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[天使が散る。そしてその後には無残な娘の霊体が残った]
くっ・・・・・・
[娘の体を抱えると、エンジェル・ハイロウは即座に解除され、天使の姿も消えた。
まさに一瞬の一撃を特定の相手に与える為にだけ展開される極狭な固有結界。そしてあまりの魔力の消費量に数秒しかもたない一撃。
そして、ハサン自身の右腕も犠牲になる程の威力。
魔術回路が焼き切れている]
この技、そしてセイバーのゲイボルグはこの私には荷が思いというのか・・・・・・?
[それ以前に、ライダーの宝具は前戦争時よりも威力は増大していた。まさかこれ程の威力とは思っていなかった]
とんでもない英霊を抱えてしまったようだな、無頼。
[娘の体を、まるで聖杯へ安置する為であるかのように抱えながら、アサシンの体はエーテルの霧へと変わった]
−忍神町−
[無頼の姿へと戻り、右腕を調べる。
無事だ。焼ききれたのはアサシンの魔術回路のみだったようだ。
少しだけ冷や汗をかいた額を左手でぬぐった]
魔力が戻ってきている。
今ので随分と使ってしまったが、回復も早い。
これであれば・・・・・・勝てる。
[不足しているが、少なくとも前戦争でライダーのマスターが滅びた原因となった『エンジェル・ハイロウ』を発動し、こうやって生存出来た事だけでも僥倖といえる。
仲間となったバーサーカーに感謝をし、*少し休むことにした*]
[笑う。]
誰だって、好んで絶望するわけじゃない。
[目を瞑る。]
闇に飲まれても、僕は立ちあがったさ。
絶望の先の道を僕は歩く。
僕の本当の望みを通す。
[魔力の軋みが止む。]
ふ。
[笑う。]
ブライが勝ったかな。
タイミングが良くて、助かった。
ありがとう、誰かのマスター。
[遺体に笑いかける。
ちょっとしたサービス。]
…神父、もういいよ。
自分の役割を果たすといい。
僕はもう行くよ。
令呪がどう働くか分かった。
代償をもってしてなら聖杯が世界へ働きかけをしても大きな負担がかからないことも分かった。
いいタイミングで令呪を奪えて、ブライは勝った。
十分な収穫だ。
…僕は、ブライに頼ることを恐れない。
大体同じ方向を目指していると知っているからね。
じゃあ、また。
次に会う時の君を楽しみにしてるよ。
― 南ブロック / 拠点 ―
[眠れずとも、床について眼を閉じていれば、体は休まる。
いつか貰った言葉を思い出しながら、天井を見ていた。
暗闇が僅かに蒼く照らされている。
木目を浮かび上がらせるには至らない。
けれど、色を感じるには十分な月明かり。
色を感じることさえ出来れば、形を見ることも出来るし、もっと明るくなれば、そこに映る微細な気配とて読めるようになるだろう。
五つの頃から、朝になるまでそれを眺めていてやろうと決心して、じっと眼を凝らすのが好きで、いつも窓の外が明るくなる頃には、眠りこけてしまうのだった。
今日は、いつもより多く時計の針の音が聞こえる。
今日は、いつもより多く畳みが軋む声が聞こえる。
起きようとしては止め、枕もとの刀に手を伸ばそうとしては止め、気晴らしに魔力の試運転をしようとしては止め、結局は何もしないまま寝転んでいた。]
……。なー。加藤。おるんやろ。
[紙戸の向こうに声をかける。もそ、と気配が揺らいだ。
上半身を起こし、もう一度同じように声をかけた。
すると、「大人しく休んで下さい」と返ってきた。]
ちぇ。
[起こしていた上半身を、再び布団へ潜り込ませる。]
…………。
[沈黙。
……今度は、紙戸の向こうから声がかかった。]
[「達政さんが亡くなられてから、十一年になりますね」]
そうやね。
[「お辛くはありませんか」。]
ないよ。
[「……本当に?」]
本当に。
[「…………。」
紙戸の向こうの気配は、ほんの少し笑ったようだった。
「相変わらず、頑固なお人や」]
…ふん。何とでも言え。
[返して、姫倉もほんの少しだけ*笑った*。]
…――あー。
いや、ここの目の前までは、一緒に帰ってきてたんだけど。
[サーヴァントの居場所を問う声>>848に、微妙に言葉を濁した。
仮にも「バーサーカー」である彼を、彼是と縛りつけられる程強制力は持てない。
…あの場を命に従って納めていただけでも感謝すべきなのだ。
先のセムルクの言葉>>839を思い出して、一つ深い溜息を落とす。
一利あるから、間違ってなかったから。…言い返せなかった。
戦術的な理由なんて、無い。
ただあの場で、自分があの理由では戦いたくなかっただけ。
聖杯が欲しいと思っているのは本当なのに、
其れを手に入れる為にまで、理想を求めているだけで。
――結局、魔術師として自分は甘いのだ。判っている。
…判っているけれど。]
…――、
[瞬間、ぴく、と僅かに肩を揺らした。令呪を介して伝わる感覚。
サーヴァントの魔力に、変化があったのだと直ぐに判った。
ただ、何かが違う。
いつもと、似ている様で――]
…、え?
