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……。
[扉を叩いてみる。
返事が返ってきたら逃げられるよう準備。
同室の返事はなかった。多分、食事に降りているのだろう]
…よし、チャンス。
[そーっと扉を開けて、誰もいないことを確認してから着替えを取り出した。
紺のTシャツと白の短パン、お決まりの黒ニーソ。
着替えるべきものをベッドの上に放り投げると、帯を解く。
やっぱりyukataってちょっと帯が寝苦しいと思う。
旅館で着るような細い帯の素晴らしさをしみじみしながら、
浴衣を落とせば薄っぺらい体。
短パンに足を通して、ファスナーを上げると紺色のシャツを手にとって]
[城といい、結城といい。
ベクトルは正反対だが、救いようがない。そう思った]
……べつに。良いんじゃない、愛美ちゃん。
結城くんの幸せのなかに、都ちゃんがいないって、いうなら。
都ちゃんの幸せは、どうか、判らないけどさ。
[吐き捨てるように言って、席を立つ。椅子が揺れる。
……本当に。腹が立つ。
なんだって、こんな。
失恋が確定したその朝に、他人の恋に気を使わないといけないのだ……!]
え、、、、、、、、、、、、。
だって、葛城さんは幼馴染みだよ?
[真顔。なにを求められているのか判らないのでとにかく自分の考えを素直に話すしかないと、珍しく目もそらさずに喋る。]
それから、好きな人とかそういうの、いま、心当たり、、、ないよ。
[喋りながら考えてみるも、思い当たる相手はいなかった。
少なくとも、初恋が自分の姉であったことなど、いまは関係ないだろうとこれは口に出さない。]
そうか、あれは料理もできるんだな。
[意外だったが、台所に立つ結城の姿を想像すると何となく似合う気もした]
……しかし葛城よ。さっきから聞いていれば、結城のことしか頭にないじゃないか。
なにがただの幼馴染みだ。結城との関係が壊れてしまうのを異様に怖れているお前は、十分に恋する乙女だろう。
[髪を掻き上げ、当然のことを伝えるように言ってやる。本人に自覚があるのかないのか少々判別しづらいため、苦笑も出なかった。珍しい動物でも見るような気分]
[舌が触れて息を止めた。
絡む感触は未知のもので――]
ふ、…
ん、…それは、
わたしも同じ、だ …よ、
…心臓、うるさいくらい、だから…
[そっと、首を伸ばして唇に唇で、ふれた。]
―ログハウス近くの砂漠―
うーん。
うーん。
うー……ん。
[考えているのだが、ちっとも色々思いつかない。
……そもそも解放用の船にトーマスは乗ってくるのか?
それとも「特別」というくらいだから、監督義務が生じてそちらの船に同伴するのか。というか、トーマスだけ殴っても意味がない。
やはり島を出た後じゃないといけないのか。
しかしそうなるとトーマスの居場所が……。
それ以前に島をどうやって脱出するのか……。]
うー………ん……。
[ダンボールでぐるぐる歩き回りながら悩んでいる。]
あ、……うん、でも。
[矢口がたってどこかに行くのを、とめることができなかった。
目を逸らさない結城へと、一度息を吐いて考えを整理する。]
じゃあ。
結城君は葛城さんが誰かとここを出て行っても、いいんだ? 例えば西野君とか、山田君とか、カルロス君とか。
幼馴染はいつまで経っても幼馴染だけど。
兄弟と違って離れてしまったら、もう会えないかもしれない関係だよ?
心当たりなんてなくても、無意識の内に葛城さんのこと考えてる、とか、誰より心配になるとか、そういうのも、ないんだ?
別にね。結城君が葛城さんのことを好きじゃないならないで、いいと思うんだ。
気持ちは強制できないから。
でも、なくしてからじゃ、遅いんだよ?
普段の生活ならいいけど。ここは、そういうプログラムだって言うから。
乙女……
[言われ慣れない言葉に、目をぱちくりさせる。]
恋……なんだろうか。よくわからない。
ああ、確かに結城の事ばかりだな…
[言って、少し困った顔で苦笑する]
…部屋から追い出した挙げ句に、こんな愚痴聞かせてすまないな。
……聞いてくれてありがとう。
[心の中で、おかーさん、と呟いた事は内緒だ]
なんだ……一緒、か。
[そう笑うと同時に、更科から口付けされリ。
それはずるい、不意打ち過ぎて確実に顔が赤くなっている。
ここ数日で、ありえないほど赤面している気がするが、更科相手ならそれでもいいかと思えるのが不思議だった。
多分、これが俗に言う惚れた弱みとかいう奴なのだろう。
でもちょっと悔しくて、脇腹を指先でそっとなぞってみる。]
うー・・・n
[ぐう。]
ああ。そういえばご飯食べてないや。
[色々あって最初の目的を忘れていた。
この悪癖はどうにかしたいと思う。]
・・・でも、入りづらいよ。
[理由はどうであれ盗み聞きしてしまったのは確かだ。
気まずいとかどうしようとかいうレベルではない。]
・・・よし。こっそり行こう。
[こっそり行って盗み食いすることに決定した。
スネークしながら、ログハウスへと戻っていく。]
は。
[まさか城だとは思わなかったのが運の尽きだった気がする。
だって自分の部屋に戻ってくるのにノックするやつなんていないし。
声もしなかったし。着替え中だったことはどうでもいいのだが。
扉が閉まったので、着替えを続行することにした。
このよく解らないいたたまれなさは何だろう]
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