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……このワンピはね、アタシよりまなみんの方がずっと似合うよ。
[元気のない碓井の様子に、困った表情を浮かべる。]
無理なんて言わないの。
ねえ、まなみんには話しておくわ。
アタシ、実は女の子なの。
だから、冗談だったかもしれないけれど、まなみんからの想いを受け止めることが出来なかったのよ。
そんなの関係ないのかもしれないけれど、とにかく自信を持って。
ね?
[ワンピースを受け取ってじっと手元を見る。
顔を上げた。]
ありがとう、山田君。
ん、…なんとなく、そうかなって気はしてたけど、でもまさかって思ってた。
冗談じゃなかったけど、でも、『好き』にまではなれなかったのは本当だから、いいんだ。
……駄目ね。
無理に好きになろうなんて、するものじゃないの。
いいなって思うだけじゃ、恋にはならないし、でも、振られちゃったらショックだし。
自分で追いかけたいくらいの執着だってない。
自信を持つとか、持たないとかじゃないんだ。
私の気持ちの問題かな。
[でも、その気持ちはいつ降って来るか分からないのも知っている。]
――。
がんばるわけじゃないけど、もう無理かなって気もしてるけど。
もう少し、待ってはみるよ。
本当に好きだと思ったら、ちゃんと自分で言えるから。
ありがとうね、山田君。
山田さん、かな。
うん、その気持ちよくわかるよ。
[碓氷の言葉を静かに聴いていた。]
そうだね、頑張ってって言うのはおかしいね。
じゃあ、いつの日か……
恋する乙女になったまなみんに会えるのを、楽しみにしとくね。
[微笑んで、一歩後退し、碓氷が扉を閉めるのを見守った。]
……さて。
[手の中にもうひとつあるのは、葛城がつけてくれた小花柄のシュシュ。]
……。
[葛城が眠っている部屋の前で、少し立ち止まった後。
手の中のシュシュを右手首にはめる。]
みやちゃん、シュシュはまだ借りておくね。
[呟くと、階下へ降りた。]
[何だかたくさん撫でられて、
何だか抱き締められて、
軽く面食らった。
苦笑か一つ]
…泣かんよ、別に。
[泣いたら、まるで自分が鈴の気持ちを全否定しているみたいになるから。
そういうつもりはない。
だから、泣かない]
―早朝―
[岸壁より、力ない足取りで戻り道。]
これで、ひとまずはいいのかな。
[多方面に問題と迷惑を起こした覚えがあるが気を取り直して引き締めて!
結城丈二はログハウスに辿り着いたところで気が抜けたのか、玄関口に突っ伏し、そのまま眠ってしまった。]
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