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うん、行こう────────
[フェイトに抱えられて、ゴール地点に移動する。
────ちなみに、翌年の県対抗女子駅伝でも、1区を任され、区間新記録は逃したものの、18分52秒という好タイムで見事1位でタスキを渡し、チームも4(5)位だった。
駅伝が終われば、京都の大学への推薦も決まり、一旦神楼高校へ戻ることになった。単位は取れているし、ほぼ卒業式に出るだけにはなっているが、実家に戻るのと、かつてのクラスメート、特にホリーに出会えることが嬉しかった]
ね、フェイト。
帰る前に、どっか、旅行しようか?前に、一緒に行かないかって、聞いてたよね?温泉でゆっくりでもいいし。
もう少ししたら、本格的に起きれる…。
そうしたらレーモン君と一緒に、卒業式に帰りたいなぁ。
旅行は、その、徐々に進めましょう[恥ずかしくて目逸らし]
だ、って。もう、いいんです。
見たいものも、したいことも、全部……叶えて、いただいたから。
……それに、もう、あんな優しいところに居たら、甘えきりになってしまう私は、離れるほうがきっと、良くて……
だから、もう…… いい、んです。誰かに迷惑を掛けるのは、もう、いいんです。駄目、なんです。
[頭ごなしに怒鳴りつけられるより、優しい声音が痛いのは何故だろう。
怒られているわけでもないのに、震えが止まらないのは、きっと、ただ一言寂しいと叫んでしまいそうな心を、押さえつけているからなのだけど。
だから、あとは。
一通のメールに零されたその想いを否定するだけなのに、それだけの言葉が、どうしたって擦れて途切れた]
帰国する時には、ガートルードに真っ先に連絡しようね。
……あ、ご両親の方が先かな。
オケ、決まりそうなんだ。おめでとう。
それじゃ、前祝いしなくっちゃね。
[くすりと笑うと]
次の夢だよ。僕のお嫁さんになった後の、1番目の夢。
―日本 空港―
[ユウトと共に各地を転々とし始めて約半年。
飛行機にも慣れ始めてはいたけれど、いつかみたいにしっかりと手は繋いで15時間。
久しぶりに踏んだ日本の地は、とても懐かしい匂いがした。]
待っててくれる人が、場所があるからですね。
[手を握り返しながらふわり笑んでそう言って。空を仰いだ。
ベルギーで仰いだ空と、やはり同じものが、そこにあって。
繋がっていたんだと、実感する。]
そうですね…ユトの心の準備ができているのなら、行きますか?
[近況は随時報告してあったけれど。
今日帰るとは言っていないから。
きっと驚くだろうなと、浮かぶ笑みが抑えきれなかった。]
――卒業間近――
[...も無事に卒業が決まり一安心した。スポーツ選手の食事面でのサポートがしたいと思って、進路は栄養士の学校に通う事にした。京都にしたのは勿論エレノアと少しでも一緒に居たいため]
旅行か。そういう話、前にしてたな。
つーか一応聞いておくが、ホリーたちも含めて、楽しく卒業旅行したいとかじゃないよな。
[「温泉」という単語にどきどきしつつも聞いてみた]
優しさに触れることは甘えじゃない。
愉しいと思うことは罪ではない。
君は充分すぎるほど自律しているのに。
まだ、その身を削ろうとするのだな。
[声音はやはり、優しげなままだった。彼女の震える身体が、どうしようもなく小さく見えていた。
一旦目を閉じて、心を決めて開く。
一枚の書類を、薄い鞄から取り出して彼女に見せる。
転校の通知書だった。神楼学校からこの学校への、ではない。この学校から、神楼学園へのものだ。]
転校システムは休止させた。
ゆえに、君の転校も強制ではなくなった。
既に転校が決まった生徒への暫定処置として、再転校の権利が与えられることになった。
無理に受け取る必要は無い。
いらないならば、この場で破り捨ててくれ。遠慮は要らない。
[真剣な眼差しをゲルダに向けて、告げる。
白地に黒で、ただ事実だけが書かれたたった一枚の紙切れ。その程度のものが、ひとの行く先を決める]
[そうしてしばし、彼女を見据えていたが。
答えが返るまえに、ふいに、ふ、と頬の緊張を解いた。ああ、と白い息を大気に落とす。
自分自身に向けた、困ったような苦笑を、彼女に見せた。置いてきたはずのわがままが、どうしても首をもたげた]
……だが。
あえて。わたしの要望を、ここに来た理由を、加えるなら。
わたしは、ただ。
君に、おかえりと言いたいんだ。
[愛おしげに眼を細めて、本音を告げた]
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