肩に乗った――]
うさぎ?
[呟いて、下方へ眼差しを移す。そこに居たのもやはり同様に]
……に、くろうさぎ。
―― 格納庫・入り口近辺 ――
[グレンは、クロノに話しかけるつもりだったが、
先に切り出されたので、話し終えるを待ってから言葉をかけた。]
やあ、こんにちは。
[傍らに立ち、挨拶はしっかりと。]
私は大会スタッフのグレン。そして、コッカイ。
[と相棒共々自己紹介。]
きみは、ラントだな。
何故きみ達は、きみ達の星がある銀河からこんな遠くまで来ているんだ。
[黒隗は、紅蓮の首筋に手をあて、クロノをじっと見ている。]
[一通りのテストを終え、BFから降りた...の表情は途端に不安そうなものに変わる]
「後は、その人見知りさえどうにかなれば良いんだがなあ。こいつと一緒の時だけは何も心配ないが…」
[苦笑しながらBFを見上げる父に、...は何も言い返す事が出来なかった]
だ、だって…BFは触れただけ、関わっただけ必ず応えてくれるもの…。
[人と関わるのが怖い、と言いたいのだがそれ以上の言葉が続かず、俯いた。他のスタッフも苦笑してそれぞれの作業を続けている。どうやらいつもの光景らしい]
―― 格納庫・入り口近辺 ――
チキュウ人の名前など、どうでもいい。
[クロノは、目の前のスタッフを自然睨みつける視線。]
チッ
[キッと再度睨み直す。]
ワレワレラントが有能である事の証明!
そしてその技術力を見せつけ、チキュウを乗っ取る為だ!!!
おい貴様も、ヲレの宣戦布告を聞いてなかった口か!?
−格納庫−
[ロボット達の作業を見ている傍らで、再び参加者のデータを見る。
あの黒いのがどこの誰かが気になっていたためである。]
影が薄いから覚えてなかったんだろうか……。
[ロボット達の作業を目で追ったり、不審な人物がいないかどうかをチェックしながら参加者データに目をやる]
あの黒いの、また誰かとやりあっていたみたいだからな。
[ニーナと出会う少し前か少し後か、片割れでちらりと耳にした言葉。黒いのの、「BFに食べさせてやった」という言葉と、先ほどの売り子らしい女性の表情。
そこから、誰か、おそらくあの黒いのが他の人のBFに何かをしたのだろうと推測がつき、警戒を強めることにしたのだ]
今までのBFの大会でそういう話を見聞きしなかったのは、幸運だったって事か……。
それも物騒な世の中だ。
[このナサニエル・ウエウサ自身欲しい物は必ず手に入れる、という主義ではあったが一方で後ろ暗い事をするくらいならばそれ以上の力を持てばよい、という考えの持ち主でいたため、他者への嫌がらせという発想は無い]
おっと、見つかったか。
[そこに出てきたデータは、彼が「GRAVE」の物である事が記されていた」
……なるほど。やっぱり、か。
[GRAVEが何よりも結果を重視する団体である事は知っていた。その団体に所属する者であるのならば、あのような行動を取ってもおかしくは無いだろう、とナサニエルは思った]
……GRAVE、か。
[その他にも何かを考えたような顔つきになる。
ロボット達に整備と、そして不審者は追い払う事を命令させて、再び歩みを進める]
―― 格納庫・入り口近辺 ――
「嘘。」
[ぽつりと、リアル兎顔な黒隗が告げた。]
「ラントの母星は、数週間前に滅んでる。
宇宙連邦の調査隊が降りて、調査しにいってるよ。
なのに、キミ達はどうしてこんな所にいるの?」
[黒隗の言葉に悪意はない。純粋に尋ねているようだ。]
「キミ達からは、絶望と不安と恐怖の匂いがする。
それを必死に乗り越えようとする匂い、誰かを攻撃する事で紛らわせようとする匂い。沢山の匂い。」
[黒隗は、クロノから目を離そうとしない。]
「ボク達、キミ達に何か出来る?」
[周囲は、大会前の緊迫感と陽気さ。ざわついた祭の陽気さも伝わってきている。]
―― 格納庫・入り口近辺 ――
――ッ
貴様… …。
[言葉が続かない。]
…………!
[こちらを見ているシュウの姿に気がついた。]
チキュウ人の中にも情報に詳しい者が居たようだな。
その通りだ。
ワレワレ、ラントの母星、その星系はもはや使い物にはならん……。
……… だが、 それが、 どうした。
[呻くような声。何でも良いから言葉を搾り出す声だ。]
−格納庫・入り口付近−
なんだ、あっちにも黒いのがいる。
まぁこっちの黒いのはさっきのに比べればまだ可愛げもありそうな奴には見えるが。
[目の先に黒いウサギのような生き物の姿がある。
そのウサギのような生き物は宣戦布告、だとか口にしているようだ。
可愛げがありそうな割にはなかなか血の気の多そうなウサギである]
――大会会場・上空――
[屋台通りの上を滑るように飛ぶ戦闘機型のBigFireの姿があった。
普段憂さ晴らしで飛ぶときよりもだいぶ速度を抑えているので、側面に描かれた青い鳥のペイントの形状がはっきりと分かるはずだ。
空も、地上も、平和だ。
もしも少女が何かよからぬことを企んでいたらどうするつもりだったのか。
上空に浮かんでいる謎の戦艦(無論少女は兎人のことを知らない)ほどではないが、BigFireには戦う力があるのだ――無論この機体も例外ではない、と言いたいところだが。]
イメージは固まってきたんだけど、「私はできる!」って感じがまったくしねー! これじゃあ無理だー!
[果たしてこの機体が弾幕を放つのはいつになるのやら。
そしてこの少女、操縦桿を握ると口調が変わるようだ]
――格納庫・入り口付近――
[クロノとグレンらの会話の中から、ラントという単語が漏れ聴こえてくる。少女には耳慣れない単語だった]
……何か、難しそーな話、してるっぽい?
[ぱちくりと瞬いて、こちらに気づいたらしき人型の黒兎に小さく手を振った。だがそれ以上はせず、庫内へと足を向ける]
あの子も、出るのかな? どんな機体なんだろ。
―― 格納庫・入り口近辺 ――
それが、どうした。
[ラントの科学力があれば、星の復興は可能だ。
母星に、降り立てさえするのならば――――。]
宇宙連邦の異種族同胞達の協力は感謝する。
中には、様々な援助を申し出てくれている連邦のラントもいる。
だが、ワレワレは、調査の間中……
[何故こんな初めて会った、同種族でもない兎顔に言わなくてはならないのか。クロノは、動揺が収まるにつれて気づく。]
そこの黒いの。
もう一回その宣戦布告とやらを聞かせていただこうか。
ちょっと席を外れて聞きそびれてしまったのだよ。
[そのウサギのような生き物が何と言っていたのか、それに興味があって聞いてみる]
―格納庫―
[そうだ、と父親がこちらへと何かを手渡して来る。よくよく見ればそれはお金]
「シャーリー、そんなに時間は無いだろうが1つお使いを頼まれてくれないか?屋台で焼きそばと水分を人数分、だ」
え、えぇ…?
お父さん、でも、人が多い所は…
[明らかにうろたえて屋台へ行くのを拒む]
「急いで行けば気にする事もないだろう、頼んだぞ。
その間にこちらの整備は終わる」
えっ、あの、誰か…
[スタッフ達も「手が離せないから、ごめんね!」と声を掛けて来る。...はいよいよ覚悟を決めて自BFのスペースから駆け出した。走ればすぐに終わる、と決め込んで]
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