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はいはい、平気平気。
俺、驚かすのは好きだけど、泣いてる顔は好きじゃないしね。
[口から出るのは適当な言葉だけだった。
もちろん後ろを見ることはない、背中を貸すのもたまには悪くはないから]
[―――なるほど。]
…俺も泣いてる顔より
笑ってる顔見る方が、…ええかな。
[自分は、我慢ならない側の人間らしい。
そんなことを思った。
オルグロスの背中で、ひとしきり目を瞑る。
――色んなものが零れて
色んなものが、入り込む。
そうして他者の想いで満たされれば、気持ちの整理は完了する。]
――よし。
ありがとう。オルグロス。
[抱き締めていた手を緩め、目元を擦った。
上手く笑えたかは自信ないが、何とか笑ってみせた。]
…あはは。 相手が子供じゃ――物足りないでしょ。
[伸ばされる黒。
手前で止まる指先に、遠慮がちに持ち上げた手で、そうと触れる。
既に、その輪郭も朧気で 消えてしまうのが、怖い。]
――…、
[教会へ。 その言葉に、触れた手に僅か力が籠る。
一緒に行こう。 そう言った所で無意味だと、判っている。
わかっているけれども。…口に出したいのを、必死に飲み込む。
喉が痛い。引きつって、肝心な言葉は欠片として出て来そうにない。]
…やくそく。
まもれなくて、ごめん。
――死なせないって、言ったのに。
[まだ喚んだばかりの時交わした、約束にも満たない言葉。
それでも、 消えて欲しくなかったのは、ずっと。]
[触れあう指先の感覚は遠く、遠く。]
私に出来る事は此処まで だ。
ルナの 願いを 願いを
叶えたかったが……。
後は、君が自力で掴めるものを掴むしかない。
[首を振ったのは何についてか。]
…………。
[無理に笑う姿は、若干不自然にみえた。
なんだか気に入らない。
だから、驚かせて笑わせようとすばやく横っ腹を指で突こうとした]
[暗闇を照らす一筋の光。銀月の煌めき。
額を合わせる様にして灰銀の瞳を覗き込む。]
嗚呼、
願わくば、
もう少し──近く で
……を 、
愛している。
[戦慄く唇を自嘲するように歪めるポーズを取る事はなく。閉ざされる目蓋。消える真紅。バーサーカーとして召還された英霊は、光の渦となって消える**。]
[そうしてまた一つ。
英霊が崩れる声を聞く。
また、見届けようと顔を上げて――]
うひゃわっ
[なんかつつかれた。
びくりと身がはねた。]
な、な、な、な。
なんや。
[目を丸くしてオルグロスを見た。]
ふふ、あははははっ……!!
よしよし、兄さんはそれでいい。
[予想通りの反応、そして丸くなった目に満足の表情を浮かべる。
湿っぽい空気は苦手だし、姫倉にもふさわしくない気がする]
―――、
[覗き込まれる。 酷く近い。呼吸すら 触れそうな程の。
耳に届く、最後の声に。
真紅に映った灰銀が僅かに、見開いた。]
――セム ルク、
[嫌だ、と。
声にならないまま、口唇が動く。
薄れゆくのを拒むかの様に、捕まえる様に。
強く握ろうとした指先から、
光の渦は、するりと溶けて、*消えた*]
―――
[大笑いされている。
理由は分からない、分からないが]
へ、へんっ。
姫倉達生を語ろうなんざ十余年早いっ
[オルグロスの両頬をつまんで引っ張ろうとと手を伸ばす。
――分からないが。
少しだけ、軽くなった気がした。]
ひょっと、ひゃめろひぃさん。
[当然巧く喋る事など出来ない]
ひゅうねんでょころひゃない!!
もょっといきてるっての!!
[悔しいから頬をつまみ返そうと手を伸ばす。
それが相手の気持ちを軽くしていたかもなんて知る事はなかったが]
っ
ひょのっ
[自分の分もつままれてしまった。
目の前にあるオルグロスの顔が、なんだかおかしい。
自分もああなってるのだろうかと、想い]
――
ふぁひはほうな。
[もう一度だけ、感謝を口にした。
そっと頬から手を離し、――笑う。]
何言ってるかわからんよ……。
まったく、子供かっ!!
[周りから見たらきっとお互い様だといわれるに違いない。
自分でもそれ気づいてしまったのが可笑しくて――
そして、なにより笑う姫倉につられて――
姫倉と共にしばらくの間笑い続けた**]
うっさい。
[ただ、お腹の底から笑う。]
――ははっ、はっはは
[何も考えず、誰のことも考えず。
目じりから涙が滲むほど笑えたのは――
随分と久しぶりだなと、回想した。]
はー…
[なんだか、すごくすっきりした気がする。]
[どうしてこうなったのだか、
ライダーにはまた困ったような
戸惑ったような表情を向けた]
…女神の気まぐれにも困ったもの、だ
[小さく息を吐いて、
姫倉が霧と化した方向へと眼を向ける。]
――……。
[カルナは、
今、無頼と戦う彼女を、よく知らない。
教会ですれ違ったきり、だったろうか。
それでも、抱く切なる願いは]
[それから其処から意識は、《外》へ向く。
此処は戦いの全てを見渡す台(うてな)から
さりとて何処へも手が届かない檻から
このせかいを見下ろす。]
――…、…――
[互い違いの眸は瞬きも少なく
その全てを見届けんとする。
閃く光。
揺れる白銀。
ひとつ。命が消え。
ひとつ。英霊は還る。]
…失礼。
[結局自ら手を戒めから引き抜いて、
両手で彼の流儀で祈るような形を為す。
少し離れたところで
軽やかな笑い声が聞こえた。
何事かと思えど、随分とそれが
楽しそうであったから――首を突っ込み、
口を出すような気にはならず。]
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