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…セムルク、引いて。
――これ以上宝具出されると、今は私が持たないから。
[返ってくるのは沈黙。…返事は無いが其処から後を追わない辺り、
まだ理性は残っているらしい、もう一度だけ名を重ねる。
理由として持ち出した内容は、半分は本音。
勿論、相手が此処から再開するのであれば
この制止を覆す心算は存分にあるけれども。]
[腕の負傷を確認する。この具合では、しばらく動かせないだろう。具体的には、どこか落ち着いた場所でマスターから魔力を毟り取って回復するまで。
せっかく条件は整っているが、使えないなら意味がない。
白い少女と目隠し男。歪な二人を警戒しながら、主の隣へと移動する。
その身は道具。どんな命令だろうと、主の意向に従うだろう**]
[武者風の男――ランサーが、
雷に変じたところまで伝え、また少し、苦い顔をした。]
私が見たのは、此処までだ―― ッ 。
[刹那。
――東の空、即ち弓兵たちから見て
中央ブロック方面の空が
夜明けが如く鮮やかに焼けるのを 見た。
キャスターの放った魔術が夜を侵食する。]
――もう、 《戦争》 が そこかしこで か。
[――呟く。
7人のマスター。
7騎のサーヴァント。*そのはずの戦いは、既に歪んでおり――*]
[ファフは黙って後退する。
意図がわからないほど馬鹿ではない、当然の話だ]
さて、お互いのサーヴァントが傷をおったわけだけど、
ここらで痛み分けにしないかな??
[相手マスターは話が通じないタイプではなさそうと感じた。
だったら、ここら辺で引いておくのが良策と考えた]
あとは、そうだなぁ。
不戦協定とか同盟っぽいものを提案してみるけどいかが?
[突然すぎる提案をしてみる。
サーヴァントにもマスターも不気味さはあるがさほど脅威を感じない。
問題なのは、どちらかというとファフの方。
どうも、目隠しサーヴァントとは性格の相性が悪く感じた。
熱くなって我を失われるぐらいだったら当面は戦いを回避したいと感じた]
[不死の拳を受けた箇所が熱を持ち、紅く染まりかける視界が更なる戦闘へ向かえと耳に囁かんとする。その熱を引き止めるのは、マスターが呼ぶ仮の名。]
…………。
[傾いた姿勢のまま灰銀の瞳をゆらり振り返り。
マスターの言葉をゆっくりと反芻するようにクンと鼻孔を動かす。
二回目の沈黙は一度目より短い。
褪せた色の髪と黒衣をなびかせ、マスターの側へすばやく戻る。]
[使われた宝具により、魔力が減っていく。
トナカイにややもたれて、行方を見守る]
まだ、なんか来たみたい。
マジかよ…。
[けれども、これではっきりとわかった。
サーヴァントの数がおかしい事に]
どういうことだ…?
聖杯戦争で呼び出されんのって7騎だよね。8体?
[わいてくる疑問。失われていく魔力に途中で思考を放棄する]
あ、いや、もういっか。
なんか、おかしいって事実だけで充分。
…あれが敵かな。
[波濤のように流れる魔力。
こりゃ、僕だけじゃ美しさ以外は敵わないな。]
おいで、エコー。
[音もなく、妖精が周囲を舞う。]
いい子だ。
[いい子だ、と妖精が繰り返す。
自分に纏わせていた水の一部を霧に変え、今度は妖精に纏わせる。敵と思しき相手を指さす。]
行きな。
[行きな、と繰り返して、妖精が宙に消える。]
――…多少傷を負う事は、こっちには正直有利だから。
…こっちの魔力が戻ってたらって思うと、少し勿体ない気はするけど。
[痛み分けの言葉には、僅かに肩を竦ませて。
しかし反論は返さない。其れが了承の意だとは容易に知れるか。
二度の其れに、素早く戻ってきた黒衣の男に一度だけ視線を向けて
――帰還を口にしようとした矢先、続いた突然の提案。
一度、ぱちりと驚愕に瞬いて、眉を寄せた。
…、何故、そうなった。]
…一時的だとしても、敵対する陣営が減るのは確かに有難いけど。
[此方に、益が無いわけではない。
――サーヴァントからすれば、どうか知らないが。
僅か考え込むよう、何の意図だと聞きたげに視線を投げた。]
へぇ、傷を負うと有利なんだ?
それは良い事を聞いたなぁ
[そして疑惑の視線には笑顔を返しながら]
んー? 君が言った言葉、そのままだよ。
一時的にでも敵が減るのはありがたいでしょ。
無能な同盟相手ほど厄介なものはないけど、
君もそこの目隠し君もそこそこやるみたいだしね。
[笑顔で、そして飄々と語る。
本当の理由はもちろん語らない]
広がれ。
[広がれ、と繰り返す宙からの声がするとキャスターの周囲に霧が広がり、同時に、驚くキャスターの声や風の音が乱反射を始める。
…聴覚の混乱は、容易に方向感覚を狂わせる。
そのまま自分は天使もどきの方へ向かう。]
やあ。
とりあえず時間を作ってみたけど…
この後は、どうしたい?
天使もどき…。
…まぁね。
[向けられる笑みに食えないとばかりに肩を竦めながら、脳内で思案する。
――此方と、向こうのサーヴァントとの相性を考えれば、
長期にわたって同盟を結べるほど効力が得られるとは思わない、が。
しかし不戦を反故にするには、勿体ないのも事実。]
…そうね、少なくとも。
次に会う一回までは、不戦協定を結ぶって言うのはどう?
[色々な折り合いをつけて、この場で出した結論。
次に会った時に、再び有益そうであれば再度組めば良いだけの話だ。]
――セムルクも、其れでいい?
お疲れ様。随分と大人しいんだね。
[とはいえ、その存在自体が最大の武器である。
魅了。しかも無差別。イカロス自身も凝視するのは避けたいほどの力]
悪いけど、ここから離脱させてもらうよ。あとで合流しよう。
それと・・・・・・キャスター、かな。
また決着をつけようね。万全ならば、きっと君の宝具と正面から勝負できるはず。
[そう言うと、東へと飛び立った]
……私の魔女。
[囁くと言うよりは自身に言い聞かせる言葉。
マスターの側で首を傾け、確かめようとするのはマスターの魔力。
先程のマスターの言葉はすべて真か。今まで自身が何をしてどれだけの力を使ったか、確かめるように骨張った手のひらを自身の顔に近付けた。
オルグロスの提案は、バーサーカーの意思を問うなら当然否になるが。血混じりを唾を地面に吐き捨て。それから、灰銀に意識を集中させるならば、狂おしい意識が静まるまで口を噤む事は出来た。]
──……
あれらに、命拾いをさせるのが、
一度で良いなら。
うん、じゃそれでいいよ。
それと、そうだな同盟って事で一つだけサービスだ。
魔力に苦しんでいるようだけど、
俺にはそれを解決する手段はあるかもしれない。
ま、不戦協定じゃ関係ないだろうけどね。
[肩を竦める様子にも笑顔は崩さない。
もっとおかしい奴とでも思われたほうが後々便利だから]
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