[己の魔力は減らない。――むしろ、逆だった。
ほんの僅かながらではあったけれども、
眉を、寄せる。
…彼は、そんな術を持っていただろうか。
己が知らないだけという可能性は、十二分に有り得るが
其れにしても、「バーサーカー」が?]
…っえ、あ。 ゴメン、何でもない!
[ユーリに訝しまれれば、咄嗟に「何でもない」と否定を返した。
一度だけ、令呪の刻まれた親指の付け根に視線を落とす。
ほんの僅かな変化。
気のせいかと、そう思えるほどに直ぐに判らなくなった其れ。
…自分に、不利益がある訳では――ないけれども。
先の彼(サーヴァント)の言葉を思い出す。
唯でさえ魔力を消費しやすい現状での、僅かな兆し。
僥倖だと――そう単純に喜ぶには、
嫌に重い何かが胸の奥を去来して、少しだけ、*難しかった*。]
―夜明け前・南ブロック―
ぅ――……。
[――夢をみていた、そんな気がする。
勿論、サーヴァントは、夢をみない]
まだ、明け方前……か。でも。
[さして、日の出まで間もあるまい。
布団を整え、少しハネた髪を適当に撫で付けた]
喉……乾いたな。
[そう、台所を捜して、彷徨うと。
じゃらじゃら。じゃらじゃら。
なんだか、良い音がしていた。なんだろうか。覗いてみれば]
『あっれー。姐さん、どーしたんスか、こんな早くに』
――……ちょっとね。目が覚めちゃって。
『昨日、機嫌悪かったッスけど。まだ引き摺ってるんスか?』
――え?
『あーっ、よくないッス。よくないッスよ、姐さん。
徹マーやってんスけど、いっちょ、気晴らしにどうッスか?』
『……なら、俺が代わろうか』
『馬鹿野郎、山田手前、何考えて――南原、おい』
[東1局 親・東山(25000)/エウロパ(25000)/西村(25000)/北野(25000)]
――……幾つかで上がれる場合、どれで上がれば?
『よっしゃ、教えたるから、倒してみ?』
『メンチン、ドラ3か。高いのう。ビギナーズラックちゅうやつか』
『……んん? いや、待て……この形は!!』
『九蓮宝燈……だ、と!?』
[東2局 東山(9000)/親・エウロパ(57000)/西村(17000)/北野(17000)]
……あの、最初から揃ってる場合はどうすれば?
『……は? どういうこっちゃ?』
『まさか――天和……!?』
『待て……! し、しかも……!!』
『緑一色、四暗刻……!! ト、トリプル役満!?』
[終局 1位・エウロパ(201000)/2位・西村(-31000)/2位・北野(-31000)/4位・東山(-39000)]
[――庭に出た。少し湿った、冷たい空気。
ひとつ、大きな欠伸に。視界が滲んだ]
――……ねむ。
サーヴァントに、睡眠は必要ないのに――なんで、まだ眠いのかしら。
[単純に気分の問題か、どうなのか。
機嫌が悪いのかと、山田は言った。
別に、悪いわけではない。良くないだけだ。
昨晩の会話で、すべてが元通り――というわけでは、ないのだから]
……まあ……どうしようもない、けどね。
[それでも、まあ、願わくば。
幾らもしないうちに訪れる、曙のように。明るい道行きにならんことを**]
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