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「――事情はお聞きしません。お久しぶりです、坊ちゃん
……いや、もう達生さんとお呼びすべきですね。
ちっと見ん間に、坊ちゃんの方も立派になられて――
………達政さんも、彩香さんも、えらいお喜びになることやろう」
[そうして、当然のように加藤は、達生と呼んだ男を屋敷へ導いた。]
[初めに、母――香奈恵に会った。
洗い物をしていた香奈恵は振り返り、…持っていた皿を落とした。
すぐに出てきて処理をしていた福井も、何度も彼を横目で見ていた。
――沈黙の後、香奈恵が見せた表情は、迎え入れる為の笑顔。]
[それから、達生は自分が「死んだ」後の19年の話を聞いた。
一つ一つ、頷き、時に視線を彷徨わせ、――最後の話題に、顔を上げた。]
…………。ほうか。
[何の感慨も浮かんでいない顔で、目を瞑る。]
[蘇るのは、「事故」を起こしたあの日。
確かに途中までは、達政が推測した通りだった。
歳の頃も13。
自分だけの魔術の研鑽をしようと、魔術を発動させ。
――いつもより、大きな孔を開けてしまった。
人間くらいなら、容易に呑みこめてしまうくらいの孔。
自己を修復しようと空間は周囲のものを呑み込む。
それは術者の達生とて例外ではなかった。
身を支えようと掴んだ木は、根っこから引き抜かれ、…共に吸引された。]
[ほんの少し違ったのは、酒魔術用の酒瓶が、一緒に吸い込まれたこと。
そして半身を呑み込まれ、足掻く過程で、半分程譲り受けていた刻印が発動したこと。
…無闇に魔力をまわしてしまったためだろう。
酒を呑み込んだ空間は、どのような理か酔っ払い、その座軸を狂わせた。
刻印に刻まれていた無限空間の魔術は、孔を開けられた空間座標に新たな座標を設置した。
二つの偶然が、その区画の空間を結界の真似事で遮断し
右腕を残して、達生の体をどこか余所へ転移させてしまった。]
[彩香や達政の空間転移は、「この世界のどこかにある場所」へ飛ばす。
対して、達生の空間転移は、「この世界のどこにもない場所」へ飛ばすものだった。
孔を開けたことが問題なのか、刻印の暴走なのか、――空間が酔っ払ったせいなのか。
とにかく。
この世界に吐き出されるまで、ぐるぐると平衡感覚のおかしい空間を漂っていた。
不幸だったのは、刻印は達生の右腕に移植されていたこと。
無限空間の解除もままならず――空間迷子になっていたのだった。]
[ほんの一つ、何かが違ったなら。
母より報じられた今の未来は、変わっていただろうか。]
…ほんなら、墓参りでもしてくるかな。
なんぞ供えモンでも――ああ。
やっぱええわ。自分で持っていく。
[呟いて、立ち上がる。
無言で加藤へ視線を送り、同行を指示した。]
……ああ、後、今日中には帰れへんかも。
遠いんやろ、さっき言ってた……えっと。なんやっけ?
[香奈恵の傍に控えていた福井へ訊ねる。
すると、代わりに背後の加藤が答えた。
"――樹那町です" と。]
……じゃ、まずは空き地かな。
加藤。羽織と刀、持ってきてくれ。
[彩香の遺体から発見された汚れた羽織と、刀。
昔、プレゼントした紅い傘はどこにもなかったらしい。
加藤がその二つを持ってくると、羽織らせた。
刀は自身の腰に帯び、母親へ向き直る。
"いってまいります"と告げると、香奈恵はは頷くだけだった。
その手の中で、少し汚れた扇子が揺れていた。]
―― 姫倉家墓石前 ――
[墓所を取り囲む常緑樹は、この季節であっても澄んだ空気を感じさせてくれる。
水を汲んだ桶を運んでいても寒さを感じないのはそのせいだろう。
風が、羽織を揺らしていった。
右袖が頼りなく、ゆらゆらと揺れる。
やがて"姫倉家之墓"と彫られた灰色を見つければ、立ち止まった。]
[出かける前、彩香の骨はここにないと聞いた。
…どうも教会が遺体を回収したままらしい。
その後どうなったのか、こちらには連絡もないという。]
――…
[事情は、何となく分かっていた。
空間を操る魔術は、使い方次第で重宝する部類のものだ。
それが宿る刻印をどうにかしたかったのだろう。
……親族には見せられない姿にしてしまったのか、
それとも想定外の出来事が起こって、戸惑っているのか。
詳しいことは、推測するしかできないが。]
―――。
[二本、花ともつかない草を供えた。
目を瞑り、じっと風の音を数えた。
静かにその場へ立ち尽くし、姫倉達生は祈る。
作法も言葉も、表情も、あったものではない。
ただひたすらに、目を瞑った。]
[再び目を開けると、加藤へ振り返った。
彼は待っていたように、二本のワンカップを差し出した。
頷いて、受け取りながら墓へ向き直った。]
…………、
[線香から立ち昇る細い煙。
合わせるように、沈黙はゆっくりと流れる。
そして――]
カラスか何かが、悪さしよるかなあ…。
[何でもないことを、何でもないように呟いた。
背後で加藤が取り出した三本目を、無言で受け取る。
――その蓋を、小気味良い音を立てて開けた。]
[微かにこぼれた雫が、風に乗って去って行く。
半分ほど呑んだところで、カップを加藤へ手渡した。
……達生も、酒はあまり好きではなかったのもあり。]
後の分は加藤が呑み。
…親父も喜ぶやろ。
[一足早く、その場を去り始める。
加藤は彼の背中を眺めた後、一つ礼をした。
そうして独り、達生が残したカップの中身を、一気に飲み干した。
墓へ向かって何かを呟いたが、達生の元へ届くまでに、風が攫っていった。]
[向かう先は樹那町。
妹が何がしかの目的で向かったという、街。
そして――最期を迎えたらしい、街。
彼女はどんなものを見て、どんなものを聞いたのだろう。
遠い昔、小さな体にはまだ不釣合いだった、傘の赤を思い出す。]
[思えば、昔から他人のことばかり優先する妹だった。
――他人の機微に疎い達生には、さっぱり理解出来なかったが。]
…。
何ぞ不埒なことしとったら、殺して奪い返すってことで。
["加藤、カチコミの準備ヨロシク"と当然のように言い置いて。
腰に帯びた刀の感触を確かてから、姫倉達生は歩き出した。**]
ランサーは、さてさて、今日は昼で終わるかなっと。 ( B93 )
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