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[カップを置く音が、少しだけ、鳴った]
…………。
[言葉としては、耳に入っている。ただ、理解はできない。
この島に来るまでは、まあ、時折、なにかの機会に話すくらい。
ここ数日のエンカウント率は高かったけれど、
正直、それでようやく、接する機会が他の男子と並んだ程度。
その鶯谷が、自分を好きな理由が判らない。
というか、色々と判らない。
西野や鈴や愛美に聴こえているのかは知らないが、
何故、他に人がいる場所で告白されているのか判らない。
何の脈絡もなく、何故に唐突に告白されたのかも判らない]
…………ええと。
[落ち着くために、また、コーヒーをひとくち]
ううん。
アタシには判らないけれど、みやちゃん、色々悩んでいるんだね……。
アタシさ、昨日ジョージとビリヤードして遊んでて。
ジョージってば、みやちゃん呆れさせちゃったんだって凹んでいたから……。
何だか、変なこと聞いてごめんね。
[ちゃぷ、と湯船の湯を手のひらに掬い上げ。]
雨のお陰でお湯、ちょっと冷めちゃっているかもね。
……あがろっか。
良かったら、後でアタシの髪を結ってもらえないかな?
[割と親しくしていて、それで。なら、判るけど。特段、そういうわけでもなく。
校舎裏とか屋上とか、そういう場所に呼び出されるとかでもなく。
異性として意識したことがない相手から、唐突に告白されれば。
……そりゃあ、混乱もするし反応にも困る。
普段の生活のなかでなら、まずは互いを知るために付き合ってみよう、というのも、あるかもしれないけど。
ここは、そういう場所ではないはずで。そのうえ、失恋から、何日も経っていない]
……まずは、ありがとう。
自分を好きだってひとがいるのは、純粋に、嬉しい。
[阿太郎は重要なことを忘れていた。
もう一度補足するがここは天下の食堂であり、周りではクラスメイトが歓談?している。そんなところで彼が何故告白したのかというと――まあ周りが見えていなかったわけで。]
――――――。
[数秒。
矢口のコーヒーの音で、我に返り。
視線を右に。じっと見つめた。
左に。じっと見つめた。
また矢口に視線は舞い戻ってきて――。]
[小さく、息を吐いた。
なるべく、傷付けないよう、言葉を選ぶ。
卑怯な答えになるかもしれないな。とは、自覚したうえで]
……ただ、ね。
いきなりだし、鶯谷くんのこと、よく知ってるわけでもない。
だから、今ここで、「はい」とは頷けない。
――もし頷けば、この島から出られるのかもしれないけど。
それは、鶯谷くんの気持ちを利用することにしかならない。
それは、やっぱり、嫌だから。
[言い終えて。カップに残るコーヒーを、飲み乾した。
ぬるくなったコーヒーの苦味が、強く、舌に残った]
ああ、そうなんだ。
奴はいつも、細かいことを気にしすぎなんだよ…。
[困ったように笑ってから、あがろうかの言葉に軽く頷く。]
結うって…
あんまり複雑な事はできないけど、それでいいのなら。
[湯船からざばりとあがると、軒下に置いておいたタオルで頭をごしごしと拭いた]
[阿太郎は重要なことを忘れていた。
もう一度補足するがここは天下の食堂であり、周りではクラスメイトが歓談?している。そんなところで彼が何故告白したのかというと――まあ周りが見えていなかったわけで。]
――――――。
[数秒。
矢口のコーヒーの音で、我に返り。
視線を右に。じっと見つめた。
左に。じっと見つめた。
また矢口に視線は舞い戻ってきて――。
ほんの少しだけ、申し訳なさそうになった。]
[けれど、答を聞けば、静かに瞑目する。
矢口の言葉を噛み締めるように、少しの間、沈黙して。]
……………。うん。
……ありがとう。
[何に対するありがとうだったのかは阿太郎のみぞ知る。
矢口が言葉を選んだことを察したのかもしれないし、全く別の理由だったのかもしれない。]
いきなりでごめんね。
……もう、逃げるのは、嫌だったんだ。
[友達でいて欲しい、と言った。
きっとそれは、答えよりも何倍も卑怯な言葉だっただろう。
表情をほんの少しだけ柔らかにして、席を立つ。]
……ありがとう。
[もう一度だけ、言って。ゆっくりと食堂を退出した。]
―→エントランス―
[食堂を出て、階段へ向けようとした足を反転させる。
行く先はエントランス。
足音も、表情も静かなもの。
そこからは、心中がどのようなものなのかは読み取れない。
今日はちゃんと傘を取り出して、骨を広げる。
まだ少し手が震えていたが、瞑目し、止まるまで待った。
震えが止まったならエントランス出て、昨日のゴミを処理するためにボイラー室へ。表情は、相変わらず分からないまま。
途中、一度だけ立ち止まり、冷たい息を*吐いた*。]
/*
ログを読んだ。
えっ
私と西野の会話
はイベントだっ
たのですか?←
…わかっていませんでした本当ごめんなさい!
だから毎度怒られるんだな私!( ノノ)
*/
うんうん、何となくいい感じになれば、満足なの。
[脱衣所で身支度を済ませると、鏡の前の椅子にスタンバイ]
ジョージって、気を使って使って使って、全部それが裏目に出て、最終的にはドツボにはまって大怪我しているイメージが、あるな〜。
なにせ、三年間隣の席で良く見てたからね〜。
[ドツボにはめた根源の7割は自分だったがそれは秘密。]
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