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――観戦スタンド――
[ごく自然な様子でその場から連れ出してくれた青年に感謝しつつも、少女の視線は落ち着かなくあちこちを見回す]
あ……ええっ、と……どこか、静かな場所、の方が。
[少女が意識を取り戻してから、地球時間でおよそ一年ほど。地球に到着してからどれもこれも初めての経験ばかりで、考えてみればちゃんと休息を取ってすらいなかった]
……大会本部、休憩所とかって。ある、かな?
クロノやユージーンが最初に考えていたナサニエルの方向と近い事をやっていたので微妙に方向転換。
しかしどこ行った欲しいものは手に入れないとという性格。
あ、そろそろBFの設定考えないと……。
―大会本部―
[蒼穹へ向けたレンズを下ろし、カメラを肩にかける。
携帯端末に受付で受け取った袋から小さなチップを取り出して、
端末に読み込ませる。
やがて、ヴン、と音がしてホログラムで文字列が投影された。
それを見ながら足は格納庫の方へ。]
要綱とか堅苦しいことは後回しにして…
[指で端末を操作し、投影内容を切り替える。
立体的なBFのミニチュアと、パイロットの情報が表示されたところで手を止めた。]
参加BFとパイロットの一覧か。
どれどれっと、へえー、常連組み錚々たる面子…ん?
がきんちょに、ひゅう、あのマリアちゃんもいるぜ。
[煙草をくわえたまま器用ににまりと笑いながらデータを繰って情報を読み込んでいる。
もっとも、携帯端末を連動させれば被写体の情報をすぐに表示してくれるのだが。]
あ、…黒詰……。
[アイツも来ているのか、と分かりやすい黒ずくめの姿にポツリと呟く。
BFのパイロットには主に2種類の人種が居る。
愛機を大切な相棒として特別な想いを込める者と、ただの道具として乗る者。
彼はおそらくは後者、そして自分も後者なのだろう。
メーカーのテストパイロットという仕事は、様々な開発中の機体を乗り換え、時に乗り潰す。
それゆえにひとつの機体に思い入れを持つのは、寧ろ仕事の妨げになるというのは自分の経験から。
特別な名前で呼んだのは、自分が初めて乗った機体だけ。
それはもうすでに空の塵として消え、残ったのは自分の息子に引き継いだその名前だけだ。]
[ずんずんと男から遠ざかろうとするとさらに注文を告げる声がかかったため、とりあえず立ち止まる]
あああ、あんたのような人にやる焼きそばは……!
[しかし少女の中の冷静な部分が告げる。
ここで参加者とトラブルを起こしたら、最悪会場を追い出されるかもしれない、と]
…………。
[少女は無言で焼きそば1パックを男に差し出すと]
おーぼーえーてーろー!
[脱兎のごとく外へ向かって走り出した]
―― 格納庫 ――
案ずるな。
敵情調査だ。
[シュ、と言葉を後ろへ滑らせて。
再度少しだけちらりと周囲を見ると、]
入るぞ。
[ぴょん。一跳びで、座席にお尻から跳び込む。
コート――菫色をした――が丁度下敷きとなる。
が――]
ちょっと角度が低すぎだぞ。
[操縦席は、普通のものとは違い、まるで寝転ぶような態勢を推奨するかのようだった。]
うん、休憩所は隣のテントだよ。
冷たいジュースでも出してもらおうか。
[格納庫脇の白いテントへ少女を案内して、係員に飲み物をお願いしたり。]
チッッ、よくわからんやつめ。
[店のほうに行けば買えるだろうが
そこまでするほどではなかったので、そのまま機体へと帰ろうとする。
そこに女、ニーナと、男、ナサニエルが何やら話していて、ニーナが奥へと走っていくのを見る。
そのまま走ると、空きスペースに置いた屋台の食事に躓くと思いながら
そのまま機体へと戻った**]
――移動中――
[先に立って青年の歩む方角は格納庫のようで、納得しつつも少し困ったような表情になった。とりあえず、口を開く]
えと、あの……お兄さんも、この大会、出場するんですか?
シルバーコレクターじゃないか。
こんなところでナンパでもしているのか、奴は。
[どう見ても誘拐現場にしか見えなかったのだが、声をかけられた少女は無事に逃げ出したようなので好意的に解釈しておくことにした。]
――移動中――
[青年の歩む方角は格納庫のようで、納得しつつも少し困ったような表情になった。とりあえず、口を開く]
えと、あの……お兄さんも、この大会に出場する、の?
あたしもなんだけど、何か、ちょっと自信、なくなっちゃった。
[人込みはがやがやと、少女の内心に関係なく賑やかな様子が続いていた。掻き分けながら先に立つマシマの耳に、問いが届いたかどうか、定かではない]
[...は、この黒い兎は敵情調査と言ってはいるが、見た目のせいか少しずつ警戒を解きつつあった]
あ…この子は仰向けに寝て動かすんです…。
私自身が、この子の一部になる…そんな、感じで。
[言葉を添えても良かったのか、と迷いながら一応外から説明を加えてみた]
――格納庫近辺・休憩スペース――
[案内された休憩スペースで飲み物を頼んだ。出場者には自由に供給されているとのことで、少ししてよく冷えたレモネードが少女の前に置かれた]
ん――冷たくて、美味し……あっ、……と。
[一息に飲み、何か気づいたようにストローから唇を離した]
すみません、まだちゃんとお礼も言ってなくって。
あの、あたし、シュウって言います。
一応、あたしも、参加者、で。
―― 格納庫 ――
[ピ、ピ、とやはり耳は動いている。
シャーロットからなら見えるかもしれない。]
こうか。
[ごろん。だが、このBigFireが操縦桿タイプだとしたら、場所次第では、クロノの手では届かないかもしれない。
ピ、]
おい、動かしてみろ。
[クロノは、操縦席から動こうともせずにシャーロットに言った。]
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