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― 南ブロック / 拠点 ―
[目が覚めた時には、やはり窓の外は明るくなっていた。
視界が回復するまでぼうっと天井を眺める。
曖昧な意識が繋がり始め、全身の魔力も感じられる。
布団から手を引き出して眺めた。
朝陽を浴びて、肌が朱に輝いて見える。
身を起こした。
枕元の刀はそのままに、傘だけを取る。
酒瓶は、置いておいた。
どちらも昼間から持ち歩くものではないし、警邏に捕まっては厄介だ。
布団を畳み、寝巻きを脱いだ。
朝陽が指しても涼やかに薄暗い部屋の中で、長着を着て、袴を履き、帯を締め、羽織を羽織って羽織紐を締める。]
よし。
[朝食の用意をすべく、台所へ向かった。]
[庭にライダーがいれば、そちらへ呼びに行き朝食の準備が出来たことを告げた。
自分はと言えば、庭に面した縁側でいつもの瞑想。
正座をして、目を閉じ、静かな時間に埋没する。
夜の闇とは違う、瞼の向こうに陽が感じられる薄い黒。]
―――…。
[朝の始まり。欠かせない精神集中。
姫倉の魔術を行使するには、まず自分がどこにいるのかを知らなくてはいけない。何がしたいのか、どこへ行こうとしているのか――。
達政に教えられたカリキュラムの一つ。]
[自己整理の終わりに鳴く、鳥の声。
目を開き、空を優雅に舞う様を見上げながら呟いた。]
…今日はちょっと冷えるかもな。
[空は白みがかった曇天。
秋なのに、雪でも降りそうな色合いだ。
今度は目を開いたまま、どうするべきか思案する。
霊光院へ出向いてもいい。
ただ、昨日に望月、ルナ達と立て続けに遭遇したことを考えると、あまり好ましくない場所になったと言える。
空気だけを言うならあそこが最適なのだが。]
廃ビルにでも行ってみるか…。
[いつぞや駆け回った時に、見つけた場所。
あそこなら街の様子を大まかに眺めることも出来る。
ライダーが一緒に来るなら、暇をさせないだろう。]
あのさ、今日は気分を変えて――
[言い切る前に「だめだ」と言われてしまった。
昨日の今日なのだからもっと無理をせず休むべき、ということらしい。]
でも…
[何かを言おうとすると、ぴしゃりと遮られてしまった。
魔力の方はと言えば相変わらずおかしいのだが、これは壊死したであろうどこかがすげ変わってくれるまで待つか、治癒魔術師を探さねばなるまい。
それまで大人しくしていろというのは、つまり戦いにはもう出るなと言われているようなものなのだが――。
これ以上胃を痛ませるのもあれなので、頷いておいた。
そのまま素直に自室へと戻る。
握っていた傘が、手持ち無沙汰に揺れていた。]
[自室に戻り、羽織を脱いだ。
紙戸の前では加藤が見張っているようだ。何と周到な。]
……せめて鍛錬くらい…。
[魔力を回そうとしたが、――やめた。
ライダーの本音を聞いた以上、勝手な真似は出来ない。
それに――。]
いざとなったら窓があるしな。
[そちらを横目に見て、姫倉はゆっくりと*目を閉じた*。]
投票を委任します。
滝川 志乃は、メイド セリア に投票を委任しました。
投票を委任します。
姫倉 達生は、メイド セリア に投票を委任しました。
姫倉 達生が「時間を進める」を選択しました。
―中央ブロック・ホテルグランパシフィック―
[ホテルに着くと、すぐにフロントに電話をして、救急箱を持って来させる。
渋るランサーの胸元に、オキシフルをびしゃびしゃにかけて当て布をしてから、包帯でぐるぐるに巻いた。
……お世話にも、綺麗に巻けたとは言いがたいが。]
…たっちん、ちゃんと休んでますか?
ベッドは2つありますから、片方使ってくださいな。
[英霊は眠らなくても支障は無いらしい。
けれど、少しでもそれが身体の休息になればと、自分の隣のベッドを勧めた。]
[パジャマに着替えて自分の方のベッドに潜り込む。
ベッドメイクされた綺麗なシーツの乾いた感触が、肌にひんやりと心地好い。]
ふぁ……
[小さな欠伸をすると、それが合図だったように、いつの間にか安らかな寝息を*たて始めた*]
滝川 志乃が「時間を進める」を選択しました。
[朝食後。出掛けるという提案は、言下に却下した。
深夜遅くに帰ってきて、朝早くから食事の準備をして。碌に休んでもいないはずだ。
そも、夜の聖杯戦争に備えるなら、昼は休むべきなのだ。
サーヴァントと違って、マスターの体力と魔力は、あまりにも限られているのだから]
あ……ヤマダ、フクイ。私が着れるような服、ある?
『ああ、姐さん。どうも、おはようございます。服ですか?』
『加藤さんに聞かないと、判んねッスけど。どんなん着たいんスか?』
ええと……ゴクドーっぽいのを。
『……は?』
この屋敷、みな、ゴクドーでしょ? 合せようと思って。
[山田と福井は、あたまを抱えた]
『オレ「ご○せん」くらいしか知らねェっス』
『馬鹿野郎、姐さんに芋ジャージ着せる気か。
大体「ごく○ん」は2000年代だろうが、ブチ殺されるぞ(世界の修正的な意味で)』
『……福井さんの発言もどうかと思うッス』
『うるせぇ、馬鹿野郎。……ま、普通に考えたら「極道○妻たち」か?』
『加藤さんが好きな映画っスね』
『岩下志麻の悪口は言うなよ。死ぬぞ』
『判ってるッス。でも、姐さんに着物は難しそうッスね』
――……なんで?
『胸が大きいと、キツイらしいッス』
『馬鹿野郎、山田手前……』
『じゃあ、アレどうッスか。「セー○ー服と機関銃」。あんま知らないッスけど』
『――いいですね! 流石は山田の兄貴!!』
『石川! お前どこから湧いた!?』
『極道は細かいこと気にしないものです。いいじゃないですか、セーラー服』
『馬鹿野郎――いや、そりゃ、薬師丸ひろ子は好きだが』
『決まりですね』
[――結果]
『マブいッス! 姐さん超マブいッス!!』
『馬鹿野郎、山田手前、うるせぇ』
『はぁはぁはぁはぁ』
『馬鹿野郎、石川手前、死んどけ』
『姐さん、これでポーズ決めて欲しいッス』
『馬鹿野郎、山田手前、それカチ込み用のマシンガンじゃねぇか!!』
『弾は抜いてるッスよ』
『当たり前だ馬鹿野郎。しかし……グリースガンか、映画そのままだな』
『台詞はこうでお願いします、姐さん』
カ ・ イ ・ カ ・ ン!
――撃ち殺す死傷の弾!
『――……イイ』
[冷静にみれば、召喚年齢20歳前後なので少し無理はあるはず]
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